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その他参考情報

第9部 実施義務及び強制ライセンス
第1章 実施義務
第83条
特許権者は,特許発明の実施が国内市場の需要を十分に満たす方法でスペイン国内又は世界貿易機関加盟国の地域にこれを導入することにより,特許権者自ら又は特許権者が権限を付与した者により当該特許発明を実施する義務を有する。
特許発明は,出願日から4年以内又は産業財産公報に特許の付与を公告した日から3年以内の何れか遅く満了する期間を自動的に適用して実施しなければならない。
第84条
(1) 特許権者は,所定の基準及び一般規則に合致し,かつ,関係団体が発行する公式証明書により産業財産登録庁に特許発明の実施を証明するものとする。
(2) 当該実施証明書は,発明を実施している産業施設で製造方法を検閲し,かつ,発明の対象が効果的に販売されている証拠に基づくものでなければならない。
(3) 前記証明書は,申請日後3月以内に発行するものとし,また,特許発明が実施されている旨を明示的に記述し,当該記述を裏付ける情報を含まなければならない。
(4) 実施証明書は産業財産登録庁に登録しなければならない。
第85条
産業財産登録庁に対し適切な証明書により特許発明を実施していることが証明された場合は,これに反する証拠がない限り,当該発明は第84条が求める方式で実施されているものと推定される。
第2章 強制ライセンス付与の要件
第86条
特定の特許が実施許諾用意の申出を対象としていない場合で次に述べる事態の何れか1つが生じた場合,強制ライセンスを付与することができる。
(a) 特許発明の実施を怠るか又は実施が不十分である事態
(b) 輸出の必要性がある事態
(c) 特許の利用関係がある事態
(d) 公益という理由が存在する事態
第87条
(1) 特許により保護される発明を実施するため第83条に定める期間が満了した後,合法的理由がある場合を除き,特許の実施が開始されない若しくは特許の主題である発明を実施するため実際上のかつ具体的な準備が整わない又は実施が3年以上停止されている場合は,如何なる者も当該特許について強制ライセンスの付与を請求することができる。
(2) 合法的理由とは,特許権者の意志と事情に関係なく,発明の実施を不可能にする又は実施を現状以上に拡大することを阻む法律技術上の客観的障害であるとみなされる。
第88条
生産が不十分なため特許の主題が輸出市場に十分に供給されず,その結果スペインの経済及び技術的発展に不利益が生じるような場合は,政府は国王令により,輸出市場の充足されない需要を排他的に補填する目的で当該特許を強制ライセンスの対象とすることができる。
第89条
(1) 先の特許により付与された権利を害することなく後の特許により保護される発明を実施することが不可能な場合は,後の特許の特許権者は何時でも,先の特許について強制ライセンスの申請をすることができる。ただし,後の発明が先の特許と比較して異なる産業上の目的を有するか又は顕著な技術的進歩をもたらすことを条件とする。
(2) 同一の産業目的に使用される発明が,相互に依存関係がある特許により保護される場合で,かつ,強制ライセンスが当該従属特許の特許権者に付与された場合は,先の特許の特許権者もまた,後の特許についてライセンスの付与を申請することができる。
(3) 特許の主題が,現在有効な特許で保護されている化学又は医薬物質の製法である場合で,かつ,当該製法特許が先の特許と比較して著しい技術進歩をもたらす場合は,当該製法の特許権者及び製品の特許権者の双方は,相手方当事者の特許について強制ライセンスを取得する権利を有する。
(4) 特許間の利用関係により付与された強制ライセンスの内容は,問題の特許により保護される発明の実施を許可するのみで十分であるものとし,利用関係のある特許が無効となり又は権利を消滅した後はもはや効力を有さない。
第90条
(1) 公益のため,政府は,何時でも特許出願又は既に付与された特許をその旨を定める国王令により強制ライセンスの対象とすることができる。
(2) 公益の理由とは,発明の実施の開始,拡張若しくは普遍化又は当該発明が利用される場合の条件の改善が公衆衛生又は国防のために最優先事項である場合に,これに該当するものとみなされる。
公益の理由とはまた,特許の実施の不履行又はその品質若しくは量が不十分で,スペインの経済若しくは技術の発展に著しい不利益をもたらす場合,これに該当するものとみなされる。
(3) 強制ライセンスの付与に関する国王令は産業・エネルギー省の提案で起草される。発明を実施することの重要性が公衆衛生又は国防に関係する場合は,当該提案は,所轄の厚生大臣若しくは国防大臣と共同で策定するものとする。
