第1章 コンピュータ・ソフトウエア関連発明

最終更新 2011.10

本章では、コンピュータ・ソフトウエア関連発明、すなわち、その発明の実施にソフトウエアを必要とする発明(以下「ソフトウエア関連発明」という。)に関する出願の審査に際し、特有な判断、取扱いが必要な事項を中心に説明する。

なお、明細書及び特許請求の範囲の記載要件、特許要件のうち特許法上の「発明」であることの判断及び進歩性の判断に関して、本章で説明されていない事項については、第Ⅰ部乃至第Ⅱ部を参照。

この審査基準で用いられる用語の説明

情報処理…………使用目的に応じた情報の演算又は加工をいう。

ソフトウエア…………コンピュータの動作に関するプログラムをいう。

プログラム…………コンピュータによる処理に適した命令の順番付けられた列からなるものをいう。ただし、プログラムリスト(以下に説明のもの)を除く。

プログラムリスト…………プログラムの、紙への印刷、画面への表示などによる提示そのものをいう。

プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体…………プログラムのインストール、 実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。

手順…………所定の目的を達成するための、時系列的につながった一連の処理又は操作をいう。

データ構造…………データ要素間の相互関係で表される、データの有する論理的構造をいう。

ハードウエア資源…………処理、操作、又は機能実現に用いられる物理的装置又は物理的要素をいう。

例えば、物理的装置(金物)としてのコンピュータ、その構成要素であるCPU、メモリ、入力装置、出力装置、又はコンピュータに接続された物理的装置。

1. 明細書及び特許請求の範囲の記載要件

1.1 特許請求の範囲の記載要件

ソフトウエア関連発明においては、特許請求の範囲の記載要件の中でも、特に、発明のカテゴリーについて特有な判断、取扱いが必要であることから、このことを中心に説明する。

1.1.1 ソフトウエア関連発明のカテゴリー

(1)

方法の発明

ソフトウエア関連発明は、時系列的につながった一連の処理又は操作、すなわち「手順」として表現できるときに、その「手順」を特定することにより、「方法の発明」(「物を生産する方法の発明」を含む)として請求項に記載することができる。

(2)

物の発明

ソフトウエア関連発明は、その発明が果たす複数の機能によって表現できるときに、それらの機能により特定された「物の発明」として請求項に記載することができる。

なお、プログラムやデータについては以下のように記載することができる。

(a)

プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、又は記録されたデータの構造によりコンピュータが行う処理内容が特定される、「構造を有するデータを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、「物の発明」として請求項に記載することができる。

例1:

コンピュータに手順A、手順B、手順C、…を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

例2:

コンピュータを手段A、手段B、手段C、…として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

例3:

コンピュータに機能A、機能B、機能C、…を実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

例4:

A構造、B構造、C構造、…を有するデータが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体

(b)

コンピュータが果たす複数の機能を特定する「プログラム」は、「物の発明」として請求項に記載 することができる。

例5:

コンピュータに手順A、手順B、手順C、…を実行させるためのプログラム

例6:

コンピュータを手段A、手段B、手段C、…として機能させるためのプログラム

例7:

コンピュータに機能A、機能B、機能C、…を実現させるためのプログラム

1.1.2 留意事項

(1)

請求項の末尾が「プログラム」以外の用語であっても、出願時の技術常識を考慮すると、請求項に係る発明が、コンピュータが果たす複数の機能を特定する「プログラム」であることが明確な場合は、「プログラム」として扱う。ただし、

(a)「プログラム信号(列)」又は「データ信号(列)」として特許請求された場合は、「物の発明」か「方法の発明」かが特定できないので、第36条第6項第2号違反となる。

(b)「プログラム製品」や「プログラムプロダクト」等として特許請求された場合は、「製品」や「プロダクト」等の技術的範囲の明確でない用語を用いているために、請求項に係る発明を明確に把握することができないので、第36条第6項第2号違反となる。ただし、発明の詳細な説明中に当該用語の持つ意味から逸脱しない範囲で当該用語の定義を記載することにより、当該用語の技術的範囲を明確にしている場合には、この限りではない。

(2)

請求項の末尾が「方式」又は「システム」の場合は、「物」のカテゴリーを意味する用語として扱う。(第Ⅰ部第1章2.2.2.3(3)参照)

1.1.3 発明が明確でない例

第36条第6項第2号は「特許を受けようとする発明が明確であること」を規定している。次の場合には、発明は不明確であり、第36条第6項第2号違反となる。

(1)

請求項の記載自体が不明確である結果、発明が不明確となる場合。(第Ⅰ部第1章2.2.2.3(1)参照)

例1:

(請求項に係る発明)コンピュータを用いて、顧客からの商品の注文を受け付けるステップと、注文された商品の在庫を調べるステップと、該商品の在庫がある場合には該商品が発送可能であることを前記顧客に返答し、該商品の在庫がない場合には該商品が発送不能であることを前記顧客に返答するステップを実行する受注方法。

(説明)

「コンピュータを用いて、…ステップ」という表現では、各ステップにおける動作の主体が特定されたことにならないために、「コンピュータを(計算道具として)用いて、(人間がコンピュータを操作して)顧客からの商品の注文を受け付けるステップと、(人間がコンピュータを操作して)注文された商品の在庫を調べるステップと、該商品の在庫がある場合には該商品が発送可能であることを(人間がコンピュータを操作して)前記顧客に返答し、該商品の在庫がない場合には該商品が発送不能であることを(人間がコンピュータを操作して)前記顧客に返答するステップを実行する受注方法」という「コンピュータという計算道具を操作する方法」とも、「コンピュータを用いて(構築された受注システムにおいて)、(コンピュータが備える手段Aが)顧客からの商品の注文を受け付けるステップと、(コンピュータが備える手段Bが)注文された商品の在庫を調べるステップと、該商品の在庫がある場合には該商品が発送可能であることを(コンピュータが備える手段Cが)前記顧客に返答し、該商品の在庫がない場合には該商品が発送不能であることを(コンピュータが備える手段Cが)前記顧客に返答するステップを実行する受注方法」という「コンピュータ・ソフトウエアによる情報処理方法」とも解釈できる。

したがって、本来別々の請求項に記載すべき「コンピュータという計算道具を操作する方法」及び「コンピュータ・ソフトウエアによる情報処理方法」という異なる概念を一の請求項に含んでいるために、請求項に係る発明を明確に把握することができない。

(備考)請求項の制度の趣旨に照らせば、一の請求項に記載された事項に基づいて、一の発明が把握されることが必要である。(第Ⅰ部第1 章2.2.2.1(2)参照)

例2:

(請求項に係る発明)

顧客からの商品の注文を受け付ける受注手段と、注文された商品の在庫を調べる在庫調査手段と、該商品の在庫がある場合には該商品が発送可能であることを前記顧客に返答し、該商品の在庫がない場合には該商品が発送不能であることを前記顧客に返答する顧客応対手段とを備えたプログラム。

(説明)

「プログラム」は、コンピュータを手段として機能させるものではあるが、「プログラム」そのものが「手段」として機能するものではない。したがって、「プログラム」そのものが機能手段を備えていることはあり得ず請求項に係る発明を明確に把握することができない。

なお、請求項に係る発明が、「コンピュータを、顧客からの商品の注文を受け付ける受注手段と、注文された商品の在庫を調べる在庫調査手段と、該商品の在庫がある場合には該商品が発送可能であることを前記顧客に返答し、該商品の在庫がない場合には該商品が発送不能であることを前記顧客に返答する顧客応対手段として機能させるためのプログラム」であれば、コンピュータを手段として機能させるものであることが明確である。

(2)

明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮しても、請求項中の用語の意味内容を理解できない結果、発明が不明確となる場合。(第Ⅰ部第1 章2.2.2.3(1)②参照)

例3:

(請求項に係る発明)

右脳推論規則を用いてパズルを解くコンピュータ。

(発明の詳細な説明中には「右脳推論規則」の定義は記載されない。)

(説明)

「右脳推論規則」は、発明の詳細な説明中には定義が記載されておらず、出願時の技術常識でもないから、用語の意味内容を理解できないので、明確ではない。

(3)

発明を特定するための事項どうしの技術的な関連がない結果、発明が不明確となる場合。(第Ⅰ部第1章2.2.2.3(2)④参照)

例4:

(請求項に係る発明)

特定のコンピュータ・プログラムを伝送している情報伝送媒体。

(説明)

情報伝送媒体とは、通常、通信網などの情報を伝送する機能を有する媒体を意味する。そして特定のコンピュータ・プログラムがいずれかの時間に伝送媒体のどこかにのって伝送されているとするだけでは、「物」としての伝送媒体を技術的に特定したことにはならず、技術的関連がないので、明確ではない。

(4)

特許を受けようとする発明の属するカテゴリー(物の発明、方法の発明、物を生産する方法の発明)が不明確であるため、又は、いずれのカテゴリーともいえないものが記載されているために、発明が不明確となる場合。(第Ⅰ部第1章2.2.2.3(3)参照)

例5:

(請求項に係る発明)

コンピュータに手順A、手順B、手順C、…を実行させるための)プログラム信号列。

(説明)

「物の発明」であるのか「方法の発明」であるのかが特定できないので、明確ではない。

(5)

範囲をあいまいにする表現がある結果、発明の範囲が不明確な場合。(第Ⅰ部第1章2.2.2.1(5)参照)

例6:

(請求項に係る発明)

字句解析を高速に行う手段と構文解析を行う手段とを有し、両手段は並列に実行可能であるコンパイラ装置。

(説明)

技術常識を考慮しても、「高速」という比較の基準又は程度が不明確な表現があるため、発明 の範囲が不明確である。

なお、「字句解析を行う手段と構文解析を行う手段とを有し、…」と記載することにより明確にすることができる。

(6)

出願時の技術常識を考慮すると、機能・特性等によって規定された事項が技術的に十分に特定されていないことが明らかであり、明細書及び図面の記載を考慮しても、請求項の記載から発明を明確に把握できない場合。(第Ⅰ部第1 章2.2.2.4(1)②(ⅱ)参照)

例7:

(請求項に係る発明)

ダウンバースト現象の発生を事前に予測する航空機管制用コンピュータ。

(注)ダウンバースト現象とは、乱雲の底から爆発的に吹き下ろす気流及び当該気流が地表に衝突して吹き出す破壊的な気流をいう。通常、積乱雲の下で発生するが、雄大積雲や塔状積雲の下で発生することもある。

(説明)

ダウンバースト現象の発生を事前に予想するという機能が規定されたのみでは、そのような機能を実現するための処理内容等が具体的にどのようなものであるかを理解することは困難であることが出願時の技術常識である。したがって、かかる技術常識を考慮すると、ダウンバースト現象を予測するために必要な処理内容等が何ら規定されず、ダウンバースト現象の発生を事前に予測するという機能のみで規定された「航空機管制用コンピュータ」は、技術的に十分に特定されていないことが明らかであり、明細書及び図面の記載を考慮しても、請求項の記載から発明を明確に把握することができない。

なお、請求項記載の発明を、詳細な説明に記載されている具体的なものにより特定する場合は、発明は明確である。

1.2 発明の詳細な説明の記載要件

1.2.1 実施可能要件

「…発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。

一 …その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。」(第36条第4項第1号

発明の詳細な説明は、ソフトウエア関連発明の分野における通常の技術的手段を用い、通常の創作能力を発揮できる者が、明細書及び図面に記載した事項と出願時の技術常識とに基づき、請求項に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載しなければならない。

1.2.1.1 実施可能要件違反の例
(1)

慣用されていない技術用語、略号、記号などが定義されずに使用されているため、これらの用語などの意味が不明確である結果、請求項に係る発明が実施できない場合。

(2)

発明の詳細な説明の記載において、請求項に係る発明に対応する技術的手順又は機能が抽象的に記載してあるだけで、その手順又は機能がハードウエアあるいはソフトウエアでどのように実行又は実現されるのか記載されていない結果、請求項に係る発明が実施できない場合。

例1:

請求項に、数式解法、ビジネス方法、あるいはゲームのルールを実行する情報処理システムが記載されているにも関わらず、発明の詳細な説明の欄に、これらの方法やルールをコンピュータ上でどのように実現するのか記載されていない結果、請求項に係る発明が実施できない場合。

例2:

コンピュータの表示画面(例:GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)を用いた入力フォーム)等を基にしたコンピュータの操作手順が説明されているものの、コンピュータの操作手順からは、そのコンピュータの操作手順をコンピュータ上でどのように実現するのかが記載されていない結果、請求項に係る発明が実施できない場合。

(3)

発明の詳細な説明の記載において、請求項に係る発明の機能を実現するハードウエアあるいはソフトウエアが機能ブロック図又は概略フローチャートで説明されており、その機能ブロック図又はフローチャートによる説明だけでは、どのようにハードウエアあるいはソフトウエアが構成されているのか不明確である結果、請求項に係る発明が実施できない場合。

(4)

請求項が機能を含む事項により特定されているが、発明の詳細な説明ではフローチャートで説明されており、請求項記載の機能とフローチャートとの対応関係が不明確である結果、請求項に係る発明が実施できない場合。

例3:

複数の機能手段から構成されるビジネス支援用情報処理システムとして請求項に記載されているにも関わらず、発明の詳細な説明にはビジネスの業務フローしか記載されておらず、請求項記載の機能手段と業務フローとの対応関係が不明確である結果、請求項に係る発明が実施できない場合。

1.2.1.2 留意事項
(1)

発明の詳細な説明が機能的又は作用的に記載されている場合、出願時の技術常識に基づいて当業者が請求項に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているか否かに注意する。当業者が実施できない場合には、審査官は、その機能又は作用を指摘して第36条第4項第1号(実施可能要件違反)の拒絶理由を通知する。(第Ⅰ部第1章3.2参照)

(2)

発明の詳細な説明に記載された事項について具体的な説明がない場合、出願時の技術常識に基づいて当業者が請求項に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているか否かに注意する。当業者が実施できない場合には、審査官は、第36条第4項第1号(実施可能要件違反)の拒絶理由を通知する。(第Ⅰ部第1章3.2.3(1)参照)

1.2.2 委任省令要件

特許法第三十六条第四項第一号の経済産業省令で定めるところによる記載は、発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他のその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしなければならない。」(特許法施行規則第24条の2

(1)

発明が解決しようとする課題及びその解決手段

当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項としては、発明の属する技術分野、発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段を記載する。(第Ⅰ部第1章3.3.3(1)参照)

課題を解決するための手段では、手順又は機能がどのように具体化されたかをフローチャートなどを用いて説明する。

当業者が明細書及び図面の記載や出願時の技術常識に基づいて、請求項に係る発明が解決しようとする課題及びその解決手段を理解することができない場合、委任省令要件違反となる。

(2)

従来の技術

従来の技術を記載することは委任省令要件として扱わないが、従来の技術の記載から発明が解決しようとする課題が理解できる場合には、課題の記載に代わるものとなり得るため、出願人が知る限りにおいて、請求項に係る発明の技術上の意義の理解及び特許性の審査に役立つと考えられる背景技術を記載すべきである。(第Ⅰ部第1章3.3.3(3)①参照)

(3)

プログラムリスト

当業者に広く知られた言語で書かれた短いプログラムリストであって、十分な説明が付されており、発明の理解に役立つものは、明細書又は図面に記載することができる。(プログラムリストは、参考資料として提出することもできる。ただし、参考資料の記載に基づいて明細書を補正することはできない。)

2. 特許要件

ソフトウエア関連発明においては、特許要件の中でも、特に、特許法上の「発明」であることの要件と進歩性の要件が重要であることから、これらの要件について説明する。

ただし、第Ⅱ部第1章1.により特許法上の「発明」に該当するか否かが容易に判断できるものについては、この基準を参照することを要しない。

2.1 対象となる発明

(1)

