【技術分類】

 3−3 マルチプレクサ分割によるシステムLSIのテスト


【技術の名称】

 3−3−1 マルチプレクサによるブロック分割テスト


【技術内容】

 マルチプレクサ(MUX)は複数の入力から1個の入力を選んで出力する回路である。ここでは、LSI内部のコアブロックにアクセスする方法として、MUXを用いる例を示す。

 (1)回路構成

 図1にMUXによるテスト容易化設計(DFT)を行ったチップの例を示す。LSIはブロックA、B、Cで構成される。これにMUXとして3個のC−MUXと2個のO−MUX、それに隔離コントローラを組み込んである。配線は細い実線がLSI本来の配線である。その他の配線はテスト用の追加配線で、太線はデータ用、破線は制御用である。左端にチップの入力端子、右端に出力端子を示す。チップ端子のうち、左下のテストモード選択(TMS)入力端子およびクロック(TCK)入力端子は、テストのための追加である。

 (2)回路動作

 C−MUXは、チップ端子とは接続されていない内部配線からブロックA、B、Cへの入力部に設置されている。C−MUXはいずれも2入力で、一方は各ブロックの本来の入力、他方は、追加データ線によって、チップの1個の入力端子と接続されている。各C−MUXはTMS信号で制御される。これにより各ブロックの内部入力端子の制御性が得られる。

 O−MUXはブロックB、Cのチップ外への出力部に置かれている。ブロックCのO−MUXは2入力で、一方は本来のブロックCのチップ外への出力、他方は、追加データ線によって、ブロックAのチップ内出力と接続されている。ブロックBのO−MUXは3入力で、1個はブロックCのチップ外への出力、他の2個はそれぞれ、追加制御線によって、ブロックAおよびCのチップ内出力と接続されている。各O−MUXは隔離コントローラの信号で制御される。これによりブロックAおよびCのチップ内出力端子の観測性が得られる。


【図】

 図1 MUXによるTFTを用いたLSIの回路ブロック構成

図1 MUXによるTFTを用いたLSIの回路ブロック構成

 出典:「A design for testability method using RTL partitioning」、「Proceedings of the 5th Asian Test Symposium (ATS1996)」、(1996年11月20日)、Toshinori Hosokawa、Kenichi Kawaguchi、Mitsuyasu Ohta、Michiaki Muraoka著、IEEE発行、89頁 Figure 3 Isolation of our DFT method.

 Copyright (c) 1996 IEEE


【応用分野】

 LSI組み込みコアテスト、CAD


【出典/参考資料】

 「A design for testability method using RTL partitioning」、「Proceedings of the 5th Asian Test Symposium (ATS1996)」、(1996年11月20日)、Toshinori Hosokawa、Kenichi Kawaguchi、Mitsuyasu Ohta、Michiaki Muraoka著、IEEE発行、88頁〜93頁



【技術分類】

 3−3 マルチプレクサ分割によるシステムLSIのテスト


【技術の名称】

 3−3−2 IEEEP1500ラッパーを持つコアのテストアクセス手法


【技術内容】

 ラッパーを持つコアの設計方式には大きく分けて2つある。ラッパーコアをシステム・オン・チップに組み込む設計と、ビルディンブロック方式で設計されたものにラッパーを設定する方式である。テストアクセス手法を選択する基準はテスト品質とチップコストのトレードオフである。チップコストとはテスト回路のオーバヘッドや性能への影響、テスト装置コストやテスト時間である。

 (1)回路構成

 図1にテストアクセス構成法について3方式を示す。図1(a)にはMUX方式、(b)にはデイジーチェーン方式、(c)には分配方式が示される。MUX方式に置いては全コアが最大バンド幅TAMを持ち、これらのTAMは時間マルチプレックスをシステム・オン・チップの端子上で構成する。デイジーチェーン方式は同じバンド幅(最大幅も可能)が各コアに配され、1個のTAMに連結される。オプションでバイパスコアに分配可能であるが同時テストは不可である。分配方式では各コアが別々のTAMを必要とする。TAMのバンド幅は各コアで分割された値となる。

 (2)回路動作

 図1(a)のMUX方式では全コア回路がスキャン入力、スキャン出力に接続され、MUX回路が現在テスト下にあるコア回路とスキャン出力端子を接続するように選択する。そのため、各コア回路をシーケンシャルにテストする。

 図1(b)のデイジーチェーン方式ではスキャンチェーンが入力から出力端子まで接続され、各コア回路にはバイパス経路で接続される。各コア回路のスキャンチェーン出力側に2入力1出力のMUX回路が設定され、バイパス回路の切換を行う。

 図1(c)の分配方式では各コア回路に専用のスキャン入力とスキャン出力が接続される。


【図】

 図1 TAM構成の3方式

図1 TAM構成の3方式

 出典:「On using IEEE P1500 SECT for test plug-n-play」、「International Test Conference 2000」、(2000年10月1日)、Erik Jan Marinissen、Rohit Kapur、Yervant Zorian著、IEEE発行、774頁 Figure 2 Example of three TAM configurations[11] (a) Multiplexing,(b) Dasychain,and (c) Distibution architectures.

