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その他参考情報

第III部 民事及び刑事制裁

第1章 民法及び刑法に基づく保護規定

A. 帰責の条件
第66条
次の者は,民法又は刑法によってこれを訴追することができる。
(a) 違法に特許発明を実施(模倣は実施とみなす)した者
(b) 自己の占有する違法に製造された物の出所を当局に明かすことを拒否した者
(c) 特許権者若しくは実施権者の同意を得ないで物若しくはその包装から特許表示を除去した者
(d) 前記何れかの罪を教唆,幇助し若しくは共同して犯した者
B. 立証責任の転換
第67条
(1) 特許発明が新しい物の製造方法に係るときは,これと同一の物は,反証があるまでその特許方法によって製造されたものと推定する。
(2) 公知の物の製造方法の特許についても,もし特許権者がその特許が侵害されたことの推定的証拠を提示するときは前項の規定を準用する。
C. 企業秘密の保護
第68条
(1) 当事者の企業秘密は,保護される。
(2) 企業秘密を開示する証拠は,秘密保護の要請と両立する限度においてのみ相手方に利用させることができる。
D. 物又は装置の売却又は廃棄
第69条
(1) 有罪の判決があった場合,裁判所は,違法に製造された物又はその製造を主たる目的とする器具,道具及びその他の手段の没収及び売却又は廃棄を命じることができる。
(2) 前記の売却の純益は,先ず罰金の納付,次に証拠調べその他のため裁判所の要した費用,更にその次に敗訴者に課せられる損害賠償額及び訴訟費用の弁償額に充当され,残額は,売却物の所有者に還付される。
(3) 裁判所は,無罪の宣告又は訴の棄却の場合にも,特許侵害を主たる目的とする器具,道具及びその他の手段の廃棄を命じることができる。
E. 判決の公告
第70条
(1) 裁判所は,勝訴の判決を受けた当事者に相手方の費用でその判決を公告することを許すことができる。裁判所は,その公告の性質,範囲及び時期を定める。
(2) 刑事事件(第81条及び第82条)については,判決の公告はスイス刑法第61条の定めるところによる。
F. 連続訴訟の禁止
第71条
ある特許につき第72条,第73条,第74条又は第81条に規定する訴訟を起こした者で別の特許に対する同一又は類似の行為を理由にして同一の当事者に対し爾後に更に訴を起こす者は,もしその者が,前の訴訟において自己の過失によらずして当該別の特許に基づく権能を行使することができなかったことを明らかにしない限り相手方の訴訟費用その他の費用を負担するものとする。

