第I部 一般及び組織に関する規定
第I章 一般規定
第1条 特許の付与に関する欧州法
発明の特許の付与について,締約国間に共通の法体系がここに創設される。
第2条 欧州特許
(1) 本条約により付与される特許は,欧州特許と呼ばれる。
(2) 欧州特許は,本条約に別段の定めがある場合を除くほか,その特許が与えられるそれぞれの締約国において,当該国により付与された国内特許と同一の効力を有するものとし,かつ,同一の条件に服する。
第3条 地域的効力
欧州特許の付与は,1又は2以上の締約国について求めることができる。
第4条 欧州特許機構
(1) 欧州特許機構(以下「機構」という。)は,本条約により創設される。機構は,管理上及び財政上の自治権を有する。
(2) 当該機構の機関は,次のとおりである。
(a) 欧州特許庁
(b) 管理理事会
(3) 機構の任務は,欧州特許を付与することにある。この任務は,管理理事会によって監督される欧州特許庁が遂行する。
第4a条 締約国の大臣による会議
特許に関する事項について責任を有する各締約国の大臣による会議は,機構及び欧州特許制度に関する諸問題を討議するために,少なくとも5年ごとに会合する。
第II章 欧州特許機構
第5条 法的地位
(1) 機構は,法人格を有する。
(2) 各締約国において,機構は,当該締約国の国内法の下で法人に対して与えられる,最も広範な法的資格を有する。機構は,特に動産及び不動産を取得し,又はその処分をすることができ,かつ,法的手続の当事者となることができる。
(3) 欧州特許庁の長官は,機構を代表する。
第6条 所在地
(1) 機構はミュンヘンに所在地を置く。
(2) 欧州特許庁は,ミュンヘンに設置され,欧州特許庁は,ヘーグにその支庁を定める。
第7条 欧州特許庁支局
管理理事会の決定により,欧州特許庁の支局は,必要な場合は,情報及び連絡のために,締約国内及び産業財産の分野における政府間機関内に,当該締約国又は当該政府間機関の承認を条件として,設置することができる。
第8条 特権及び免責
本条約に付属する特権及び免責に関する議定書には,機構,管理理事会の構成員,欧州特許庁の職員及び機構の業務に参加するものとして当該議定書に特定されたその他の者が,その職務の遂行に必要な特権及び免責を各締約国の領土において享受する諸条件を明示する。
第9条 責任
(1) 機構の契約上の責任は,当該契約に適用される法律により定められる。
(2) 機構又は欧州特許庁の職員がその職務の遂行中に与えた損害に関する機構の非契約上の責任は,ドイツ連邦共和国の法律の規定により定められる。損害がヘーグの支庁,又は支局又はこれらに属する職員によりもたらされた場合は,その支庁又は支局のある締約国の法律の規定が適用される。
(3) 機構に対する欧州特許庁の職員の個人的責任は,服務規定又は雇用条件に定められる。
(4) (1)及び(2)の規定に基づく紛争を解決するために管轄権を有する裁判所は,次のとおりとする。
(a) (1)の規定に基づく紛争に関しては,ドイツ連邦共和国において管轄権を有する裁判所。ただし,当事者間で締結された契約が他の締約国の裁判所を指定する場合は,この限りでない。
(b) (2)の規定に基づく紛争に関しては,ドイツ連邦共和国において管轄権を有する裁判所又は当該支庁若しくは支局のある締約国において管轄権を有する裁判所。
第III章 欧州特許庁
第10条 指揮
(1) 欧州特許庁は,欧州特許庁の活動に関して管理理事会に対して責任を負う長官により指揮される。
(2) この目的のために,長官は,特に次の職務及び権限を有する。
(a) 長官は,欧州特許庁の機能を保障するため,内部管理通達の採択及び公衆のために手引書の発行を含むすべての必要な処置をとる。
(b) この点に関して本条約に定めのない限り,長官は,ミュンヘンの欧州特許庁及びヘーグの支庁においてそれぞれ処理されるべき業務を定める。
(c) 長官は,本条約改正の提案並びに管理理事会の管轄に属する一般的規則又は決定の提案を管理理事会に対し提出することができる。
