平成23年9月20日
調整課
審査基準室
1.発明の新規性喪失の例外規定(特許法第30条)について
わが国の特許制度においては、特許出願より前に公開された発明は原則として特許を受けることはできません。しかし、刊行物への論文発表等によって自らの発明を公開した後に、その発明について特許出願をしても一切特許を受けることができないとすることは、発明者にとって酷な場合もあり、また、産業の発達への寄与という特許法の趣旨にもそぐわないといえます。
このことから、特許法では、特定の条件の下で発明を公開した後に特許出願した場合には、先の公開によってその発明の新規性が喪失しないものとして取り扱う規定、すなわち発明の新規性喪失の例外規定(特許法第30条)が設けられています。
2.発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続
特許庁では、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする出願人が、そのために必要な手続を円滑に行えるように、平成18年10月に、「発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」及び「発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集」を作成し、平成22年3月には、内容をより一層理解しやすいものとするための改訂を行って、特許庁ウェブサイト上で提供してきたところです。
他方、平成23年の特許法改正によって発明の新規性喪失の例外規定が改正されたことに伴い、新たに「平成23年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」、及び「平成23年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集」を作成・公表しました。この「平成23年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」及び「平成23年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集」は、平成23年改正後の特許法第30条の適用対象となる特許出願に適用されるものです。
今後、特許出願の際に発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする場合には、その特許出願が平成23年改正後の特許法第30条の適用対象となる出願なのか、それとも平成23年改正前の特許法第30条の適用対象となる出願なのかをよく確認し、適切な「手引き」や「Q&A集」を参照したうえで、発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続を行う必要があります。
(1)平成23年改正後の特許法第30条の適用対象となる特許出願について発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする場合
(原則として、出願日が平成24年4月1日以降である特許出願が、平成23年改正後の特許法第30条の適用対象となります。詳細につきましては、以下の「平成23年改正法対応手引き」のiiiページを参照してください。
平成23年改正後の特許法第30条の適用対象となる特許出願について発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする場合には、以下の資料を適宜参照して所定の手続を行ってください。
・「平成23年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」(平成23年改正法対応手引き)<PDF 574KB>
・「平成23年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集」(平成23年改正法対応Q&A集)<PDF 549KB>
(2)平成23年改正前の特許法第30条の適用対象となる特許出願について発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする場合
(原則として、出願日が平成24年3月31日以前の特許出願が、平成23年改正前の特許法第30条の適用対象となります。詳細につきましては、「平成23年改正法対応手引き」のiiiページを参照してください。)
平成23年改正前の特許法第30条の適用対象となる特許出願について発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする場合には、以下の資料を適宜参照して所定の手続を行ってください。
ただし、平成23年改正前の特許法第30条の適用対象となる特許出願の場合であっても、平成23年10月1日以降、「証明する書面」の考え方については、「平成23年改正法対応手引き」の[3.1]に記載の考え方が適用されます(「平成23年改正法対応手引き」[3.1]の「(改正前の第30条適用出願の「証明する書面」の取扱い)」の箇所を参照してください。)。
・「発明の新規性喪失の例外規定を受けるための出願人の手引き」(平成22年改訂版手引き)<PDF 500KB>
・「発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集」(平成22年改訂版Q&A集)<PDF 468KB>
(「Q.3.1-f」における「発行日等を第三者が証明する書面」については、平成23年改正法対応Q&A集の[Q3-q]及び[Q3-r]に記載された補充資料の例を参照してください。)
なお、特許法第30条第1項に規定する学術団体、同条第3項に規定する博覧会が特許庁長官の指定を受けているか否かについては、特許法第30条指定の学術団体又は特許法第30条指定の博覧会を御覧ください。
3.発明の新規性喪失の例外規定についての注意
発明の新規性喪失の例外規定はあくまでも特許出願より前に公開された発明は特許を受けることができないという原則に対する例外規定であることに留意する必要があります。仮に出願前に公開した発明についてこの規定の適用を受けたとしても、例えば、第三者が同じ発明を独自に発明して先に特許出願していた場合や先に公開していた場合には、特許を受けることができませんので、可能な限り、早く出願をすることが重要です。
また、海外への出願を予定している場合には、各国の新規性喪失の例外規定にも留意する必要があります。各国の国内法令によっては、自らの公開により、その国において特許を受けることができなくなる可能性もありますので御注意ください。
[参考]平成23年改正法対応手引きの概要
○「平成23年改正法対応手引き」のポイント
(1)法改正後の「発明の新規性喪失の例外規定」の適用対象となる発明公開態様のうち、主なものについての「証明する書面」の記載要領及び記載例の雛形を記載。
(2)「証明する書面」として、一定の書式に則った出願人自らによる証明書が適正に作成され、特許出願の日から30日以内に提出されていれば、証明事項について一定の証明力があるものと認められることについて記載。
○「平成23年改正法対応手引き」の概要
「平成23年改正法対応手引き」の適用対象
- ・原則、出願日が平成24年4月1日以降の特許出願が適用対象となる。
1.平成23年改正の発明の新規性喪失の例外規定について
- ・平成23年の特許法第30条の改正により、従来は発明の新規性喪失の例外規定の適用対象とされていなかった、集会・セミナー等(特許庁長官の指定のない学会等)で公開された発明、テレビ・ラジオ等で公開された発明、及び、販売によって公開された発明等が、新たに適用対象となった。
- ・発明の新規性喪失の例外規定はあくまでも先願主義の原則に対する例外規定である。このため、仮に出願前に公開した発明についてこの規定の適用を受けたとしても、例えば、第三者が独自に同じ発明をして、その発明について先に特許出願や公開をしていた場合には、特許を受けることができない。
2.発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続的要件
- ・第30条第2項の規定の適用を受けるには、以下(a)〜(c)三つの手続を行う必要がある。
- (a)発明の公開日から6月以内に特許出願すること。
- (b)特許出願時に、第30条第2項の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出すること。
- (c)特許出願の日から30日以内に「証明する書面」を提出すること。
3.第30条第3項に規定された「証明する書面」について
- ・「証明する書面」として、一定の書式に則った出願人自らによる証明書が適正に作成され、特許出願の日から30日以内に提出されていれば、証明事項について一定の証明力があるものと認められる。
- ・特許法第30条第3項に規定される「証明する書面」には、「公開の事実」及び「特許を受ける権利の承継等の事実」の欄を設け、下記の要領で記載する。
◇「公開の事実」欄の記載要領
- (1)公開日
- (2)公開場所
- (3)公開者
- (4)公開された発明の内容
◇「特許を受ける権利の承継等の事実」欄の記載要領
- (1)公開された発明の発明者
- (2)発明の公開の原因となる行為時の特許を受ける権利を有する者(行為時の権利者)
- (3)特許出願人(願書に記載された者)
- (4)公開者
- (5)特許を受ける権利の承継
- (6)行為時の権利者と公開者との関係等について
- (行為時の権利者の行為に起因して、公開者が公開したこと等を記載)
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- 特許庁特許審査第一部調整課審査基準室
- 電話:03-3581-1101 内線3112
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[更新日 2012.4.2]