(3) トウモロコシ

 トウモロコシの品種改良技術の特許出願件数の推移を図1.4.1-11に示す。総数は少ないものの1988年から出願が増加している。

図1.4.1-11 トウモロコシの特許出願件数推移

 トウモロコシの品種改良技術の特許主要出願人を表1.4.1-7に示す。いずれも1988年以降の出願であり、遺伝子操作技術が多いが、アメリカン メイズプロダクツ(米国)は交配技術によるものである。トウモロコシの海外出願人の占める割合を図1.4.1-12に示す。海外出願人の占める割合は84%で、ほとんどが外国企業である。

表1.4.1-7 トウモロコシの特許主要出願人

出願人

開始年

最近年

出願件数

イ- アイ デユポン(米国)

1990

1994

6

アメリカン メイズ プロダクツ
(米国)

1988

1988

6

ノバルテイス(スイス)

1988

1996

5

日本たばこ産業

1989

1994

3

ロ-ヌ プ-ラン アグロシミ
(フランス)

1992

1994

3

ゼネカ(イギリス)

1989

1991

3

デカルブ ジエネテイクス
(米国)

1990

1991

3

モンサント(米国)

1991

1993

3

図1.4.1-12 海外出願人の占める割合



(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)

 トウモロコシの技術/改良特性マトリックスを表1.4.1-8に示す。遺伝子操作技術に次いで交配技術が多いのは各作物に共通である。変異技術によるものは少ない。改良特性ではやはり品質向上とストレス耐性が多い。交配技術はその他と共通を除くと品質向上に集中しており、収量向上に関するものはない。イネ、ムギと同じく、交配技術に関連する、その他(雄性不稔)が多い。トウモロコシは他殖性であるため、イネ、ムギほど雄性不稔技術は重要ではないが、同じイネ科であるので、同一技術として含まれているケースが多いためである。遺伝子操作技術は、その技術が強力に発揮されるストレス耐性および品質向上を目的とする出願が多い。

表1.4.1-8 トウモロコシの技術/改良特性マトリックス

収量
向上

品質向上

ストレス耐性

操作性
向上

その他

共通

合計
件数

選抜技術

 

9

4,

     

2

細胞・組織培養技術

 

16

4

   

19,21,22,
26

6

細胞融合技術

         

1,8

2

交配技術

 

10,11,12,13,
14,31,60,

24

 

2,5,7,
18,64

3,19,20,
21,22,26,
57

20

変異技術

65

 

24

     

2

倍数体形成技術

         

20

1

遺伝子操作技術

30,67

40,42,44,47,
49,51,54,56,
58,61,68,70,
71,72,74

32,35,37,38,
39,43,45,46,
48,50,52,53,55,
59,62,63,
73,75

 

15,25,
27,29,
64

6,17,66

43

合計件数

3

24

22

0

10

17

76

(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)
(番号は表1.4.1-9の番号を表す)

 トウモロコシの品種改良の課題について図1.4.1-13に示す。

図1.4.1-13トウモロコシの品種改良の課題

(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)
(番号は表1.4.1-9の番号を表す)

 遺伝子操作技術以外では、交配技術による増粘性、デンプン組成、脂肪酸組成の改良がある。トウモロコシはデンプンと油脂の原料であるのでこれらの特性が品質の改良点となっている。なお、油脂に関する改良特許は他の油糧植物と共通で出願されており、トウモロコシ中心のものは本図に挙げたものだけである。遺伝子操作技術では、飼料としてのアミノ酸含量の改良、甘味やフルクタン含量の改良が行われている。トウモロコシの育種技術別の特許出願件数推移を図1.4.1-14に示す。近年はほとんどが遺伝子操作技術によるものである。交配技術は1993年まで、細胞・組織培養技術は91まで出願されている。変異技術は少ない。

