【技術分類】
C―1―1 表示・転送のためのデータ量・計算量の削減
【技術の名称】
リアルタイムCGを実現するための影付け手法
【技術内容】
リアルタイムCGを実現するための高速化処理である、新しい影付けアルゴリズムである。隠面処理、シェーディング、テクスチャマッピングについてはハードウェア面から高速化が行われている。影付けについては、人間が3次元空間を正しく認識できる程度に正確で、かつ光源数の増大に対して計算時間が線形なアルゴリズムはない。
新しいアルゴリズム「放射型影付け手法」(SHOW:SHooting shadOW)は、リアルタイム影付けアルゴリズムの評価基準を満足した手法である。
図1は放射型影つけアルゴリズムの流れ図であり、このアルゴリズムは、光源数に対して計算時間が線形で、色付き多光源によるソフトな影を生成できる。非常に高速に計算できるので、描画速度が優先されるリアルタイムCGに適している。
図2はこの処理から生成した影を、陰面消去とグーローシェーディングによる通常のポリゴン描画で表示した画像例である。
本アルゴリズムは、立方体、球、円柱や円錐などのプリミティブを用いた階層化座標系に適用でき、舞台照明シミュレーションなどに応用することができる。
他の技術分類:C―2
【図】
図1 放射型影つけアルゴリズムの流れ図

出典:「放射型影付け手法による準リアルタイムアニメーションの実現」、「第8回NICOGRAPH論文集」、(1992年11月9日)、森健一、高橋理子、薬師輝久、土井美和子著、日本コンピュータグラフィックス協会発行、69頁 図1 放射型影つけアルゴリズムの流れ図
図2 画像例

出典:「放射型影付け手法による準リアルタイムアニメーションの実現」、「第8回NICOGRAPH論文集」、(1992年11月9日)、森健一、高橋理子、薬師輝久、土井美和子著、日本コンピュータグラフィックス協会発行、72頁 図6 作画例
【応用分野】
映画、テレビ、ビデオゲーム、シミュレーション
【出典/参考資料】
「放射型影付け手法による準リアルタイムアニメーションの実現」、「第8回NICOGRAPH論文集」、(1992年11月9日)、森健一、高橋理子、薬師輝久、土井美和子著、日本コンピュータグラフィックス協会発行、66頁〜75頁
【技術分類】
C―1―1 表示・転送のためのデータ量・計算量の削減
【技術の名称】
均一なフレーム速度でのリアルタイムアニメーション生成手法
【技術内容】
均一なフレーム速度でリアルタイムアニメーションを生成・表示できるアルゴリズムである。静止画像を単純に連続して生成するリアルタイムアニメーションシステムでは、光景の複雑さによってフレーム速度が変動してしまう。そこで、指定された目標フレーム時間内に各フレームを生成し、さらに極力画質を高く維持するというアルゴリズムを用いる。すなわち、このアルゴリズムは、フレーム生成時間量を拘束条件としながら、段階的簡略化により多重表現された各モデルに対して、最適な細部レベルやシェーディングアルゴリズムなどの画質属性を選択することができる。
図1はこの最適化表示アルゴリズムを示したものである。画質評価要素として、画面上での物体の大きさ、細部レベル、シェーディングアルゴリズムを用い、この順に視覚への影響が大きい。インタラクティブな視覚化アプリケーションを用いて本手法を評価し、画質が多少変化しても、フレーム時間の変化よりは不快に感じられないことを確認した。
本手法は、ユーザーがインタラクティブな感覚を感じられるようなシステムへの応用に重要な役割を果たす。
他の技術分類:D―2
【図】
図1 最適化表示アルゴリズム

