3.2.2 機密保持

 機密保持は、(1)偽造改ざん防止、(2)秘匿、(3)認証、そして(4)識別の4種の技術テーマからなる。この章では機密保持に関する技術をこれら4種の技術テーマに分類して説明する。

 図3-2-2 機密保持(その1)〜(その2)に機密保持に関する下記の29件の代表的な特許を時系列的に図示した。

 

(1) 偽造改ざん防止

 偽造改ざん防止関連の注目される代表的な権利として、下記の8件の特許を抽出した。磁気カードなどにも使用できる目視、あるいは光学的手段による比較的簡便な偽造防止技術と、ICカードならではの暗号を利用した高度な方法が注目される。

 

 実公平05- 32827(81.09)

書類用光学真偽マーク(エル ゲー ツエツト ランデイス ウント ギール ツーク AG:スイス) 波長オーダの鋸歯状溝のブロックを不規則に配列し、光学的に真偽を判定(登録)

 特公平05-  1518(83.04)

IDカードおよびその製造方法(ゲー アー オー G フユール アウトマツイオーン ウント オルガニザツイオーン MBH:独)浮き彫り記号が色の変化として現れるようレーザービームによって保全パターンを重ね合わせる(登録)

*特公平02- 42261(83.09)

暗号回路内蔵カードおよびそのサービスセンター(東芝) カード内に暗号回路を内蔵し、キーコードを暗号化する(登録)

 特公平06- 76000(85.09)

ICカードの製造方法(カシオ計算機)検査用アドレスパッドを機能検査後に除去して不正情報読取を禁止(登録)

 特公平08-  1514(86.08)

電離放射線感応型記録材料およびこの記録材料を有する積層体(大日本印刷) 電離放射線により光学的特性が変化する記録材料層を持つ(登録)

 特公平07- 64139(88.02)

記録媒体(凸版印刷) 赤外線吸収バーコード(登録)

 特公平07- 69944(89.08)

情報記憶カードの識別構造とその方法と情報記憶カード(日本発条)特定方向に反射する溝を配列しての解析する (登録)

 特公平08- 22633(92.03)

カードおよびカードの真偽判定方法 (大日本印刷)ランダムパターンの中に情報読取開始位置を配置(登録)

(2) 秘匿

 秘匿関連の注目される代表的な権利として、下記の7件の特許を抽出した。暗号化による秘匿の他に、機密コードと入力コードの比較による一致を行い、不一致の場合にはデータの読み出しを禁止する。ローカルの交信による比較から、通信回線上の秘匿、さらには多人数対応などの技術が注目される。

 

 特公平03- 65589(75.05)

携帯用電子製品(アンテルナシヨナル プール ランノバシヨン:仏)入力した秘密データと内部メモリの一部分とを比較して情報の読み出しを可能とする(登録)

*特公昭61- 43750(77.06)

データ処理方式(ブルSA:仏)機密データと別のコードと組み合わせて伝送して機データを保護(登録)

 特公平04- 16382(84.03)

携帯用可能媒体(東芝)外部からの命令の実行条件を設定しておき条件が満足されたときのみ命令を実行(登録)

*特公平08- 27812(86.04)

電子取引方法(日立製作所) 割印情報を送ることで電子捺印の持ち逃げを防止(登録)

 特許   2592856(87.09)

ICカード発行システム(東芝)ICカード発行情報を暗号化して送り、カードで復号するので途中で情報を盗まれない(登録)

 特開平04-205693(90.11)

データ通信システム(東芝)各ICカードに共通セッションキーを記憶させ、ホストと複数カードのオンラインシステムを構築(係属中)

 特公平08- 33914(91.05)

スマートカードのロツク方法(ジエムプリユス カード INTERN:仏) 実行プログラムの保護のため論理ロックを用いる(登録)

(3) 認証 

 認証関連の注目される代表的な権利として、下記の8件の特許を抽出した。複数の認証者を可能とする方法、正しいとされてきた認証者やセンターの不正対策などの不正な取引を防止する認証技術が注目される。また、公開鍵やカオスの利用などの新しい暗号化技術の利用が注目される。

 

 特公平04- 12869(83.09)

自動取引処理システム(インターナシヨナル ビジネス マシーンズ CORP:独) 個人キー、口座番号、取引変数に依存する時間変数キーを用いる(登録)

 特公平04- 14396(84.02)

情報処理装置(東芝)上長のみが知っている第2の暗証符号を使って階層的承認を得る(登録)

*特公平02-  4018(84.06)

利用者認証方式(日本電信電話)公開情報を暗号化して認証処理する(登録)

 特公平08- 27822(86.06)

外部媒体により、携帯可能な物体、例えばこの外部媒体に接続されたメモリカードの正当性を証明する方法(ビユル セーペー 8:仏)外部装置からの乱数を暗号化して送り出すことによりカードの不正作成を防ぐ(登録)

 特公平06- 22030(88.10)

取引の正当性確認方式(富士通)取引履歴の認証データをカード内に保持すると共に端末へ送る(登録)

 特開平06-289782(93.04)

相互承認方法(松下電器産業)情報処理端末専用のICカードがなければ、別のICカード内の情報にアクセスできない(係属中)

 特開平06-332374(93.05)

認証方法および認証システム(日立製作所)証明者の情報とセンターの情報とから作成した認証用情報を、確認者に対して証明することによりセンターの不正を防止(係属中)

 特開平07- 49839(93.08)

カオスを利用した認証システム、認証装置、被認証装置、および認証方法(野村総合研究所)周期性のない数列を発生する漸化式を定める番号を決定し、それを用いる(係属中)

(4) 識別

 識別関連の注目される代表的な権利として、下記の6件の特許を抽出した。本人識別用のキーワードを探索しながら不正使用される場合を想定した不正防止技術、画像処理に基づく個人の身体的特徴を利用した識別技術が注目される。

 

 特公昭59- 11950(79.12)

個人識別システム(インターナシヨナル ビジネス マシーンズ CORP:米)カード内の第1キーにより暗号化された乱数と、キーボードから入力された第2キーにより暗号化された乱数を比較する(登録)

 特公平04- 44314(80.07)

携帯可能担体ド(ブル トランザク:仏)不成功の履歴と成功の履歴を記憶し、その結果によって識別する(登録)

*特公平03- 20790(84.04)

本人照合装置(日本電気)カードに記憶した指紋の特徴と本人の指紋を比較(登録)

 特公平02- 39822(84.10)

個人認証装置(日立製作所)登録した手指の形状と長さを本人と比較(登録)

 特許    2581723(86.07)

外部からの許可データをメモリカードなどの携帯可能物体により確認する方法(ビユル セー ペー 8:仏)入力した許可データを暗号化し、カードで復号してカード内の参照用許可データと比較(登録)

 特開平06-125342(91.09)

暗号化キーの識別および交換の為の手段(テレベルケット:スウェーデン)暗号化キーの標準識別手続きおよび交換によって異なる形式の製品間相互通信を可能にした(係属中)

図3-2-2 機密保持(その1)



図3-2-2 機密保持(その2)