特許要件に関する審査の対象となる発明は、「請求項に係る発明」である。

(2)

請求項に係る発明の認定は、請求項の記載に基づいて行う。この場合においては、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮して請求項に記載された発明を特定するための事項(用語)の意義を解釈する。

2.2 「発明」であること

請求項に係る発明が特許法上の「発明」であるためには、その発明は自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものであることが必要である。(第Ⅱ部第1章1.参照)

2.2.1 基本的な考え方

ソフトウエア関連発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」となる基本的考え方は以下のとおり。

(1)

「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」場合、当該ソフトウエアは「自然法則を利用した技術的思想の創作」である。(「3. 事例」の事例2-1〜2-5参照)

(説明)

「ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」とは、ソフトウエアがコンピュータに読み込まれることにより、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置(機械)又はその動作方法が構築されることをいう。

そして、上記使用目的に応じた特有の情報処理装置(機械)又はその動作方法は「自然法則を利用した技術的思想の創作」ということができるから、「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」場合には、当該ソフトウエアは「自然法則を利用した技術的思想の創作」である。

参考:「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるためには、請求項に係る発明が一定の目的を達成できる具体的なものでなければならない。(「技術は一定の目的を達成するための具体的手段であって、実際に利用できるもので、…客観性を持つものである。」[平成9年(行ケ)第206号(東京高判平成11年5月26日判決言渡)])

(2)

更に、当該ソフトウエアが上記(1)を満たす場合、当該ソフトウエアと協働して動作する情報処理装置(機械)及びその動作方法、当該ソフトウエアを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体もまた、「自然法則を利用した技術的思想の創作」である。

2.2.2 判断の具体的な手順

ソフトウエア関連発明において、請求項に係る発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるか否か(「発明」に該当するか否か)を判断する具体的な手法は以下のとおり。

(1)

請求項に記載された事項に基づいて、請求項に係る発明を把握する。なお、把握された発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるか否かの判断に際し、ソフトウエア関連発明に特有の判断、取扱いが必要でない場合には、「第Ⅱ部第1章 産業上利用することができる発明」により判断を行う。(注参照)

(2)

請求項に係る発明において、ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源(例:CPU等の演算手段、メモリ等の記憶手段)を用いて具体的に実現されている場合、つまり、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置(機械)又はその動作方法が構築されている場合、当該発明は「自然法則を利用した技術的思想の創作」である。

(3)

一方、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されていない場合、当該発明は「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではない。

例1:

(請求項に係る発明)

文書データを入力する入力手段、入力された文書データを処理する処理手段、処理された文書データを出力する出力手段を備えたコンピュータにおいて、上記処理手段によって入力された文書の要約を作成するコンピュータ。

(説明)

コンピュータによって処理される文書データが、入力手段、処理手段、出力手段の順に入力されることをもって、情報処理の流れが存在するとはいえても、情報処理が具体的に実現されているとはいえない。なぜなら、入力された文書の要約を作成する処理と処理手段とがどのように協働しているのかを具体的に記載していないからである。したがって、請求項に係る発明は、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されていないので、自然法則を利用した技術的思想の創作ではなく、「発明」に該当しない。

例2:

(請求項に係る発明)

数式y=F(x)において、a≦x≦bの範囲のyの最小値を求めるコンピュータ。

(説明)

「数式y=F(x)において、a≦x≦bの範囲のyの最小値を求める」ために「コンピュータ」を用いるということをもって、数式y=F(x)の最小値を求める情報処理が具体的に実現されているとはいえない。なぜなら、「コンピュータ」を用いるということだけでは、数式y=F(x)の最小値を求める処理とコンピュータとが協働しているとはいえないからである。したがって、請求項に係る発明は、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されていないので、自然法則を利用した技術的思想の創作ではなく、「発明」に該当しない。

(注)ソフトウエア関連発明に特有の判断、取扱いが必要でなく、「第Ⅱ部第1章 産業上利用することができる発明」により判断を行う例を次に示す。

(1)

「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではない例

請求項に係る発明が、「第Ⅱ部第1章1.1 「発明」に該当しないものの類型」のうちいずれか一に当たる場合、例えば、

(a)経済法則、人為的な取決め、数学上の公式、人間の精神活動、又は

(b)デジタルカメラで撮影された画像データ、文書作成装置によって作成した運動会のプログラム、コンピュータ・プログラムリストなど、情報の単なる提示

に当たる場合は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではない。

(2)

「自然法則を利用した技術的思想の創作」である例

請求項に係る発明が、

(a)機器等(例:炊飯器、洗濯機、エンジン、ハードディスク装置)に対する制御又は制御に伴う処理を具体的に行うもの、又は

(b)対象の物理的性質又は技術的性質(例:エンジン回転数、圧延温度)に基づく情報処理を具体的に行うもの

に当たる場合は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」である。

2.2.3 留意事項

(1)

請求項に係る発明が判断の対象であることから、「ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されたもの」が発明の詳細な説明及び図面に記載されていても、「ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されたもの」が請求項に記載されていない場合には「発明」に該当しないと判断されることに注意する。

(2)

請求項に係る発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではない場合であっても、発明の詳細な説明の記載に基づいて請求項に記載された事項を補正することによって「自然法則を利用した技術的思想の創作」となることが可能であると判断されるときは、審査官は、拒絶理由を通知する際に、補正の示唆を併せて行うことが望ましい。

(3)

請求項に係る発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるか否かを判断する場合、請求項に記載された発明のカテゴリー(「方法の発明」又は「物の発明」)にとらわれず、請求項に記載された発明を特定するための事項(用語)の意義を解釈した上で判断するよう留意する。

(4)

「プログラム言語」として特許請求された発明については、人為的な取決めに当たることから、「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではなく、「発明」に該当しない。(第Ⅱ部第1章1.1(4)参照)

(5)

「プログラムリスト」として特許請求された発明については、情報の単なる提示に当たることから、「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではなく、「発明」に該当しない。(第Ⅱ部第1章1.1(5)(b)参照)

例:

「var x,y,z,u:integer;

begin z:=0;u:=x;

repeat

z:=z+y;u:=u−1

until u=0

end.

からなる自然数の乗算プログラムリスト。」

2.2.4 「構造を有するデータ」及び「データ構造」の取扱い

「構造を有するデータ」(「構造を有するデータを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」を含む)及び「データ構造」が「発明」に該当するか否かについては、「2.2.1 基本的な考え方」により判断する。

2.3 進歩性

2.3.1 基本的な考え方

(1)

進歩性の判断は、本願発明の属する技術分野における出願時の技術水準を的確に把握した上で、当業者であればどのようにするかを常に考慮して、引用発明に基づいて当業者が請求項に係る発明を容易に想到できたことの論理づけができるか否かにより行う。(第Ⅱ部第2章2.4(1)参照)

(2)

具体的には、請求項に係る発明及び引用発明(一又は複数)を認定(注)した後、論理づけに最も適した一の引用発明を選び、請求項に係る発明と引用発明を対比して、請求項に係る発明の発明特定事項と引用発明を特定するための事項との一致点及び相違点を明らかにした上で、この引用発明や他の引用発明(周知・慣用技術も含む)の内容及び技術常識から、請求項に係る発明に対して進歩性の存在を否定し得る論理の構築を試みる。論理づけは、種々の観点、広範な観点から行うことが可能である。例えば、請求項に係る発明が、引用発明からの最適な構成の選択あるいは設計変更や単なる寄せ集めに該当するかどうかを検討したり、あるいは、引用発明の内容に動機づけとなり得るものがあるかどうかを検討する。(第Ⅱ部第2章2.4(2)参照)

(注)この場合において、請求項に係る発明を、人為的取決め等とシステム化手法に分けて認定するのは適切ではなく、請求項に係る発明を全体としてとらえることが求められる。

(3)

また、引用発明と比較した有利な効果が明細書等の記載から明確に把握される場合には、進歩性の存在を肯定的に推認するのに役立つ事実として、これを参酌する。(第Ⅱ部第2章2.4(2)参照)

(4)

その結果、論理づけができた場合は請求項に係る発明の進歩性は否定され、論理づけができない場合は進歩性は否定されない。(第Ⅱ部第2章2.4(2)参照)

(5)

なお、所定の目的を達成するためにある分野に利用されている方法、手段等を組み合わせたり特定の分野に適用したりすることは、ソフトウエアの技術分野では普通に試みられていることである。したがって、種々の分野に利用されている技術を組み合わせたり特定の分野に適用したりすることは当業者の通常の創作活動の範囲内のものであるから、組み合わせや適用に技術的な困難性(技術的な阻害要因)がない場合は、特段の事情(顕著な技術的効果等)がない限り、進歩性は否定される。

2.3.2 発明が解決しようとする課題

ソフトウエア化、コンピュータ化に伴う課題は、コンピュータ技術に共通な一般的課題であることが多い。「AI(人工知能)又はファジィ理論により判断を高度化すること」、「GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)により入力を容易化すること」などがその例である。

これらの、コンピュータ技術の分野で知られていた一般的課題を踏まえた上で、進歩性を判断する。

2.3.3 当業者

特定分野に関するソフトウエア関連発明における当業者は、その特定分野に関する技術常識や一般常識(顕著な事実を含む)と、コンピュータ技術分野の技術常識(例えばシステム化技術)を有し、研究、開発のための通常の技術的手段を用いることができ、設計変更などの通常の創作能力を発揮でき、かつ、その発明の属する技術分野(特定分野とコンピュータ技術分野)の出願時の技術水準にあるもののすべてを自らの知識とすることができる者を想定したものである。

なお、当業者は、発明が解決しようとする課題に関連した技術分野の技術を自らの知識とすることができる。

また、個人よりも、複数の技術分野からの「専門家からなるチーム」として考えた方が適切な場合もある。(第Ⅱ部第2章2.2(2)参照)

2.3.4 当業者の通常の創作能力の発揮に当たる例

(1)

他の特定分野への適用

特定分野に関するソフトウエア関連発明に用いられている手順又は手段は、適用分野に関わらず機能又は作用が共通していることが多い。このような場合、ある特定分野に関するソフトウエア関連発明の手順又は手段を別の特定分野に適用しようとすることは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

例1:

「ファイル検索システム」の引用発明が存在した場合、その機能又は作用が共通している手段(検索のための具体的構成)を医療情報システムに適用して、「医療情報検索システム」を創作することは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

例2:

「医療情報検索システム」の引用発明が存在した場合、それと機能又は作用が共通している手段を「商品情報検索システム」に適用することは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

(2)

周知慣用手段の付加又は均等手段による置換

システムの構成要素として通常用いられるもの(周知慣用手段)を付加したり、システムの構成要素の一部を均等手段に置換しようとすることは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

例:

システムの入力手段として、キーボードの他に、数字コードの入力のために画面上の項目表示をマウスで選択して入力する手段やバーコードで入力する手段を付加することは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

(3)

ハードウエアで行っている機能のソフトウエア化

回路などのハードウエアで行っている機能をソフトウエアで実現しようとすることは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

例:

ハードウエアであるコード比較回路で行っているコード比較をソフトウエアで行うことは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

(4)

人間が行っている業務のシステム化

引用発明には、特定分野において人間が行っている業務についての開示があるものの、その業務をどのようにシステム化するかが開示されていない場合がある。

このような場合であっても、特定分野において人間が行っている業務をシステム化し、コンピュータにより実現することは、通常のシステム分析手法及びシステム設計手法を用いた日常的作業で可能な程度のことであれば、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

(説明)

システムの開発は、通常、

計画立案(準備) → システム分析 → システム設計

という過程を経て行われる。

システム分析では、例えば、既存の業務を分析し、それを文書化することが行われる。人間の行っている業務も分析の対象になる。

このようなシステム開発の実際からみると、システム分析により既存の業務をシステム化することは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

例1:

これまでFAXや電話で注文を受けていたことを、単に、インターネット上のホームページで注文を受けるようにシステム化することは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

例2:

これまで雑誌社が、雑誌に読者の売買申込情報を掲載していたこと(いわゆる「売ります・買います」コーナーを掲載していたこと)を、単に、雑誌社のインターネット上のホームページに読者の売買申込情報を掲載するようにシステム化することは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

(5)

公知の事象をコンピュータ仮想空間上で再現すること

公知の事象を、コンピュータ仮想空間上で再現することは、通常のシステム分析手法及びシステム設計手法を用いた日常的作業で可能な程度のことであれば、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

例1:

「テニスゲーム装置」において、単に、ハードコートにおけるバウンド後のテニスボールの球速を、クレーコートの場合よりも速く設定することは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

例2:

「レーシングゲーム装置」において、単に、路面の状態に応じてスピンが起こる確率を変化させることは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

例3:

電卓やコピー機等に備えられた既知の入出力インターフェイス(ボタンや表示部等の形状、及びそれらの位置関係)を、単に、コンピュータの画面上でグラフィカルに再現することは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

(6)

公知の事実又は慣習に基づく設計上の変更

請求項に係る発明と引用発明との相違点が公知の事実又は慣習に基づくものである場合、その相違点が、他の公知の引用発明、技術常識、及び一般常識(顕著な事実を含む)等を考慮した上で、本来当業者が適宜取決めるべき性格のものであって、かつ組み合わせに技術的な阻害要因がないときには、その相違点は当業者が必要に応じて定める設計上の変更に過ぎず、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

例1:

売買契約が成立したときに売り手が買い手に対して感謝の気持ちを表明することは一般常識であり、かつ、電子商取引装置においてメッセージを出力する機能を付加することは周知・慣用手段の付加に該当するから、「表示手段を有する電子商取引装置」において、商品を購入後に「お買い上げありがとうございました」というメッセージを出力する手段を付加することは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

例2:

コンピュータを用いない商取引においてクーリングオフ制度(商品の購入申込後であっても、一定期間内であれば、商品の購入申込を撤回できるものとする制度)があることは一般常識であり、かつ、コンピュータを用いる商取引(電子商取引)であるか否かに関わらず消費者保護の観点からクーリングオフ制度を取り入れることが好ましいことも一般常識であるといえるから、「電子商取引装置」において、クーリングオフ制度に対処するための手段を付加することは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。

2.3.5 発明の効果

コンピュータによってシステム化することにより得られる、「速く処理できる」、「大量のデータを処理できる」、「誤りを少なくできる」、「均一な結果が得られる」などの一般的な効果は、システム化に伴う当然の効果であることが多く、通常は、技術水準から予測できない効果とはいえない。

2.3.6 留意事項

(1)

商業的成功又はこれに準じる事実の参酌

商業的成功又はこれに準じる事実は、進歩性の存在を肯定的に推認するのに役立つ事実として参酌することができる。ただし、出願人の主張又は立証により、この事実が請求項に係る発明の特徴に基づくものであり、販売技術や宣伝等、それ以外の原因によるものでないとの心証が得られた場合に限る。(第Ⅱ部第2章2.8(6)参照)

(2)

データの内容(コンテンツ)にのみ特徴がある場合の取扱い

請求項に係る発明と公知の引用発明との相違点としてデータの内容(コンテンツ)が挙げられた場合、この相違点によって請求項に係る発明の新規性が肯定されることはない。(事例3-1(3)(ⅱ)参照)

例1:

「データ構造Aを処理する成績管理装置」という発明が存在した場合、データ構造Aを処理する方法を変えることなく、データ構造Aに、学生の成績管理データを格納することによって「データ構造Aを有する学生成績管理装置」としても、競走馬の成績管理データを格納することによって「データ構造Aを有する競走馬成績管理装置」としても、「データ構造Aを処理する成績管理装置」としては何ら変わらないのであるから、新規性が否定される。

例2:

データ構造Bを有する「音楽Cを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」が格納された情報処理装置が存在した場合、同一のデータ構造Bを有する「音楽Dを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」が格納された情報処理装置としても、「データ構造Bを有する音楽を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が格納された情報処理装置」としては何ら変わらないのであるから、新規性が否定される。