出典:「リアルタイムアニメーションで均一なフレーム速度を達成する表示アルゴリズム」、「情報処理学会研究報告 グラフィックスとCAD 74−5」、(1995年5月22日)、永塚仁夫、大野義夫著、情報処理学会発行、26頁 図2:最適化表示アルゴリズム
【応用分野】
アニメーション、ビデオゲーム
【出典/参考資料】
「リアルタイムアニメーションで均一なフレーム速度を達成する表示アルゴリズム」、「情報処理学会研究報告 グラフィックスとCAD 74−5」、(1995年5月22日)、永塚仁夫、大野義夫著、情報処理学会発行、23頁〜28頁
【技術分類】
C―1―1 表示・転送のためのデータ量・計算量の削減
【技術の名称】
高速クリッピング法による仮想空間のリアルタイム描画手法
【技術内容】
仮想都市のような広域空間を一定速度でリアルタイムに描画する手法である。仮想空間を応用したシステムは、例えば、空間内をインタラクティブに移動・探索できるような対話性が求められるので、画像をリアルタイムに表現する必要がある。特に、都市のような広域空間の場合には、描画コストを軽減する工夫が必要である。そこで、視野内に存在する可視オブジェクトのみに限定し、これを各フレームにリアルタイムに検索する高速クリッピング法を用いる。すなわち、木構造を用いて仮想都市空間を管理し、建物などのオブジェクトをその高さに応じてレイヤ化する方法である。
図1はその概念図を示したものである。仮想世界内に存在するオブジェクトをXY平面に射影してできる2次元平面図形を、オブジェクトの高さに応じた2層のレイヤの2次元木構造を用いて、管理する。さらに、上記クリッピング法により求めた描画対象オブジェクトに対して、リアルさを表すパラメータ(リアリティ係数)を用いて簡略化した描画を行うことにより、実時間描画を実現する。
図2は建物の位置や輪郭図形データのような2次元地図情報に対し、高さや形状タイプなどの3次元属性情報を与えることにより、半自動的に構築した仮想都市空間の画面例である。
本手法は、空間内のウォークスルーが可能な都市空間管理システムや景観シミュレーションなどに応用することができる。
他の技術分類:C―2―2
【図】
図1 2層レイヤ構造による仮想世界管理

出典:「多次元データ構造に基づく3次元仮想都市空間の管理と高速描画」、「電子情報通信学会論文誌 J78−D−U−8」、(1995年8月25日)、玉田隆史、中村泰明著、電子情報通信学会発行、1206頁 図1 2層レイヤ構造による仮想世界管理
図2 上空から眺めた図の画面例

出典:「多次元データ構造に基づく3次元仮想都市空間の管理と高速描画」、「電子情報通信学会論文誌 J78−D−U−8」、(1995年8月25日)、玉田隆史、中村泰明著、電子情報通信学会発行、1210頁 図6 画面例(上空から眺めた図)
【応用分野】
映画、テレビ、ビデオゲーム、都市計画・景観シミュレーション
【出典/参考資料】
「多次元データ構造に基づく3次元仮想都市空間の管理と高速描画」、「電子情報通信学会論文誌 J78−D−U−8」、(1995年8月25日)、玉田隆史、中村泰明著、電子情報通信学会発行、1205頁〜1213頁
【技術分類】
C―1―1 表示・転送のためのデータ量・計算量の削減
【技術の名称】
レイトレーシング法によるCG生成の高速化手法
【技術内容】
スクリーンを領域分割することにより、光線追跡法(レイトレーシング法)によるCG生成を大幅に高速化する手法である。光線追跡法はリアルなCGを生成する有力な手法の一つであるが、視点と各画素を結ぶ光線でサンプリングするため、莫大な計算量を必要とする。そこで、スクリーン上を光線追跡の軌跡(光線追跡木)が同じであるいくつかの領域に分割し、各分割領域で数本の光線を追跡することにより、少ない計算量で画像を生成する。ビームトレーシング法との相異は、Snellの法則に基づいて屈折変換を行うことである。
図1は定義物体の例で、チェックの板の上に六面体の不透明物体が乗っている。これをスクリーン上で光線追跡木が同じになる領域に分割すると、図2のようになる。
図2は光線追跡木の深さがレベル1(反射、屈折なし)の場合の領域分割例である。背景も含めて7つの領域に分割されている。
本手法により、光線追跡法の大幅な高速化と、物理法則に正確に従う画像の生成が可能になる。
【図】
図1 定義物体の一例

出典:「光束追跡法における領域分割のための基礎検討」、「情報処理学会研究報告 グラフィックスとCAD 86−4」、(1997年8月21日)、冨澤良明、河合善之、岡田稔著、情報処理学会発行、18頁 図1:定義物体の一例
図2 図1のレベル1における分割例

