本ページは、意匠制度を利用したことのない者を対象に、意匠制度の趣旨と基本が理解できるよう、制度の概要及びその活用方法等を紹介する映像のテキスト版です。
「彼らは、まだ知らなかった。」
千葉幸一「オレは、この道一筋。毎日毎日、この部品を作り続けて・・・・。」
千葉早苗「あんた、大変だよ!うちの製品が。」
千葉幸一「えっ?」
奥野慎二「新しいビジネスを成功させるために、今回の新製品は絶対にヒットさせなければならない!」
倉田優実「社長、問題があります。」
内藤大悟「デザインの権利?作者のボクに著作権が・・・・。えっ、違うの!」
千葉幸一「なんでうちの製品が訴えられるんだ!」
NA「知らなかった事、それは・・・・」
千葉幸一、奥野慎二、内藤大悟3人で「意匠権?」
田所祐輔「聞いたことはあるんだけど・・・・・・何だったっけ?」
野村麻衣「いしょうって、ファッションのことかな?」
田所祐輔「えっ、そのいしょうじゃないでしょ。」
NA「彼らの挑戦が始まった!」
倉田優実「意匠権には・・・・。」
奥野慎二「大きなビジネスチャンスがある。」
内藤大悟「まさしくボクたちデザイナーのための権利だ!」
千葉幸一「意匠権、取ったぞ!」
NA「意匠権。知れば知るほどおもしろい。」
「小さな町工場を夫婦で経営する千葉幸一。職人気質の性格で、曲がった事が大嫌い。そんな千葉は、まだ知らなかった・・・。」
千葉早苗「あんた、大変だよ。うちの製品が、意匠権を侵害してるって?」
千葉幸一「い・しょ・う・けん?なんだ、それ。」
千葉早苗「わたしも、よくわからないよ。」
NA「ベンチャー企業の経営者、奥野慎二は、技術力とアイデアで、魅力的な製品を生み出してきたが、そのつど模倣品の被害にも苦しめられてきた。そんな彼の、次なるチャレンジは・・・・。」
奥野慎二「今回の化粧品ビジネスへの参入は、絶対に成功させなければならない。」
倉田優実「大丈夫ですよ。新しい化粧水には我社のバイオ技術の粋が集められていますし、このボトルデザインなら、絶対にヒットしますよ。」
奥野慎二「そうなんだが、心配なのは模倣品だ。また、外側だけ真似されて中身が粗悪な模倣品が出回る可能性もある。」
倉田優実「ちょっと調べてみたんですが、意匠権を取ると効果があるみたいです。」
NA「今、売り出し中の若手デザイナー内藤大悟。彼が創り出す独特のデザインが、業界で高く評価されている。しかし内藤は、大きな勘違いをしていた。」
取引先の男「いやぁ内藤さん、素晴らしいデザインですね。」
内藤大悟「ありがとうございます。」
取引先の男「もちろん、権利関係は押さえているんでしょうね。」
内藤大悟「えっ、権利?僕に著作権があると思うんですけど・・・。」
取引先の男「えっ、意匠権を取ってないの?それはちょっと不安だなぁ。」
Nv「みんな、意匠権については知らないようですね。でも、この意匠権を取得することで、皆さんのビジネスに大きな成果が期待できるんですよ。」
千葉幸一、奥野慎二、内藤大悟「えっ?」
Nv「例えば、こちらのノートパソコンは、その機能に加え、斬新なデザインによってヒット商品となりました。優れたデザインを意匠権で守り、他社との差別化に役立てているのです。」
デザイン担当者インタビュー「タフブックのユーザーは、警察や消防、建設現場など、屋外でパソコンを使用される方々です。屋外使用のユーザーの要望に徹底して答えながら進化し続けるというタフブックのコンセプトをしっかり受け継ぎながら機能とデザインを進化させてゆく、それがタフブックなのです。強いデザインは模倣からは絶対に生まれません。一貫した開発コンセプトと効果的な権利化によって、今日のタフブックの世界を確立できたのだと思います。」
知財部門担当者インタビュー「私どもパナソニックでは、デザインが商品の重要な付加価値のひとつであると考えておりまして、このデザインという付加価値をきちんと保護することによって商品の競争力を確保するために意匠権を活用しております。このような意匠出願の検討をデザイナーや知財部門が参加する戦略意匠出願検討会議という場で徹底的に議論をいたします。この会議では、デザイナーからはデザインの特徴や権利化したいポイント、そして知財部門からは既に世の中にあるデザインとの類似性や権利化の可能性といったようなことをお互いに主張しあって、最終的な出願内容を決定しております。このような意匠の権利部門によって、当社のデザインコンセプトを的確に保護し、商品競争力の確保につながっているものと考えております。」