 トウモロコシの改良特性別特許出願件数推移を図1.4.1-15に示す。各特性とも最近まで出願されており、種々の課題が残っていると考えられる。

図1.4.1-14 トウモロコシの育種技術別特許出願件数推移


図1.4.1-15 トウモロコシの改良特性別特許出願件数推移

 トウモロコシの種苗法品種登録は、全件数が25件(内、権利存続中のものが17件)と少ない。

 わが国のトウモロコシの生産量は非常に少なく、従って国内出願もわずかであり、今後も遺伝子操作技術による外国企業が品種改良の主役となると考えられる。

 トウモロコシの品種改良に関する出願特許を表1.4.1-9に示す。登録特許には登録欄に○を付けた。

表1.4.1-9 トウモロコシの品種改良出願特許(1/4)

番号 公報番号 登録 発明の名称 出願人 生物種 改良特性

1

特開昭46-  1344

 

単離された植物原形質体の融合を実施する方法

ナシヨナル リサ−チ(イギリス)

カラスムギ

 

2

特開昭53-133633
特公昭62- 44547

4−ピリダゾン化合物およびそれを用いる雄性不稔誘発法

ロ−ム アンド ハ−ス(米国) 

穀類植物

稔性

3

特開昭55- 92627

 

稲科植物

陸海動植物研究所

イネ科

 

4

特開昭60-210929

 

耐除草剤性植物

モレキユラ− ジネテイクス(米国) 

トウモロコシ

耐除草剤

5

特開平01-  5435
特許2565347

高気温除雄交雑法

若松 大朔

ムギ等

稔性

6

特開昭63-313588
特許2672316

嫌気的植物調節因子

ルブリゾル エンタ−プライジズ(米国)

植物

 

7

特開昭63-301730

 

雑種トウモロコシ種子および方法

ケムブレド(米国)

トウモロコシ

稔性

8

特開平01- 63373

 

プロトプラストまたはプロトプラスト誘導細胞から再生されたトウモロコシ植物体および遺伝子導入トウモロコシ植物体

ノバルテイス(スイス)

トウモロコシ

 

9

特開平01- 56703
特公平05- 51603

新規なスタ−チ、それから製造される製品およびそれらの製造方法

アメリカン メイズ プロダクツ(米国)

トウモロコシ

デンプン

10

特開平01- 60601
特公平05- 51605

新規なスタ−チ、それから製造される製品およびそれらの製造方法

アメリカン メイズ プロダクツ(米国)

トウモロコシ

増粘性

11

特開平01- 29402
特公平05- 51265

新規なスタ−チ、それから製造される製品およびそれらの製造方法

アメリカン メイズ プロダクツ(米国)

トウモロコシ

増粘性

12

特開平02- 20501
特公平05- 51266

新規なスタ−チ、それから製造される製品およびそれらの製造方法

アメリカン メイズ プロダクツ(米国)

トウモロコシ

粘度 外観

13

特開平01- 60602
特公平05- 51267

新規なスタ−チ、それから製造される製品およびそれらの製造方法

アメリカン メイズ プロダクツ(米国)

トウモロコシ

増粘性

14

特開平01- 29403
特公平05- 51268

新規なスタ−チ、それから製造される製品およびそれらの製造方法

アメリカン メイズ プロダクツ(米国)

トウモロコシ

増粘性

15

特表平05-503836

 

植物類における遺伝性雄性不稔および単為生殖の無性生殖性誘導

エレン ジヨ−ンズ マクソン(米国)

共通

稔性

16

特表平02-503985

 

改良された生物学的価値の植物の製造及び使用

ボグダ−ニユネ− フオルガ−チユ オルガ(ハンガリー)

マメ等

成分

17

特開平02- 86783

 

DNA組立て体及びそれらを組込んだ植物

ゼネカ(イギリス)

