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第1章 特許からみた技術開発の動向
品種は、「ある種類の生物の実用的性質において他の集団と区別可能な遺伝的性質をもつ集団」と定義される。「日本型イネ(学名:Oryza sativa var.japonica)」においては、「コシヒカリ」等が品種である。「日本型イネ」は生物分類学上の最下位レベルの亜種に細分化された集団であるので、品種はさらにその下位のわずかな性質の相違をもつ集団となる。ある品種は他の品種と異なる表現形質(表れた性質)を示すが、その性質は遺伝的に固定されたものである。すなわち、品種が異なれば、その遺伝子の構造も異なる。
品種改良は、育種ともいい、品種を人間の望む性質に改良することであり、品種改良技術は「生物の遺伝的性質を改良する技術」と定義される。栽培方法などによって異なる性質を示す場合は遺伝子の変化を伴わないので、品種改良とは呼ばない。
特許においては、品種改良とその関連技術は植物と動物に分けて分類される。植物では、「新規植物とそれらを得るための方法および組織培養による増殖方法」として大分類され、さらに処理と生産物に分けられる。動物では「新規な脊椎動物」、「無脊椎動物の繁殖および新規な無脊椎動物」として分類される。本特許マップでは、まず上記の特許分類に従って、1971年7月から98年6月までに公開された特許、実用新案の出願から特許3,197件、実用新案467件を抽出し、広義の「品種改良技術」として1.3 項までの解析を行った。この中には組織培養による植物の増殖や動物の繁殖に関する、品種改良の関連技術が含まれる。
次のステップとして、1.4項以降では、PATOLISの抄録から、動物培養細胞、組織培養、飼育等の品種改良と直接関係のない特許・実用新案を除外して、1,511件から成る厳密な意味での「品種改良技術」に関する集合を作成し、対象生物種、育種技術、改良特性などの解析を行った。ここでは、品種改良技術として選抜技術、細胞培養技術、細胞融合技術、交配技術、変異技術、倍数体形成技術、遺伝子操作技術の7つに整理した。これらの技術には、選抜技術と倍数体形成技術のように、品種改良技術そのものであって他の目的には使用されない技術と、細胞培養技術、細胞融合技術、交配技術、変異技術、遺伝子操作技術のように品種改良における有力な技術であるが、他の目的にも広く利用される汎用的技術がある。これらの技術は単独あるいは組合せて、品種改良という目的の達成のために使用される。図1.1-1に品種改良における7つの技術を示す。この品種改良における7つの要素技術を、以後は、「育種技術」とする。

一方、品種改良技術は生物を改良する技術であり、対象とする生物種によってかなり改良手段が異なるため、生物種による類別が不可欠である。本特許マップでは対象とする生物種を、植物と動物に大別し、植物はさらに、被子植物、裸子植物、シダ類、藻類、菌類に分類した。動物は脊椎動物と無脊椎動物に分類した。これらを図示すると図1.1-2のようになる。

品種改良技術は以上のように、育種技術と対象生物種の2つの指標によって体系化され、7つの育種技術が多様な生物種に適用されることにより、新しい品種が生まれる。図1.1-3に技術体系を模式的に図示する。
(1971.7〜98.6月迄に公開の出願)