Nv「優れたデザインを意匠権で効果的に守り、それがヒット商品へと繋がっているんですね。」
千葉幸一「なるほどね。でも、それは大企業の話だろ。うちみたいなちっちゃな町工場には関係ないよ、なぁ。」
千葉早苗「そうそう、それにデザインがどうこう言われたってねぇ。」
Nv「技術力を強みにしている企業にとっては、デザインなんか関係ないと思われるかもしれません。でも、形ある製品を作っている千葉さんの仕事にも意匠権は大きく関係します。」
千葉幸一「でも、オレが作ったモノだし、誰のマネもしてないのに、なぜ訴えられたんだ?」
Nv「意匠権は、先に出願した人が権利を得ることができるんです。」
千葉早苗「じゃあ、うちが考える前に、同じようなもので先に権利を取っていたのね。」
Nv「それに意匠権は内藤さんたちデザイナーのための権利でもあるんですよ。」
内藤大悟「著作権じゃなくて、意匠権なの?。」
Nv「そうなんです。意匠権とは一言で言うと工業デザインを守る権利です。特許庁の審査を経て意匠公報で公開されるので、権利の所在や内容が誰が見ても明らかです。」
内藤大悟「そうか、ボクに必要なのは意匠権だったんだ。」
Nv「奥野さんを悩ます模倣品対策にも意匠権は大きな力を発揮しますよ。模倣品に対して、販売の差し止めや損害賠償の請求など具体的なアクションを起こすことができます。」
奥野慎二「市場からニセモノを排除できれは、ビジネスもうまく行くぞ。」
野村麻衣「意匠権って、私たちが考えていたものとは全然違うようね。」
田所祐輔「私たちじゃなくて、君がだろ。」
Nv「実は私たちの生活には意匠権のある製品がたくさんあるんですよ。」
Nv「例えば、野村さんが今使っている携帯電話にも、意匠権があります。」
野村麻衣「へぇ、そうなんだ。」
Nv「その他、皆さんの身の回りにある工業製品には意匠権が取得されているものがたくさんあります。まさに、意匠権と一緒に暮らしているのです。」
千葉幸一「じゃあ、これにも意匠権があるのかな?」
Nv「そうですよ。」
田所祐輔「意匠権ってとても身近なものだったんだね。」
野村麻衣「ホント、私たちって知らない間に意匠権に囲まれて生活していたのね。」
Nv「この他にも、小さな部品や建築構造材、産業機械など様々なモノに意匠権が取得されています。」
「ところで、意匠権は、どうすれば取れるのかな。」
Nv「はい、意匠権は何もしなくても権利が発生するものではなく、特許庁に出願し、審査を受け、登録されてはじめて権利が認められるものです。」
Nv「そして意匠登録が行われると、特許庁が発行する『意匠公報』に掲載され、広く一般に公開されます。」
倉田優実「これで晴れて意匠権を主張できるようになるわけですね。」
Nv「そうですね。意匠権は登録された意匠に加えて類似する意匠まで効力がおよびます。そして、権利は最長20年間有効となります。その間権利取得者にはさまざまなメリットが生まれます。」
田所祐輔「どんなメリットがあるんですか?」
Nv「例えばご覧のようなメリットが期待できます。」
千葉幸一「なるほどなぁ。」
千葉早苗「なるほどなって、あんたほんとにわかってるの?」
千葉幸一「実は、よくわからん。」
Nv「では、実際に意匠権を活用されている企業の例をご紹介しましょう。」
Nv「広島県の工業用ゴム製品メーカーでは、模倣品に悩まされた経験から、積極的に意匠制度を利用されています。」
開発担当者インタビュー「まあ、我々がこのタイヤを手がけ始めたのが、今から12〜13年前になるんですけども、特許権は特許権で取れるようにしましょうと。だけど穴あきのタイヤは、外観で特徴がわかるし、もうひとつ意匠を出願したらどうかと。あるときアジアのメーカー2社が(模倣品を)建設機械展に出展したので、これは問題だと。(我が社の製品の)意匠権がそのときにはもう確定しておって、ただ特許は出願中でまだ権利になっていないという中で、意匠権で税関に対して輸入差し止めの申し立てをいたしました。意匠で単純明快、比較できるわけで、水際で我々の権利にかかわる商品を止めることができたと。開発して、それを権利で固めたというのが、ある程度ここまでできた一つの要因かな。こう思っています。」