(d) 長官は,予算及び補正予算又は追加予算を作成し及び履行する。
(e) 長官は,毎年運営報告書を管理理事会に提出する。
(f) 長官は,職員に対し監督上の権限を行使する。
(g) 第11条の規定に従い,長官は,職員を任命し及び昇進させる。
(h) 長官は,第11条に規定する者以外の職員に対し懲戒権を行使し,又第11条(2)及び(3)に規定する職員に対し,管理理事会に懲戒処分を提案することができる。
(i) 長官は,自己の職務及び権限を委任することができる。
(3) 長官は,数人の副長官によって補佐される。長官が不在又はその職務執行不能の場合は,副長官の1人は,管理理事会の定める手続に従い,長官を代行する。
第11条 上級職員の任命
(1) 欧州特許庁の長官は管理理事会により任命される。
(2) 副長官は,長官の意見を求めた後,管理理事会により任命される。
(3) 審判部及び拡大審判部の構成員は,審判長を含み,欧州特許庁長官の提案に基づいて,管理理事会により任命される。これらの構成員は,欧州特許庁長官の意見を求めた後,管理理事会により再任されることができる。
(4) 管理理事会は,(1)から(3)までに規定する職員に対して懲戒権を行使する。
(5) 管理理事会は,欧州特許庁長官と協議の上,締約国の国内裁判所又は準司法機関の法的資格を有する者を拡大審判部の構成員として任命することもでき,これらの者は,各国における司法活動も継続して行うことができる。これらの者は,3年の任期で任命され,再任されることができる。
第12条 職務上の義務
欧州特許庁の職員は,その雇用が終了した後においても,その性質上職務秘密である情報を開示し又は利用しない義務を負う。
第13条 機構と欧州特許庁職員との間の紛争
(1) 欧州特許庁の職員及び元職員であった者又はこれらの者の承継人は,欧州特許機構と紛争がある場合は,国際労働機関の行政裁判所に対し,この裁判所規則に従い,常勤職員のための勤務規則若しくは年金計画規則に定める条件,又はその他の職員の雇用条件に基づく条件の範囲内で,当該条件に従って,訴を提起することができる。
(2) 上訴は,当事者が,場合に応じ,勤務規則,年金計画規則又は雇用条件に基づき利用することのできるその他の不服申立手段を行使し尽くした場合においてのみ,認められる。
第14条 欧州特許庁,欧州特許出願及びその他の書類の言語
(1) 欧州特許庁の公用語は,英語,フランス語及びドイツ語とする。
(2) 欧州特許出願は,これらの公用語のうちの何れか1つの言語で提出するものとし,又は,他の言語でされた場合は,施行規則に従って何れか1つの公用語に翻訳する。欧州特許庁における手続を通して,その翻訳文は,出願時の原文に一致させることができる。要求されている翻訳文が所定の期間内に提出されなかった場合は,出願は取り下げられたものとみなす。
(3) 施行規則に別段の定めがある場合を除くほか,欧州特許出願がされたときの欧州特許庁の公用語又は欧州特許出願が翻訳されたときの欧州特許庁の公用語は,欧州特許庁におけるすべての手続において手続語として用いる。
(4) 英語,フランス語又はドイツ語以外の言語を公用語とする締約国に住所又は営業の本拠地を有する自然人又は法人,並びに外国に居住する当該締約国の国民は,当該締約国の公用語で,期間内に提出しなければならない書類を提出することができる。ただし,施行規則に従い欧州特許庁の公用語による翻訳文を提出する。欧州特許出願を構成する書類以外の書類が規定されている言語で提出されなかった場合又は要求された翻訳文が期間内に提出されなかった場合は,当該書類は,提出されなかったものとみなす。
(5) 欧州特許出願は,手続言語で公開する。
(6) 欧州特許の明細書は,手続言語で公開するものとし,この明細書は,欧州特許庁の他の2つの公用語によるクレームの翻訳文を含む。
(7) 次のものは,欧州特許庁の3の公用語で発行する。
(a) 欧州特許公報
(b) 欧州特許庁公報
(8) 欧州特許登録簿の登録は,欧州特許庁の3の公用語で行う。疑義のある場合は,手続語による登録を真正なものとする。