(3)

「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」への記録

請求項に係る発明と引用発明との相違点が当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内のみにあり進歩性が否定される場合において、請求項に更に、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」への記録という限定が追加されたとしても、この限定の追加をもって請求項に係る発明の進歩性が肯定的に推認されることはない。

(4)

情報を伝送可能な媒体

請求項に係る発明が、「所定の情報を伝送可能な媒体」のように、「情報を伝送する」という媒体固有の機能によってのみ特定されている場合は、新規性又は進歩性の欠如により特許を受けることができない。

プログラムやデータなどの所定の情報を伝送可能であることは、通常の通信網、通信線路などが固有に有する機能であるから、所定の情報を伝送可能であるという事項が物としての「伝送媒体」を特定するために通常役立たないので、当該伝送媒体は通常の通信網、通信線路と相違しないものとなり、新規性を有しない。

例1:

(請求項に係る発明)

コンピュータにステップA、ステップB、ステップC…を実行させるためのプログラムを伝送する伝送媒体。

(発明の詳細な説明の抜粋)

以上の処理手順をコンピュータ・プログラムとして記述した実行形式ファイルは、ホスト計算機1が有するハードディスク等の記録手段3に電子的に格納されている。また、ホスト計算機1は、複数のユーザ端末2と100BASE-T Ethernetケーブル5で接続されており、TCP/IPプロトコルに基づいて動作するように構成されている。

そして、任意のユーザ端末2からの送信要求に応じて、上記実行形式ファイルはホスト計算機1からそのユーザ端末2に供給される。このようにして供給された実行形式ファイルはユーザ端末2の内部にある記憶手段4に格納され、これをユーザが実行することによって、任意のユーザ端末2において本実施例の処理手順が実現可能になる。

(説明)

所定の情報を「伝送する伝送媒体」と記載され、「伝送する」とは伝送媒体が固有に有する伝送機能を表現したものであり、また、発明の詳細な説明には、「伝送する」を「伝送中の」あるいは「伝送している」と定義している旨の記載もないことから、「伝送する」を「伝送可能な」の意味に認定しても差し支えない。そうすると、引用発明(任意のコンピュータ・プログラムを送信可能な任意の伝送媒体)と物としての相違点がない、又は同引用発明から当業者が容易に発明をすることができたとの理由から、第29条第1項各号又は第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

例2:

(請求項に係る発明)

デジタル情報を少なくとも128kbps以上の速度で伝送可能な有線ケーブルで構成されていることを特徴とする伝送媒体。

(説明)

所定の情報を伝送する伝送媒体において、通信性能を単に特定したものであり、それは所定の情報を伝送対象とする場合に特有の事項ではないから、所定の情報を伝送可能であるということは伝送媒体を特定するために役立たない。したがって、引用発明(同じ通信性能を発揮可能な伝送媒体)と物としての相違点がない、又は同引用発明から当業者が容易に発明をすることができたとの理由から、第29条第1項各号又は第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3. 事例

ここに示した事例は、「ソフトウエア関連発明の審査基準」の理解を容易にするための補助的手段としてのみ作成されたものである。したがって、あくまでも本文の理解を補助するものであり、事例に記載された事項を解釈することによって本文に記載されていない事項を導き出すべきではない。

また、これらの事例は、記載要件の判断、「発明」に該当するか否かの判断及び進歩性の判断を示すためのものであって、明細書のモデルを示すものではない。

(1)

記載要件の判断例(「伝送媒体」に関する記載要件の判断例)

 
事例 発明の名称 摘要
1-1 プログラムを伝送する媒体 特許請求の範囲と発明の詳細な説明との間で媒体についての記載が整合しないもの
1-2 情報伝送媒体 情報伝送媒体の定義が不明確なもの
1-3 情報記録伝送媒体 記録媒体と伝送媒体が択一的に表現されているもの
1-4 提供媒体 同上
1-5 プログラムを担持したコンピュータ読み取り可能な媒体 同上

(2)

「発明」に該当するか否かの判断例

(a)ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの

 
事例 発明の名称 摘要
2-1 計算方法及び計算装置 ソフトウエアによる数式計算処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの(数学分野)
2-2 ネットワーク配信記事保存方法 ネットワークを介して配信される記事のソフトウエアによる保存処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの(ビジネス分野)
2-3 商品の売上げ予測用プログラム及び当該予測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、並びに商品の売上げ予測装置 ソフトウエアによる商品の売上げ予測処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの(ビジネス分野)
2-4 ポイントサービス方法 ポイントサービスのソフトウエアによる贈答処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの(ビジネス分野)
2-5 ゲーム装置 カードゲーム装置における「役」のソフトウエアによる計算処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの(ゲーム分野)

(b)「発明」であることの判断の参考事例

 
事例 発明の名称 摘要
2-6 自動車エンジン用燃料噴射量制御装置及び方法 機器等に対する制御又は制御に伴う処理を具体的に行うもの

対象の物理的性質又は技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うもの

2-7 コンピュータによる画像処理方法 コンピュータによる画像処理方法対象の物理的性質又は技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うもの

(3)

進歩性の判断例

 
事例 発明の名称 摘要
3-1 化学物質検索装置 他の特定分野への適用が容易なもの
3-2 伝票承認システム 人間が行っている業務のシステム化が容易なもの
3-3 ポイントサービス方法 人間が行っている業務のシステム化、及び、公知の事実又は慣習に基づく設計上の変更が容易なもの

3.1 記載要件の判断例(「伝送媒体」に関する記載要件の判断例)

事例1-1 プログラムを伝送する媒体

(特許請求の範囲と発明の詳細な説明との間で媒体についての記載が整合しないもの)

【発明の名称】

プログラムを伝送する媒体

【特許請求の範囲】

【請求項1】

情報処理装置に機能A、機能B、機能C…を実現させるためのプログラムを伝送する媒体。

【発明の詳細な説明】の抜粋

可搬情報媒体は、CD-ROM等のコンピュータ読み取り可能なものであって、本実施例の処理機能を記述したプログラムが記録されている。

このような媒体は、それが利用される情報処理装置とは独立して取引され、市場を流通させることが可能であって、例えば、インターネット等を介して電子的に注文を受ければ、国内に限らず海外に向けて発送することもできる。

[説明]

請求項1の記載では特定のプログラムを「伝送する媒体」として一応は明確であるが、発明の詳細な説明にある可搬情報媒体はプログラムを「記録」したものである旨記載している。これによってプログラムと媒体との関係を示す用語である「伝送」(特許請求の範囲)と「記録」(発明の詳細な説明)とでは、両者の記載内容が整合しないため、特許を受けようとする発明が不明確である。したがって、第36条第6項第2号に違反する。

また、発明の詳細な説明には、他にも媒体に関して「取引」、「流通」、「発送」する旨の記載も存在しているが、これらはいずれも、情報が記録されたCD-ROM等の「記録媒体」の取引、流通、発送を意図したものであり、これらの記載は、特許を受けようとする発明に記載された「伝送」という用語の把握において考慮されるものではないことに留意する必要がある。

なお、本例は、請求項記載の「伝送する媒体」が発明の詳細な説明において「記録した媒体」である旨定義されている場合について述べたが、逆に、請求項に「記録した媒体」と記載され、発明の詳細な説明において「伝送する媒体」である旨定義されている場合も同様である。

事例1-2 情報伝送媒体

(情報伝送媒体の定義が不明確なもの)

【発明の名称】

情報伝送媒体

【特許請求の範囲】

【請求項1】

情報処理システムで使用される伝送媒体であって、前記システムを手段A、手段B、手段C…として機能させるためのプログラムを伝送することを特徴とする情報伝送媒体。

【発明の詳細な説明】の抜粋

なお、本発明の制御手法は、それを表現するプログラムを伝送する伝送媒体を使用した情報処理システムとして述べてきたが、前記伝送媒体には、汎用コンピュータが読み書き可能な、情報格納手段(半導体メモリ、フレキシブルディスク、ハードディスク等)又は光読出手段(CD-ROM、DVD等)等の記録媒体の他、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネット等のWAN、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体(光ファイバや無線回線等)も含まれる。

[説明]

請求項1の記載は、特定のプログラムを伝送する媒体として一応は明確であるが、発明の詳細な説明において、請求項1記載の情報伝送媒体が「記録媒体」や「通信媒体」を含む旨定義している。これによって、請求項1におけるプログラムの伝送とは、プログラムの記録及びプログラムの通信の両者の概念を含むものとして、その用語を(通常の意味より広く)独自に定義していると判断され、その用語を通常の意味に解すべきか独自に定義した意味に解すべきかが不明であるため、特許を受けようとする発明が不明確である。したがって、第36条第6項第2号に違反する。

事例1-3 情報記録伝送媒体

(記録媒体と伝送媒体が択一的に表現されているもの)

【発明の名称】

情報記録伝送媒体

【特許請求の範囲】

【請求項1】

コンピュータに手順A、手順B、手順C…を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを記録又は伝送することを特徴とする情報記録伝送媒体。

【発明の詳細な説明】の抜粋

本明細書記載の処理動作を実現するプログラムをコンピュータで実行する際には、コンピュータ内のハードディスク装置等の補助記憶装置にプログラムを格納しておき、メインメモリにロードして実行する。また、そのようなプログラムは、CD-ROM等の可搬型記録媒体にプログラムを格納して売買したり、ネットワークを介して接続されたコンピュータの記録装置に格納しておき、ネットワークを通じて他のコンピュータに転送することもできる。

[説明]

請求項1や発明の詳細な説明の記載から把握される「情報を記録」することと、「情報を伝送」することは、互いに類似の性質又は機能を有する事項ではなく、特許を受けようとする発明を特定するための事項に関して、上記互いに類似の性質又は機能を有していない事項が択一的に表現されているため、一の請求項に記載された事項に基づいて、一の技術的思想としての発明を明確に把握することができない。したがって、第36条第6項第2号に違反する。

なお、上記「補助記憶装置」や上記「記録装置」は、あくまで「記録した媒体」に対応するものであって、そこからプログラムを伝送している旨の記載が存在したとしても、その装置自体が「情報を伝送する」機能を有していない以上、これらの装置は「記録又は伝送する媒体」に対応するものではないことに留意する必要がある。

事例1-4 提供媒体

(記録媒体と伝送媒体が択一的に表現されているもの)

【発明の名称】

提供媒体

【特許請求の範囲】

【請求項1】

手段A、手段B、手段C…を備えた情報処理装置としてコンピュータを機能させるための提供媒体であって、

前記コンピュータにステップaと、ステップbと、ステップc…を含む処理を実行させるためのコンピュータ読み出し可能なプログラムを提供する提供媒体。

【発明の詳細な説明】の抜粋

なお、本実施例の処理を実行するコンピュータ・プログラムをユーザに提供する提供媒体は様々な形式のコンピュータ読み出し可能媒体として頒布可能であって、本発明は実際の頒布のために使用される特定のタイプの媒体に関係なく適用されうる。こうしたコンピュータ読み出し可能媒体の例には、フレキシブルディスク、CD-ROMなどの記録可能なタイプの媒体、並びに、デジタル及びアナログ通信リンクなどの伝送タイプの媒体が含まれる。

[説明]

請求項1における「提供する」媒体という記載だけでは、情報と媒体との関係が不明確であるため、発明の詳細な説明における説明を当業者の技術常識をもって考慮してみると、特許を受けようとする発明としての媒体は、情報を記録する媒体に加え、情報を伝送する媒体も含むものと解される。その結果、特許を受けようとする発明を特定するための事項に関して、互いに類似の性質又は機能を有していない事項が択一的に表現されているため、一の請求項に記載された事項に基づいて、一の技術的思想としての発明を明確に把握することができない。したがって、第36条第6項第2号に違反する。

事例1-5 プログラムを担持したコンピュータ読み取り可能な媒体

(記録媒体と伝送媒体が択一的に表現されているもの)

【発明の名称】

プログラムを担持したコンピュータ読み取り可能な媒体

【特許請求の範囲】

【請求項1】

コンピュータを制御するためのプログラムを担持したコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記コンピュータに手順A、手順B、手順C…を実行させるためのプログラムを少なくとも備えることを特徴とする媒体。

【発明の詳細な説明】の抜粋

本実施例を実現させるためのコンピュータ・プログラムはハードディスクや半導体メモリのように固定的にプログラムを担持する媒体からでも、通信ネットワークのように流動的にプログラムを担持する媒体からでも、コンピュータに供給することができる。

[説明]

請求項1の「担持」という用語が有する通常の意味は「記録」と類似する意味として明確であるものの、発明の詳細な説明において、「流動的にプログラムを担持する」と記載し、その用語の意味は「伝送する」とほぼ同じ意味にまで及ぶ旨説明している。その結果、特許を受けようとする発明は、「記録又は伝送する媒体」と解されるから、特許を受けようとする発明を特定するための事項に関して、互いに類似の性質又は機能を有していない事項が択一的に表現されているため、一の請求項に記載された事項に基づいて、一の技術的思想としての発明を明確に把握することができない。したがって、第36条第6項第2号に違反する。

3.2 「発明」に該当するか否かの判断例

3.2.1 ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの

事例2-1 計算方法及び計算装置(数学分野)

(ソフトウエアによる数式計算処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの)

【発明の名称】

計算方法及び計算装置

【特許請求の範囲】

【請求項1】

自然数nとm(ただし、1≦n≦m<256)との乗算sを、

式

によって計算する計算方法。

 
【請求項1】

「発明」に該当しない。

【請求項2】

自然数nとm(ただし、1≦n≦m<256)との乗算sを、

式

によって計算する計算装置。

 
【請求項2】

「発明」に該当しない。

【請求項3】

自然数nとmを入力する入力手段(ただし、1≦n≦m<256)と、

演算手段と、

上記演算手段による演算結果sを出力する出力手段、

とを備えることによって、

式

を計算する計算装置。

 
【請求項3】

「発明」に該当しない。

【請求項4】

自然数nとmを入力する入力手段(ただし、1≦n≦m<256)と、

k番目にk2の値が格納された二乗テーブル(ただし、0≦k<511)と、

加減算器及びシフト演算器からなる演算手段と、

上記演算手段による演算結果sを出力する出力手段、

とを備え、上記演算手段が上記二乗テーブルを参照して二乗の値を導出することにより、乗除算器を用いることなく、

式

を計算する計算装置。

 
【請求項4】

「発明」に該当する。

【発明の詳細な説明】

【発明の属する技術分野】

この発明は、初期の8ビットCPUなど、加減算器やビットシフト演算器を有するものの、乗除算器を有しない上に直接管理できるメモリ空間の小さいCPUを採用した計算装置であっても、高速な乗算を実現する計算装置に関する。

【従来の技術】

乗除算器を有しない上に直接管理できるメモリ空間の小さいCPUであっても乗算が行えるプログラムを作成するためには、乗算をソフトウエア的に処理することが必要となるが、それを実現する方法として、従来、(1)自然数mをn回加算する、(2)m×nの乗算テーブルを参照する、等の方法があった。

【発明が解決しようとする課題】

しかしながら、(1)の方法では、計算プログラムは比較的小さくて済むのでメモリ空間をあまり占有しないものの、計算時間が自然数nの値に依存し、計算時間が長くなることがある。また、(2)の方法では、テーブルを参照するだけで済むので計算時間は少なくて済むものの、テーブルが大きくなりメモリ空間を圧迫する。特に、1≦n≦m<256の場合、乗算の結果を255×255の乗算テーブルに2バイトで格納すると、そのメモリ空間は約128キロバイトとなり、8ビットCPUが直接管理できるメモリ空間である64キロバイトを超えてしまうという問題があった。