(※本タイヤの事例は、実際には当事者間で和解が行われたことから、税関への輸入差止申立書の提出は行われておりません。)
「意匠権は、このように海外からの模倣品の侵入を水際で防ぐ大きな効果があります。こういった技術に基づいたカタチは意匠権による保護も考えた方が良さそうですね。」
千葉幸一「なるほど、技術屋にも意匠権って関係があるんだなぁ。」
Nv「さらに、広島県のブレーカや分電盤のメーカーでは、技術だけでなくデザイン力を強化し、意匠権を積極的に活用することによって競合他社との差別化や市場での優位性を確保しています。」
開発担当者インタビュー「私どもは、スイッチとか、住宅用分電盤というものを昔から作っております。昭和40年代頃から、分電盤というものも、段々ご家庭の中でも表に見えるところに出てきたということがございまして、その辺りからデザイナーさんと相談をして、デザインというものに注力を始めたということです。それに合わせまして、意匠の方も出願するようにしております。意匠権は見た目でも他社との差別化、あるいは他社が真似ができないというところがありますので、非常に強いものではないかと考えております。私どもの会社ではこれが製品であると、パッケージと統一してデザインをやっております。お客様の手に触れるもの、目に見えるものについては意匠権をとっていくという考えが重要だと考えておりまして、それを実践しております。」
奥野慎二「守るだけじゃなくて、積極的に打って出る。これが、今までのうちに足りなかったものなんだな。」
倉田優実「これからは我社も意匠権を取得し、徹底的に戦いましょう。」
奥野慎二「迫力あるねぇ。」
Nv「登録された意匠は、ほかではマネできないので、権利取得者にとっては重要な知的財産となります。また他人にライセンスすることもできますし、意匠権を担保として融資が実行された例もあるんですよ。」
内藤大悟「そうだよな、自分自身で生み出したデザインは、大切な自分の財産だもの。それを権利として正当に主張できるのが意匠権なんだ。」
Nv「そうなんです。特許庁が発行する意匠公報には、意匠とともに、デザイナーの名前も創作者として掲載されます。」
Nv「デザインディレクターとして伝統工芸品からメガネ、インテリア用品、機械実装設計やコンピュータ開発まで幅広くデザイン活動を行う川崎和男さんにお話しを伺いました。」
川崎和男氏にインタビュー「デザインっていうのは形を決める作業ですけども、本来は形以外の後ろ側に考え方がいろいろあるわけですけども、自分のオリジナリティっていうか、オリジンがなければ、やっぱり形って成立しませんし、それにはデザイナーの考えた思想が現れている訳です。権利の確保っていうのは、やっぱり不可欠だと思います。お金を得るっていうのは、権利ですよね。で、そのお金を得るためには、権利を貰うためには、意匠権という社会的な手続きという義務をちゃんと果たすべきだ。デザインをしたからには、最後、商品になっていくときには、必ず意匠権の手続きをするという義務を果たしてお金を頂くっていうシステムを見出し、やっぱり、職能として、専門職としては、そのことは義務だと思います。」
「意匠を出願する場合には、知っておくと便利ないくつかの制度があり、これらを上手に活用すれば、効率的で効果的な保護ができるんです。」
野村麻衣「どんなふうに?」
Nv「例えば、全体の形ではなく、特徴的なある一部分だけを登録することもできます。これを部分意匠制度といいます。」
倉田優実「なるほど。じゃあ、当社が被害にあうような、全体のデザインはちょっと違うけど、商品の肝となる部分は一緒というようなセコイ模倣品にも部分意匠制度を使えば対応できるというわけですね。」
Nv「その通りです。実際に、兵庫県にあるこの自動車部品メーカーでは、部分意匠制度を積極的に利用して、他社との差別化や海外戦略に活用しています。」
