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意見募集(パブリック・コメント)

「インターネット等の情報の先行技術としての取り扱い運用指針(案)」
「発明の新規性の喪失の例外についての取り扱い運用指針(案)」
の意見聴取について

平成11年9月22日
調整課審査基準室

 平成11年の特許法第二十九条第一項第三号及び第三十条の改正に伴う、「インターネット等の情報の先行技術としての取り扱い運用指針(案)」及び「発明の新規性の喪失の例外についての取り扱い運用指針(案)」を別添のとおり作成いたしました。

 上記(案)についてご意見がございましたら、以下の要領で提出して下さい。

・ 締め切り:  平成11年10月8日(金)
・ 提出先 :  審査基準室(PA2A12@jpo.go.jp)
・ 提出方法:  電子メール

 上記(案)につきましては、皆様のご意見を反映させて最終版を作成予定です。

お問い合わせ先
  特許庁審査第二部調整課審査基準室 藤本・二ッ谷
TEL  :03-3581-1101 (内3113)
E-mall :PA2A12@jpo.go.jp







別 添

インターネット等の情報の先行技術としての取り扱い運用指針(案)

平成11年9月22日
調整課審査基準室

特許法第二十九条第一項
  産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。
 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
 特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明

 
1.法改正の意義
  インターネット等で開示されている技術情報は、雑誌や図書等の形で刊行された技術情報と同等の情報を有し、その伝達の迅速性などの利便性を備えており、研究者が自己の研究成果を早期に公表することを目的としてインターネット等を論文発表の場として利用するケースも増えてきていることから、刊行物と同様、技術の進歩、発展に寄与するものであり、すでに産業界の技術水準を構成している。したがって、たとえ刊行物に記載されていなくともインターネット等で開示されている発明に対しては特許権が付与されるべきものではない。

 しかし、これらの発明は、特許法第二十九条第一項第一号での引用は可能であったが、公然知られたことの立証が難しいことから、旧法においてはインターネット等での開示を新規性喪失事由とすることは困難であった。

 このような状況に対応すべく、インターネット等での開示が、頒布された刊行物の記載と同様、新規性喪失事由となるように改正を行ったものである。

 
2.用語の解説
 (1) 「回線」とは、一般に往復の通信路で構成された、双方向に通信可能な伝送路を意味する。一方向にしか情報を送信できない放送(双方向からの通信を伝送するケーブルテレビ等は除く)は、回線には含まれない。
 (2) 「公衆」とは、社会一般の不特定の者を示す。
 (3) 「公衆に利用可能」とは、不特定の者が見得るような状態におかれることをさし、現実に誰かがアクセスしたという事実は必要としない。具体的には、インターネットにおいて、リンクが張られ、検索サーチエンジンに登録され、又はアドレス(URL)が公衆への情報伝達機関(例えば広く一般的に知られている新聞、雑誌等)にのっており、かつ公衆からのアクセス制限がなされていない場合には、公衆に利用可能である。
 (4) 本運用指針中で「インターネット等」とは、電気通信回線を通じて技術情報を提供するインターネット、商用データベース、メーリングリスト等全てを示す。また、「ホームページ等」とは、インターネット等において情報をのせるものを示す。
 
 (適用時期)
  この運用指針は、平成12年(2000年)1月1日以降の出願について適用する。(特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第1条、第2条)
 
 
3.インターネット等の情報の審査上の取り扱い
 
3.1.先行技術として引用し得る電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった情報
  電気通信回線を通じた情報(以下、「電子的技術情報」という)を刊行物と同様に先行技術として引用するためには、その電子的技術情報が公衆に利用可能な情報であること(以下、「公衆利用可能性」という)及びその電子的技術情報が出願前に存在していたこと(以下、「証拠力性」という)が必要である。
 
3.1.1.公衆利用可能性
  インターネット等にのせられた情報は、不特定の者がアクセス可能な情報であり、刊行物が頒布される場合と同様の情報伝播力を有するので、通常、公衆利用可能性がある。

 ホームページ等へのアクセスにパスワードが必要であったり、アクセスが有料である場合でも、その情報がインターネット等にのせられており、その情報の存在及び存在場所を公衆が知ることができ、かつ、不特定の者がアクセス可能であれば、公衆利用可能性がある。