そこで、本発明の課題は、8ビットCPUなど、加減算器やビットシフト演算器を有するものの、乗除算器を有しない上に直接管理できるメモリ空間の小さいCPUを採用した計算装置においても、メモリ使用量の少ない高速な乗算を実現することにある。

【課題を解決するための手段】

本発明の計算装置では、255×255の乗算テーブルを設けて乗算を行うプログラムを採用する代わりに、0〜510の二乗テーブルを設けた上で

式

という計算を行うプログラムを採用することによって、上記課題を解決している。

【課題を解決するための手段】

(省略)

【発明の実施の形態】

本発明では、0〜510の二乗テーブルの値を参照することよって、乗算器を用いることなく、(m+n)2と(m−n)2の値を計算する。したがって、自然数mをn回加算する場合よりも計算時間が少なく済み、しかも、一定時間で計算されることが保証される。また、この二乗テーブルが必要とするメモリ空間は約1キロバイト(511個×2バイト)なので、255×255の乗算テーブルが必要とする約128キロバイト(256個×256個×2バイト)のメモリ空間より遥かに少なくて済み、しかも、8ビットCPUが直接管理できるメモリ空間である64キロバイトより少ない約1キロバイトで収めることができる。

また、4による除算は、右ビットシフト演算を2ビット分行うことによって実現することができる。例えば、10進数の12(2進数の1100)に対して右ビットシフト演算を行う場合、

式

となる。このことから解かるように、右ビットシフト演算を2回行うことにより、12(10進数)が3(10進数)となっており、4による除算が実現されている。

したがって、8ビットCPUなど、加減算器やビットシフト演算器を有するものの、乗除算器を有しない上に直接管理できるメモリ空間の小さいCPUを採用した計算装置においても、計算時間が少なく、しかもメモリ使用量の少ない乗算が実現された。

【図面の簡単な説明】

(省略)

【図面】

(省略)


[結論]

【請求項1】「発明」に該当しない

【請求項2】「発明」に該当しない

【請求項3】「発明」に該当しない

【請求項4】「発明」に該当する

[説明]

【請求項1】に係る発明は、

「自然数nとm(ただし、1≦n≦m<256)との乗算sを、

式

によって計算する計算方法。」

である。

【請求項1】に係る発明は、数式の計算そのものであり、自然法則を利用していないものに該当するから、「発明」に該当しない。

【請求項2】に係る発明は、

「自然数nとm(ただし、1≦n≦m<256)との乗算sを、

式

によって計算する計算装置。」である。

式

なる乗算を実現するための計算式を、計算装置によって計算するというだけでは、計算処理を実行するソフトウエアとハードウエア資源とが協働しているとはいえないから、【請求項2】に係る発明は、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているとはいえない。

したがって、【請求項2】に係る発明は、「発明」に該当しない。

【請求項3】に係る発明は、

「自然数nとmを入力する入力手段(ただし、1≦n≦m<256)と、

演算手段と、

上記演算手段による演算結果sを出力する出力手段、とを備えることによって、

式

を計算する計算装置。」

である。

【請求項3】に係る発明には、入力手段、演算手段、出力手段が含まれているものの、これらのハードウエア資源は乗算計算を実行するソフトウエアと何ら協働していないから、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているとはいえない。

したがって、【請求項3】に係る発明は「発明」に該当しない。

【請求項4】に係る発明は、

「自然数nとmを入力する入力手段(ただし、1≦n≦m<256)と、

k番目にk2の値が格納された二乗テーブル(ただし、0≦k<511)と、

加減算器及びシフト演算器からなる演算手段と、

上記演算手段による演算結果sを出力する出力手段、

とを備え、上記演算手段が上記二乗テーブルを参照して二乗の値を導出することにより、乗除算器を用いることなく、

式

を計算する計算装置。」

である。

【請求項4】に係る発明は、乗除算器を有しない、加減算器及びシフト演算器からなる演算手段を備えた計算装置であっても、二乗テーブルを設けることにより、上記演算手段が該二乗テーブルを用いて二乗の値a=(m+n)2,b=(m−n)2を導出し、該導出された二乗の値を数式

式

にしたがって加減算器によって減算した後にシフト演算器によって右ビットシフト演算をしており、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した情報処理装置が実現されている。したがって、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているといえる。

したがって、【請求項4】に係る発明は「発明」に該当する。

(注)なお、【請求項1】に係る発明が「発明」に該当するか否かを判断するにあたっては、ソフトウエア関連発明特有の判断や取扱いが必要でないことから、「第Ⅱ部第1章 産業上利用することができる発明」により判断を行った。

事例2-2 ネットワーク配信記事保存方法(ビジネス分野)

(ネットワークを介して配信される記事のソフトウエアによる保存処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの)

【発明の名称】

ネットワーク配信記事保存方法

【特許請求の範囲】

【請求項1】

受信手段が、通信ネットワークを介して配信される記事を受信するステップ、

表示手段が、受信した記事を表示するステップ、

ユーザが、該記事の文章中に所定のキーワードが存在するか否かを判断し、存在した場合に保存指令を記事保存実行手段に与えるステップ、

前記記事保存実行手段が、保存指令が与えられた記事を記事記憶手段に記憶するステップから構成されるネットワーク配信記事保存方法。

 
【請求項1】

「発明」に該当しない。

【請求項2】

受信手段が、通信ネットワークを介して配信される記事を受信するステップ、

表示手段が、受信した記事を表示するステップ、

記事保存判断手段が、該記事の文章中に所定のキーワードが存在するか否かを判断し、存在した場合に保存指令を記事保存実行手段に与えるステップ、

前記記事保存実行手段が、保存指令が与えられた記事を記事記憶手段に記憶するステップから構成されるネットワーク配信記事保存方法。

 
【請求項2】

「発明」に該当する。

【発明の詳細な説明】

【発明の属する技術分野】

本発明は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信される記事を保存する方法に関する。

【従来の技術】

インターネット等の通信ネットワークを介して、記事を配信する方法は既に知られており、この記事をすべて保存しておく技術も既に知られている。

【発明が解決しようとする課題】

しかし、配信された記事中に保存が必要なものはそれほどないものも多く、全ての配信記事を取っておくことは記憶容量の無駄である。

本発明は、配信された記事のうち、保存する必要があるものを選択して保存することにより、保存に使われる記憶容量を削減することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

(省略)

【発明の実施の形態】

本発明の第1の実施例は、配信された記事が保存する必要があるものかどうかの判断を、所定のキーワードが含まれているか否かを基準としてユーザが行う方法である。

まず、モデム等の受信手段が、インターネット等の通信ネットワークを介して配信される記事を受信する。受信された記事はコンピュータの一時記憶手段に格納しておく。

次に、受信された記事をディスプレイ等の表示手段に表示する。

そして、ユーザは、表示された記事を読み、表示された記事の文章中に所定のキーワードが存在すると判断した場合には、記事保存指令を記事保存実行手段に与える。記事保存指令として用いることができるものとして、例えば、所定のキーワードがある記事をキーボード・マウス等を用いて指定することによって生成される信号がある。

更に、記事保存実行手段は、記事保存指令が記事保存判断手段から与えられた場合に、該記事を記事記憶手段に格納する。

本発明の第2の実施例は、配信された記事を保存する必要があるかどうかの判断を、所定のキーワードが含まれているか否かを基準としてコンピュータが行う方法である。

まず、モデム等の受信手段が、インターネット等の通信ネットワークを介して配信される記事を受信する。受信された記事はコンピュータの一時記憶手段に格納しておく。

次に、受信された記事をディスプレイ等の表示手段に表示する。

そして、記事保存判断手段は、表示された記事の文章中に所定のキーワードが存在すると判断した場合には、記事保存指令を記事保存実行手段に与える。なお、所定のキーワードを予めメモリ等の記憶手段に記憶しておき、一時記憶手段に格納されている受信した記事の文章と、記憶されている所定のキーワードとのマッチングを行って、キーワードが文章中に存在するか否かの判断を行うよう記事保存判断手段を構成すればよい。

更に、記事保存実行手段は、記事保存指令が記事保存判断手段から与えられた場合に、該記事を記事記憶手段に格納する。

【発明の効果】

本発明によれば、ネットワークを介して配信された記事のうち、保存する必要がある記事のみを保存することができるので、記事を取っておくための記憶容量が削減できる。

【図面の簡単な説明】

(省略)

【図面】

(省略)


[結論]

【請求項1】「発明」に該当しない

【請求項2】「発明」に該当する

[説明]

【請求項1】に係る発明は、

「受信手段が、通信ネットワークを介して配信される記事を受信するステップ、

表示手段が、受信した記事を表示するステップ、

ユーザが、該記事の文章中に所定のキーワードが存在するか否かを判断し、存在した場合に保存指令を記事保存実行手段に与えるステップ、

前記記事保存実行手段が、保存指令が与えられた記事を記事記憶手段に記憶するステップから構成されるネットワーク配信記事保存方法。」

である。

【請求項1】に係る発明は、「ユーザが、該記事の文章中に所定のキーワードが存在するか否かを判断し、存在した場合に保存指令を記事保存実行手段に与えるステップ」を含んでいるために、記事の文章中に所定のキーワードが存在するか否かを判断し、存在した記事を保存するという、人間の精神活動に基づいて行われる処理である。そのために、【請求項1】に係る発明はコンピュータの通信ネットワークを利用しているものの、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働することにより構築された情報処理システムの動作方法とはいえないので、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているとはいえない。

したがって、【請求項1】に係る発明は、「発明」には該当しない。

【請求項2】に係る発明は、

「受信手段が、通信ネットワークを介して配信される記事を受信するステップ、表示手段が、受信した記事を表示するステップ、

記事保存判断手段が、該記事の文章中に所定のキーワードが存在するか否かを判断し、存在した場合に保存指令を記事保存実行手段に与えるステップ、

前記記事保存実行手段が、保存指令が与えられた記事を記事記憶手段に記憶するステップから構成されるネットワーク配信記事保存方法。」

である。

【請求項2】に係る発明は、記事の文章中に所定のキーワードが存在するか否かを判断し、存在した記事を保存するという処理が、保存判断手段、記事保存実行手段及び記事記憶手段という、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって実現されたものであるから、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているといえる。

したがって、【請求項2】に係る発明は、「発明」に該当する。

事例2-3 商品の売上げ予測プログラム(ビジネス分野)

(ソフトウエアによる商品の売上げ予測処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの)

【発明の名称】

商品の売上げ予測プログラム及び当該予測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、並びに商品の売上げ予測装置

【特許請求の範囲】

【請求項1】

種々の商品の売上げを予測するためにコンピュータを、

売上げを予測しようとする日を入力する手段、

予め過去の売上げ実績データを記録しておく売上げデータ記録手段、

予め変動条件データを記録しておく変動条件データ記録手段、

予め補正ルールを記録しておく補正ルール記録手段、

過去数週間の予測しようとする日と同じ曜日の売上げ実績データを売上げデータ記録手段から読み出し平均して第1の予測値を得る手段、

変動条件データ記録手段から商品の売上げを予測しようとする日の変動条件データを読み出し、該変動条件データに基づき補正ルール記録手段に記録された補正ルールの中から適用すべき補正ルールを選択する手段、

適用すべき補正ルールに基づき第1の予測値を補正して第2の予測値を得る手段、及び

第2の予測値を出力する手段、

として機能させるための商品の売上げ予測プログラム。

 

【請求項1】

「発明」に該当する。

【請求項2】

種々の商品の売上げを予測するためにコンピュータを、

売上げを予測しようとする日を入力する手段、

予め過去の売上げ実績データを記録しておく売上げデータ記録手段、

予め変動条件データを記録しておく変動条件データ記録手段、

予め補正ルールを記録しておく補正ルール記録手段、

過去数週間の予測しようとする日と同じ曜日の売上げ実績データを売上げデータ記録手段から読み出し平均して第1の予測値を得る手段、

変動条件データ記録手段から商品の売上げを予測しようとする日の変動条件データを読み出し、該変動条件データに基づき補正ルール記録手段に記録された補正ルールの中から適用すべき補正ルールを選択する手段、

適用すべき補正ルールに基づき第1の予測値を補正して第2の予測値を得る手段、及び

第2の予測値を出力する手段、

として機能させるための商品の売上げ予測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

 

【請求項2】

「発明」に該当する。

【請求項3】

種々の商品の売上げを予測する装置であって、

売上げを予測しようとする日を入力する手段、

予め過去の売上げ実績データを記録しておく売上げデータ記録手段、

予め変動条件データを記録しておく変動条件データ記録手段、

予め補正ルールを記録しておく補正ルール記録手段、

過去数週間の予測しようとする日と同じ曜日の売上げ実績データを売上げデータ記録手段から読み出し平均して第1の予測値を得る手段、

変動条件データ記録手段から商品の売上げを予測しようとする日の変動条件データを読み出し、該変動条件データに基づき補正ルール記録手段に記録された補正ルールの中から適用すべき補正ルールを選択する手段、

適用すべき補正ルールに基づき第1の予測値を補正して第2の予測値を得る手段、及び

第2の予測値を出力する手段、

からなる商品の売上げ予測装置。

 

【請求項3】

「発明」に該当する。

【発明の詳細な説明】

【発明の属する技術分野】

本発明は、小売店の商品発注に必要な売上げの予測値を得るためのシステムに関し、特に、スーパーマーケットなどの量販店が需要変動の大きい日配品などの種々の商品の特定の日における売上げを予測するために好適な売上げ予測システムに関する。

【従来の技術】

スーパーマーケットのような量販店における日配品などの商品の売上げは、曜日、日にち、天気、競合店の状況(サービスデー、閉店日など)、地域コミュニティ内で開催されるイベントなどの要因による需要変動が大きい。そこで、商品を発注する際には、在庫管理責任者の経験から将来の売上げを予測し、発注を行っていた。

このため、在庫管理責任者の経験が浅い場合には、予測に時間がかかるという問題があった。また、変動要因の見逃しなどが起こりやすく、予測の精度が悪いという問題もあった。

【発明が解決しようとする課題】

したがって、本発明が解決しようとする課題は、在庫管理責任者の経験に頼らず、一定の予測結果を短時間で得ることができる売上げ予測システムを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

(省略)

【発明の実施の形態】

第1図は、本発明の売上げ予測装置のシステム構成図であり、第2図は該装置により実行される処理のフローである。

まず、キーボードなどの入力装置から売上げを予測しようとする日が入力される。

ここで、売上げデータファイルには予め過去の売上げ実績が日付と曜日に対応して記録されている。

中央処理装置は、メインメモリ中の制御プログラムの指令を受け、売上げデータファイルから過去数週間の予測しようとする日と同じ曜日のデータを読み出し、該過去数週間のデータの平均を算出する。算出された値は第1の予測値として使用される。なお、経験的に過去3〜4週間のデータの平均を用いると好ましい結果が得られることが知られている。

次いで、中央処理装置は、メインメモリ中の制御プログラムの指令を受け、変動条件データファイルから商品の売上げを予測しようとする日の変動条件データ(例えば天気予報から得られた予測しようとする日の降雨確率)を読み出し、該変動条件データに基づき補正ルールファイルに予め記録された補正ルールの中から適用すべき補正ルールを読み出す。(注.補正ルールとは、例えば「午前・午後とも雨の日は売上げが3割減る」といったもの。実施例には補正ルールをどのように定めるかが詳述されているとする。)

更に、中央処理装置は、メインメモリ中の制御プログラムの指令を受け、上記変動条件データに応じた補正ルールに基づいて第1の予測値を補正して第2の予測値を決定する。

第2の予測値は最終的な予測値としてプリンタなどの出力装置から出力される。

【実施例】

(発明の実施の形態の各手段や補正ルールの定め方などが説明されている。)

【図面の簡単な説明】

(省略)

【図面】

【図1】

式

【図2】

式

[結論]