開発担当者インタビュー「ありがたい制度ですね、これは。本当にね。私の会社にとったら救世主っていうんですかね。救いの神です、部分意匠は。製品の形状、姿にはポイントがありますからね。そして、そういうポイントはいろいろありますからね。一点二点とは違いますから。ですから、ありがたいんです。日本に部分意匠を出すときは、必ず海外でも部分意匠を取ることができる国では積極的に動いている。今日現在、私のところの領域を侵す部分は、世界ではありませんね。ぜひ、部分意匠の大切さということは、モノづくりをしている方は考えていただきたいと思いますね。有効ですよ、これは。」
Nv「このように部分意匠制度は、現在非常に多く利用されており、出願の約4分の1が部分意匠の出願です。」
奥野慎二「へぇ、そんなに・・・・・。我社も、考えた方がいいな。」
Nv「また、この制度は携帯電話等の画像デザインの保護にも利用できます。」
野村麻衣「へぇ、そうなんだ。部分意匠ってなかなかいいじゃない。」
田所祐輔「他にもあるんですか?」
Nv「1つのデザインだけでなく、デザインのバリエーションを保護できる関連意匠制度があります。」
内藤大悟「なるほど、デザインをするときは、色々なバリエーションも一緒に考えるから、これは便利だよね。」
Nv「そうなんです。神奈川県にあるこの企業では、関連意匠制度を効率よく活用することで、幅広く権利を保護し、市場の優位性を確保しています。」
高部社長インタビュー「当社はですね、生活用品として、スプーンとか、おたまとか、そういうものを作っておりますが、特に機能を形にするということに重点をおいております。そういった意味で、意匠権というものは大事にしております。大体全体で二百件位意匠登録を済ましておりますけれども、10パーセント強が、関連意匠になっております。関連意匠を登録する意味としましては、製品のバリエーションを保護するために行っております。バリエーションって結構ありますので、今後一貫性を高めるためには、多くの関連が必要になってくるんじゃないかなとは思っております。」
倉田優実「部分意匠に関連意匠。どちらも有効よね。使わない手はないわね。」
内藤大悟「あのぉ、ちょっと相談があるんだけどいいかな?」
Nv「もちろんいいですよ。」
内藤大悟「実は、この前の展示会で発表したデザインがあるんだけど、出願って今からでもできるかな?」
Nv「原則としては一度発表してしまうと、出願しても登録されないんです。」
内藤大悟「やっぱりダメか。」
Nv「でも、発表しても6ヶ月以内に出願すれば例外と扱われる制度があるので、まだ間に合うかもしれませんよ。」
内藤大悟「よかった、確か3か月前だから大丈夫だ。」
Nv「さらに、意匠を秘密にしておくこともできますよ。」
田所祐輔「意匠を秘密?」
Nv「登録されたデザインは、意匠公報で公開されます。でも、新製品のデザインは、発表までオープンにはしたくないですよね。ですから、開発スピードや販売戦略上、登録後でもデザインを秘密にしておきたい場合には、最長3年間公開しないようにする制度があります。」
倉田優実「なるほど、新製品の発表時期を遅らすことになっても支障はないというわけですね。」
野村麻衣「ところで、審査の期間はどれくらいなんですか?」
Nv「出願し、特許庁からの最初の通知が届まで平均で約7ヶ月です。また特許庁のホームページでは、審査スケジュールを公開しています。皆さんも、このような便利な制度を上手に活用してくださいね。」
「登録された意匠は、特許庁のホームページにアクセスすれば簡単に見ることができます。」
内藤大悟「こりゃいいや。新しいデザインを考える時にも役立ちそうだ。」
千葉幸一「これからは、製品開発と意匠権はセットで考えないとな。」
奥野慎二「意匠権には、大きなビジネスチャンスがあるんだ。」
田所祐輔「意匠権って、なかなか奥が深いね。」
野村麻衣「ホントね。」
Nv「みんな、意匠権の重要性がわかったみたいですね。実践編では、出願の流れなどわかりやすく紹介していますので、ぜひご覧ください。」
Nv「では皆さん、意匠権取得に向けて、ガンバリましょう!」
「よし、次の製品は意匠出願をするぞ。」
千葉早苗「私も協力するわ。」
奥野慎二「今度の新製品は、大ヒット間違いなしだ。」
倉田優実「ボトルデザインもできたし、意匠権取得の手続きは私がバッチリ行います。」
内藤大悟「今までは、良い作品を作ることだけを目指してきたけど、これからは意匠権も同時に考えていく必要があるな。」
野村麻衣「意匠権は登録が必要。とにかく特許庁に出願しないとはじまらないのよ。」