第2章 民法に基づく特別保護規定

A. 事態の出現の差止又は抑止訴訟
第72条
(1) 第66条に掲げる行為の切迫した危険にさらされ又はその行為によって自己の権利を現に侵害される者は,その結果としての事態の出現を抑止するため差止命令を求めることができる。
(2) 予備審査(第87条以下)に係る特許出願についてはその出願人は,その出願公告の時から訴訟手続の当事者となることができる。ただし,相手方のために公正な保証金額を供託することを条件とする。第80条の規定(責任)が準用される。
B. 損害賠償訴訟
第73条
(1) 故意又は過失により第66条に掲げる行為をする者は,債務法の定めるところに従い被害者に損害を賠償する義務を負う。
(2) もし被害者が,自己の要求する権利を有する損害賠償の額をあらかじめ評価することができないときは,被害者は,裁判所に対し後に損害の程度を確定するために提出される証拠に基づき損害賠償の額をその裁量によって定めるよう求めることができる。
(3) 損害賠償の訴は,特許処分のあった後でなければ提起することができない。ただし,損害賠償は,被告が当該特許出願の内容を知った時から請求することができる。
(4) 予備審査(第87条以下)後に特許付与があったすべての場合に原告は,特許出願の公告後に被告の生じさせた損害の填補を求めることができる。
C. 確認訴訟
第74条
利害関係人は,本法の定める事情又は法律関係の存否,特に次の事項について確認判決を求める訴を起こすことができる。
1. ある特許が有効であること
2. 被告が第66条に掲げる行為を犯したこと
3. 原告が第66条に掲げる行為を犯さなかったこと
4. ある特許が,法の規定により原告に対し行使することができるものでないこと
5. 2件の特許がある場合に第36条に定めるライセンスの許諾の条件が満たされ又は満たされないこと
6. 原告がある特許出願又は特許に係る発明をしたこと
7. ある特許が重複特許の禁止に反したため無効であること
D. 管轄
第75条
(1) 本法で定める訴訟のうち,次の訴訟については次に掲げる裁判所が裁判権を有する。
(a) 第三者に対する特許出願人又は特許権者の訴訟については,被告の住所地,当該行為の行われた地又は当該行為の結果の生じた地を管轄する裁判所
(b) 特許出願人又は特許権者に対する第三者の訴訟については,被告の住所地,もしその地がスイス国内にないときは,登録簿に記入されたその代理人の営業所の存する地又はもし前記の記入が登録簿から抹消されているときは,連邦庁の本庁舎の存する地を管轄する裁判所
(2) 2以上の地が競合するときは,初めに訴訟が提起された裁判所が裁判権を有する。
E. 州裁判所の専属管轄
第76条
(1) スイス連邦各州は,本法に定める民事訴訟を管轄する裁判所を指定する。この裁判所は,当該州の全域について専属管轄を有する。
(2) 連邦裁判所に対する上訴は,訴訟の目的の価額の如何に拘らず,許すことができる。
F. 仮処分
I. 要件
第77条
(1) 訴訟を提起する適格を有する者の申請により当局は,証拠を確保し事物の現状を保存し,争のある権利を一時行使させ又はある結果の生じることを阻止するため仮の処分を命じる。裁判所は,特に,法に違反して使用され又は製造された物,これらの物の製造の用に供せられた設備,装置等の正確な説明,又は前記の物,設備等の差押を命じることができる。
(2) 申請人は,相手方が本法に違反する行為を犯し又は犯そうとしていること及び申請人には容易に回復不可能な損害で仮処分によってのみ避けることができるものを申請人がこうむる虞があることを推定させる証拠を提出しなければならない。
(3) 当局は,仮命令に先立って相手方を審問しなければならない。ただし急迫な場合は,予め非常の措置をとることができる。相手方は,当該措置の実行後直ちにその旨の通知を受けるものとする。
(4) 申請を認容するにあたり,当局は申請人に対し,本案訴訟を提起するために30日以下の猶予を与えるとともに,申請人が当該期間内に訴訟を提起しなければかかる命じられた措置は失効することを知らしめる。
II. 管轄権を有する当局
第78条
(1) 前記の仮処分を命じる当局は,第75条の規定による民事訴訟の管轄裁判所とし,当該訴訟が提起された後にはこれを審理する裁判官のみが仮処分を命じ又は取り消す権限を有する。
(2) スイス連邦の各州は,前記の仮処分を命じる権限を有する当局を指定するものとし,必要な場合は,手続のための補充規則を制定しなければならない。
III. 担保
第79条
(1) 一般に,申請人は,十分な担保を提供するものとする。
(2) 当局は,もし被申請人が申請人のために十分な担保を提供するときは,仮処分命令の全部又は一部を取り消すことができる。
IV. 申請人の責任
第80条
(1) もし仮処分の申請が実体上の権利に基づいていない事実が明らかになるときは,申請人は,仮処分の執行により生じた損害を被申請人に賠償しなければならない。裁判官は,債務法第43条の規定により損害賠償の性質及び額を定めるものとする。
(2) 前記の損害賠償請求訴訟は,仮処分が効力を失った時から1年の経過後においては起こすことができない。
(3) 申請人の立てた保証は何らの損害賠償請求訴訟も起こされることはなかった事実が確定される場合を除き還付されることはない。当局は,もし前記の訴訟が所定の期間内に提起されないときは,担保は申請人に還付される旨の付記と共に当該訴訟を提起するための相当の猶予期間を被申請人に与えることができる。

第3章 刑法に基づく特別保護規定

A. 特別刑法
I. 特許侵害
第81条
(1) 故意に第66条で言及する行為を犯した者は,被害者の告訴により1年以下の禁固若しくは100,000フラン以下の罰金に処する。
(2) (1)の告訴を提起する権利は,被害者が犯人を知った時から6月を経過するときは消滅する。
II. 虚偽表示
第82条
(1) 自己の商業用文書,広告,産品等にその産品が本法の保護を享受するものである旨の表示を故意に付してこれを流通におき又はその販売の申込をする者は,2,000フラン以下の罰金に処する。
(2) 裁判所は,判決を公告すべき旨を命じることができる。
B. スイス刑法総則の適用
第83条
本法に別段の定がある場合を除き,スイス刑法総則の規定が適用される。
C. 管轄
第84条
(1) 前記の罪を訴追し,審理裁判する権限は,その行為の犯された地又はその行為の結果が生じた地を管轄する当局が有するものとし,もし,2以上の地が競合するとき又は数人の共犯が関係するときは,最初にその罪の犯された地を管轄する当局とする。
(2) 正犯を審理裁判する当局は,教唆犯又は幇助犯をも併せて審理裁判することができる。
D. 州当局の裁判権
I. 総則
第85条
(1) 前記の罪の訴追及び裁判の権限は,州当局が有する。
(2) 行政庁による処分及び不起訴の処分は,遅滞なく無料で連邦検察庁に申告しなければならない。
II. 特許無効の主張
第86条
(1) もし債務者が特許の無効を主張するときは,裁判所は,特許無効の訴を起こすために十分な期間の猶予をこれに与え,併せてその不作為の場合の結果を警告するものとする。また,もしその特許が予備審査を経由しないで与えられたものであるか又は債務者が特許無効の主張に十分な理由があるようにみえる推定的証拠を提出するときは,裁判所は,特許の効力に関する確認訴訟を提起するために十分な期間の猶予を被害者に与え,併せてその不作為の場合の結果を警告するものとする。
(2) 前記の期間内に訴訟が提起されるときは,その訴訟の判決が確定するまで当該事件の公判手続は中止され,法廷は休止する。
(3) 前記の訴は,債務者の住所地又は公訴の提起された地を管轄する裁判所に提起しなければならない。

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