【請求項1】「発明」に該当する

【請求項2】「発明」に該当する

【請求項3】「発明」に該当する

[説明]

【請求項1】に係る発明は、

「種々の商品の売上げを予測するためにコンピュータを、

売上げを予測しようとする日を入力する手段、

予め過去の売上げ実績データを記録しておく売上げデータ記録手段、

予め変動条件データを記録しておく変動条件データ記録手段、

予め補正ルールを記録しておく補正ルール記録手段、

過去数週間の予測しようとする日と同じ曜日の売上げ実績データを売上げデータ記録手段から読み出し平均して第1の予測値を得る手段、

変動条件データ記録手段から商品の売上げを予測しようとする日の変動条件データを読み出し、該変動条件データに基づき補正ルール記録手段に記録された補正ルールの中から適用すべき補正ルールを選択する手段、

適用すべき補正ルールに基づき第1の予測値を補正して第2の予測値を得る手段、及び

第2の予測値を出力する手段、

として機能させるための商品の売上げ予測プログラム」

である。

【請求項1】に係る発明は、種々の変動条件と補正ルールに基づいて売上げ実績を予測するという処理が、複数の記憶手段と、該記憶手段からのデータの読み出し・選択等を制御する手段という、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的な手段により実現されているから、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているといえる。

したがって、【請求項1】に係る発明は、「発明」に該当する。

【請求項2】に係る発明は、

「種々の商品の売上げを予測するためにコンピュータを、

売上げを予測しようとする日を入力する手段、

予め過去の売上げ実績データを記録しておく売上げデータ記録手段、

予め変動条件データを記録しておく変動条件データ記録手段、

予め補正ルールを記録しておく補正ルール記録手段、

過去数週間の予測しようとする日と同じ曜日の売上げ実績データを売上げデータ記録手段から読み出し平均して第1の予測値を得る手段、

変動条件データ記録手段から商品の売上げを予測しようとする日の変動条件データを読み出し、該変動条件データに基づき補正ルール記録手段に記録された補正ルールの中から適用すべき補正ルールを選択する手段、

適用すべき補正ルールに基づき第1の予測値を補正して第2の予測値を得る手段、及び

第2の予測値を出力する手段、

として機能させるための商品の売上げ予測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」である。

【請求項2】に係る発明は、【請求項1】に係る発明である商品の売上げ予測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であるから、【請求項1】に係る発明と同様、【請求項2】に係る発明も「発明」に該当する。

【請求項3】に係る発明は、

「種々の商品の売上げを予測する装置であって、

売上げを予測しようとする日を入力する手段、

予め過去の売上げ実績データを記録しておく売上げデータ記録手段、

予め変動条件データを記録しておく変動条件データ記録手段、

予め補正ルールを記録しておく補正ルール記録手段、

過去数週間の予測しようとする日と同じ曜日の売上げ実績データを売上げデータ記録手段から読み出し平均して第1の予測値を得る手段、

変動条件データ記録手段から商品の売上げを予測しようとする日の変動条件データを読み出し、該変動条件データに基づき補正ルール記録手段に記録された補正ルールの中から適用すべき補正ルールを選択する手段、

適用すべき補正ルールに基づき第1の予測値を補正して第2の予測値を得る手段、及び

第2の予測値を出力する手段、

からなる商品の売上げ予測装置。」である。

【請求項3】に係る発明(売上げ予測装置)は、【請求項1】に係る発明である商品の売上げ予測プログラムと協働して動作する情報処理装置(機械)であるから、【請求項1】に係る発明と同様、【請求項3】に係る発明も「発明」に該当する。

事例2-4 ポイントサービス方法(ビジネス分野)

(ポイントサービスのソフトウエアによる贈答処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの)

【発明の名称】

ポイントサービス方法

【特許請求の範囲】

【請求項1】

テレホンショッピングで商品を購入した金額に応じてポイントを与えるサービス方法において、

贈与するポイントの量と贈答先の名前が電話を介して通知されるステップ、

贈答先の名前に基づいて顧客リスト記憶手段に記憶された贈答先の電話番号を取得するステップ、

前記ポイントの量を、顧客リスト記憶手段に記憶された贈答先のポイントに加算するステップ、及び

サービスポイントが贈与されたことを贈答先の電話番号を用いて電話にて贈答先に通知するステップとからなるサービス方法。

 
【請求項1】

「発明」に該当しない。

【請求項2】

インターネット上の店で商品を購入した金額に応じてポイントを与えるサービス方法において、

贈与するポイントの量と贈答先の名前がインターネットを介して通知されるステップ、

贈答先の名前に基づいて顧客リスト記憶手段に記憶された贈答先の電子メールアドレスを取得するステップ、

前記ポイントの量を、顧客リスト記憶手段に記憶された贈答先のポイントに加算するステップ、及び

サービスポイントが贈与されたことを贈答先の電子メールアドレスを用いて電子メールにて贈答先に通知するステップとからなるサービス方法。

 
【請求項2】

「発明」に該当しない。

【請求項3】

インターネット上の店で商品を購入した金額に応じてポイントを与えるサービス方法において、

贈与するポイントの量と贈答先の名前がインターネットを介してサーバーに入力されるステップ、

サーバーが、贈答先の名前に基づいて顧客リスト記憶手段に記憶された贈答先の電子メールアドレスを取得するステップ、

サーバーが、前記ポイントの量を、顧客リスト記憶手段に記憶された贈答先のポイントに加算するステップ、及び

サーバーが、サービスポイントが贈与されたことを贈答先の電子メールアドレスを用いて電子メールにて贈答先に通知するステップとからなるサービス方法。

 
【請求項3】

「発明」に該当する。

【発明の詳細な説明】

【発明の属する技術分野】

この発明は、通信販売で用いるポイントサービス方法に関する。

【従来の技術】

従来から顧客の購入金額に応じて(例えば一定の割合の)サービスポイントを与え、たまったサービスポイントの量に応じて商品、商品券、金銭等に引き換えるというサービスは行われている。

【発明が解決しようとする課題】

従来のポイントサービス方法は、顧客管理等の問題から、通信販売では実現されていなかった。また、同様の問題からサービスポイントは顧客本人しか使うことができず、たとえ家族であってもサービスポイントを他に譲渡したりすることができなかった。

【課題を解決するための手段】

この発明は、通信販売においてポイントサービスを実現するために、店側に顧客リスト(少なくとも、顧客名、累積サービスポイント、顧客の連絡先からなる)を用意しておくことにより顧客毎のサービスポイントを管理し、顧客が通信販売にて商品を購入することに応じてサービスポイントを加算するよう構成されている。

そして、顧客から他の顧客にサービスポイントを贈与するために贈与先の名前と贈与ポイントが通知されると、顧客リストに登録されている贈与先のサービスポイントを加算すると共に、登録されている連絡先にサービスポイントが贈与されたことを通知する。

この発明において、顧客と店とのやり取りを電話で行う場合には、顧客リストに登録する連絡先は電話番号としておくのがよい。

また、インターネットを介して顧客と店とのやり取りを行う場合には、顧客リストに登録する連絡先は電子メールアドレスとしておくのがよい。

更に、この発明は店側にサーバーを設けることで、以下のようにコンピュータ上の処理として実現することもできる。

インターネット上の店が有するサーバーに顧客リスト(少なくとも、顧客名、累積サービスポイント、顧客の電子メールアドレスからなる)を記憶したデータベースを設けることにより顧客毎のサービスポイントを管理し、顧客がインターネット上で商品を購入することに応じてサービスポイントを加算するよう構成する。

そして、顧客が、他の顧客にサービスポイントを贈与したい場合は、電子メールにて贈与先の名前と贈与ポイントを前記サーバーに通知することにより、サーバーが贈与先の名前から顧客リストデータベースを検索して贈与されたサービスポイントを加算すると共に電子メールアドレスを取り出し、自動的に贈与先にサービスポイントが贈与されたことを通知する。

【発明の実施の形態】

(省略)

【実施例】

(省略)

【発明の効果】

このポイントサービス方法により通信販売においても顧客に対するポイントサービスが容易に実施できるようになった。また、サービスポイントを他者に贈与することができるためサービスポイントの使用価値が大きくなった。

【図面の簡単な説明】

(省略)

【図面】

(省略)


[結論]

【請求項1】「発明」に該当しない

【請求項2】「発明」に該当しない

【請求項3】「発明」に該当する

[説明]

【請求項1】に係る発明は、

「テレホンショッピングで商品を購入した金額に応じてポイントを与えるサービス方法において、

贈与するポイントの量と贈答先の名前が電話を介して通知されるステップ、

贈答先の名前に基づいて顧客リスト記憶手段に記憶された贈答先の電話番号を取得するステップ、

前記ポイントの量を、顧客リスト記憶手段に記憶された贈答先のポイントに加算するステップ、及び

サービスポイントが贈与されたことを贈答先の電話番号を用いて電話にて贈答先に通知するステップとからなるサービス方法」であって、

「電話」、「顧客リスト記憶手段」という手段を使用するものであるが、この発明は全体としてみればこれら手段を道具として用いる人為的取決めそのものであって、「自然法則を利用していないもの」に該当する。

したがって、【請求項1】に係る発明は、「発明」には該当しない。

【請求項2】に係る発明は、

「インターネット上の店で商品を購入した金額に応じてポイントを与えるサービス方法において、

贈与するポイントの量と贈答先の名前がインターネットを介して通知されるステップ、

贈答先の名前に基づいて顧客リスト記憶手段に記憶された贈答先の電子メールアドレスを取得するステップ、

前記ポイントの量を、顧客リスト記憶手段に記憶された贈答先のポイントに加算するステップ、及び

サービスポイントが贈与されたことを贈答先の電子メールアドレスを用いて電子メールにて贈答先に通知するステップとからなるサービス方法」であって、

「インターネット」、「顧客リスト記憶手段」、「電子メール」といった手段を使用するものであるが、この発明は全体としてみればこれら手段を道具として用いる人為的取決めそのものであって、「自然法則を利用していないもの」に該当する。

したがって、【請求項2】に係る発明は、「発明」には該当しない。

【請求項3】に係る発明は、

「インターネット上の店で商品を購入した金額に応じてポイントを与えるサービス方法において

、贈与するポイントの量と贈答先の名前がインターネットを介してサーバーに入力されるステップ、

サーバーが、贈答先の名前に基づいて顧客リスト記憶手段に記憶された贈答先の電子メールアドレスを取得するステップ、

サーバーが、前記ポイントの量を、顧客リスト記憶手段に記憶された贈答先のポイントに加算するステップ、及び

サーバーが、サービスポイントが贈与されたことを贈答先の電子メールアドレスを用いて電子メールにて贈答先に通知するステップとからなるサービス方法」である。

【請求項3】に係る発明は、サーバーによって実行されるステップであるから、ソフトウエアによる情報処理を行うものであるといえる。

また、【請求項3】に係る発明は、サーバーが「顧客リスト記憶手段」を検索して贈答先の電子メールアドレスを取得すると共に、「顧客リスト記憶手段」に記憶されている贈答先のポイントに加算し、取得した贈答先の電子メールアドレスに対して通知を行うという処理を、ハードウエア資源であるコンピュータを用いて具体的に実現した情報処理システムの動作方法であるから、この発明は「ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されたもの」であるといえる。

したがって、【請求項3】に係る発明は「発明」に該当する。

(注)なお、【請求項1】乃至【請求項2】に係る発明が「発明」に該当するか否かを判断するにあたっては、ソフトウエア関連発明特有の判断や取扱いが必要でないことから、「第Ⅱ部第1章 産業上利用することができる発明」により判断を行った。

事例2-5 ゲーム装置(ゲーム分野)

(ゲーム装置における「役」のソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの)

【発明の名称】

ゲーム装置

【特許請求の範囲】

【請求項1】

コンピュータを利用したカードゲーム装置において、複数枚のカードの組み合わせの中から抽出された役の種類に応じて異なる得点を求める得点算出手段を有するカードゲーム装置。

 
【請求項1】

「発明」に該当しない。

【請求項2】

コンピュータを利用したカードゲーム装置において、複数枚のカードの組み合わせに対して所定の役データが対応させられている役データテーブルと、役データに対して得点データが対応させられている得点データテーブルとを記憶する記憶手段と、

選択された複数枚のカードの組み合わせを基に前記役データテーブルを検索して対応する役データを抽出し、該役データを基に前記得点データテーブルを検索して対応する得点データを抽出し、抽出された前記役データの全て及び前記得点データの合計得点を出力する手段とを有するカードゲーム装置。

 
【請求項2】

「発明」に該当する。

【発明の詳細な説明】

【発明の属する技術分野】

本発明は、コンピュータを利用したカードゲーム装置に関する。

【従来の技術】

従来、コンピュータを利用したカードゲーム装置は、コンピュータにより配られた例えば5枚のカードの任意の組み合わせに対して、コンピュータが役となるカードの組み合わせを抽出し、抽出された役の個数に応じて得点が決定され、その結果が表示されていた。

【発明が解決しようとする課題】

しかしながら、役となる組み合わせには、それぞれ難易度が異なり、全ての役に対して一律に得点を付与するのではゲーム性に乏しく、遊戯者の興趣を損なう原因となっていた。

そこで、本発明の課題は、役の種類に応じて付与される得点に差をつけることにより、ゲーム性に富み遊戯者の興趣をそそるカードゲーム装置を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

本発明のカードゲーム装置では、複数枚のカードの組み合わせに対して所定の役データが対応させられている役データテーブルと、役データに対して得点データが対応させられている得点データテーブルとが別々に記憶されており、この役データテーブルと得点データテーブルを順に用いることにより、配られたカードに含まれる全ての役と合計得点とを遊戯者に提示することにより、上記課題を解決している。

【発明の実施の形態】

図1は、カードゲーム装置の構成図である。表示装置1とキーボードやマウス等の入力手段2が、バス線9に接続されている。CPU3は、ゲームプログラムを実行して表示すべき画像データの指示、カードの組み合わせから役データ、それに対応する得点データの検索等を行う。RAM4は表示用の画像データを一旦格納するものであり、画像処理部5はCPU3からの指示にしたがって必要な画像データを生成して表示装置1に画像を表示する。

本カードゲーム装置内のメモリには、大きく分けて3つのファイルが格納される。

第一のファイル6内には、ゲームプログラム61、カード画像データ62、乱数表63等が記憶されている。第二のファイル7内には、カードの組み合わせと対応する役データとを関連づけて記憶した役データテーブルが記憶されている。更に、第三のファイル8内には、役データに対して得点データを関連づけて記憶した得点データテーブルが記憶されている。第二のファイル7と第三のファイル8とは別々に変更可能である。

図2は、表示画面の例を示す図である。表示画面内には5枚のカードが表示され、画面の上部には役データテーブルを検索して読み出した役データ「A、B」と、その役データにしたがって得点データテーブルを検索して読み出して集計した得点「6点」が表示されている。

図3のフローチャートにしたがって、本ゲームプログラムによる動作を説明する。(S1)ゲーム開始の指示が出されると、ゲームプログラムにしたがって、乱数表を利用して5枚のカードが選択される。(S2)役データテーブルにしたがって、選択されたカードの組み合わせの中に存在する役になる組み合わせを検索し、検出した役データを読み出す。(S3)その役データに対応する得点データを取得するために、得点データテーブルにしたがって役データを検索し、対応する得点データを取得し、合計の得点を集計する。(S4)選択される5枚のカード及び取得した役データと合計得点を、表示装置1の画面に図2の様に表示する。(S5)カードの変更回数が所定の上限値に達したかを調べ、上限回数に達していれば終了し、そうでなければ(S6)に進む。(S6)遊戯者に変更するカードを指定するかを尋ね、指定しなければ終了し、指定されれば(S7)へ進む。(S7)乱数表を利用して新しいカードを選択し、指定されたカードを選択されたカードに置き換え(S2)に戻る。