田所祐輔「そうだね。」
全員で「でも、実際の手続きはどうしたらいいの?」
「意匠権取得に向けて、みんな張り切っているようですね。では、出願の方法をご説明していきましょう。」
Nv「出願にはオンライン出願と紙出願があります。」
倉田優実「うちは、環境も整備されてますから、インターネットで出願したいんですけど。」
Nv「インターネット出願を利用するためには、まず、電子証明書の購入が必要となります。電子証明書とは、コンピュータ上の身分証明書です。」
奥野慎二「なるほど、実印みたいなものだな。」
Nv「法人の場合は、法務省電子認証登記所が発行した電子証明書が必要です。詳しい購入方法は法務省のホームページをご参照ください。」
内藤大悟「個人の場合はどうすればいいの。」
Nv「個人の場合は、住民基本台帳カードを利用して地方自治体で電子証明書の交付を受けることもできます。また、特定認証局と呼ばれる複数の民間の認証局からも購入できます。」
Nv「続いて、インターネット出願ソフトを入手します。インターネット出願ソフトは、工業所有権情報・研修館の『出願サポートサイト』からダウンロード請求を行い、その後通知されるURLにアクセスしてダウンロードします。この時、同時に出願書類のひな型もダウンロードしてください。」
倉田優実「出願ソフト、ダウンロード完了。これで準備OKね。」
Nv「インターネット出願を行うには、特許庁に対して申請人利用登録を行う必要があります。出願ソフトを起動し、必要事項を入力して、申請人利用登録を行います。次に出願料を支払う際に必要となる納付番号を取得します。」
倉田優実「無事、登録できました。」
Nv「次は、いよいよ出願書類の作成です。」
奥野慎二「倉田君、書類作成は君に任せた。」
倉田優実「はい。じゃあ、出願書類の作り方を教えてください。」
Nv「書類作成には、先ほどダウンロードしたひな型を使います。このひな型を使って、願書と図面の2つの書類を作ります。」
Nv「まずは願書です。ひな型の項目にしたがって入力してください。整理番号は出願を特定する必要がある場合に記入する番号です。任意の英数字を大文字10文字以内で記入してください。次に意匠に係る物品や住所などを入力します。」
奥野慎二「意匠に係る物品?」
Nv「例えば『いす』や『テーブル』など出願する意匠がどんなものかを書いてください。」
倉田優実「じゃあ、この化粧水用のボトルの場合は過去の登録事例からすると『包装用瓶』ですね。」
Nv「では、次は図面です。原則としては、正面図、背面図、左側面図、右側面図、平面図および底面図の6つの図面を用意します。」
倉田優実「これらの図面をひな型の項目に従って入れていけば良いのね。」
Nv「図面はどんなカタチなのかを表すことが目的ですから、必要であれば斜視図や断面図を加えます。」
倉田優実「できたわ。図面さえ揃っていれば以外とカンタね。」
奥野慎二「さすが、倉田君。頼りになるなぁ。」
内藤大悟「あの〜、できればボクは仕事で使っているパソコンで作成したCGで書類を作りたいんだけど、無理かな。」
Nv「なるほど、コンピュータグラフックスですね。CGで作成した図を元に正面図や背面図などを作れば大丈夫ですよ。」
内藤大悟「CGも図面として使えるんだ。」
千葉幸一「オレは、パソコンで図面を書くなんて無理だ。」
Nv「千葉さん。出願は、写真や見本・ひな形でもできるんですよ。」
千葉幸一「えっ、それなら、オレだってできそうだ。」
千葉早苗「よかったね、あんた。」
倉田優実「出願書類は完璧です。」
奥野慎二「よし、さっそく出願だ。」
倉田優実「はい、送信します。」
Nv「これで終わりじゃありませんよ。特許庁に16000円の出願料を支払う必要があります。」
倉田優実「あっそうだった。」
Nv「料金の支払い方法は、インターネットバンキングやペイジー(Pay-easy)機能のあるATMなどがあります。」
倉田優実「では近くのATMで払ってきます。」
千葉幸一「オレは、できればこの手で願書を提出したいんだけどな。」
Nv「もちろん大丈夫です。出願書類を用意し、特許印紙を貼り、特許庁の窓口に直接持っていけば、受け付けてくれます。」
Nv「この他、書留など郵送でも出願することができます。」