トウモロコシ

高発現

18

特開平03- 56468
特許2771627

花粉抑制剤及びその農地制御学上許容される塩、イネ科植物の雄性不稔性を引き起す方法、並びに自家授粉イネ科植物から交配種子を製造する方法

イブリノバ(フランス)

共通

雄性不稔



表1.4.1-9 トウモロコシの品種改良出願特許(2/4)
番号 公報番号 登録 発明の名称 出願人 生物種 改良特性

19

特開平03-155723

 

トウモロコシの葯培養方法

日本たばこ産業 

トウモロコシ

 

20

特開平03-172125

 

一倍体トウモロコシ雄配偶体の懸濁培養方法およびそれからの生産物

ダウエランコ(米国)

トウモロコシ

 

21

特開平04-200330

 

トウモロコシの葯培養方法

日本たばこ産業 

トウモロコシ

 

22

特表平04-505553

 

雄性発生を受けるトウモロコシの能力を高めるための方法及びそれから生成される生成物

ユナイテイド アグリシ−ズ(米国) 

トウモロコシ

 

23

特表平04-504054

 

遺伝子の発現の外部の調節

イ− アイ デユポン(米国)

トウモロコシ等

 

24

特表平04-507340

 

除草剤抵抗性トウモロコシ

ゼネカ(イギリス) 

トウモロコシ

耐除草剤

25

特表平05-501352

 

安定な形質転換稔性単子葉植物およびそれらの細胞を製造するための方法および組成物

デカルブ ジエネテイクス(米国) 

 

稔性

26

特開平04-252122

 

トウモロコシの葯培養方法

雪印種苗 

トウモロコシ

 

27

特開平06- 46697

 

外部から誘導し得るプロモ−タ−配列を用いた小胞子形成の制御

パイオニア ハイブレツド(米国) 

   

28

特開平04-271733

 

異質遺伝子を有する稔性のトランスジエニツクトウモロコシ植物およびそれらの産生法

ヘキスト(ドイツ)

トウモロコシ

 

29

特開平05-161494

 

ナス科植物のZmPK1ホモログタンパク質リン酸化酵素遺伝子

住友化学工業 

共通

 

30

特表平05-505933

 

結実能力のある遺伝子変換コ−ン

デカルブ ジエネテイクス(米国) 

トウモロコシ

 

31

特表平05-501808

 

トウモロコシ生成物およびその製造方法

アグリジエネテイクス(米国)

トウモロコシ

脂肪酸

32

特表平06-502299

 

殺虫性タンパク質

ペスタツクス(イギリス) 

 

耐虫性 

33

特表平06-501155

 

植物細胞の遺伝子操作方法、ならびに組換えプラスミド、組換え菌及び植物

クロフイス マツトン(ベルギー)

トウモロコシ等

 

34

特表平05-507626

 

トランスジエニツク植物におけるシクロデキストリンの生産

カルジ−ン(米国) 

トウモロコシ等

 

35

特表平06-501615

 

グリホセ−ト耐性5−エノ−ルピルビル−3−ホスホシキメ−トシンタ−ゼ

モンサント(米国)

トウモロコシ等

耐除草剤

36

特表平06-500472

 

グリホセ−ト耐性5−エノ−ルピルビルシキミ酸−3−ホスフエ−トシンタ−ゼ

モンサント(米国)

トウモロコシ等

 

37

特表平06-502074

 

除草剤抵抗性トウモロコシ

ゼネカ(イギリス)

トウモロコシ

耐除草剤

38

特開平05- 95789

 

植物の形質転換用キメラ遺伝子

ロ−ヌ プ−ラン アグロシミ(フランス)

 

耐除草剤

39

特開平05-227964

 

イミダゾリノン耐性AHAS変異体

アメリカン サイアナミツド(米国) 

トウモロコシ

耐除草剤

40

特表平07-503122

 

植物中で炭水化物組成の点で変化を引き起こすDNA配列を含有するプラスミド並びに植物細胞および該プラスミドを含有する植物

ヘキスト シエ−リング(ドイツ) 