上記した、第二と第三のファイル7、8は、適宜別々に変更可能である。したがって、カードゲーム装置が設置又は販売される国や地方などによって役データや得点データを変更する場合に、適当なテーブルに書換えることで、第一のファイル6内のデータを共通に利用することができ、書換えられるテーブルが小さくなるのでその工数は軽減される。

【発明の効果】

本発明によれば、カードゲーム装置が、全ての役の抽出及びそれら各役に対応する得点の合計得点を計算して表示するので、役の種類及び個数に応じて合計得点が異なり、遊戯者の興趣をそそるカードゲームとなる。また、変更可能な役データテーブルと得点データテーブルを別々に設けたので、役データテーブル又は得点データテーブルを変更して、国や地方によって、ルールの異なるカードゲーム装置を設置又は販売することなどが柔軟にできる。

【図面の簡単な説明】

(省略)

【図面】

【図1】カードゲーム装置の構成

構成

【図2】表示画面の例

表示画面

【図3】処理フロー

フロー

[結論]

【請求項1】「発明」に該当しない

【請求項2】「発明」に該当する

[説明]

【請求項1】に係る発明は、

「コンピュータを利用したカードゲーム装置において、複数枚のカードの組み合わせの中から抽出された役の種類に応じて異なる得点を求める得点算出手段を有するカードゲーム装置」

である。

【請求項1】に係る発明は、複数枚のカードの組み合わせの中から抽出された役の種類に応じて異なる得点を求めるという処理(以下「得点計算処理」という)が得点算出手段なる手段で行われているとしているが、該得点計算処理を行うための情報処理が何ら具体的に実現されていないから、得点計算処理のソフトウエアとハードウエア資源が協働してカードゲーム装置を構築しているとはいえず、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているとはいえない。

したがって、【請求項1】に係る発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではないから「発明」に該当しない。

【請求項2】に係る発明は、

「コンピュータを利用したカードゲーム装置において、複数枚のカードの組み合わせに対して所定の役データが対応させられている役データテーブルと、役データに対して得点データが対応させられている得点データテーブルとを記憶する記憶手段と、選択された複数枚のカードの組み合わせを基に前記役データテーブルを検索して対応する役データを抽出し、該役データを基に前記得点データテーブルを検索して対応する得点データを抽出し、抽出された前記役データの全て及び前記得点データの合計得点を出力する手段とを有するカードゲーム装置」

である。

【請求項2】に係る発明は、カードの組み合わせから役データテーブルを検索して役データを得、該役データに基づいて該得点データテーブルを検索して得点データを抽出・合計・出力するカードゲーム装置という、ソフトウエアとハードウエア資源が協働した具体的手段であるから、ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているといえる。

したがって、【請求項2】に係る発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるから、「発明」に該当する。

3.2.2 「発明」であることの判断の参考事例

事例2-6及び2-7は、「発明」に該当するか否かを判断するにあたって、ソフトウエア関連発明特有の判断を必要としない事例である。

事例2-6 自動車エンジン用燃料噴射量制御装置及び方法

(機器等に対する制御又は制御に伴う処理を具体的に行うもの、及び対象の物理的性質又は技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うもの)

【発明の名称】

自動車エンジン用燃料噴射量制御装置及び方法

【特許請求の範囲】

【請求項1】

プログラムされたコンピュータによって自動車エンジンの燃料噴射量を制御する装置であって、

エンジンの回転数を検出する第一の検出手段と、

エンジンの回転数の変化を検出する第二の検出手段と、

該第一の検出手段の検出値と該第二の検出手段の検出値とに応じて燃料噴射量を決定する燃料噴射量決定手段とを備えたことを特徴とする自動車エンジン用燃料噴射量制御装置。

 
【請求項1】

「発明」に該当する。

【請求項2】

プログラムされたコンピュータによって自動車エンジンの燃料噴射量を制御する方法であって、

エンジンの回転数を検出する工程、

エンジンの回転数の変化を検出する工程、

エンジンの回転数とエンジンの回転数の変化とに応じて燃料噴射量を決定する

工程を含むことを特徴とする自動車エンジン用燃料噴射量制御方法。 
【請求項2】

「発明」に該当する。

【発明の詳細な説明】

【発明の属する技術分野】

本発明は、プログラムされたコンピュータによって自動車エンジンの燃料噴射量を制御する装置に関する。

【従来の技術】

従来、自動車エンジンの燃料噴射量の電子制御装置においては、エンジンの回転数を検出し、回転数によって燃料噴射量を決定していた。しかし、急加速時など、エンジンの回転数が急激に上昇するときには、吸入路の摩擦抵抗により空気の吸入量は急激に増加できないため、過渡的に理論混合比より空気が薄くなる傾向がある。逆に急減速時など、エンジンの回転数が急激に下降するときには、慣性により空気の吸入量が急激には下がらないため、過渡的に理論混合比より空気が濃くなる傾向がある。このため、エンジンの回転数が急激に上昇・下降すると燃焼効率が悪化し、出力が期待値を下回ることがあった。

【発明が解決しようとする課題】

本発明は、エンジンの回転数が急激に上昇・下降する過渡状態におけるエンジンの燃焼効率及び出力を向上する。

【課題を解決するための手段】

そこで、本発明では、エンジンの出力及び燃焼効率を向上するため、状況に応じて燃料噴射量を制御し、最適な空燃混合比を達成できるようにした。

具体的には、エンジンの回転数を検出する第一の検出手段に加え、新たにエンジンの回転数の変化(回転数の微分値)を検出する第二の検出手段を設けることにより、回転数の急激な上昇・下降を検出できるようにした。更に、燃料噴射装置のメモリ上に電子的に格納された制御プログラムにより第一の検出手段の検出値及び第二の検出手段の検出値に応じて燃料噴射量を決定するようにした。

燃料噴射量を決定する具体的な手順は以下のとおりである。予め、X軸にエンジンの回転数、Y軸にエンジンの回転数の変化をとり、X、Yの各交点にその回転数及び回転数の変化における実験的に決定された最適な燃料噴射量を記録した二次元マップを作成しておく。この二次元マップを燃料噴射装置のメモリ上に電子的に格納する。制御プログラムは、まず、第一の検出手段の検出値から回転数を、第二の検出手段の検出値から回転数の変化を算出する。次に、算出された回転数と回転数の変化とを用いて上記メモリ上の二次元マップを参照し、燃料噴出量を決定する。

【発明の実施の形態】

(省略)

【実施例】

(省略)

【発明の効果】

エンジン回転数の急激な上昇・下降時にも最適な空燃混合比が達成できるようになり、燃焼効率が改善された。

【図面の簡単な説明】

(省略)

【図面】

(省略)


[結論]

【請求項1】「発明」に該当する

【請求項2】「発明」に該当する

[説明]

【請求項1】に係る発明は、

「プログラムされたコンピュータによって自動車エンジンの燃料噴射量を制御する装置であって、

エンジンの回転数を検出する第一の検出手段と、

エンジンの回転数の変化を検出する第二の検出手段と、

該第一の検出手段の検出値と該第二の検出手段の検出値とに応じて燃料噴射量を決定する燃料噴射量決定手段とを備えたことを特徴とする自動車エンジン用燃料噴射量制御装置」

である。

【請求項1】に係る発明は、機器であるエンジンに対する制御に伴う処理を具体的に行う装置であるから、自然法則を利用した技術的思想の創作であるといえる。また、【請求項1】に係る発明は、対象であるエンジンの物理的性質又は技術的性質に基づく処理を具体的に行う装置でもあるから、このことからも、自然法則を利用した技術的思想の創作であるといえる。

したがって、【請求項1】に係る発明は全体として「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるから、「発明」に該当する。

【請求項2】に係る発明は、

「プログラムされたコンピュータによって自動車エンジンの燃料噴射量を制御する方法であって、

エンジンの回転数を検出する工程、

エンジンの回転数の変化を検出する工程、

エンジンの回転数とエンジンの回転数の変化とに応じて燃料噴射量を決定する工程を含むことを特徴

とする自動車エンジン用燃料噴射量制御方法」

である。

【請求項2】に係る発明は、機器であるエンジンに対する制御に伴う処理を具体的に行う方法であるから、自然法則を利用した技術的思想の創作であるといえる。また、【請求項2】に係る発明は、対象であるエンジンの物理的性質又は技術的性質に基づく処理を具体的に行う方法でもあるから、このことからも、自然法則を利用した技術的思想の創作であるといえる。

したがって、【請求項2】に係る発明は全体として「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるから、「発明」に該当する。

(注)なお、【請求項1】乃至【請求項2】に係る発明が「発明」に該当するか否かを判断するにあたっては、ソフトウエア関連発明特有の判断や取扱いが必要でないことから、「第Ⅱ部第1章 産業上利用することができる発明」により判断を行った。

事例2-7 コンピュータによる画像処理方法(対象の物理的性質又は技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うもの)

【発明の名称】

コンピュータによる画像処理方法

【特許請求の範囲】

【請求項1】

光学的に読み取られる画像データの「ぼけ」を補正するための画像処理方法において、

光学的読取手段により取得された画像データから得られる3行3列の画素行列Aを入力し、

予め記憶された3行3列のフィルタパラメータである下記の行列Bを用いて、

C=A*Bを計算し、

画素行列Cを出力するコンピュータによる画像処理方法。

式
 
【請求項1】

「発明」に該当する。

【発明の詳細な説明】

【発明の属する技術分野】

本発明は、コンピュータによる画像処理時の画質改善方法に関する。

【従来の技術】

一般に、画像を光学的読取手段で読み取った画像データには読取手段の特性に依存する「ぼけ」が生ずる。このため、従来は、「ぼけ」が生じるときとは逆の空間周波数特性を実現するようなフィルタ処理により画質を改善していた。例えば3*3フィルタリング法にしたがって各検出画素に

式

のようなパラメータを有するデジタルフィルタ(空間周波数の高い成分を通過させる一種のハイパスフィルタ)を乗算していたが、中間調濃度の多い画像の場合には補正が強くなりすぎ、画質の改善が図れなかった。

【発明が解決しようとする課題】

本発明は、画像処理時に必要十分な補正を簡単に達成することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

コンピュータを用いて検出画像とフィルタのデジタル演算を行うにあたり、演算後の画像が不自然とならないように、画像の総エネルギーが演算処理前後で大きく異ならないこと、中心パラメータ以外の値の絶対値は中心パラメータの値の絶対値より小さいことといった条件の下にフィルタのパラメータを選択する。

【発明の実施の形態】

各種パラメータを設定して実験した結果、

式

のようなパラメータを有するデジタルフィルタを用いた場合、画質が改善された。

このようなフィルタのデジタル演算は画像処理用プログラムにより実現され、該プログラムは記録媒体に記録して提供される。

【発明の効果】

本発明によれば、簡単な構成で優れた画像を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

(省略)

【図面】

(省略)


[結論]

【請求項1】「発明」に該当する

[説明]

【請求項1】に係る発明は、

「光学的に読み取られる画像データの「ぼけ」を補正するための画像処理方法において、光学的読取手段により取得された画像データから得られる3行3列の画素行列Aを入力し、予め記憶された3行3列のフィルタパラメータである下記の行列Bを用いてC=A*Bを計算し、画素行列Cを出力するコンピュータによる画像処理方法。

式

である。

フィルタパラメータである行列Bは、中心パラメータ以外の値の絶対値が中心パラメータの値の絶対値より小さいことが明確であるが、発明の詳細な説明から総合的に把握すると、このような行列Bのパラメータは、画像の「ぼけ」が生じるときの逆の空間周波特性、及び演算処理前後の画像の総エネルギーという物理的性質に基づいて設定されるものである。

つまり、当該行列Bの性質を鑑みれば、【請求項1】に係る発明は、光学的読み取り手段によりデータとして取得された画像データAをフィルタパラメータである行列Bにより画像の「ぼけ」を補正して画像データCを出力するという物理的性質を利用した処理といえる。

そうすると、【請求項1】に係る発明は光学的読取手段によりデータとして取得された画像に関わる物理的性質を利用した処理を具体的に行う方法であるから、自然法則を利用した技術的思想の創作といえる。

したがって、【請求項1】に係る発明は全体として「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるから、「発明」に該当する。

(注)なお、【請求項1】に係る発明が「発明」に該当するか否かを判断するにあたっては、ソフトウエア関連発明特有の判断や取扱いが必要でないことから、「第Ⅱ部第1章 産業上利用することができる発明」により判断を行った。

3.3 進歩性の判断例

事例3-1 化学物質検索装置

(他の特定分野への適用が容易なもの)

【発明の名称】

化学物質検索装置

【特許請求の範囲】

【請求項1】

複数の化学物質について、化学物質名、該化学物質の用途及び化学構造式を対応づけて記憶する化学物質特性データ記憶手段と、

複数の化学物質について、化学物質名、該化学物質の1グラム当たりの価格及び取扱事業者名を対応づけて記憶する化学物質販売データ記憶手段と、

化学物質の用途又は化学構造式を検索キーとして入力する入力手段と、

前記入力手段により入力された検索キーに基づいて、前記化学物質特性データ記憶手段から入力された検索キーに対応する化学物質名、化学物質の用途及び化学構造式を抽出する化学物質特性データ検索手段と、

前記化学物質特性データ検索手段により抽出された化学物質名に基づいて、前記化学物質販売データ記憶手段から、対応する化学物質の1グラム当たりの価格及び取扱事業者名を抽出する化学物質販売データ検索手段と、

前記化学物質特性データ検索手段により抽出された化学物質名、該化学物質の用途及び構造式と、前記化学物質販売データ検索手段により抽出された化学物質の1グラム当たりの価格及び取扱事業者名を対応づけてディスプレイ画面に表示する表示手段を備えた化学物質検索装置。

 
【請求項1】

進歩性がない。

【請求項2】

前記化学物質特性データ記憶手段に、化学構造式Aで表現される化学物質Bの用途として「回路基板用洗浄剤」が記憶されている請求項1記載の化学物質検索装置。

 
【請求項2】

進歩性がない。

【発明の詳細な説明】

【発明の属する技術分野】

この発明は、化学工場、薬局等で用いるための化学物質を検索し、発注するためのシステムに関する。

【従来の技術】

検索技術は、様々な用途に応用されてきており、化学物質の検索技術についても、化学物質名、化学構造式、用途などを項目として対応づけておき、一つの項目を検索キーとして検索して他の情報を取り出すという技術は知られている。

しかし、従来の化学物質検索装置については、化学物質の性質とは直接関連のない価格、取扱事業者等の商取引情報は対応づけて記憶されていなかったため、これらの情報は他の装置等から入手する必要があった。

【発明が解決しようとする課題】

本発明の課題は、化学物質について、化学物質の用途や化学構造式を基に検索し、価格・取扱事業者といった商取引情報を取り出せるようにすることで、所望の化学物質の発注等の便宜に供する化学物質検索装置を提供することを目的とするものである。

更に、本願出願人が化学物質Bについて新たに見いだした用途である「回路基板用洗浄剤」を検索対象データに含めておくことで、発注等にさらなる便宜を提供することができる。

【課題を解決するための手段】

本発明の化学物質検索装置では、化学物質名、化学物質の用途及び構造式を対応づけて記憶した記憶手段と、化学物質名、価格、取扱事業者を対応づけて記憶した記憶手段を別個の記憶手段とし、化学物質の用途又は構造式から化学物質名を検索した後、化学物質名で価格及び取扱事業者を検索する構成としている。これは、従来の化学物質検索装置からのデータの移行の容易性と、データメンテナンスの容易性を考慮したものである。

【発明の実施の形態】

本発明は、中央処理装置、記憶手段、キーボード等の入力手段、ディスプレイ等の表示手段から構成されるコンピュータを用いて化学物質検索装置を実現している。概念図を図1に示す。