 
 (1)公衆利用可能性があるものの例
  検索サーチエンジンに登録されており検索可能であるもの、又は、その情報の存在及び存在場所を公衆が知ることができる状態にあるもの(例えば、関連ある学術団体やニュース等からリンクされているもの、又は、アドレスが新聞や雑誌等の公衆への情報伝達手段にのっているもの)。
  パスワードが必要なものにおいては、パスワードを入力することのみで不特定の者がアクセス可能であるもの(この場合には、パスワードを手に入れることが有料かどうかは問わず、誰でも何らかの手続きを踏むことで差別無くパスワードを手に入れてアクセスできるようになるホームページ等であれば公衆利用可能性がある)。
  有料のホームページ等においては、料金を支払うことのみで不特定の者がアクセス可能であるもの(この場合には、料金額は問わず、誰でも料金を支払うことのみで差別無くアクセスできるようになるホームページ等であれば公衆利用可能性がある)。
 
 (2)公衆利用可能性があるとは言い難いものの例
  インターネット等にのせられており、アクセスが一応可能であるものであっても、次に該当するものは公衆利用可能性があるとは言い難い。
 
  インターネット等にのせられてはいるが、アドレスが公開されていない(アドレスを知り得る者全てが守秘義務を負う場合等)ために、偶然を除いてはアクセスできないもの。
  情報にアクセス可能な者が特定の団体・企業の構成員等に制限されており、かつ、部外秘の情報の扱いとなっているもの(例えば、社員のみが利用可能な社内システム等)。
  情報の内容に通常解読できない暗号化がされているもの(上記(1)又はにより解読可能となるものを除く)。
  公衆が情報を見るのに充分なだけの間公開されていないもの(例えば、短時間だけインターネット上で公開されたもの)。
 
3.1.2.証拠力性
 
 (1)証拠力性の問題
  インターネット等にのせられた情報は改変が容易であることから、常に次の証拠力性が問われる。
  審査官が電子的技術情報を発見した時点では、引用しようとする電子的技術情報を掲載した時として表示されている時(以下「掲載時」)が特許出願の出願前であったとしても(注1)、その掲載時自体が改変されている可能性を完全に排除することはできない(掲載時の証拠力性の問題)。
  審査官が電子的技術情報を発見した時点では、引用できる電子的技術情報がのせられていたとしても、その内容が改変されている可能性を完全に排除することはできない(内容の証拠力性の問題)。
 (注1) 掲載時については、インターネット等の情報がそのホームページ等にのせられた国又は地域の時間を、日本時間に換算して判断する。
 
 (2)証拠力性の問題への対応
  証拠力性についての疑義が極めて低いと考えられるホームページ等については、審査官がアクセスした時にのせられている内容が、ホームページ等で示されている掲載時にのせられていたものと推認して引用する。
  証拠力性についての疑義がある場合は、引用し得るか否かを調査する。
  証拠力性についての疑義を解消する可能性が少ないホームページ等にのせられている情報は引用しない。
 
 (3) 証拠力性についての疑義が極めて低いホームページ等
  以下のようなホームページに掲載されている情報は、通常、問い合わせ先が明らかであり、証拠力性についての疑義も極めて低いと考えられる。
 
  刊行物等を長年出版している出版社のホームページ(新聞、雑誌等の電子情報をのせているホームページ:学術雑誌の電子出版物等をのせている)
 学術機関のホームページ(学会、大学等のホームページ:学会、大学等の電子情報(研究論文等)をのせている)
 国際機関のホームページ(標準化機関等の団体のホームページ:標準規格等についての情報をのせている)
 公的機関のホームページ(省庁のホームページ:特に研究所のホームページにおいて、研究活動の内容や研究成果の概要等をのせている)
 
  このようなホームページ等であっても、掲載時が示されていない場合は原則的には引用し得ないが、掲載された情報に関してその掲載、保全等に権限及び責任を有する者によって、ホームページ等への掲載時及び内容についての証明が得られれば引用し得る。
 
 (4) 証拠力性についての疑義がある場合の対応
  審査官は、引用しようとする電子的技術情報の証拠力性に疑義があると判断した場合には、問い合わせ先等に表示されている連絡先に、改変されているか否かの照会をして、証拠力性について検討する。
  検討の結果、疑義が解消したものに関しては引用し得る。疑義が解消しないものに関しては引用しない。
 
 (5)証拠力性についての疑義を解消する可能性が少ないホームページ等
  問い合わせ先が明らかでないもので、かつ、掲載時が示されていないホームページ等は、証拠力性についての疑義を解消する可能性が少ないので引用しない。
 
