模倣品被害レポート事例集【テーマ別レポート】
現代社会では、創意工夫や信用が重要となります。この無形財産を守るために、1986年より不正商品の排除・撲滅をする活動を行っているのが「不正商品対策協議会」(ACA)です。今回は不正商品の危険性や撲滅するために消費者は何をすべきか? ACAの後藤さんと小林さんにお話を伺いました。
不正商品対策協議会(ACA)
事務局長 後藤 健郎さん
事務局 小林 靖子さん
Q 不正商品対策協議会(ACA)の設立の目的はどのようなものですか?
A ACAが設立された1986年当時は、まだ知的財産への認識が薄く、日本国内では商標権を侵害するニセブランド商品や著作権を侵害する海賊版が氾濫していました。これを改善するために警察庁は「不正商品取締官」という専門家を中心に取り締まりの強化を始めました。一方、被害を受けた権利者や権利者団体は侵害対策を行う為の権利行使体制を整えつつありました。そこで不正商品の問題で共通の立場に置かれている団体が集まり、情報交換、調査、広報活動等を推進し、知的財産の保護と不正商品の排除に寄与することを目的に、官民一体となった組織として不正商品対策協議会が創立されたのです。
Q ACAではどのような活動を行っているのですか?
A 私たちACAでは不正商品を排除・撲滅するための活動として、主に広報・啓発活動を行っています。2012年で26回目を迎えた不正商品撲滅キャンペーン「ほんと?ホント!フェア」やアジア地域における知的財産の保護をテーマとした「アジア知的財産権シンポジウム」を中心に、消費者の皆さんに知的財産を守ることの大切さやニセブランド・海賊版の撲滅を訴えています。今年から若年層を対象に著作権の保護を広くPRするために、全国の小学4年生から中学生を対象にポスターの募集を行い、「ほんと?ホント!フェアin秋葉原2012」にて「第1回 著作権を守ろうポスターコンクール表彰式」を開催しました。
2012年11月4日に開催された不正商品撲滅キャンペーン「ほんと?ホント!フェアin秋葉原2012」
Q 知的財産を守ることの必要性はどのような点なのでしょうか?
A 知的財産は「創造」、「保護」、「活用」という“知的創造サイクル”から成り立っています。このサイクルがしっかりと保たれて初めて、次の知的財産が生まれます。しかし、模倣品や海賊版が広がり、知的財産の「保護」が出来なくなると“知的財産サイクル”が破壊されてしまいます。その結果、創作活動に大きな影響を及ぼし、新たな「創造」や「活用」へと繋がらなくなり、経済的にも打撃を受けます。経済や文化の健全な発展のためには知的財産を守ることが重要だといえます。
Q 不正商品とは一般的にはどのような商品を指すのですか?
A 人間の知的想像力によって生み出された無形の財産には、商標権、著作権等といわれる権利として認められ、法律上「知的財産権」として保護されています。保護されている「権利」を侵害して、デザインマーク等を勝手に使用したり、ニセモノを作ったりすることは法律で禁止されています。このように知的財産権を侵害して作られた不法な商品を不正商品と総称します。具体的には権利者に無断で作られた映画、音楽、コンピュータソフト、デザインマークまたは正規商品のコピー品等が不正商品に当たります。
Q 不正商品だと知らずにニセモノを購入した場合、どのように対処すればよいですか?
A 基本的に自己責任となりますが、まずは商品を購入した店舗、次の段階として地元警察またはACAへご相談ください。諦めて泣き寝入りすることは、ニセモノを作った業者、売った業者の存在を結果的に認めたことになります。そしてニセモノを売って得た資金の多くは反社会組織や犯罪組織に流れているのです。もしニセモノを購入してしまった場合は勇気を持って相談をしてください。
Q ニセモノと本物を見分けるポイントはどこにありますか?
A 商品の発売日や価格がニセモノと本物を見分けるポイントになります。最新のブランド商品や新作のコンテンツが発売当初から安価で売られることはまずありません。消費者として購入前に発売日や価格をチェックするなど商品についての正確な情報を入手することが重要になります。また、イベント等で本物とニセモノの比較展示をしていますが、明らかに違いがわかります。本物を見て、職人の技術力やデザイナーの創作活動を勉強することも大切だと思います。
Q ネットショッピングやネットオークションを利用する人が増えていますが、オンラインショピングを利用する際に注意すべきことは何でしょうか?