第15条 手続を担当する部課
本条約に規定する手続を行うために,欧州特許庁内に次の部課を設置する。
(a) 受理課
(b) 調査部
(c) 審査部
(d) 異議部
(e) 法規部
(f) 審判部
(g) 拡大審判部
第16条 受理課
受理課は,出願時の審査及び欧州特許出願の方式要件に関する審査について責任を有する。
第17条 調査部
調査部は,欧州調査報告を作成する責任を有する。
第18条 審査部
(1) 審査部は,欧州特許出願を審査する責任を有する。
(2) 各審査部は,3名の技術審査官によって構成される。ただし,決定が確定する前の欧州特許出願審査は,原則として,その審査部の1名の審査官に委任される。口頭審理は,審査部自体で行われる。審査部が決定の性質上必要であると認める場合は,審査部は,1名の法律審査官を加えて拡大される。可否が同数の場合は,審査長の票を以って決定する。
第19条 異議部
(1) 異議部は,欧州特許出願のすべての欧州特許に対する異議申立を審査する責任を有する。
(2) 異議部は,3名の技術審査官で構成され,その中で少なくとも2名は異議が申し立てられた欧州特許の付与手続に関与した者であってはならない。欧州特許付与手続に関与した審査官は,審査長であってはならない。異議申立に対する最終決定の前は,異議部は,その構成員の1名に異議申立の審査を委任することができる。口頭審理は,異議部自体で行う。異議部が決定の性質上必要であると認める場合,異議部は,当該特許の付与手続に関与しなかった法律審査官1名を加えて拡大する。可否が同数の場合は,審査長の票を以って決定する。
第20条 法規部
(1) 法規部は,欧州特許の登録簿への登録並びに職業代理人名簿への登録及びその抹消に関する決定につき責任を有する。
(2) 法規部の決定は,1名の法律構成員によってされる。
第21条 審判部
(1) 審判部は,受理課,審査部,異議部及び法規部の決定に対する審判の審理をする責任を有する。
(2) 受理課又は法規部の決定に対する審判に関しては,審判部は,3名の法律構成員で構成される。
(3) 審査部の決定に対する審判に関しては,審判部は,次の者で構成される。
(a) 決定が欧州特許出願の拒絶又は欧州特許の付与,縮減若しくは取消に関するもので,かつ,4名未満の構成員からなる審査部によってされた場合は,2名の技術構成員及び1名の法律構成員
(b) 決定が4名の構成員からなる審査部によってされた場合又は審判部が審判の性質上必要であると認める場合は,3名の技術構成員及び2名の法律構成員
(c) その他のすべての場合は,3名の法律構成員
(4) 異議部の決定に対する審判に関しては,審判部は次の者で構成される。
(a) 決定が3名の構成員からなる異議部によってされた場合は,2名の技術構成員及び1名の法律構成員
(b) 決定が4名の構成員からなる異議部によってされた場合又は審判部が審判の性質上必要であると認める場合は,3名の技術構成員及び2名の法律構成員
第22条 拡大審判部
(1) 拡大審判部は,次の事項について責任を有する。
(a) 審判部によって付託された法律の問題点を解決すること
(b) 第112条の規定に基づく欧州特許庁長官により付託された法律の問題点に関して意見を述べること
(c) 第112a条に基づく審判部の決定の検討のための申請に関して決定すること
(2) (1)(a)及び(b)の規定に基づく手続については,拡大審判部は,5名の法律構成員及び2名の技術構成員で構成される。(1)(c)の規定に基づく手続については,拡大審判部は,施行規則に定める3名又は5名で構成される。すべての手続において法律構成員が審判長となる。
第23条 審判部構成員の独立
(1) 拡大審判部及び審判部の構成員は,5年の任期で任命され,この期間中は罷免されない。ただし,罷免についての重大な理由があり,かつ,管理理事会が拡大審判部の提案に基づき罷免すべき決定をした場合を除く。欧州特許庁の常勤職員に関する職務規則に従い辞職し又は退職する場合は,第1文の規定に拘らず審判部の構成員の職務期間は終了する。