出典:「光束追跡法における領域分割のための基礎検討」、「情報処理学会研究報告 グラフィックスとCAD 86−4」、(1997年8月21日)、冨澤良明、河合善之、岡田稔著、情報処理学会発行、18頁 図2:図1のレベル1における分割例
【応用分野】
デザイン、シミュレーション
【出典/参考資料】
「光束追跡法における領域分割のための基礎検討」、「情報処理学会研究報告 グラフィックスとCAD 86−4」、(1997年8月21日)、冨澤良明、河合善之、岡田稔著、情報処理学会発行、17頁〜22頁
【技術分類】
C―1―1 表示・転送のためのデータ量・計算量の削減
【技術の名称】
差分記述による3次元動画データの圧縮方式
【技術内容】
フレーム間の差分データを用いて3次元動画データを圧縮し、高効率転送する方式である。インターネット上でのVRMLによる動画のスクリプト記述は、あらかじめ定義した動作には有効であるが、モーションキャプチャデータのようにプログラミング困難な動作には適用できない。そこで、動画を構成するフレームの記述による表現を用い、モーションキャプチャされた3次元動画のフレーム間の差分を取り出す差分記述を用いる。
フレーム記述によるアニメーション表現をフリップブックアニメーション(Flip Book Animation)と呼ぶ。各フレームが独立しているのでジャンプや逆再生などが容易にできるが、データ量が多く転送に時間がかかる。差分記述によりフリップブックアニメーションのデータ量を削減するには、まず、基準フレームに完全な3次元データを用い、その後は差分データを用いる。すなわち、人間のモーションキャプチャデータからフリップブックアニメーションをポリゴンで表現する。このポリゴンの各頂点のフレーム間の移動量を速度ベクトルとして定義し、この速度ベクトルを計算して差分データを作成する。
さらに、非可逆的に動画差分データを作成する圧縮方式を用いることにより、3次元動画データの高効率転送を実現できる。
他の技術分類:C―5、E―2
【図】
【応用分野】
通信ゲーム、サイバースペース
【出典/参考資料】
「三次元動画データの高効率転送表示機能の検討」、「情報処理学会第56回(平成10年前期)全国大会」、(1998年3月18日)、西岡大祐、長澤幹夫著、情報処理学会発行、4-241頁〜4-242頁
【技術分類】
C―1―1 表示・転送のためのデータ量・計算量の削減
【技術の名称】
テクスチャマッピングよる大量の粒子群のリアルタイム生成手法
【技術内容】
パーティクルシステムによる粒子シミュレーションなどにおいて、大規模な球体群を高速に描画する手法である。一般的に、数千から数万の粒子群をリアルタイムに表示することは困難である。そこで、円盤状のビルボードとテクスチャマッピングを用いて球体を表現する。すなわち、球の陰影を表した解像度の異なるテンプレートテクスチャを、あらかじめテーブルに格納しておく。この中から、光源やビューイングパラメータに応じて部分テクスチャを切出し、ビルボードにマッピングする。
図1に示したように、まず、2次元の円盤状ビルボードをモデリングし、そこに球の陰影を表したテクスチャをマッピングする。また、粒子群の中をウォークスルーするような場合には、視点と粒子との距離や速度に応じて、テクスチャの解像度を変える。例えば、粒子が小さく描画される場合は、解像度の低いテクスチャを用いる。
この手法を用いると、分子動力学計算から得られた数千個オーダーの粒子系の時系列データにより、リアルタイムアニメーションを作成することができる。
他の技術分類:A―8、C―2―2
【図】
図1 ビルボードの円盤+球のテクスチャ

出典:「大規模球群リアルタイムアニメーションのためのテンプレートテクスチャの部分マッピング」、「情報処理学会研究報告 グラフィックスとCAD 91−4」、(1998年8月27日)、北山暁子、藤代一成、平野恒夫著、情報処理学会発行、19頁 図2:ビルボードの円盤+球のテクスチャ
【応用分野】
科学シミュレーション、自然現象アニメーション
【出典/参考資料】
「大規模球群リアルタイムアニメーションのためのテンプレートテクスチャの部分マッピング」、「情報処理学会研究報告 グラフィックスとCAD 91−4」、(1998年8月27日)、北山暁子、藤代一成、平野恒夫著、情報処理学会発行、17頁〜22頁