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1−3  イオン注入装置における技術説明


【装置と真空・クリーン化技術との関係について】

  イオン注入装置は、1)注入する元素をイオン化し、イオンビームとして引き出すイオン源系、2)必要とするイオンだけを選別する質量分析系、3)ビームを輸送、加速、整形、走査する機能を含むビームライン系、4)試料基板をセットし注入処理を行う試料室(エンドステーション)、から構成される。
  (1)イオン源およびガス供給系
  フリ−マン型イオン源及びバケット形イオン源を代表例にとり記述する。
  フリーマン型イオン源:イオン化物質としてガス、固体のいずれも利用可能であり、熱陰極の使用および低アーク電圧のため、イオンエネルギーのゆらぎが少なくビームの安定性に優れているという特長がある。
  バケット形イオン源:このイオン源は放電室の周囲に永久磁石を配置することにより、大口径化しているにもかかわらず、均一なイオンビームが取り出せる。大電流のイオンビームを取り出すため多孔の引出電極を用い、さらに多段電極構造により平行イオンビーム束が得られるようになっている。
  (2)質量分析器
  イオン源系から引き出されたイオンビームのなかには種々のイオンが含まれる。この中から注入に必要なイオン種を選択するために質量分析電磁石が用いられる。大きな質量数のイオンを偏向するためには、電磁石の曲率半径、コイルターン数、電流を大きくし、鉄芯ギャップを小さくする必要がある。注入したいイオンの純度を向上させるためには、不要な不純物イオンビームの通過を制限させるための制限スリット(質量分析スリット)が設置されている。
  (3)イオン加速系
  質量分析器に入射するイオンエネルギーが大きいと電磁石が大型化するため、通常はイオン引出電圧を低くして、質量分析後必要なイオンのみを最終エネルギーまで加速する。
  分析スリットを通過したイオンビームは、まず引出電圧(25〜35kV)に相当するエネルギーを持つが、加速管内でさらに加速電圧(0〜175kV)によって最終エネルギーを得る。
  (4)ビーム輸送系
  イオン注入装置では、質量分析器および加速管を通過するイオンビーム径は、通常、試料サイズより小さい。試料全面に均一に照射するために、ビーム量の大きさの違いによりイオンビーム走査または試料の駆動のいずれかが用いられている。イオンビームはイオン同士のクーロン斥カを持つため、イオンビームの輸送中にビーム形状が変化する。均一な照射を行うためには、適当な大きさにビームを整形または維持するためビーム集束用のレンズが必要になる。
  (5)試料室
  試料室は真空チャンバー、試料ホルダ,ホルダ駆動機構、試料輸送系,ビーム計測系などで構成されるが、試料の形状、サイズの違い、処理速度の違いによって異なった構成になる。一例として中電流装置用エンドステーションについて説明する。エンドステーション部にはウエーハ面に到達したイオンビーム電流を精度よく計測し、注入量をカウントするため、フアラデーカップが設置されている。
  カセット内に収納されたウエーハは、搬送ロボットによりオリエンテーションフラット合せ部で一定方向に結晶方位合せを行い、エアロック室を経て真空内の搬送アームでプラテンへ搬送され固定される。
  (6)真空排気系
  用途に応じた真空ポンプ,真空シール材,真空チャンバーの材質、表面処理の選定を行う必要がある。イオン源系からエンドステーション部までのイオンビームの軌道は、すべて高真空(〜10−5 Pa)となっている。この高真空を得るためイオン源部、ビームライン部およびエンドステーション部の3系統の高真空排気系が使われている。イオン源部は、イオン源より流れ出すガスを排気するために、ターボ分子ポンプとドライポンプで排気される。ビームライン部とエンドステーション部は、オイルフリーの高真空を必要とするためにクライオポンプが使われる。
  (7)安全対策への考慮
  一般に、安全対策などの上で、下記の3点には留意して各種対策が施される。
  (a)高電圧対策
  イオン注入装置は静電的にイオンを加速するため、加速電源をはじめとして各種の高電庄電源を使用し、また装置各部に高電圧が印加される。
  (b)X線の遮蔽
  イオンビームを加速すると、イオンビームが真空中の残留ガスおよび真空チャンパ内の構造物と衝突して二次電子が発生する。この電子はイオンの加速電界中を逆方向に加速し、高電圧系の真空容器内構造物と衝突してX線を発生させる。
  (c)毒性ガス対策
  イオン源ガスには、毒性、腐蝕性をもつものが多い。このため、ガス供給系では、リークタイトな配管系、ガス漏洩検知システム、排気ダクト、異常時のインタロックシステムが装備される。また、真空排気系には、耐腐蝕性のポンプの採用、ポンプ排気の排ガス除害装置への接続などが必要となる。


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