(2) 審判部の構成員は,受理課,審査部,異議部又は法規部の構成員であってはならない。
(3) 決定に関して審判部の構成員は,如何なる指令にも拘束されず,本条約の規定にのみ従う。
(4) 審判部及び拡大審判部の手続規則は,施行規則の規定に従って定められる。手続規則は,管理理事会の承認に服する。
第24条 除斥及び忌避
(1) 審判部又は拡大審判部の構成員は,事件について個人的な利害関係を有する場合,当事者の一方の代理人として前審に関与した場合,又は審判が請求された決定に関与した場合には,如何なる審判にも加わることができない。
(2) (1)に規定する理由の1で,又はその他の理由で審判部又は拡大審判部の構成員が審判に加わるべきでないと認める場合は,構成員は,審判部にその旨を通知する。
(3) (1)に規定する理由の1に基づき又は不公正を疑われる場合は,審判部又は拡大審判部の構成員は,如何なる当事者によっても忌避することができる。忌避は,忌避の理由を知りながら当事者が手続に加わった場合は,認められない。忌避は,構成員の国籍を理由に申立をすることができない。
(4) 審判部及び拡大審判部は,関係する構成員の関与なしに,(2)及び(3)に規定する場合にとるべき措置を決定する。この決定については,忌避された構成員は,代理構成員に代えられる。
第25条 技術的意見
侵害訴訟又は取消訴訟を審理する国内管轄裁判所の請求に基づき,欧州特許庁は,適当な手数料の支払があれば,訴訟の対象である欧州特許に関する技術的意見を述べる義務を負う。審査部は,その技術的意見を述べる責任を有する。
第IV章 管理理事会
第26条 構成
(1) 管理理事会は,締約国の代表及び代表代理で構成する。各締約国は,管理理事会に対し1人の代表及び1人の代表代理を選任する資格を有する。
(2) 管理理事会の構成員は,その手続規則の規定に従って,顧問又は専門家の補佐を受けることができる。
第27条 会長職
(1) 管理理事会は,締約国の代表及び代表代理の中から,1人の会長及び1人の副会長を選任する。副会長は,会長がその職務の執行を妨げられる場合は,職権により会長に代わる。
(2) 会長及び副会長の任期は3年とする。この任期は,更新することができる。
第28条 委員会
(1) 少なくとも締約国が8国ある場合は,管理理事会は,その構成国のうち5国で構成される委員会を設置することができる。
(2) 管理理事会の会長及び副会長は,職権により委員会の構成員となる。他の3人の構成員は,管理理事会によって選出される。
(3) 管理理事会によって選出された構成員の任期は3年とする。この任期は,更新することができない。
(4) 委員会は,手続規則に従って管理理事会により与えられる任務を遂行する。
第29条 会議
(1) 管理理事会の会議は,その会長により招集される。
(2) 欧州特許庁長官は,管理理事会の審議に加わる。
(3) 管理理事会は,毎年1回通常会議を開く。更に,管理理事会は,会長の発意又は締約国の3分の1の要請により会合する。
(4) 管理理事会の審議は,議事日程に基づくものとし,その手続規則に従って開かれる。
(5) 議事日程予定には,手続規則に従い締約国が請求した問題をすべて含める。
第30条 オブザーバーの出席
(1) 世界知的財産機関は,欧州特許機構と世界知的財産機関との間に締結された合意の定めに従い,管理理事会の会議に代表を出す。
(2) 特許の分野の国際的手続実務を担当し,かつ,機構が合意を締結したその他の政府間機関は,当該合意に含まれる規定に従い,管理理事会の会議に代表を出す。
(3) 管理理事会は,機構に関心のある活動を遂行するその他の政府間機関及び国際的な非政府機関に対し,相互に関心のある事項の討議の間その会議に代表を出すよう求めることができる。
第31条 管理理事会の言語
(1) 管理理事会の審議において使用する言語は,英語,フランス語及びドイツ語とする。
(2) 管理理事会に提出される文書及びその審議の議事録は,(1)にいう3の言語で作成する。