 Copyright (c) 2000 IEEE


【応用分野】

 LSI組み込みコアテスト、スキャンテスト


【出典/参考資料】

 1「On using IEEE P1500 SECT for test plug-n-play」、「International Test Conference 2000」、(2000年10月1日)、Erik Jan Marinissen、Rohit Kapur、Yervant Zorian著、IEEE発行、770頁〜777頁

 2「Towards a standard for embedded core test: an example」、「International Test Conference 1999」、(1999年9月27日)、Erik Jan Marinissen、Yervant Zorian、Rohit Kapur、Tony Taylor、Lee Whetsel著、IEEE発行、616頁〜627頁

 3「Scan Chain Design for Test Time Reduction in CORE-Based ICs」、「International Test Conference 1998」、(1998年10月18日)、Joep Aerts、Erik Jan Marinissen著、IEEE発行、448頁〜457頁



【技術分類】

 3−3 マルチプレクサ分割によるシステムLSIのテスト


【技術の名称】

 3−3−3 IEEE1149.1TAP付きの複数のコアを持つシステムLSIのテスト


【技術内容】

 ICの各内部コアにIEEE 1149.1バウンダリ・スキャンテストを適用する場合には、各コアに、コア・バウンダリ・スキャンレジスタ(CBSR)を含むテストアクセスポート(TAP)を組み込む。TAP Linking Module(TLM)は、1149.1スキャン動作に応答して、1個以上のTAPをICのテスト端子に接続できるようにする接続層である。

 (1)回路構成

 図1にTLMを用いたコアテスト・アーキテクチャを示す。下端のブロックがTLMである。ICのテスト端子は左よりテストデータ入力TDI、テストクロックTCK、テストモード選択TMS、テストリセットTRST、およびテストデータ出力TDOである。周辺のICBSRはICのバウンダリ・スキャンレジスタである。コアX、Y、Zはそれぞれ組み込みTAPを備えている。NTCはTAPなしのコアで、共通のTAP1を用いる。

 (2)回路動作

 電力投入またはテストリセットすると、デフォルト動作として、TLMはTAP1をテスト端子に接続する。ICは1149.1仕様のように、単一のTAP付きとしてテストされる。電力投入後は、TLMは任意の数の任意のTAP構成をテスト端子に接続できる。

 図2にTLMと各TAP間の信号の詳細を示す。TLMにより、すべてのTAPはTCK、TMS、TRSTに直接接続される。TAPは選択(SEL)信号をTLMへ出力し、TLMはイネーブル(ENA)信号とリンク制御(LC)信号をTAPへ出力して、接続を制御する。TDIは各TAPに入力され、出力TDO1〜4となり、MUXがその1つを選択する。TLMにはデータレジスタの機能もあり、データをTDIからTLMのTDOにシフトできる。3SMUXはこれらのデータ出力を選択してICのTDOに出力する。


【図】

 図1 TLMを用いたコアテスト・アーキテクチャ

図1 TLMを用いたコアテスト・アーキテクチャ

 出典:「An IEEE 1149.1 based test access architecture for ICs with embedded cores」、「International Test Conference 1997」、(1997年11月1日)、Lee Whetsel著、IEEE発行、70頁 Figure 3.

 Copyright (c) 1997 IEEE

 図2 TLMを用いたコアテストの信号の詳細

図2 TLMを用いたコアテストの信号の詳細

 出典:「An IEEE 1149.1 based test access architecture for ICs with embedded cores」、「International Test Conference 1997」、(1997年11月1日)、Lee Whetsel著、IEEE発行、71頁 Figure 4.

 Copyright (c) 1997 IEEE


【応用分野】

 LSI組み込みコアテスト、CAD


【出典/参考資料】

 「An IEEE 1149.1 based test access architecture for ICs with embedded cores」、「International Test Conference 1997」、(1997年11月1日)、Lee Whetsel著、IEEE発行、69頁〜78頁