千葉幸一「とうとう、出願までこぎつけたぞ。」
「出願すると審査が行われ、登録に必要な要件を満たしているかどうか判断されます。」
千葉幸一「なんだか受験生みたいでドキドキするな。」
Nv「審査の過程で問題がなければ登録査定がなされます。」
内藤大悟「問題がある場合は?」
Nv「問題点が見つかった場合でも、すぐに不可ということではありません。まず問題の理由が示された拒絶理由通知書が出願人に送られます。」
内藤大悟「じゃあ、その理由に納得がいかない場合は、意見を言うチャンスが与えられるんだ。」
Nv「はい、拒絶理由に対して意見書を提出すると、審査官により再度検討され、登録査定となるか拒絶査定となるか判断されます。」
奥野慎二「確かになんでもかんでも登録するわけにはいかないものな。」
千葉早苗「ところで、審査ではどんなところがポイントになるのかしら。」
Nv「審査のポイントはいくつかありますが、重要なのは、新規性と創作非容易性です。」
千葉幸一「なるほど、新規性と創作非容易性ねぇ。」
千葉早苗「なるほどって、ほんとにわかってんのかい、あんた。」
Nv「新規性、つまり今までにない新しい意匠であるかどうか。まだ、世の中に発表されていない、意匠であることが重要です。」
奥野慎二「どこかで見たことがあるようなものじゃダメだということだ。」
Nv「その通りです。そして創作非容易性、つまり誰でもが思いつくような単純なものでないことも重要です。デザインに創意工夫があることが大切です。」
内藤大悟「守る価値がないようなデザインを登録されちゃ困るもんなあ。」
Nv「その他いくつかの要件をもとに審査が行われます。」
Nv「こうした厳正な審査は、デザイン・技術・法律等の専門知識を持った意匠審査官により、120年以上前から蓄積・管理された数百万件にもおよぶ資料に基づいて行われています。」
奥野慎二「今日はやけに暑いな。倉田君、アイス買ってきてよ。」
倉田優実「いやです。あっ、登録査定が届いてる。」
奥野慎二「登録査定って、何の?」
倉田優実「新商品の意匠出願ですよ。見てください。」
奥野慎二「ヤッター!」
Nv「おめでとうございます。でも、まだ登録の手続きは終わっていませんよ。特許庁に意匠登録料納付書を提出し、初年度分の登録料8500円を納付してください。」
倉田優実「前のように出願ソフトから納付番号を取得して支払えばいいのね。」
Nv「はいそうです。これで意匠権の設定登録が行われ、意匠公報に掲載されます。意匠権はその後も登録料を支払うことで設定登録から最長20年間権利を維持することができます。」
「意匠出願の方法は、先ほどご説明しました。でも、はじめての場合は、何をどう進めていけばよいのかわからないという方も多いと思います。」
内藤大悟「そうなんだよ。」
Nv「ご安心ください。そんな方のために、さまざまな支援制度が用意されています。」
Nv「工業所有権情報・研修館や発明協会では、意匠出願の手続きに関する相談を受け付けています。」
内藤大悟「専門家が親切に教えてくれるなんてありがたいねぇ。」
Nv「また、全国に約3000か所ある、商工会・商工会議所の窓口を活用して『知財駆け込み寺』が開設されています。」
Nv「その他、国や地方公共団体でも、意匠権や産業財産権に関する相談会やセミナーを開催しています。」
Nv「こちらは、日本弁理士会の『弁理士ナビ』の画面です。弁理士とは、各種の手続きをはじめ、相談、トラブル時の対応などを行ってくれる知財の専門家です。この弁理士ナビを使えば、意匠分野を扱う弁理士・特許事務所を探すことができます。」
千葉早苗「警告書が送られてきた時にはどうしようかと思ったけど、このナビのおかげでいい弁理士さんがみつかって、ホント助かったわ。」
「意匠権、取ったぞ!」
奥野慎二「新製品の販売も好調だ。」
内藤大悟「最近仕事が増えてきたし、これも意匠権のおかげかな。」
田所祐輔「今度デザインコンペに応募するんだ。」
野村麻衣「へぇ、じゃあ意匠出願のことも考えなくちゃね。」
Nv「みんな、意匠権について理解し、上手に活用しているようですね。」
Nv「意匠権は、デザインをビジネスに役立てるとても有効な権利です。意匠権に支えられた製品は、きっと皆様の事業の核となっていくことでしょう。私たちは、これからも皆様を応援していきます。」