第32条 職員,敷地建物及び備品
欧州特許庁は,管理理事会及びそれにより設立された機関に,その職務を遂行するために必要な職員,敷地建物及び備品を提供する。
第33条 若干の事例における管理理事会の権限
(1) 管理理事会は,次の規定を改正する権限を有する。
(a) 本条約に規定する期間
(b) 特許に関する国際条約又は特許に関する欧州共同体の法令に整合させることを目的とした本条約の第II部から第VIII部まで及び第X部
(c) 実施規則
(2) 管理理事会は,本条約に従い,次の規定を採択し又は改正する権限を有する。
(a) 財務規則
(b) 欧州特許庁の常勤の職員の勤務規則及びその他の職員の雇用条件,常勤職員及びその他の職員の給与の等級及び補充的な給付の種類とこれを与えるための規則
(c) 年金計画規則及び給与の増額に適合させるための既存の年金の相当な増額
(d) 手数料に関する規則
(e) 管理理事会の手続規則
(3) 第18条(2)の規定に拘らず,管理理事会は,経験に照らし,若干の範疇の事例において審査部が1人の技術審査官によって構成されるものと決定する権限を有する。その決定は,取り消すことができる。
(4) 管理理事会は,国,政府間機関及び当該機関との取決めに基づいて設立された資料収集機関と交渉し,かつ管理理事会の承認を得て,欧州特許機構に代わり取決めを締結する権限を欧州特許庁長官に授権することができる。
(5) 管理理事会は,次の事項に関しては(1)(b)に規定する決定をしてはならない。
−発効する前の国際条約に関して
−発効する前,又は,施行期間が規定されている場合は,当該期間の満了前の欧州共同体の法令に関して
第34条 投票権
(1) 管理理事会において投票する権利は,締約国に限られる。
(2) 各締約国は,第36条の規定が適用されることを条件として,1の票を有する。
第35条 投票規則
(1) 管理理事会は,(2)及び(3)にいう議決を除き,代表を出しかつ投票する締約国の単純多数により議決をする。
(2) 管理理事会が第7条,第11条(1),第33条(1)(a)及び(c)並びに(2)から(4)まで,第39条(1),第40条(2)及び(4),第46条,第134a条,第149a条(2),第152条,第153条(7),第166条及び第172条に基づき行使する権限を有する決定については,代表を出し投票する締約国の4分の3の多数が必要とされる。
(3) 管理理事会が第33条(1)(b)に基づき行使する権限を有する決定については,投票する締約国の満場一致が要求される。管理理事会は,すべての締約国が代表を出したときのみ当該決定をすることができる。第33条(1)(b)に基づく決定は,その決定の日から12月以内に,締約国が当該決定に拘束される意思を有していないことを宣言した場合は,効力を生じない。
(4) 棄権は,投票とみなさない。
第36条 投票の累積
(1) 手数料に関する規則の採択又は改正,並びに,締約国による分担金がそれにより増加する場合は,機構の予算及び追加若しくは補正予算の採択に関し,何れの締約国も,各締約国が1票を有する第1回の投票の後に,かつ当該投票の結果の如何を問わず,第2回の投票が直ちに行われ,この投票においては(2)の規定に従い締約国に票が与えられるべき旨を要求することができる。決定は,この第2回の投票の結果に基づいて,定められる。
(2) 各締約国が第2回の投票において有すべき票数は,次のとおり計算する。
(a) 第40条(3)及び(4)の規定に従い,特別財政分担金の割合に関して各締約国について得られる百分率に締約国の数を乗じ,次に5で割る。
(b) この方法で得た票数は直ぐ上位の整数まで切り上げる。
(c) 追加の5票がこの数に加えられる。
(d) ただし,如何なる締約国も,30票を超える票を有することはできない。
第V章 財務規定
第37条 予算の財源
機構の予算は,次のものを財源とする。
(a) 機構の固有財源
(b) 締約国において徴収される欧州特許の更新手数料に関してこれらの締約国がする支払