A メーカー直営サイトや大手百貨店等のオンラインショピングサイトの商品は、安全性が担保されていますが、海外のサイトやオークションによる海外出品の場合、ニセブランドや海賊版が混在している場合があります。写真は本物を使用しているのに、届いた商品はニセモノだったといった例も多く見られます。現物を手に取りチェックすればすぐにニセモノと判断できるような粗悪品でも、本物の写真が使われていたりすると判断のしようがありません。モニター上で本物かニセモノかを判断しなければならないのがオンラインショピングの難しさなので、先ほど指摘しましたが、発売日や価格を見て不当に安いものを含め手を出さないようにしてください。
Q 不正商品だと知らずに買ってしまった場合は何か罰則はあるのですか?
A 日本では不正商品や海賊版を購入しても、その買主が罰せられることはありません。しかし今年の著作権法改正により、違法配信だと知りながら音楽や映像をダウンロードした行為のうち、「CD、DVD、ブルーレイ等として販売され、またはインターネットで有料配信されているなど、有償で公衆に提供・提示されている音楽や映像だと知りながらダウンロードする行為」は非常に悪質である為に、個人的に使用する目的であっても「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはその両方が科せられる」刑事罰の対象となりました。
Q ACAではファイル共有ソフト等を使って映画や音楽、アニメ、ゲームなどの違法ダウンロードの取り締まりを強化されるそうですが、具体的にどのようなことをされているのですか?
A ACAの中には、P2P(ファイル共有ソフト)を24時間体制で監視している団体もあります。当初は「P2Pの取り締まりは難しい」と言われていましたが、今日では警察の捜査体制、手法が確立され、迅速に取り締まりが出来るようになりました。取り締り件数は、2001年11月の著作権侵害事件の取り締り以来、累計125件(2011年12月1日ACA調べ)となりました。また、ACAが事務局を担当している、ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会(CCIF・2008年5月設立)では、2010年6月からP2Pを利用して音楽や映画、ゲームソフトなどを公開しているアップローダーに対し、権利者団体がプロバイダを通じて注意喚起文を送信するなどの取り組みを行い、違法行為の防止に努めています。アップローダーの取り締まりは今後も継続していくことでダウンロードの防止・抑止にもつながると考えています。
Q 一般消費者が知的財産権の侵害に気が付かずに関わってしまうことはあるのですか?
A 海外旅行の際に、みやげ屋で「面白い」から、「安い」からといった軽い気持ちでニセキャラクターグッズを購入してしまうのが典型例です。海外でこのような商品を購入した結果、品質上の問題など必ずリスクが伴います。正しい知識を持って正規品を買うことが、ひいては安心・安全な生活につながることとなります。またオークションサイトで、内容をよく確認することなく購入したら、ニセブランドの商品が届いていたというケースも最近は多発しています。「安い」には必ずリスクが伴うと考え、正規品を購入するよう心がけましょう。
Q ACAを発足した当時と比べて、知的財産の認識は広がっているのでしょうか?
A ACAでは年に1回、一般消費者を対象に不正商品に関するアンケートを行っています。ここ数年は90%以上が「不正商品の存在を知っている」と回答しています。これは日本人に不正商品が認識されてきた結果だと思います。私たちが次に重視している「不正商品とわかっている商品を購入することについてどう思うか?」という質問に90%の人は「不正商品は購入しない」と回答していますが、10%は「不正商品でも購入する」と回答しています。この“10%をいかに減らしていくか”が今後の課題だと思います。しかし設立当初と比べると「不正商品でも購入する」という人の数は毎年減っています。そして、多くの若い世代が「不正商品は買わない」と答えていることを心強く思っています。反面、P2Pやアプリなどのオンライン侵害については、まだ若年層の認識が薄いので、さらに広報活動を強化して行きたいと思います。
Q 不正商品を撲滅し、知的財産を守るためには、私たち消費者は何をすべきでしょうか?
A 「不正商品や海賊版など違法に流通しているものは買わない・持たない」ということが一番です。不正商品で得た利益は悪質な業者に流れ犯罪組織の資金源になったり、違法に流通している映画や音楽は、それを制作した人などの創作活動を啄むことになります。買う人、持つ人がいるから売る人、提供する人が存在します。そのような不正商品や海賊版を生まないためにも“不正商品を買わない!持たない!許さない!”という気持ちを再確認するとともに、本物の商品の正しい情報や知識を身につけることで、安心した買い物ができるようになり、ひいては知的財産を守る健全な社会が築かれることとなります。