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ビジネス関連発明の最近の動向について

目次

1.ビジネス関連発明の概要

1-1 ビジネス関連発明とは

ビジネス関連発明とは、ビジネス方法がICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を利用して実現された発明です。特許制度は技術の保護を通じて産業の発達に寄与することを目的としています。したがって、販売管理や、生産管理に関する画期的なアイデアを思いついたとしても、アイデアそのものは特許の保護対象になりません。一方、そうしたアイデアがICTを利用して実現された発明は、ビジネス関連発明として特許の保護対象となります。

ビジネス関連発明とは

1-2 ビジネス関連発明と第四次産業革命

第四次産業革命を推し進めているIoTやAI等の新たな技術が進展する中、ビジネス関連発明の利活用に注目が集まっています。具体的には、IoTの一つのモデルとして、①様々なセンサ等からデータを取得、②取得されたデータを通信、③通信されたデータをクラウド等にビッグデータ化し蓄積、④当該データをAI等によって分析、⑤分析によって生まれた新たなデータを、何らかのサービスへ利活用、⑥IoTにおけるビジネスモデルの確立、という①~⑥からなるモデルを想定した場合、⑤の利活用や、⑥のビジネスモデルの確立において、自社のビジネスモデルが化体したシステムをビジネス関連発明の特許として保護することが可能な場合があります。

IoTのモデル図

2. ビジネス関連発明の出願関連動向

2-1. 出願動向

ビジネス関連発明の出願件数は、米国でのビジネス方法に関する特許を巡る判決や訴訟を契機として、2000年に急増し、19,231件(前年比4.8倍)となりました。出願件数は2000-2001年をピークに徐々に落ち着きを見せています。2011年からは出願件数が増加傾向に転じています。2015年の出願件数は7,111件(暫定値)でした。

技術分野別出願件数内訳

【備考1】 ここでは、次のFI分類が付与された出願をビジネス関連出願として集計しています。また、このFI分類に対応した分野の発明をビジネス関連発明としています。

    
FI分類 付与された時期
G06F15/20@G,N,R ; G06F15/20,102 ; G06F15/21 ; G06F15/24-G06F15/30 ; G06F15/42 ~2000年6月
G06F17/60 2000年7月~2011年12月
G06Q 2012年1月~

【備考2】

  • 「ビジネス関連発明自体を主要な特徴とする出願」は、上記備考1の分類が主たる分類として付与された出願に対応しています。
  • 「ビジネス関連発明ではあるが、他技術に主要な特徴がある出願」は、上記備考1の分類が付与されているものの、備考1以外のFI分類が主たる分類として付与された出願に対応しています。

【備考3】 出願件数は国内出願件数と特許協力条約に基づく国際出願(PCT国際出願)のうち国内移行した出願件数の合計数です。また、PCT国際出願については、国内書面の受付日を基準としてカウントしています。これ以降のグラフも同様です。

2-2. 審査請求動向

ビジネス関連発明の審査請求件数は、出願件数が大幅増になった2000年に4,488件(前年比2.6倍)まで増加しました。その後、審査請求期間短縮に伴う審査請求件数の一時的な増大(請求のコブ)が生じていました。請求のコブが終了した2009年以降の審査請求件数は、出願件数が大幅増になった2000年頃と同水準の4,000件台で推移し、出願動向と同様に2011年を底に増加傾向に転じています。2015年の審査請求件数は4,941件でした。

特許査定率・拒絶査定不服審判請求率の推移

2-3. 分野別出願動向

ビジネス関連発明の分野別の出願件数を見ますと、ソリューションビジネス等のサービス業一般に関連する出願件数が2015年に4,978件、電子商取引等のWebサービスに関連する出願件数が2015年に5,073件と上位を占めています。特定の用途・分野に特化した出願では、エネルギーマネジメント等のエネルギーに関連する出願件数が2015年に846件、フィンテック等の金融に関連する出願件数が2015年に824件、ヘルスケアに関連する出願件数が2015年に691件となっています。工場での生産管理等の第二次産業に関連する出願件数は2015年に724件となり、前年度比+10%と大きな伸びを見せています。農業等の第一次産業に関連する出願件数は2015年に124件となっています。

特許査定率・拒絶査定不服審判請求率の推移

【備考4】 上記分野とFI分類の対応は次のとおりです。

    
産業(分野) FI分類
第一次産業(農業、漁業、鉱業等) G06Q50/02
第二次産業(製造業、建設業等) G06Q50/04,50/08
第三次産業 金融 G06Q40/00-40/08
ヘルスケア G06Q50/22-50/24
教育 G06Q50/20
公共サービス G06Q50/26
エネルギー G06Q50/06
Webサービス G06Q30/00-30/08
サービス業一般 上記以外のG06Q50/,90/,99/

【備考5】 上記【分野別ビジネス関連発明の出願件数】は、【備考4】に列挙した分類が付与されている出願(上記分類が主要な分類であるかは問わない)を対象としています。

3. ビジネス関連発明の審査状況

ビジネス関連発明自体を主要な特徴とする出願の特許査定率は、2000年になされた出願では10%を切っていましたが、徐々に上昇し、2012年になされた出願では約69%(全分野の平均は約74%)まで上昇しています。また、特許査定率の上昇にともない、特許査定件数も上昇しています。これは、この分野の審査が進むにつれ、コンピュータソフトウエア関連発明に関する審査基準、特にビジネス関連発明における審査基準が出願人に浸透し、出願人側で出願の厳選や適切な補正等の対応が進んできたことによるものと見られます。

ビジネス関連発明の特許査定率

【備考6】 特許査定率=特許査定件数/(特許査定件数+拒絶査定件数+FA後取下・放棄件数)

4. 参考情報

特許庁では、ビジネス関連発明に関する審査実務等の周知・明確化のために、関連する情報の発信に努めています。特に、平成28年度は、IoTやAI等の新たな技術の進展にともない、審査ハンドブックに、IoT関連技術等に関する事例を追加するとともに、関連する審査基準等についての説明資料を公表しています。こうした取組により、第四次産業革命が進行する技術の変革期においても、出願人が適切に権利を取得できるよう後押ししています。

【ビジネス関連発明に関する参考情報】

 

[更新日 2017年3月24日]

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特許庁 審査第四部 審査調査室

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