第III部 欧州特許出願
第I章 欧州特許出願の提出及びその要件
第75条 欧州特許出願の提出
(1) 欧州特許出願は,次の何れかに提出することができる。
(a) 欧州特許庁
(b) 締約国の法令が認め,かつ第76条(1)の規定に従うことを条件として,当該締約国の中央産業財産官庁又は締約国の他の管轄当局。この方法によって提出された出願は,同日に欧州特許庁に提出されたのと同一の効果を有する。
(2) (1)の規定は,各締約国において次の何れかについての立法規定又は規制規定を適用することを妨げない。
(a) その対象の性質上,当該締約国の管轄当局の事前の承認なしに外国に知らせることができない発明を規制するもの
(b) 各出願は,最初に国内当局に提出しなければならず,又は事前の承認を受けてから他の当局に直接出願することを規定するもの
第76条 欧州分割出願
(1) 欧州分割出願は,施行規則に従って欧州特許庁に直接提出する。欧州分割出願は,元の出願の出願時の内容を超えない対象についてのみ出願することができる。この要件を満たす限り,分割出願は,元の出願の出願日に提出されたものとみなされ,優先権の利益を享受する。
(2) 欧州分割出願の出願時に,先の出願において指定されているすべての締約国は,欧州分割出願においても指定されたものとみなす。
第77条 欧州特許出願の送付
(1) 締約国の中央産業財産官庁は,施行規則に従い,中央産業財産官庁又は当該国の他の管轄当局に出願された欧州特許出願を欧州特許庁に送付する。
(2) 対象が秘密とされる欧州特許出願は,欧州特許庁に送付してはならない。
(3) 所定の期間内に欧州特許庁に送付されなかった欧州特許出願は,取り下げられたものとみなす。
第78条 欧州特許出願の要件
(1) 欧州特許出願は,次のものを含むものとし,
(a) 欧州特許の付与を求める願書
(b) 明細書
(c) 1又は2以上のクレーム
(d) 明細書又はクレームで言及されている図面
(e) 要約
かつ,施行規則に定める条件を満たすものとする。
(2) 欧州特許出願については,出願手数料及び調査手数料を支払わなければならない。出願手数料又は調査手数料が支払期間内に支払われなかった場合は,その出願は,取り下げられたものとみなす。
第79条 締約国の指定
(1) 欧州特許出願の出願時において本条約のすべての締約国は,欧州特許の付与を求める願書において指定されたものとみなす。
(2) 締約国の指定については,指定手数料を支払わなければならない。指定手数料は,欧州特許公報に欧州調査報告の公開の旨が掲載された日から6月以内に支払わなければならない。
(3) 締約国の指定は,欧州特許が付与されるまでは,いつでも取り下げることができる。
第80条 出願日
欧州特許出願の出願日は,施行規則が定めた要件が満たされた日とする。
第81条 発明者の表示
欧州特許出願には,発明者を表示する。出願人が発明者でない場合又は単独の発明者でない場合は,表示には,欧州特許を受ける権利の発生を示す陳述を記載する。
第82条 発明の単一性
欧州特許出願は,1の発明又は単一の包括的発明概念を形成するように連関している一群の発明についてのみ行う。
第83条 発明の開示
欧州特許出願は,当該技術分野の専門家が実施することができる程度に明確かつ十分に,発明を開示しなければならない。
第84条 クレーム
クレームには,保護が求められている事項を明示する。クレームは,明確かつ簡潔に記載し,明細書により裏付けがされているものとする。
第85条 要約
要約は,技術情報としてのみ用いるものとし,他の目的のため,特に,求められている保護の範囲を解釈するため又は第54条(3)の規定を適用するために考慮に入れることができない。
第86条 欧州特許出願の更新手数料
(1) 欧州特許出願の更新手数料は,施行規則に従い,欧州特許庁に支払う。更新手数料は,出願日から起算して第3年及びそれに続く各年につき支払う。更新手数料が所定の期限までに支払われない場合は,出願は,取り下げられたものとみなす。
(2) 更新手数料の支払義務は,欧州特許の付与の告示があった年について支払うべき更新手数料の支払をもって消滅する。
第II章 優先権
第87条 優先権
(1) 次の何れかの国において又は何れかの国について,正規に特許出願,実用新案出願又は実用新案証の出願をした者又はその承継人は,同一の発明について欧州特許出願をすることに関し,最初の出願の日から12月の期間中優先権を有する。
(a) 産業財産の保護に関するパリ条約の締約国,又は
(b) 世界貿易機関の加盟国
(2) 出願がされた国の国内法又は本条約を含む2国間若しくは多国間の条約により正規の国内出願とされるすべての出願は,優先権を生じさせるものと認められる。
(3) 正規の国内出願とは,その出願の結果の如何を問わず,出願をした日を確定するに十分なすべての出願をいう。
(4) 最先の先の出願と同一の対象についてされた後の出願であって同一の国において又は同一の国についてされた出願は,後の出願の出願日において先の出願が公衆の閲覧に付されることなく,かつ,如何なる権利をも存続させることなく,取り下げられ,放棄され又は拒絶され,さらに優先権を主張するための基礎として用いられていないときは,優先権を決定するに際して最先の出願と認められる。先の出願は,その後優先権を主張するための基礎として用いることができない。
(5) 最先の出願が産業財産の保護に関するパリ条約又は世界貿易機関を設立するための協定に加入していない産業財産当局になされた場合,(1)から(4)までの規定は,当該当局が欧州特許庁長官が発出した通知に従い,かつ,欧州特許庁になされた最先の出願に対して,パリ条約に規定する条件と同等の条件の下に同等の効力を有する優先権を認める場合に限り適用する。
第88条 優先権主張
(1) 先の出願の優先権を利用しようとする出願人は,施行規則の定めるところにより,優先権の申立及びその他の必要書類を提出する。
(2) 複合優先権は,これらの優先権が異なる国で発生した場合であっても,1の欧州特許出願について主張することができる。適当な場合は,複合優先権を何れか1のクレームに対して主張することができる。複合優先権が主張される場合は,優先日から起算される期間は,最先の優先日から起算される。
(3) 1又は2以上の優先権が1の欧州特許出願に対して主張される場合は,優先権が及ぶのは,欧州特許出願の構成部分のうちその優先権が主張されている出願に含まれる部分のみである。
(4) 優先権が主張されている発明のある構成部分が先の出願において作成されているクレームに現れていない場合においても,先の出願の書類が全体的にみてその構成部分を具体的に開示している場合は,優先権を認めることができる。
第89条 優先権の効力
優先権は,第54条(2)及び(3)並びに第60条(2)の規定については,優先日が欧州特許出願の出願日とみなされる効力を有する。
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