この化学物質検索装置の動作フローは以下のとおりである。

まず、コンピュータの記憶手段に、化学物質名、該化学物質の用途及び化学構造式を対応づけた化学物質特性データを記憶させると共に、化学物質名、該化学物質の1グラム当たりの価格及び取扱事業者名を対応づけた化学物質販売データを記憶させておく。この記憶手段はRAM・ROM等の半導体記憶手段を用いても、磁気ディスク、CD-ROM等の記録媒体を用いてもよい。

そして、入力手段から、化学構造式又は化学物質の要素が入力されると、コンピュータの中央処理装置がこの入力を検索キーとしてコンピュータの記憶手段に記憶された化学物質特性データを検索し、検索キーを含むデータを抽出する。

更に、コンピュータの中央処理装置は、抽出された化学物質特性データに存在する、化学物質名を検索キーとしてコンピュータの記憶手段に記憶された化学物質販売データを検索し、検索キーを含むデータを抽出して、検索の結果得られている化学物質名、化学物質の用途、化学構造式、1グラム当たりの価格及び取扱事業者名を表示手段に表示させる。

【発明の効果】

本発明によれば、化学物質について、化学物質の用途や化学構造式を基に検索し、価格・取扱事業者といった商取引情報を取り出せるようにすることで、所望の化学物質の発注等の便宜に供する化学物質検索装置を提供することができる。

また、本願の化学物質検索装置においては、化学物質Bについて新たに見いだした用途である「回路基板用洗浄剤」を化学物質特性データとして記憶させてあるから、化学物質Bが「回路基板用洗浄剤」として購入されることで、化学物質Bの売上げが増加することも期待される。

【図面の簡単な説明】

(省略)

【図面】

【図1】

装置

<進歩性の審査>

(1)

進歩性判断の前提

(ⅰ)

発明の課題

化学物質について、化学物質の用途や化学構造式を基に検索し、価格・取扱事業者といった商取引情報を取り出せるようにすることで、所望の化学物質の発注等の便宜に供する化学物質検索装置を提供すること

化学物質Bについて新たに見いだした用途である「回路基板用洗浄剤」を検索対象データに含めておくことで、発注等にさらなる便宜を提供すること

(ⅱ)

当業者

この事例の発明の当業者は、化学物質検索技術に関する知識と、コンピュータ技術に関する知識を有する。

(2)

技術水準(引用発明、周知技術等)

(Ⅰ)

引用発明

以下の発明が出願前に公知であった。

引用発明1:

化学物質名と化学物質の構造式及び化学物質の用途を対応づけて記憶した化学物質記憶手段を、化学物質の構造式又は化学物質の用途で検索する検索手段、検索結果を表示する手段を備えた化学物質検索装置。

引用発明2:

複数の書籍について、書籍名、該書籍のジャンル及びキーワードを対応づけて記憶する書籍情報記憶手段と、

複数の書籍について、書籍名、価格及び出版社名を対応づけて記憶する書籍販売データ記憶手段と、

書籍のジャンル又はキーワードを検索キーとして入力する入力手段と、

前記入力手段により入力された検索キーに基づいて、前記書籍情報記憶手段から入力された検索キーに対応する書籍名、書籍のジャンル及びキーワードを抽出する書籍情報検索手段と、

前記書籍情報検索手段により抽出された書籍名に基づいて、前記書籍販売データ記憶手段から、対応する書籍の価格及び出版社名を抽出する書籍販売データ検索手段と、

前記書籍情報検索手段により抽出された書籍名、該書籍のジャンル及びキーワードと、前記書籍販売データ検索手段により抽出された書籍の価格及び出版社名を対応づけてディスプレイ画面に表示する表示手段

を備えた書籍検索装置。

(Ⅱ)

公知技術等

化学構造式Aで表現される化学物質Bは出願前に公知であった。

該化学物質Bが「回路基板用洗浄剤」という用途で使用できることは公知・公用ではなく、また化学物質関係の当業者が容易に予測することができた用途でもなかった。

(3)

具体的な判断

(ⅰ)

【請求項1】に係る発明について

【請求項1】に係る発明と引用発明1とを対比すると、

相違点1:【請求項1】に係る発明は、「化学物質特性データ検索手段により抽出された化学物質名に基づいて、前記化学物質販売データ記憶手段から、対応する化学物質の1グラム当たりの価格及び取扱事業者名を抽出する化学物質販売データ検索手段」を備えるのに対し、引用発明1は検索手段により抽出された化学物質名に基づいて検索を行う手段は備えていない点

相違点2:【請求項1】に係る発明は、「化学物質特性データ検索手段により抽出された化学物質名、該化学物質の用途及び構造式と、前記化学物質販売データ検索手段により抽出された化学物質の1グラム当たりの価格及び取扱事業者名を対応づけてディスプレイ画面に表示する表示手段」を備えており、商取引情報である化学物質の1グラム当たりの価格及び取扱事業者名も表示するのに対し、引用発明1は商取引情報の表示は行っていない点で相違し、その余の点で一致する。

相違点1:「化学物質販売データ検索手段」を構成することの容易性についての検討

引用発明2は、コンピュータ技術の観点からみれば、第1の記憶手段から抽出された検索対象物の名称(書籍名)を検索キーとして更に第2の記憶手段の検索を行い、該情報に対応する商取引情報(書籍の価格及び出版社名)を抽出する技術であると把握される。

ここで、引用発明1と引用発明2は、検索装置である点で一致しているから、引用発明2の検索装置の構成技術を引用発明1の化学物質検索装置に適用することに特段の技術的困難性はない。

また、抽出される商取引情報をどのようなものとするかは当業者が検索の対象分野に応じて適宜取決めるべき事項であり、引用発明2の検索装置を化学物質検索に適用する場合に、化学物質分野における商取引情報として「化学物質の1グラム当たりの価格」及び「取扱事業者名」を採用することは当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎない。

したがって、引用発明1の化学物質検索装置に、引用発明2の検索装置の構成技術を適用し、検索対象物の名称である化学物質名に基づいて、前記化学物質販売データ記憶手段から、商取引情報である、「化学物質の1グラム当たりの価格及び取扱事業者名」を抽出する手段を設けることは、当業者が容易に想到し得た事項である。

相違点2:

「商取引情報である化学物質の1グラム当たりの価格及び取扱事業者名も表示する表示手段」を構成することの容易性についての検討

情報を得るために行われる「検索」という技術の特性に鑑みれば、検索の結果得られた情報を表示させることは当業者が当然に想到する事項であり、上記商取引情報を表示させることに特段の技術的困難性もないから、検索の結果得られる商取引情報をも表示させるよう構成することは当業者が容易に想到し得た事項である。

(有利な効果の参酌)

そして、【請求項1】に係る発明が奏する「商取引情報を取り出せる」という効果も、引用発明1及び引用発明2から当業者が容易に予測し得た程度のものである。

(結論)

したがって、【請求項1】に係る発明は、引用発明1及び引用発明2から当業者が容易に発明をすることができたものである。

(ⅱ)

【請求項2】に係る発明について

【請求項2】に係る発明と引用発明1とを対比すると、上記相違点1及び相違点2に加え、【請求項2】に係る発明は、「化学物質特性データ記憶手段に、化学構造式Aで表現される化学物質Bの用途として「回路基板用洗浄剤」が記憶されている」のに対し、引用発明1にはその旨記載されていない点で両者は相違し、その余の点で一致する。

しかしながら、「化学物質特性データ記憶手段に、化学構造式Aで表現される化学物質Bの用途として「回路基板用洗浄剤」が記憶されている」という事項は、データの内容について言及しているものに過ぎないから、この点をもって【請求項2】に係る発明の進歩性が肯定的に推認されることはない。

(結論)

【請求項2】に係る発明は、引用発明1及び引用発明2から当業者が容易に発明をすることができたものである。

事例3-2 伝票承認システム(ビジネス分野)

(人間が行っている業務のシステム化が容易なもの)

【発明の名称】

伝票承認システム

【特許請求の範囲】

【請求項1】

伝票のデータを入力するための第1入力部、

該第1入力部に入力されたデータに基づいて当該入力された伝票を表示及び印字する第1出力部、

第1通信制御部及び全体を制御する第1制御部を有する伝票入力作成装置と、

伝票を表示する第2出力部、

承認データの第2入力部、

第2通信制御部及び全体を制御する第2制御部を有する伝票承認装置とからなる伝票承認システムにおいて、

上記第1制御部は、上記第1入力部から伝票の各項目のデータを取り入れて、取り入れた伝票の各項目をチェックし、承認が必要な伝票のデータを上記第1通信制御部から上記伝票承認装置に伝送し、該伝票承認装置から伝送されてくる承認された伝票のデータを上記第1通信制御部を介して受け取り、上記第1出力部より出力し、

上記第2制御部は、上記伝票入力作成装置から送られてきた承認が必要な伝票のデータを上記第2通信制御部から受信し、その受信した伝票データに基づいて当該伝票を表示出力し、承認するか承認しないかの承認データを上記第2入力部より入力し、その承認データを含む伝票のデータを上記第2通信制御部から上記伝票入力作成装置に伝送することを特徴とする伝票承認システム。

 
【請求項1】

進歩性がない。

【請求項2】

上記第2出力部は、表示画面を有し、承認が必要な伝票を受信したときに、上記表示画面の一部に未裁伝票が受信されていることを自動的に表示する手段を有することを特徴とする請求項1記載の伝票承認システム。

 
【請求項2】

進歩性がない。

【請求項3】

上記第1入力部は、IDカ−ドの読み取り装置を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の伝票承認システム。

 
【請求項3】

進歩性がない。

【発明の詳細な説明】

【発明の属する技術分野】

この発明は、銀行などの窓口で用いられている伝票作成業務に関する。

【従来の技術】

銀行などの窓口で用いられている伝票作成において、従来は上司の承認が必要な高額の取引等は、上司の承認をもらい、伝票を作成していた。

【発明が解決しようとする課題】

上司の承認をもらうためには、一時的に席を立ち、上司のところに伝票を届ける等の作業が必要で、その間、事務ができなかった。特に上司が遠くにいる場合は、時間がかかることが多かった。

本発明は、わざわざ上司のところに行かずに承認を得られるコンピュータを用いたシステムを提供するものである。

また、表示画面に決裁すべき伝票が受信されたことを表示するので、いちいち操作をせずに、受信したことがわかる。

更に、ID(個人識別)カ−ドを用いて承認データを入力するので承認権限がある人のみが承認データを入力できるように構成できる。

【課題を解決するための手段】

(省略)

【発明の実施の形態】

(省略)

【実施例】

(省略)

【発明の効果】

このシステムを用いることにより、伝票の承認を得るために、仕事を中断することなく、能率的な伝票処理が行えるという従来技術に比べて顕著な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

(省略)

【図面】

【図1】伝票承認システムの構成図

構成図

<進歩性の審査>

(1)

進歩性判断の前提

(ⅰ)

発明の課題

事務処理をコンピュータ技術によりシステム化することは、普通に知られている一般的課題である。伝票承認処理も事務処理の一種であるから、これをシステム化しようとすることは、課題としてはごく一般的なものである。

(ⅱ)

当業者

この事例の発明の当業者は、伝票の事務処理に関する知識と、コンピュータ技術に関する知識を有する。

(ⅲ)

人間の行っている業務(伝票の事務処理)のシステム化

システムを開発する際の過程(システム分析→システム設計) を考慮して、人間が行っている業務のシステム化を行う際の進歩性を判断する。

公知のコンピュータ技術を用いて、通常のシステム開発手法により人間の行っている業務をシステム化することは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たるものと考えられる。

この事例の場合も、伝票の事務処理で行われていることをシステム分析し、その結果に基づいてシステム設計を行う、という立場から進歩性を有するかどうかの検討を行う。

(2)

技術水準(引用発明、周知技術等)

(Ⅰ)

通常の事務処理として行われていること

(ⅰ)

伝票作成者の行うこと

伝票作成のデータを伝票に書き込んで、伝票を作成する。

承認が必要なものを、承認をもらうため、承認者に手渡す。

伝票を承認者から受け取り、伝票作成を終了する。

(ⅱ)

承認者の行うこと

伝票作成者から伝票を受け取る。

伝票作成者から受け取った伝票を調べ、承認を与える。

承認した伝票を作成者に手渡す。

(Ⅱ)

コンピュータ技術

(ⅰ)

コンピュータ分野の技術常識

(a)各人毎に入力部、出力部を有するコンピュータを配置し、それを通信制御部を介して通信回線で接続して、必要なデータを送受信する。

(b)コンピュータでデータを編集し必要な書類のフォ−マット形式に表示又は印刷する。

(c)受信したデータがあれば、その旨画面表示する。

(d)ID(個人識別)カ−ドで自分のIDコ−ドを入れ、処理を行う。

(ⅱ)

出願前に頒布された刊行物に記載された技術

(e)入力されたデータをチェックして送信が必要なもののみを送信する。

(3)

具体的な判断

システム分析により抽出された伝票承認処理事務における伝票作成及び承認に必要な機能をもとに、コンピュータ技術を用いて伝票承認処理をシステム化することが、当業者にとって容易であったかどうか、という観点から検討する。

(ⅰ)

【請求項1】に係る発明について

(イ)

伝票を作成するために、データの入力部と出力部が必要なこと、及び承認を要する伝票データを上司に送るために通信手段が必要なことは、上記伝票作成の事務処理の分析で明らかである。

同様のことは、伝票を承認する場合も必要である。

したがって、上記コンピュータ技術(a)から、

「伝票のデータを入力するための第1入力部、該第1入力部に入力されたデータに基づいて当該入力された伝票を表示及び印字する第1出力部、第1通信制御部及び全体を制御する第1制御部を有する伝票入力作成装置と、

伝票を表示する第2出力部、承認データの第2入力部、第2通信制御部及び全体を制御する第2制御部を有する伝票承認装置とからなる伝票承認システム」

として、ハ−ドウエア資源を選択してシステムを構成することは、当業者が日常的なシステム設計手法を用いて行える程度のことである。

(ロ)

各制御部で行っている、

「第1入力部から伝票の各項目のデータを取り入れて、取り入れた伝票の各項目をチェックし、承認が必要な伝票のデータを第1通信制御部から伝票承認装置に伝送し、該伝票承認装置から伝送されてくる承認された伝票のデータを第1通信制御部を介して受け取り、第1出力部より出力する」こと、及び

「伝票入力作成装置から送られてきた承認が必要な伝票のデータを第2通信制御部から受信し、その受信した伝票データに基づいて当該伝票を表示出力し、承認するか承認しないかの承認データを第2入力部より入力し、その承認データを含む伝票のデータを第2通信制御部から伝票入力作成装置に伝送すること」、

はソフトウエアにより実現される内容であるが、これらは、伝票の事務処理の手順に上記のコンピュータ技術(a)(b)(e)を適用することにより、当業者が直ちに導き出すことができるものである。

上記(イ)、(ロ)の考察から、請求項1に係る発明のような伝票承認システムとすることは、システム分析の結果に上記コンピュータ技術(a)(b)(e)を適用することにより、当業者が容易になし得ることである。

(ⅱ)

【請求項2】及び【請求項3】に係る発明について

受信したデータがあれば、その旨画面表示すること、及びIDカ−ドで自分のIDコ−ドを入れ、処理を行うことは、上記コンピュータ分野の技術常識(c)(d)に示したように、システム化の際の常套手段であるから、未裁伝票があるときにこれを表示する手段を設けたり、入力部にIDカ−ド読み取り装置を付加することは、当業者が必要に応じてなし得ることである。

なお、出願人は明細書において、この発明は顕著な効果を奏する旨主張しているが、主張の効果は、コンピュータを使用したことに伴う当然の効果(効率向上)に過ぎないものと認められ、他に、この発明の進歩性の存在を推認できる事実はない。