(c) 必要な場合は,締約国による特別財政分担金
(d) 適当な場合は,第146条に規定する収入
(e) 適当な場合は,有形資産のみについて,土地又は建物を担保にした第三者からの借入金
(f) 適当な場合には,特定の事業に対する第三者の拠出金
第38条 機構の固有財源
機構の財源は,次のものから成る。
(a) 手数料及びその他の収入源からのすべての収入と機構の積立金
(b) 適当な積立金を供することにより機構の年金計画を支援するために機構資産の特別分類として取り扱われる年金積立基金
第39条 欧州特許の更新手数料に関する締約国の支払
(1) 各締約国は,当該国において欧州特許について受領するそれぞれの更新手数料に関し,管理理事会が決定する当該手数料の一定比率に等しい金額を機構に支払う。この比率は,75パーセントを超えてはならず,かつ,すべての締約国について同一とする。ただし,上記比率が管理理事会の決定する均一の最低額より低い場合は,その締約国は,この最低額を機構に支払う。
(2) 各締約国は,管理理事会において締約国の支払額を決定するために必要と認める情報を機構に通知する。
(3) これらの支払のための支払期日は,管理理事会が決定する。
(4) 支払期日までに支払が全額送金されない場合,締約国は,未支払の残額について支払期日からの利息を支払う。
第40条 手数料及び支払の基準―特別財政分担金
(1) 第38条に規定する手数料の額及び第39条に規定する比率は,これより生じる収入が機構の予算と十分に均衡がとれるように決定する。
(2) ただし,機構が(1)に定める条件の下にその予算の均衡を保つことができない場合は,締約国は,当該会計年度につき管理理事会が決定する額の特別財政分担金を機構に送金する。
(3) これらの特別財政分担金は,本条約施行の年の前々年に提出された特許出願の数に基づいて各締約国につき決定し,かつ,次の方法によって算出する。
(a) 当該締約国に提出された特許出願の数に比例して2分の1
(b) 当該締約国に住所又は営業の本拠地を有する自然人又は法人により,他の締約国に提出された特許出願の2番目の最高数に比例して2分の1
ただし,提出された特許出願数が2万5千件を超える諸国の分担金の額は,一括して考慮され,かつ,当該国に提出された特許出願の総数に比例して,新たな割合が作成され,決定される。
(4) 如何なる締約国についても,その分担金の割合が(3)の規定に従って確定することができない場合は,管理理事会は,当該国の同意を得てその割合位置を決定する。
(5) 第39条(3)及び(4)の規定は,特別財政分担金に準用する。
(6) 特別財政分担金は,すべての締約国にとって同じ率の利息と共に払い戻す。払戻しは,予算でこの目的のための措置をとることが可能である限りにおいて,行う。このようにして定められた金額は上記(3)及び(4)に規定する基準に従い,締約国に配分される。
(7) 何れの会計年度中に送金された特別財政分担金も,それに続く会計年度中に送金された特別財政分担金又はその一部が払い戻される前に,全額を払い戻す。
第41条 前納金
(1) 欧州特許庁長官の要請に基づき,締約国は,管理理事会が定める額の限度内において,その支払及び分担金のために機構に前納金を支払う。このような前納金は,当該会計年度において支払時期の到来する額に比例して,締約国に割り当てる。
(2) 第39条(3)及び(4)の規定は,前納金に準用する。
第42条 予算
(1) 機構の予算は,均衡を保つものとする。この予算は,財政規則に規定されている一般的に認知された会計原則に従って,作成する。必要な場合は,補正予算又は追加予算を組むことができる。
(2) 予算は,財務規則に定める計算の単位で作成する。
第43条 支出の承認
(1) 予算に計上される支出は,反対の規定が財務規則に含まれる場合を除くほか,1会計年度の期間中承認される。
(2) 財務規則に定める条件に従い,会計年度の終りにおいて支出されなかった人件費以外の支出は,翌年の会計年度に繰り越すことができるが,翌年の会計年度の最終日を超えてはならない。