3.2.引用の手法
  インターネット等によって検索した電子的技術情報を引用する場合、その取り扱いは以下のように行う。
 
 (1)電子的技術情報と同一内容の刊行物が存在し、該電子的技術情報と該刊行物がどちらも引用可能な場合
 刊行物を優先して引用する。
 
 (2)引用した電子的技術情報の取り扱い
  インターネット等の情報は、審査官が先行技術調査を行ったときには存在していても、その後、出願人又は第三者がアクセスした時には、該情報が改変、削除されている可能性がある。このような場合、出願人又は第三者は充分な対応をとることが困難であることから、拒絶理由通知等に引用したインターネット等の電子的技術情報を特許関連文献データベースに蓄積するために、審査官は以下のような手続きを行う。
 
  引用したホームページ等の情報をプリントアウトする。
  のプリントアウトに、アクセスした日時、アクセスした審査官名、その情報を引用した出願の出願番号、その情報の掲載時及びその情報を取得したアドレス等を記入する。
 
 (3)電子的技術情報を引用する際の引用文献等としての記載要領
  インターネット等によって検索した電子的技術情報を引用する場合、その引用形式はWIPO標準ST.14に準拠して、該電子的技術情報について判明している書誌的事項を次の順に記載する。
 著者の氏名
 表題
 関連箇所
  頁、欄、行、項番、図面番号、データベース内のインデックス又は最初と最後の語句で表示する。
 媒体のタイプ[online]
 掲載年月日(発行年月日)、掲載者(発行者)、掲載場所(発行場所)及び関連する箇所が開示されている頁
 検索日
  電子的技術情報が電子媒体から検索された日を括弧内に記載する。
 情報の情報源及びアドレス
  電子的技術情報の情報源及びそのアドレス、又は識別番号(Accession no.)を記載する。
 
 インターネットから検索された電子的技術情報の記載例
 (製品マニュアル/カタログもしくはウェブサイトから得られる情報の記載例)
 Corebuilder 3500 Layer 3 High-function Switch. Datasheet. [online]. 3Com Corporation,1997. [retrieved on 1998-02-24]. Retrieved from the Internet: <URL: http://www.3com.com/products/dsheets/400347.html>.
 
 (日本語での記載例)
 新崎 準、外3名、“新技術の動向”、[online]、平成10年4月1日、特許学会、[平成11年7月30日検索]、インターネット<URL :http://iij.sinsakijun.com/information/newtech.html>
 
 オンラインデータベースから検索された電子的技術情報の記載例
 Dong, X. R.  'Analysis of patients of multiple injuries with AIS-ISS and its clinical significance in the evaluation of the emergency managements', Chung Hua Wai Ko Tsa Chih, May 1993, Vol. 31, No. 5, pages 301-302.  (abstract) Medline [online] ; United States National Library of Medicine, Bethesda, MD, USA. [retrieved on 24 February 1998]  Retrieved from: Dialog Information Services, Palo Alto, CA, USA. Medline Accession no. 94155687, Dialog Accession no. 07736604.
 
3.3.情報提供
 
  インターネット等の電子的技術情報についても、刊行物と同様に情報提供ができる。情報提供を行う場合に、情報提供者は提供しようとする情報が正しいものであることを証明するために、インターネット等の電子的技術情報の内容をプリントアウトして提出する。提出された情報のプリントアウトには、その情報の内容、その情報の掲載時と共に、その情報を取得したアドレス、その情報に関する問い合わせ先を含む必要がある。その際、その情報に関して掲載、保全等に権限又は責任を有する者による証明書類を添付することが望ましい。
  提供された情報が、審査の時点でも、インターネット等にのせられている場合は、『3.1.先行技術として引用し得る電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった情報』と同様に判断し、公衆利用可能性及び証拠力性に疑義がない場合は、提出された電子的技術情報を引用し得る。
  提供された情報が、審査の時点では、インターネット等にのせられておらず、かつ、上記証明書類が添付されていない場合は、問い合わせ先等に表示されている連絡先に、提出された内容で、出願前に公衆がアクセス可能なホームページ等にのせられていた(公衆利用可能性及び証拠力性を満たしていた)かどうかを確認する。提供された情報が、提出された内容で、出願前に公衆がアクセス可能なホームページ等にのせられていたことの確認がとれたときのみ、提出された情報を引用することができる。
  なお、提供された情報を拒絶理由通知等に引用した場合は、『3.2.(2) 引用した電子的技術情報の取り扱い』と同様に、特許関連文献データベースに蓄積する。
 