以上のとおりであるから、【請求項1】、【請求項2】、【請求項3】に係る発明は、上記(Ⅰ)(Ⅱ)の公知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

事例3-3ポイントサービス方法(ビジネス分野)

(人間が行っている業務のシステム化、及び公知の事実又は慣習に基づく設計上の変更が容易なもの)

【発明の名称】

ポイントサービス方法

【特許請求の範囲】

【請求項1】

インターネット上の店で商品を購入した金額に応じてサービスポイントを与えるサービス方法において、

贈与するサービスポイントの量と贈与先の名前がインターネットを介してサーバーに入力されるステップ、

サーバーが、贈与先の名前に基づいて顧客リスト記憶手段に記憶された贈与先の電子メールアドレスを取得するステップ、

サーバーが、前記贈与するサービスポイントの量を、顧客リスト記憶手段に記憶された贈与先のサービスポイントに加算するステップ、及び

サーバーが、サービスポイントが贈与されたことを贈与先の電子メールアドレスを用いて電子メールにて贈与先に通知するステップとからなるポイントサービス方法。

 
【請求項1】

進歩性がない。

【請求項2】

前記商品購入金額には、商品の対価、取扱手数料及び消費税が含まれることを特徴とする請求項1のサービス方法。

 
【請求項2】

進歩性がない。

【請求項3】

前記商品購入金額に応じて与えられるポイントは、20回の購入につき1回の割合で10倍のポイントが与えられることを特徴とする請求項1のサービス方法。

 
【請求項3】

進歩性がない。

【請求項4】

サーバーが、商品名と交換ポイントが対応付けて記憶された商品リスト記憶手段から、加算後の贈与先のポイント以下の交換ポイントを有する商品名を検索して商品リストのファイルを作成し、当該商品リストのファイルを前記電子メールの添付ファイルとして贈与先に送付することを特徴とする請求項1のサービス方法。

 
【請求項4】

進歩性がある。

【発明の詳細な説明】

【発明の属する技術分野】

この発明は、インターネット上の店で用いるポイントサービス方法に関する。

【従来の技術】

従来から顧客の購入金額に応じて(例えば一定の割合の)サービスポイントを与え、たまったサービスポイントの量に応じて商品、商品券、金銭等に引き換えるというサービスを行われている。

【発明が解決しようとする課題】

従来のポイントサービス方法は、顧客管理等の問題から、インターネット上の取引では実現されていなかった。また、同様の問題からサービスポイントは顧客本人しか使うことができず、例え家族であってもサービスポイントを他に譲渡したりすることができなかった。

【課題を解決するための手段】

この発明は、インターネット上の取引においてポイントサービスを実現するために、インターネット上の店が有するサーバーに顧客リスト(少なくとも、顧客名、累積サービスポイント、顧客の電子メールアドレスからなる)を記憶したデータベースを設けることにより顧客毎のサービスポイントを管理し、顧客がインターネット上で商品を購入することに応じてサービスポイントを加算するよう構成されている。

また、顧客が、他の顧客にサービスポイントを贈与したい場合は、電子メールにて贈与先の名前と贈与ポイントを前記サーバーに通知することにより、サーバーが贈与先の名前から顧客リストデータベースを検索して贈与されたサービスポイントを加算すると共に電子メールアドレスを取り出し、自動的に贈与先にサービスポイントが贈与されたことを通知するよう構成されている。

この発明は以下のような変形が可能である。

第1に、請求項2に係る発明のように、サービスポイントが、商品の対価のみならず取扱手数料、消費税をも含む金額から算出されるようにしてもよい。

第2に、請求項3に係る発明のように、リピーターを増やすために、一定の割合で(例えば、20回に1回)、与えるサービスポイントを10倍にするようにしてもよい。そのために、例えば、顧客リスト記憶手段にこれまで何回購入したかを記憶するフィールドを設ける。

第3に、請求項4に係る発明のように、サーバーに、累積サービスポイントと該累積サービスポイントと交換可能な商品とを対応づけた商品リスト記憶手段を設け、商品の購入により累積サービスポイントが増えた際、サーバーが累積サービスポイントに応じて交換可能な商品を前記商品リスト記憶手段から検索し、自動的に商品リストを作成して顧客に電子メールで送付することによりサービスをいっそう充実することができる。具体的には、前記商品リスト記憶手段は、図4のように商品名と交換ポイントとが対応付けて記憶されるよう構成される。サーバーは、ある顧客の累計サービスポイントが増加すると、当該累計サービスポイント以下の交換ポイントを有する商品名を自動的に商品リスト記憶手段から検索し、適当なフォーマットに変換して商品リストのファイルを作成する。当該商品リストのファイルは、当該顧客に対して電子メールの添付ファイルとして送付される。このような機能をサーバーに付加することにより、他の顧客にサービスポイントを贈与した場合も他の顧客の累積サービスポイントが増えるため、他の顧客にも商品リストのファイルが送付される。

【発明の実施の形態】

(省略)

【実施例】

(省略)

【発明の効果】

このポイントサービス方法によりインターネット上の取引においても顧客に対するポイントサービスが容易に実施できるようになった。また、サービスポイントを他者に贈与することができるためサービスポイントの使用価値が大きくなった。更に、20回に1回の割合でサービスを10倍にすることから顧客の購買意欲をかき立てると共に、顧客にとってもインターネット上での商品購入に楽しみが増えることとなった。

【図面の簡単な説明】

(省略)

【図面】

【図1】システム構成

構成

【図2】顧客リスト記憶手段の構成

 
顧客名認証情報電子メールアドレスポイント購入回数
××△A@efg.com100
××□B@hij.com20010
××○C@klm.com50015

【図3】第2の実施例

構成

【図4】商品リスト記憶手段の構成

 
商品名交換ポイント
商品130
商品2120
商品3210
商品4300

<進歩性の審査>

(1)

進歩性判断の前提

(ⅰ)

発明の課題

商取引をコンピュータ技術(特にインターネット技術)によりシステム化することは、普通に知られている一般的課題である。ポイントサービスも商取引におけるサービスの一種であるから、これをシステム化しようとすることは、課題としてはごく一般的なものである。

(ⅱ)

当業者

この事例の発明の当業者は、商取引(特にポイントサービス)に関する知識と、コンピュータ技術に関する知識を有する。

(ⅲ)

人間の行っている業務(商取引)のシステム化商取引(特にポイントサービス)で行われていることをシステム分析し、その結果に基づいてシステム設計を行う、という立場から進歩性を有するかどうかの判断を行う。

(2)

技術水準(引用発明、周知技術等)

(Ⅰ)

引用発明

以下の発明が出願前に公知であった。

引用発明1:

店で商品を購入した金額に応じてポイントを与えるサービス方法において、

贈与するポイントの量と贈与先の名前を指定されたことに応じて、

贈与先の名前に基づいて顧客リストに記載された贈与先の住所を取得するステップ、

前記ポイントの量を、顧客リスト記載された贈与先のポイントに加算するステップ、及び

サービスポイントが贈与されたことを通知するはがきを贈与先の住所に郵送するステップ、

とからなるサービス方法。

引用発明2:

サービスポイントが税金、手数料込みの購入金額により算出されるポイントサービス方法。

ただし、20回の購入につき1回の割合でポイントが10倍になることは記載されていない。

(Ⅱ)

商取引として通常行われていること

お得意様に特別なサービスを行うこと。例えば、時々おまけをしたり割引をすること。

(Ⅲ)

コンピュータ技術

(ⅰ)

コンピュータ一般の知識

(a)

データベースに情報を一括管理し、必要な情報を検索、抽出する。

(ⅱ)

インターネットに関する技術知識

(b)

ネットワークを介して端末(サーバーを含む)間で通信を行う。

(c)

電子メールを用いて意志の疎通を図る。また、必要な情報を電子メールの添付ファイルとして送付する。

(3)

具体的な判断

(ⅰ)

【請求項1】に係る発明について

【請求項1】に係る発明と引用発明1とを対比すると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

(一致点)

店で商品を購入した金額に応じてポイントを与えるサービス方法において、贈与するポイントの量と贈与先の名前を指定されたことに応じ、贈与先の名前に基づいて顧客リストから贈与先に関する情報を取得するステップ、前記ポイントの量を、顧客リスト記載された贈与先のポイントに加算するステップ、サービスポイントが贈与されたことを贈与先に通知するステップとからなるサービス方法。

(相違点)

【請求項1】に係る発明では、店がインターネット上にあり、サーバー、電子メール、顧客リスト記憶手段といった手段を用いて上記一致点に係るポイントサービス方法をシステム化している点。

(相違点についての検討)

引用発明1のポイントサービス方法をインターネット上でシステム化する際に、コンピュータ技術に関する技術水準(a)を適用して、顧客リストを記憶・管理する手段として顧客リスト記憶手段とすること、インターネット技術に関する技術水準(b)を適用して、顧客と店とがインターネットを介して通信を行い、店員が行う処理を店が有する端末(すなわちサーバー)により自動的に処理するようにすること、及び、インターネット技術に関する技術水準(c)を適用して、サービスポイント贈与の通知をはがきによる郵送に替えて電子メールによる通知にすることは、当業者が日常的なシステム設計手法を用いて行える程度のことである。

(結論)

【請求項1】に係る発明は、引用発明1に係る人間の行っている業務を、コンピュータ技術の技術水準を用いて通常のシステム開発手法によりシステム化したに過ぎないから、当業者が容易に発明できたものである。

(ⅱ)

【請求項2】に係る発明について

【請求項2】に係る発明と引用発明1とを対比すると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

(一致点)

店で商品を購入した金額に応じてポイントを与えるサービス方法において、贈与するポイントの量と贈与先の名前を指定されたことに応じ、贈与先の名前に基づいて顧客リストから贈与先に関する情報を取得するステップ、前記ポイントの量を、顧客リスト記載された贈与先のポイントに加算するステップ、サービスポイントが贈与されたことを贈与先に通知するステップとからなるサービス方法。

(相違点)

1.

【請求項2】に係る発明では、店がインターネット上にあり、サーバー、電子メール、顧客リスト記憶手段といった手段を用いて上記一致点に係るポイントサービス方法をシステム化している点。

2.

ポイントサービスの算出方法として、【請求項2】に係る発明では、消費税、手数料込みの購入金額により算出される点。

(相違点についての検討)

a.

相違点1について

(【請求項1】と同じ)引用発明1のポイントサービス方法をインターネット上でシステム化する際に、コンピュータ技術に関する技術水準(a)を適用して、顧客リストを記憶・管理する手段として顧客リスト記憶手段とすること、インターネット技術に関する技術水準(b)を適用して、顧客と店とがインターネットを介して通信を行い、店員が行う処理を店が有する端末(すなわちサーバー)により自動的に処理するようにすること、及び、インターネット技術に関する技術水準(c)を適用して、サービスポイント贈与の通知をはがきによる郵送に替えて電子メールによる通知にすることは、当業者が日常的なシステム設計手法を用いて行える程度のことである。

b.

相違点2についてサービスポイントが消費税、手数料込みの購入金額により算出されることは引用発明2により公知であるから、引用発明1に係るサービスポイントの算出方法を引用発明2の手法に限定することに格別な困難性はない。

(結論)

【請求項2】に係る発明は、引用発明1に係る人間の行っている業務をコンピュータ技術の技術水準を用いて通常のシステム開発手法によりシステム化すること、及び、引用発明1に係るサービスポイントの算出方法を引用発明2の手法に限定することにより、当業者が容易に発明できたものである。

(ⅲ)

【請求項3】について【請求項3】に係る発明と引用発明1とを対比すると、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

(一致点)

店で商品を購入した金額に応じてポイントを与えるサービス方法において、贈与するポイントの量と贈与先の名前を指定されたことに応じ、贈与先の名前に基づいて顧客リストから贈与先に関する情報を取得するステップ、前記ポイントの量を、顧客リスト記載された贈与先のポイントに加算するステップ、サービスポイントが贈与されたことを贈与先に通知するステップとからなるサービス方法。

(相違点)

1.

【請求項3】に係る発明では、店がインターネット上にあり、サーバー、電子メール、顧客リスト記憶手段といった手段を用いて上記一致点に係るポイントサービス方法をシステム化している点。

2.

【請求項3】に係る発明では、商品購入金額に応じて与えられるポイントが、20回の購入につき1回の割合で10倍のポイントが与えられる点。

(相違点についての検討)

a.

相違点1について

(【請求項1】と同じ)引用発明1のポイントサービス方法をインターネット上でシステム化する際に、コンピュータ技術に関する技術水準(a)を適用して、顧客リストを記憶・管理する手段として顧客リスト記憶手段とすること、インターネット技術に関する技術水準(b)を適用して、顧客と店とがインターネットを介して通信を行い、店員が行う処理を店が有する端末(すなわちサーバー)により自動的に処理するようにすること、及び、インターネット技術に関する技術水準(c)を適用して、サービスポイント贈与の通知をはがきによる郵送に替えて電子メールによる通知にすることは、当業者が日常的なシステム設計手法を用いて行える程度のことである。

b.

相違点2について

お得意様に特別なサービスを行うことは商取引として通常行われていることである(技術水準(Ⅱ)参照)から、ポイントサービス方法において、お得意様にだけ特別なポイントを与えるようにすることは当業者ならば容易に想到し得ることである。ここで、何回、あるいはどのような割合で特別なポイントを与えるかは適宜取決めるべき性格のものであるから、当業者が必要に応じて定める設計事項に過ぎない。したがって、引用発明1のポイントサービス方法において、20回の購入に1回の割合でサービスポイントを10倍にするような特別なサービスを付加することは当業者が容易に想到し得た程度である。

(結論)

【請求項3】に係る発明は、引用発明1に係る人間の行っている業務をコンピュータ技術の技術水準を用いて通常のシステム開発手法によりシステム化すること、及び、商慣行を勘案して引用発明1に係るサービスポイント方法に20回の購入に1回の割合でサービスポイントを10倍にする特別なサービスを付加することにより、当業者が容易に発明できたものである。

(ⅳ)

【請求項4】について

【請求項4】に係る発明は、【請求項1】に係る発明に、商品名と交換ポイントが対応付けて記憶された商品リスト記憶手段から、加算後の贈答先のポイント以下の交換ポイントを有する商品名を検索して商品リストのファイルを作成し、当該商品リストのファイルを前記電子メールの添付ファイルとして贈答先に送付する点が付加されたものであるが、当該事項は何れの引用発明又は周知技術等から導き出すことができないので当業者が容易に発明できたものではない。

「コンピュータ・ソフトウエア関連発明」の適用時期について

平成13年1月10日以降の出願(注1)のみに適用される部分

1.明細書の記載要件のうち、「プログラム」クレームに関する部分

1.1.1(2)(b)

1.1.2(1)

1.1.3例2

3.事例における「プログラム」クレームの例

(注1)「平成13年1月10日以降の出願」には、原出願の出願日が平成13年1月10日以降の分割出願、原出願の出願日が平成13年1月10日以降の変更出願、及び優先権主張(パリ条約による優先権主張、パリ条約の例による優先権主張、及び、特許出願に基づく優先権主張(いわゆる国内優先)を伴う平成13年1月10日以降の出願を含む。

平成9年4月1日以降の出願(注2)のみに適用される部分

1.明細書の記載要件のうち、「記録媒体」クレームに関する部分

1.1.1(2)(a)

2.特許要件

2.2「発明」であること

3.事例における「記録媒体」クレームの例

(注2)「平成9年4月1日以降の出願」には、原出願の出願日が平成9年4月1日以降の分割出願、原出願の出願日が平成9年4月1日以降の変更出願、及び優先権主張(パリ条約による優先権主張、パリ条約の例による優先権主張、及び、特許出願に基づく優先権主張(いわゆる国内優先)を伴う平成9年4月1日以降の出願を含む。