(3) 支出は,その種類及び目的に従い異なる項目の下に記載され,かつ,必要な限り,財務規則に従い細別される。
第44条 予見し難い経費の支出
(1) 機構の予算は,予見し難い経費の支出を含むことができる。
(2) 機構によるこの支出の使用は,管理理事会の事前の承認を条件とする。
第45条 会計年度
会計年度は,1月1日に始まり12月31日に終了する。
第46条 予算の作成及び採択
(1) 欧州特許庁長官は,財務規則に定める日までに予算案を管理理事会に提出する。
(2) 予算及び如何なる補正予算又は追加予算も,管理理事会が採択する。
第47条 暫定予算
(1) 会計年度の初めに,予算が管理理事会により採択されなかった場合は,支出は,財務規則の定めるところにより,前会計年度の予算支出の12分の1まで,予算の項目又はその他の下位区分毎に月単位で実施することができる。ただし,このように欧州特許庁長官による実施が可能となる支出は,予算案に定める支出の12分の1を超えることができない。
(2) 管理理事会は,(1)に定めるその他の規定を遵守することを条件に,支出の12分の1を超える経費を承認することができる。
(3) 第37条(b)に規定する支払は,予算案が関係する年の前年について第39条の規定に基づき決定される条件の下に,暫定的に,継続して行う。
(4) 締約国は,暫定的に,及び第40条(3)及び(4)に定める割合に従い,上記(1)及び(2)の規定の実施を確保するために必要な特別財政分担金を毎月支払う。第39条(4)の規定は,この分担金に準用する。
第48条 予算の執行
(1) 欧州特許庁長官は,予算及び如何なる補正予算又は追加予算も,その責任において及び割り当てられた支出の範囲内で執行する。
(2) 予算の範囲内において,欧州特許庁長官は,財務規則に定める制限及び条件に従い,異なる項目又は下位項目の間で資金を移動することができる。
第49条 会計監査
(1) 機構の収支計算書及び貸借対照表は,更新又は延長可能な5年の任期で管理理事会により任命され,その独立性に全く疑いのない監査役が監査する。
(2) 証憑に基づき,及び必要な場合は,現場でなされる会計監査は,適法かつ正当な方法ですべての収入が受領されすべての支出がなされていること,かつ財務管理が健全であることを確認する。監査役は,各会計年度の終りに報告書を作成する。
(3) 欧州特許庁長官は,毎年,前会計年度の予算に関する計算書並びに機構の資産及び負債を明示した貸借対照表を,監査役の報告書と共に,管理理事会に提出する。
(4) 管理理事会は,監査役の報告書と共に年次計算書を承認し,かつ,欧州特許庁長官を予算の執行に関して免責する。
第50条 財務規則
財務規則は,特に,次の事項について規定する。
(a) 予算の作成及び執行並びに計算書の提出及び監査に関する手続
(b) 第37条に規定する支払金及び分担金並びに第41条に規定する前納金を締約国が機構の処分に提供する方法及び手続
(c) 承認及び会計担当職員の責任に関する規則並びにこれらの職員の監督に関する取決め
(d) 第39条,第40条及び第47条に規定する利息の率
(e) 第146条の規定により支払うべき分担金の計算方法
(f) 管理理事会により設置される予算・財務委員会の構成及びそれに与えられる職務
(g) 予算及び年次財務計算書の基礎となっている一般的に認知された会計原則
第51条 手数料
(1) 欧州特許庁は,本条約に基づき遂行される職務又は手続について手数料を徴収することができる。
(2) 本条約が定めた手数料以外の支払期間は,施行規則で定める。
(3) 施行規則が手数料を支払うべきことを規定している場合は,施行規則は,その手数料が期間内に支払われないことによる結果についても規定する。
(4) 料金に関する規則は,特に,支払うべき手数料の額及び支払方法を定める。
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