共通

デンプン

41

特表平07-502880

 

電気穿孔によるトウモロコシ細胞の安定した形質転換方法

デカルブ ジエネテイクス(米国) 

トウモロコシ

 

42

特表平06-505387

 

高硫黄種子タンパク質遺伝子及び植物中の含硫アミノ酸含有量の増加法

イ− アイ デユポン(米国) 

トウモロコシ

含硫アミノ酸

43

特表平06-507070

 

植物キチナ−ゼ遺伝子およびその使用

サンド(スイス) 

共通

耐虫性



表1.4.1-9 トウモロコシの品種改良出願特許(3/4)
番号 公報番号 登録 発明の名称 出願人 生物種 改良特性

44

特表平06-509939

 

ヘリアンチニンの上流側調節要素に基づくキメラ植物遺伝子

ロ−ヌ プ−ラン アグロシミ(フランス)

 

油脂

45

特開平06-197651

 

耐病原体性トランスジエニツク生物およびその生物を作製するのに用いるDNA−トランスフアベクタ−ならびにその生物を作製する方法

マツクス プランク(ドイツ) 

共通

耐病性

46

特表平06-508033

 

植物を保護するための殺昆虫蛋白質および方法

ダウ アグロサイエンス(米国) 

共通

耐虫性

47

特表平07-502163

 

植物の栄養価改良用のプログラム可能水準の必須アミノ酸類を含有する規定された構造を有する合成貯蔵蛋白質

イ− アイ デユポン(米国) 

共通

必須アミノ酸量

48

特表平07-500012

 

メイズ(maize)における強化殺虫活性をもつ合成DNA配列

ノバルテイス(スイス)

トウモロコシ

耐虫性

49

特表平07-500965

 

改良超甘味トウモロコシ

ノバルテイス(スイス) 

トウモロコシ

甘味

50

特表平07-500966

 

修飾遺伝子及びそれらの植物細胞における発現

プラント ジエネテイツク システムズ(ベルギー) 

共通

耐虫性

51

特表平07-501701

 

植物由来の脂肪酸不飽和化酵素遺伝子

イ− アイ デユポン(米国) 

共通

脂肪酸組成

52

特表平07-504820

 

複数ウイルス耐性を示すトランスジエニツク植物およびその生産方法

ケミラ バイオ オルデイング(オランダ) 

共通

耐病性

53

特表平06-508040

 

植物内での増強発現

モンサント(米国) 

共通

耐虫性

54

特表平07-505772

 

フラボノイド経路の酵素をコ−ドする遺伝子配列およびその用途

インタ−ナシヨナル フラワ−(オーストラリア) 

共通

55

特表平08-501923

 

根特異的又は根に高率の遺伝子発現のためのアブラナ属調節配列

パイオニア ハイ−ブレツド(米国)

共通

耐虫性

56

特開平07-143887

 

植物のアセチルCoAカルボキシラ−ゼ遺伝子

三井業際植物バイオ研究所

共通

脂肪合成、蛋白質合成

57

特開平07-143829

 

二倍化一倍体

ノバルテイス(スイス)

トウモロコシ

 

58

特開平08- 89240

 

植物の脂肪酸不飽和度の改変方法

三井石油化学工業 

共通

脂肪酸組成

59

特開平07-184664

 

アルフア−チユ−ブリンのキメラ遺伝子のプロモ−タ−エレメント

ロ−ヌ プ−ラン アグロシミ(フランス)

共通

耐除草剤性

60

特表平08-503123

 

高アミロ−ス澱粉および抵抗性澱粉画分

グツドマン フイ−ルダ−(オーストラリア) 

トウモロコシ

デンプン組成

61

特表平08-502891

 

植物脂肪酸シンタ−ゼ

カルジ−ン(米国)

共通

脂肪酸組成

62

特表平08-509116

 

