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意匠の審判請求書の「請求の理由」の書き方

−意匠登録出願の拒絶査定に対する審判−

  
<この記事に関する問い合わせ先>

  
特許庁審判課審判企画室
電話: 03-3581-1101 内線5851
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A.「請求の理由」について

 意匠法第52条において準用する特許法第131条第1項に、審判請求書に記載すべき事項が規定されており、その事項の一つとして、同項第3号に「請求の趣旨及びその理由」が掲げられている。
 「請求の趣旨及びその理由」における「理由」が記載されているというためには、拒絶査定に対する審判にあっては、その制度の趣旨からみて、拒絶査定を不服とする実質的な理由が記載されていることを必要とするところであり(注)、審判請求書の「請求の理由」欄には、拒絶査定を不服とする実質的な理由として、請求人の主張・立証を具体的、かつ明確に記載すべきものである。
(注)審決取消訴訟[61(行ケ)96号](東高裁昭63.10.11最高裁平1.4.14)の判決を参照。

B.「請求の理由」の項分け記載について

 「請求の理由」欄には、拒絶査定を不服とする実質的な理由を具体的、かつ明確に記載する方法として、項分け記載の採用を推奨している。
 これによれば、審判請求人にとっても、要点整理を行いながら、請求書を作成でき、審判請求の必要性を客観的に認識しうる等の点で有用であり、更に、審理上必要な箇所を見出しやすく、要点整理に役立ち、審理の効率化を図ることができるものと考える。
 「請求の理由」欄には、以下の項目に分けて順次記載するものとする。
1. 事件の概要
(1)本願意匠
(2)手続の経緯
(3)拒絶査定の理由の要点
2. 本願意匠が登録されるべき理由
(1)本願意匠の要旨
(2)引用意匠の要旨
(3)先行周辺意匠の摘示
(4)本願意匠と引用意匠との対比
(5)本願意匠と引用意匠との類否
3. む す び

C.「請求の理由」の項分け記載の要領
1. 事件の概要
 以下の項目に従って、出願から拒絶査定謄本の送達に至るまでの請求の基盤となる事項を記載する、手続の進行及びその内容の要点を明らかにし、事件の理解に役立てる。
(1) 本願の意匠
 本願の意匠の確認を行う。
 本願意匠は願書及び添付図面等に記載のとおりであるが、ここで、本願の意匠に係る物品名を記載することとし、本願の意匠の内容についてはその写し又は概要を別紙に参考資料として添付し、その旨を記載すると良い。
 なお、補正がある場合には、採用すべき意匠に係る物品名の記載又は採用すべき図面の写しとする。
(2) 手続の経緯
 出願から拒絶査定謄本の送達に至るまでの手続の経緯(出願日、拒絶理由通知書の発送日、意見書提出日、拒絶査定日、同謄本送達日等)を記載する。
(3) 拒絶査定の理由の要点
 引用意匠を記載するとともに拒絶理由の適用条文を記載し、併せて査定の理由を簡明に記載する。
2. 本願意匠が登録されるべき理由
 以下の項目に従って、拒絶査定の理由に関して具体的な反論を行い、本願意匠が登録されるべきであるとする理由を記載する。
(1) 本願意匠の要旨
 本願意匠と引用意匠との対比及び類否に関する請求人の主張を正当とするに必要な程度に、特に、下記(4)及び(5)の記載を明確にすべく、本願意匠を構成する上で欠くことのできない要素又はその使用態様を記載する等して構成態様を具体的に記述する。
 その際、本願意匠の構成態様を示す各部に名称等を付して説明するときは、その部分と名称等の対応を示した図面を参考資料として添付するとともにその旨記載する。
 また、その図面を適宜文章中に挿入して記載しても良い。
 なお、事案によって、本願意匠の構成態様を具体的に記述することなく、下記(4)又は(5)の記載を明確にすることができる場合には、本願意匠を表す図面等、あるいはその各部に名称等を付したもののみによって、本願意匠の要旨の記載に代えてもよい。
(2) 引用意匠の要旨
上同旨
(3) 先行周辺意匠の摘示
 ここでいう「先行周辺意匠の摘示」は、請求人が、本願意匠と引用意匠と対比して両意匠の類否に関する主張を行うに際してそれを根拠付けるために、関連の公知意匠等を提示するものである。その場合、公知意匠の書誌的事項等を記載し、提示された意匠の内容の確認の便のため、その写し又は概要を別紙に参考資料として添付する。
 必要があれば、意匠マップ等にしてその趣旨を明確にする。
 なお、先行周辺意匠を記載した刊行物等で、原本と同一のものが特許庁に保管されていないと思われるものは、これを証拠として提出する。
 本願意匠に関連意匠として出願しているものがある場合には、その関連意匠について、また、本願意匠が関連意匠の意匠登録出願の場合には、本意匠についても摘示し、それらの意匠の内容については、その写し又は概要を別紙に参考資料として添付する。
(4) 本願意匠と引用意匠との対比
 上記(1)本願意匠の要旨及び(2)引用意匠の要旨に基づき、両意匠の共通点及び差異点について説明する。
 この場合、意匠を構成する各部分の形態を示す各図面を対比したものを挿入して、説明するのも良い。
(5) 本願意匠と引用意匠との類否
 本願意匠又は引用意匠の要旨についての記載、並びに先行周辺意匠等についての記載に基づき、上記(4)で抽出した両意匠の共通点及び差異点について、より深く検討して、本願意匠が引用意匠に類似しない理由を明確にすべく、両意匠の類否についての主張を、次のように分けて記載する。
  (a) 本願意匠の要旨
 類否の判断の重要な要素となると考えられる構成態様を記載する。
 この際、上記(3)で摘示した先行周辺意匠に基づき、本願意匠の創作の要点等を主張することにより本願意匠の創作の要部を抽出することができる。
(b)  本願意匠と引用意匠との類否の考察
 上記(4)の共通点及び差異点についてより深く検討しながら、本願意匠の創作の要部との比較において、引用意匠との類否について記述する。
 この際も、この項の主張の根拠となる上記(3)の先行周辺意匠があればそれについても言及する。
3. むすび
 請求を理由付ける結論として、拒絶すべき場合に当たるとする理由がなく、原査定を取消し本願意匠は登録すべきものである旨を記載する。

D.留意事項

1. 図面等の添付
 本願意匠、本願に係る関連意匠(第10条)、引用意匠、先行周辺意匠等、審判請求の理由中に記載された意匠については、当該意匠の図面又はその概要を表した図面等を参考資料又は証拠として提出する。
 なお、意匠法施行規則第14条の様式第12及び様式13における備考を参照する。
2. 意見書記載事項の援用
 上記B.の「2.本願意匠が登録されるべき理由」について、「原審での意見書記載事項を参照のこと」と記載しているケースもあるが、原審で意見書の主張が採用されなかった事実を考慮して、改めて要点を整理して、「請求の理由」を記載する。


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