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(1) 階段昇降機
階段昇降機は、駅などの公共施設や家庭の階段で人または人を乗せた車椅子を上まで運ぶ装置である。普通、車椅子では階段を昇降できないため階段の脇にスロープを設けたりまたはエレベータを利用して階上階下へ移動しているが、特に一般家庭ではスペース的な制約や経済的負担が大きいためスロープやエレベータを設置するのは難しい。このような事情から考えられたのが階段昇降機である。この昇降機によって利用者は車椅子に乗ったまま、また足腰の弱っている高齢者は昇降機の椅子に座って階段を上がったり降りたりすることができる。車椅子の昇降では車椅子を昇降台やトロッコに乗せて昇降させる。図3-3-6に示した例では階段に敷設した左右1対のレールにトロッコを乗せ、これにワイヤロープをつないで巻き上げ機で昇降させる。ロープが切断したりモータなどの駆動系が破損してワイヤロープの張力が失われた場合はストッパによって急制動がかかるようになっている。
図3-3-6 トロッコ式階段昇降機(特公昭56-30311)

走行ガイドレールとガイドローラの機構を工夫したり、ローラスクリューのような特殊な駆動ギア系を使ったりさらには縦型の板状レールを使ったりして、ら旋階段のように曲がった階段や傾斜の異なる階段の昇降も可能になっている。
公共施設の階段では、階段昇降機を使っていないときに一般の人々の昇降の邪魔にならないようにしなければならない。突き出している椅子や台車の部分を折り畳み方式にしたり取り外し可能にする。ワイヤやギアなどの作動部分が露出すると安全上も問題があるため、図3-3-7のような昇降機自体に駆動機構と係合機構を設ける方法も考えられている。階段の壁に沿って上下2本の平行するガイドレール(3)が付設され、また壁には駆動ガイド(12)が設けられている。昇降機にはモータによって駆動される回転軸から放射状に伸びた複数のアーム(10)があり、このアームが回転し、その先端の係合子が駆動ガイド(12)に次々と噛み込んでいくことにより昇降機が上昇する。
図3-3-7 昇降機に駆動系を搭載した例(特許2500370)

懸垂型にすればレールが上にあるため一般通行の邪魔にならないことから、上から吊したモノレール型階段昇降機も出願されている。
図3-3-8は車椅子の両肘掛けを持って昇降する簡便な昇降機である。ガイドレールの搬送機には車椅子の一方の肘掛けを受ける受部があり、他方の肘掛けを吊り下げるブラケットがある。この2カ所で車椅子を支えて持ち上げていく。
図3-3-8 車椅子昇降機(特公平6-15398)

昇降機の停止時のオ−バ−ラン防止や走行路の障害物検知などの安全装置や、リモコン操作の手段も権利化されている。
(2) エレベータ、エスカレータ
エスカレータのステップの奥行き寸法は約400mm前後であり、一般の乗客を運ぶには十分の広さであるが、車椅子を乗せるには狭すぎる。そこで図3-3-9のように、任意のステップの踏み板の下方に内蔵された補助踏み板を奥行き方向に引き出し自在とし、かつこのステップに隣接する上方のステップを傾斜自在に構成して、車椅子を利用する時踏み板を広くする。通常は一般のマンコンベアと同じ大きさのステップであるため、ステップを反転させるスプロケットは従来のマンコンベアのスプロケットと同じ大きさで済む。
図3-3-9 車椅子用エスカレータ(特公平3-56056)

家庭用のエレベータについては、利用者の居室階に常時停車させておく方法、発進停止時のショックを和らげる方法、スクリューシャフト式にして省スペースを図る方法などが提案されている。
(3) 移動用リフター
移動用リフターはベッド、トイレ、浴室などの間を移動するためのリフト装置である。走行レールやリフティングアームに体を吊り下げて移動させる。こうした機械で最も重要なことは利用者の安全と不安感除去である。決して荷物のように扱う装置であってはならないのである。出願もこうした観点から行われており、特許が多い。
図3-3-10は歩行困難な人がベッド周辺の作業をするためのリフターである。6は浮力を発生させる吊り下げ駆動部分でモータによる巻き上げ機構となっている。ベッドに回動自在に支持された梁に浮力発生器を横行自在に取り付けてあり、利用者は浮力発生器の動ける範囲で容易に活動できる。装置も比較的簡便であるが、行動範囲は限定される。
同じようにベッドの身の回りの作業をするための装置として、ベッドの上にやぐら型のリフトを設ける方法も出願されている。
図3-3-10 簡易リフター(特公昭57-61427)