アセチルCoAカルボキシラ−ゼ遺伝子

マツクス プランク(ドイツ)

共通

耐除草剤性

63

特表平08-509598

 

除草剤抵抗性植物

日本チバガイギ− 

共通

耐除草剤性

64

特表平08-507691

 

植物発生を制御するための方法及び組成物

パイオニア ハイ−ブレツド(米国) 

共通

稔性

65

特開平09- 23775

 

トウモロコシの育種方法

雪印乳業 

トウモロコシ

早熟性

66

特再平07-806722

 

未熟胚の胚盤を用いた単子葉植物の形質転換方法

日本たばこ産業 

イネ科

 

67

特表平09-504171

 

アンモニウム輸送体、該輸送体を含有するプラスミド、細菌、酵母、植物細胞および植物

ヘキスト シエ−リング(ドイツ) 

共通

収量

68

特表平09-505467

 

トランスジエニツクフルクタン蓄積作物およびその生産法

イ− アイ デユポン(米国)

トウモロコシ、ジャガイモ

フルクタン含量

69

特表平09-511124

 

キメラ遺伝子ならびにトウモロコシ、ダイズおよびナタネ植物

イ− アイ デユポン(米国)

共通

 


表1.4.1-9 トウモロコシの品種改良出願特許(4/4)

番号

公報番号

登録

発明の名称

出願人

生物種

改良特性

70

特表平09-511647

 

シンナモイルCoAレダクタ−ゼをコ−ドしているDNA配列、および植物のリグニンレベル調節の分野におけるそれらの用途

サントル ナシオナル ド ラ ルシエルシユ シアンテイフイツク(フランス)

アルファルファ、トウモロコシ

リグニン量

71

特表平09-511647

 

シンナモイルCoAレダクタ−ゼをコ−ドしているDNA配列、および植物のリグニンレベル調節の分野におけるそれらの用途

サントル ナシオナル ド ラ ルシエルシユ シアンテイフイツク(フランス)

アルファルファ、トウモロコシ

リグニン量

72

特開平10-117781

 

イネのジヒドロジピコリネ−トシンタ−ゼ遺伝子

北興化学工業 

イネ

アミノ酸含量

73

特開平09-238690

 

殺虫性タンパク質を発現する遺伝子、該タンパク質の製法および使用法

ノバルテイス(スイス)

トウモロコシ

耐虫性

74

特表平10-501967

 

澱粉含有量変性植物

アドバンスト テクノロジ−ズ(イギリス) 

コムギ

デンプン

75

特開平10- 52186

 

形質転換されたホモノ科植物

ユニバ−シテイ オブ トレド(米国)

ホモノ科植物

耐除草剤性

(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)

 

(4) ダイズ

 ダイズの品種改良技術の特許出願の推移を図1.4.1-16に示す。

図1.4.1-16 ダイズの特許出願件数推移

 1992年に出願が多いが、遺伝子操作技術の植物への応用が活発に行われた時期と考えられる。

 ダイズの品種改良技術の主要出願人を表1.4.1-10に示す。外国企業が多いが、三井業際植物バイオ研究所と住友化学工業の出願もある。

 また、ダイズの海外出願人の占める割合を図1.4.1-17 に示す。海外出願人の占める割合はは64%である。

表1.4.1-10 ダイズの特許主要出願人
出願人 開始年 最近年 出願
件数

イ- アイ デユポン(米国)

1992

1995

6

三井業際植物バイオ研究所

1992

1996

4

モンサント(米国)

1990

1995

4

住友化学工業

1988

1993

3

マイコジエン プラント サイエンス
(米国)

1985

1994

3

パイオニア ハイブレツド(米国)

1992

1997

3

アグラシ-タス(米国)

1988

1991

3

図1.4.1-17 海外出願人の占める割合



(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)