(4) 国防上の重要性を理由に特許を強制ライセンス付与の対象とする国王令は,1又は複数の特定の事業の強制ライセンスの申請の可能性を保留することができる。
(5) 発明の実施を普遍化する必要なく,又は特許権者以外の者にその実施を委託させることなく,十分に公益を満たすことができる場合は,国王令は,特許権者に1年を越えない期間に公益を充足させるため必要な範囲まで当該発明の実施を開始し,拡大し又は改善させる権限を産業・エネルギー大臣に付与し,条件付きで当該特許を強制ライセンスの対象とすることができる。かかる場合,産業・エネルギー大臣は特許権者を聴聞し,適切とみなす期間を与えるか又は直ちに当該特許をライセンス付与の対象とすることができる。定められた当該期間が満了した後は,適切であれば産業・エネルギー大臣は,公益が充足されたか否かを決定し,充足されていない場合は当該特許に強制ライセンスを付与するものとする。
第3章 強制ライセンスの付与手続
第91条
(1) 強制ライセンスを申請する前に,関係当事者は,同一特許につき契約によるライセンスを取得するため産業財産登録庁の調停を請求することができる。
(2) 当該調停の請求は,手数料を納付するものとし,かつ,次の事項を含まなければならない。
(a) 申請人の完全な明記
(b) 請求を求める特許及び特許権者の明記
(c) 強制ライセンスの付与を正当化する相当の事情
(d) 請求する強制ライセンスの範囲及び当該請求を裏付ける理由
(e) 申請人が特許発明を現実的かつ実際上の実施ができるか否か及び強制ライセンス付与に対し特許権者が合理的に要求する保証金を提供することができるか否かを判断するに足りる資料
(3) 調停請求書には次の書類を添付しなければならない。
(a) 請求書中の主張を裏付ける書類
(b) 規則に定める金額の保証金であって,申請人が納付すべき手続費用に充当するためのものの設定を証明する書類
(c) 請求書及び添付書類の完全な謄本各1通
第92条
(1) 調停の請求書が提出された後,1月を限度として,産業財産登録庁は当該調停に合意するか否かを決定する。
(2) 産業財産登録庁は,関係当事者の請求書及び添付書類,同じく独自に実施した調査により,当該特許に強制ライセンスを付与すべき事情があること,申請人に支払能力があること及び申請人が自己の裁量で当該特許発明を本格的に実施するため必要な手段を有していることが合理的に示される場合は,調停に合意するものとする。
(3) 産業財産登録庁は,当該決定を関係当事者及び特許権者に通知するものとし,同時に調停請求書の謄本1通を特許権者へ送付する。
(4) 産業財産登録庁の決定に対して提訴することができない。
第93条
(1) 産業財産登録庁が調停に合意する場合は,その旨を関係当事者に直ちに通知するものとし,かつ,関係当事者を,調停者として産業財産登録庁と共に参加させ契約によるライセンスを付与する交渉を開始するものとする。交渉期間は最大限2月とする。
(2) 産業財産登録庁は,調停者としての役割で関係当事者の立場に合わせ,契約によるライセンスの付与を促進するため積極的な役割を果たすものとする。
(3) 産業財産登録庁は,調停に合意し,交渉のために定められた期間中,当該事案の詳細事項に精通するため及び特に事情が強制ライセンスの付与を正当とするか否かを確認することにより関係当事者の立場を十分に評価するため必要な調査を実施するものとする。当該調査は,交渉の進捗状況に拘らず及び交渉が決裂した又は未だに開始されないか否かに拘らず実施するものとする。
(4) 調停の合意を関係当事者へ通知した後2月の期間が満了した時点で,契約によるライセンスに関し合意に達しなかった場合は,産業財産登録庁は,調停及び調査が終結した旨を宣言するものとし,かつ,その旨を関係当事者に通知する。
当該2月の期間は,両当事者が共同して請求することにより,指示された期間延長することができる。ただし,産業財産登録庁がかかる延長がライセンスの付与を達成するため効果的に寄与するとみなすことを条件とする。産業財産登録庁が合意に達する可能性がないとみなす場合は,指示された延長期間が満了しない場合でもその調停を終了することができる。
(5) 調停の結果が出る前後の双方において,当該調停に関する書類は,当事者のみが閲覧することができるものとし,当該当事者は,自己の費用負担で当該書類の全ての謄本を作成することができる。当該書類を閲覧する当事者及び産業財産登録庁の職員はその内容の秘密保持に留意するものとする。
第94条
(1) 産業財産登録庁の調停に基づき実施された交渉の結果,当事者が特許のライセンスに合意する場合は,当事者は当該発明の実施を開始するため実施権者が必要とする期間中,当該特許について如何なる強制ライセンスの申請も認めない旨を請求することができる。この期間は如何なる場合も1年を越えることはできない。