3.4.出願人からの反論
 
 (1) 出願人からの掲載時及び内容についての反論が、証拠に裏付けられておらず、単にインターネット等による開示であるから疑わしいという内容のみの場合には、具体的根拠が示されていないので採用しない。
 
 (2) 出願人からの反論によって、公衆利用可能性又は証拠力性について疑義が生じた場合には、その掲載、保全等に権限又は責任を有する者に問い合わせて確認を求める。その際、ホームページ等への掲載時及び内容についての証明書の発行を依頼する。
 
 (3) 出願人からの反論等を検討した結果、審査官の心証を当該電子的技術情報が出願前にその内容で発行された可能性は真偽不明とした場合には、先行技術情報として引用しない。
 
3.5.出願公開されていない出願の取り扱いについて
  先行技術調査時点で出願公開されていない出願に対しても、インターネットによる先行技術情報の検索を行うことはできる。ただし、インターネットは検索時に検索情報が流出して、検索式や検索語等から当該出願に係る発明が第三者に漏洩する可能性があることから(注2)、検索にあたっては注意を要する。
  なお、例えば、学会等のホームページ等で文献リストから引用文献を見いだした場合や、電子的技術情報を情報提供で入手した場合等には、本願に係る発明が漏洩する懸念はない。
 (注2)以下のような検索式は当該発明が第三者に漏洩する可能性が高い。
 一般的な用語の新規な組合せで検索を行う場合。
 公知のものを新規の用途に使うもの(該用途に該物を用いることが新規)。


発明の新規性の喪失の例外についての取り扱い運用指針(案)

平成11年9月22日
調整課審査基準室

発明の新規性の喪失の例外についての関係条文(第三十条、第百八十四条の十四)

 特許法第三十条
  特許を受ける権利を有する者が試験を行い、刊行物に発表し、電気通信回線を通じて発表し、又は特許庁長官が指定する学術団体が開催する研究集会において文書をもつて発表することにより、 第二十九条第一項各号の一に該当するに至つた発明は、その該当するに至つた日から六月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項各号の一に該当するに至らなかつたものとみなす。
 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
 第一項又は前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を特許出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第二十九条第一項各号の一に該当するに至つた発明が第一項又は前項の規定を受けることができる発明であ ることを証明する書面を特許出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。

特許法第百八十四条の十四
 第三十条第一項又は第三項の規定の適用を受けようとする国際特許出願の出願人は、その旨を記載した書面及び第二十九条第一項各号に該当するに至った発明が第三十条第一項又は第三項の規定を受けることができる発明であることを証明する書面を、同条第四項の規定にかかわらず、国内処理基準時の属する日後通商産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出することができる。

 
1.法改正の意義
  第二十九条第一項第三号において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明を頒布された刊行物に記載された発明と同様に新規性喪失事由とする改正を行ったことに伴い、第三十条第一項においても、電気通信回線を通じて発表することを刊行物に発表することと同様に新規性の喪失の例外規定とする改正を行ったものである。
 
2.第三十条第四項に記載された発明
 
 (1)「第二十九条第一項各号の一に該当するに至つた発明」とは、発表等をすることにより第二十九条第一項各号の一に該当するに至つた発明を指す。
 
 (2)「第一項又は前項の規定の適用を受けることができる発明」とは、第一項又は第三項における発表等をした発明を指す。
 
3.電気通信回線を通じた発表行為を証明する書面について
 
 (1) 電気通信回線を通じた発表行為を証明する書面には、その情報の内容(その情報を発表したホームページ等のプリントアウト等)、その情報の掲載時、発表者、その情報をのせたアドレスが含まれる必要がある。
 
 (2) 提出された電気通信回線を通じた発表行為を証明する書面に疑義があると判断した場合には、審査官は、問い合わせ先等に表示されている連絡先に、改変されているか否かの照会をする。
 
4.第二十九条第一項及び第二項の規定の適用について
提出された証明する書面によって示された情報は、出願がその情報によって新規性喪失の例外規定を受けられるものであれば、当該出願についての第二十九条各項を判断するにあたってはその情報を先行技術情報としない。
 
5.適用時期
 この運用指針は、平成12年(2000年)1月1日以降の出願について適用する。(特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第1条、第2条)

[更新日 2000.2.28]
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