走行レール方式は図3-3-11のようなもので、室内の天井に走行レールを配設し、このレールに自走し得る吊り上げ装置本体を設けて利用者を吊り下げ、移動する。吊り上げ装置本体が自走するから天井にはレールを配設するのみで簡単な工事で済む。吊り上げ装置は一般の荷物などに使われるホイストと同様のものである。この方式ではレールの進路の切替技術が必要で、そのための接続ガイドも権利化されている。
図3-3-11 走行レール式リフター(特公平3-8772)

リフティングアームに吊り下げる方式はアームの延び縮みや回転によって移動させる。図3-3-12はその一つの例であるが、体を支える部分や揺れの防止に工夫が見られる。
図3-3-12 リフティングアーム方式(特公平5-72221)

(4) 浴用リフター
入浴用リフターは実用新案がほとんどである。従来の入浴用リフターは、L型の担架支持アームに担架を乗せ担架を水平に保ちながらアームを垂直面で回動させて上に持ち上げながら移動する方式や、先端に担架を乗せたアームを浴槽の縁をまたぐように垂直面に逆Uの字型に動かして移動させる方式などがある。権利化された入浴用リフターをみてみると、図3-3-13の方法はむしろ浴槽ベッドに近いが利用者をベッドの上で持ち上げるだけでその下に浴槽を入れて入浴させる。または持ち上げながら頭部と足部を水平方向に移動させてベッドの横に置いた浴槽で入用させる。アタッチメント式でハンドルでマットを巻き上げて持ち上げる。
図3-3-13 アタッチメント式浴用リフター(実公平2-2339)

アーム式の浴用リフターは例えば図3-3-14のような装置が提案されている。この装置ではロッド状の支柱にピストン状のフランジとシリンダーを取り付け、圧入される水の流量を調節してリフターのアームを上げ下げする。駆動源として水道から流出する水の圧力を利用できるから、水道があるところであればどこででも利用できる。
図3-3-14 アーム式浴用リフター(実公平4-23549)

(5) 持ち上げ具
持ち上げ具は寝たきりの人の体を持ち上げて、おむつ交換や床ずれ防止などの介護サービスを行いやすくする器具である。図3-3-15は手動式の油圧ジャッキで腰や足を持ち上げることでおむつ交換などを容易にするものである。人体76の腰部や足部がベルト35,55で持ち上げられ、その持ち上げ高さはロック装置34とチェーン54によって適宜調節できる。
図3-3-15 手動式持ち上げ具(特公昭60-20015)

モータ駆動による持ち上げ具としては図3-3-16のような装置が権利化されている。4本の脚部とこれらを連結して全体として台形の骨格をなす枠をパイプで構成し、上部両側のパイプから少なくとも3対の先端フック付きロープを適宜間隔を置いて垂下させ、各ロープをモータでそれぞれ独立に上下動させる。この装置を寝ている人の体の上へ覆い被せるように移動させ、ベルトまたは人体の部分を型取った受け皿を体の下にくぐらせ、その両端をロープ先端のフックに係止してモータを駆動させ、所望のロープを巻き上げて体を浮かせる。
図3-3-16 電動式持ち上げ具(実公平3-44194)

(6) 介護ロボット
介護ロボットはベッドや床の布団に寝ている人を抱き起こしたり抱き上げたり、抱えたまま風呂やトイレに移動することのできる機械である。図3-3-17は移動自在のベースの上に立設された支柱に左右のアームを個別に上下駆動自在に設け、各アームの先端に患者支え板をベッドに対して進退自在に設けた介護ロボットである。患者を抱え上げたり抱き起こしたりするときは左右の患者支え板それぞれを患者とベッドの間に差し入れ、アームを上下動させて抱き起こす。移動時の転倒防止のためにバランスセンサなどを組み込んでいる。
図3-3-17 介護ロボット(実公平3-42912)