(2) 産業財産登録庁が当該請求に異存なく応じるためには,次の条件が充足されなければならない。
(a) 合意されたライセンスが排他的であり,かつ,当該排他性が特許に強制ライセンスを付与することにより求める目的と矛盾しないこと
(b) 関係当事者は,実施権者がその自由裁量で発明の実施に必要な手段を有しており,かつ,請求した期間が発明の実施を開始するために不可欠であることを証拠立てる書類を提供すること
(c) 所定の期間内に発明の実施が開始されない場合,関係当事者は,被った損害を補償するため十分であると産業財産登録庁がみなす保証金を提供すること
(d) 法律が定める手数料を納付すること
(3) 産業財産登録庁は,関係当事者が提出した書類を検討し,必要とみなす調査及び協議を行った後,前項に定める条件が充足され,かつ,当該事情の下で当事者が遅滞なく特許発明の実施を開始する十分な意志があるとみなされる限り,問題の特許に関する強制ライセンスの申請書を指示した期間中断することができる。当該中断は特許登録簿に登録するものとする。
(4) 当事者は発明の実施開始のため履行中の努力について毎月証拠書類を提出するものとし,産業財産登録庁は必要とみなす場合,検査を命令するものとする。
(5) 産業財産登録庁は,その決定を裏付ける事情を評価するときに著しい瑕疵が行われた又は関係当事者が所定の期限内に発明の実施を開始するため真摯かつ継続的努力を行っていないことが明らかになった場合は,強制ライセンスの申請書の中断を取り消すことができる。
(6) 実施権者が所定の期限内に発明の実施を開始しなかった場合は,産業財産登録庁は中断の期間に等しい契約の有効期間中にロイヤルティとして実施権者が特許権者に支払うべき平均的金額に基づき計算した金額を罰金として関係当事者に賦課するものとする。
第95条
(1) 第83条に述べる期間の満了若しくは請求された調停を産業財産登録庁が拒絶した時又は当事者間に合意が得られないまま調停により設けられた期間が満了した時から3月の期間の後は,関係当事者は当該特許について強制ライセンス付与の申請を産業財産登録庁に対してすることができる。
(2) 法律が定める手数料を納付し,強制ライセンスを申請するに当たり,適切であれば調停書類の内容及び提出した書類の内容に基づき,関係当事者はその申請について説明し,かつ,当該申請を正当化する事情及び申請の基礎となる利害,当該特許発明の現実的かつ実際上の実施の達成を意図する手段及び当該ライセンスが付与された場合に提供できる保証金について明確に述べるものとする。
(3) 申請には次の書類を添付しなければならない。
(a) もしあれば,申請書中で行われる主張を証拠立てる書類で,かつ,調停書類に記載されなかった書類
(b) 保証金の設定を証拠立てる書類で規則により一般に定められ申請人が弁済すべき手続費用に充当し使用される金額を記したもの
(c) 提出した申請書及び書類の完全な謄本1通
第96条
(1) 強制ライセンスの申請後で,かつ,前条に定める条件を充足していることを条件に,産業財産登録庁は,適切であれば調停の書類に含まれる関連手続を開始するものとし,1月を越えない期間内に,これに応答ができるよう当該申請書の謄本1通及び添付書類を特許権者へ送付するものとする。
(2) 強制ライセンスの申請書に,産業財産登録庁が調停を拒絶した旨の証明書を添付する場合は,特許権者がこれに応答する期間は2月とする。
(3) 答弁書は適切であれば調停書類の内容を斟酌するものとし,当該答弁書に記載されていないが,調停書類で行われた主張を裏付ける証拠を添付するものとする。当該答弁書には強制ライセンスの申請人に送付するため完全な謄本1通を添付するものとする。
(4) 特許発明を十分に実施することが求められる場合,特許権者は,その答弁書に前述の実施に関する情報をその正確性を裏付ける証拠と共に含めるものとする。
第97条
(1) 特許権者の答弁書を受理した後,産業財産登録庁は,それを相手方当事者に送付するものとし,延長不能の1月の期間以内に強制ライセンスを付与するか又は拒絶するかを決定するものとする。
(2) 特許権者が当該期間内に申請に異議を申し立てない場合は,産業財産登録庁は直ちに強制ライセンスを付与するものとする。
(3) ライセンスを付与する決定には,その内容を明記しなければならない。特に,当該決定は,ライセンスの範囲,ロイヤルティ,期間,実施権者が提供する保証金,発明の実施を開始する時期及び特許発明の本格的かつ実際上の実施を保証するその他の条項を決めるものとする。
(4) 当該決定には,当該請求により生じた各当事者が支払うべき費用を指示するものとする。共通費用は折半するものとする。
当事者の一方が無分別又は悪意で行為したと宣告された場合は,全ての費用の支払は,当該当事者に賦課することができる。
(5) 産業財産登録庁の決定に対し係争管理法による再審理請求を提起することができる。
再審理請求の提出は,前記決定により賦課された行為の履行を中断してはならない。ただし,産業財産登録庁は,実施権者による根拠のある請願が行われた後は,ライセンスに関する決定が確定するまで発明の実施の開始を延期することを許可することができる。
第98条
(1) 強制ライセンスの申請が行われた後に,産業財産登録庁は,当該ライセンスを付与する決定に到達するため自動的に必要な手段を講じることができる。
(2) 強制ライセンスの申請人及び特許権者と共同で根拠のある請求が正式に行われた場合は,産業財産登録庁は,何時でも1回に限り3月を越えない指定された期間に到達した段階で係属中の審理を中断することができる。当該中断期間の満了後,産業財産登録庁は当事者にその旨を通知するものとし,かつ,審理を再開する。
第99条
(1) 直接的又は間接的に外貨による支払を含む産業財産登録庁の調停に合意するライセンス契約は,外国技術の移転に関する法律に定める認可を受けるものとする。
(2) 直接的又は間接的に外貨の支払を含む強制ライセンスの付与を認める産業財産登録庁の決定は,かかる支払の方式を含む契約によるライセンスの認可権限を有する機関による事前の賛同する旨の報告書の発行を必要とする。
(3) 産業財産登録庁及び外貨の支払を含むライセンスの認可権限を有する機関との間で協力を必要とする場合は,基準を一致させ,かつ,本条で定める目的のため手続を簡素化するものでなければならない。
第100条
特許権者がスペイン国内に本籍若しくは居所を有していない場合は,この部で定める通知は,当該目的のために事前に指名された代表者である産業財産代理人宛に送付するものとする。
第4章 強制ライセンス制度
第101条
(1) 強制ライセンスは排他的であってはならない。
(2) 強制ライセンスは,各事案の特有の事情に従い発明の経済的重要性を考慮し適切な対価を提供するものとする。
第102条
(1) 特許権者及び強制ライセンスを付与された実施権者との関係は信義誠実の原則を適用するものとする。
(2) 裁判所の判決により特許権者が当該信義誠実の原則に違反した旨宣言される場合,実施権者は,発明の実施に関し履行されなかった義務の重要性に応じて当該ライセンスに定められたロイヤルティの減額を産業財産登録庁に請求することができる。
第103条
(1) 強制ライセンスには,ライセンスを付与した時点の当該特許の追加特許を含めるものとする。
(2) 強制ライセンスが付与された後に,当該特許に新しく追加特許が加えられ,かつ,その主題がライセンスの主題である特許発明として同一の産業上の適用性を有する場合は,実施権者は当該ライセンスに新しい追加特許を含めるよう産業財産登録庁に請求することができる。関係当事者が産業財産登録庁の調停に合意しない場合は,産業財産登録庁は当該ライセンスの範囲が拡大された場合のロイヤルティ及びその他の条件を定めるものとする。
第104条
(1) 強制ライセンスの移転は,当該ライセンスが特許発明を実施する事業と共に若しくは当該事業の一部と共に移転する場合に限り有効とする。また,当該移転は産業財産登録庁により明示的に登録されなければならない。利用関係のある特許に対するライセンスの場合は,ライセンスは,当該従属特許と共に移転するものとする。
(2) 強制ライセンスの実施権者が付与する如何なるサブライセンスも無効とし,消滅する。
第105条
(1) 実施権者及び特許権者の双方は,ロイヤルティ又はその他の強制ライセンスの条件を変更することを正当とする新しい事実が生じた場合,特に,強制ライセンスが付与された後に特許権者が不当に強制ライセンスの付与条件より有利な条件で契約によるライセンスを付与する場合は,当該変更について産業財産登録庁に申請することができる。
(2) 実施権者が,当該強制ライセンスに基づくその義務を著しく怠り若しくは繰り返し怠る場合は,産業財産登録庁は,自動的に又は関係当事者の請求により当該ライセンスを無効とすることができる。
第106条
この部の規定に特に反さない範囲で,第8部第2章で定める契約によるライセンスに適用する規定は強制ライセンスにも適用する。
第5章 強制ライセンス申請の促進
第107条
(1) 産業財産登録庁は,強制ライセンスを付与する対象となる特許についてライセンスの申請を効果的に促進するため計画性のある努力を行うものとする。産業財産登録庁はまた,かかる特許の詳細について定期的に公示するものとする。
(2) スペイン国内で特許発明を実施する重要性が認められる場合,政府は,財政上及びその他の助成を行い,企業が公共の利益を理由に強制ライセンス付与の対象とする特定の特許についてライセンスを申請することを奨励することができる。

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