 ダイズの技術/改良特性マトリックスを表1.4.1-11に示す。育種技術では、ほとんどが遺伝子操作技術であるのが特徴的である。他は選抜技術と変異技術がわずかにあるだけである。改良特性では、他の穀物と同様に品質向上とストレス耐性が多い。しかし、その他(雄性不稔)が非常に少ないのが他の穀物との相違点である。これはダイズではF1種子の開発が余りなされていないことを意味する。遺伝子操作技術はほとんどが品質向上とストレス耐性に関するものである。前者では脂肪酸組成、後者では耐除草剤性等のダイズにおける課題が、遺伝子操作技術によって比較的解決しやすいためと考えられる。

 

表1.4.1-11 ダイズの技術/改良特性マトリックス

収量
向上
品質向上 ストレス耐性 操作性
向上
その他 共通 合計
件数
選抜技術 6 2     8 45 4
細胞・組織培養技術             0
細胞融合技術           1,45 2
交配技術   2         1
変異技術 6 7,9,12         4
倍数体形成技術         24   1
遺伝子操作技術   11,25,26,
28,29,32,
34,36,37,
40,42,44,
49,50,
3,5,14,
46,19,31,
33,35,38,
39,43,46,
48
17     28

合計件数

2 19 13 1 2 3 40

(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)
(番号は表1.4.1-12の番号を表す)

 ダイズの品種改良の課題について図1.4.1-18に示す。ダイズは油糧植物用以外に食用、飼料用としても使用されるので、品質改良点が多様である。最も多いのは脂肪酸含量に関するものであるが、他にアミノ酸含量と無臭化があり、後者はダイズに独特のものである。

図1.4.1-18ダイズの品種改良の課題

(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)
(番号は表1.4.1-12の番号を表す)

 ダイズの育種技術別の特許出願件数推移を図1.4.1-19に示す。遺伝子操作がほとんどであるが、他の技術も散発的に出願が継続している。

図1.4.1-19 ダイズの育種技術別特許出願件数推移

 ダイズの改良特性別特許出願件数推移を図1.4.1-20に示す。前述のように、品質向上とストレス耐性が大半を占める。耐除草剤性ダイズとしてモンサント(米国)による組換えダイズが米国で実用化されている。

図1.4.1-20 ダイズの改良特性別特許出願件数推移

 ダイズの種苗法品種登録は全件数が61件(権利存続中のものが46件)であり、特許とほぼ同じ状況にある。

 ダイズはその用途の多様性から品質面で改良課題が多いが、日本国内の生産量は低く、またほとんどが遺伝子操作技術によって取り組まれている。従って、地球規模での汎用性のある品種改良を目的とする研究開発を行う必要がある。

 ダイズの品種改良に関する出願特許を表1.4.1-12に示す。登録特許には登録欄に○を付けた。

 

表1.4.1-12ダイズの品種改良特許(1/3)

番号 公報番号 登録 発明の名称 出願人 生物種 改良特性
1

特開昭46-  1344

  単離された植物原形質体の融合を実施する方法

ナシヨナル リサ−チ(イギリス)

カラスムギ

 
2 特開昭61- 56027
特公平05- 18536
遺伝的に無臭である大豆の生産方法 パ−デユ− リサ−チ(米国) ダイズ 無臭
3 特開昭60-248176   ヒ−トシヨツクプロモ−タ−および遺伝子 マイコジエン プラント サイエンス(米国) 植物 耐ストレス
4 特開昭63- 94979   マメ科植物細胞への遺伝物質の導入方法 帝人 マメ科  
5 特開昭62-296882
特許2511036
グルタチオンS−トランスフエラ−ゼ遺伝子及び該遺伝子を含有する除草剤耐性植物 チバ ガイギ−(スイス)  タバコ等 耐除草剤
6 特開昭63-240724   器官形成および体性クロ−ン変異によるグリシン種全植物体の再生 マイコジエン プラント サイエンス(米国) ダイズ等  
7 特開平01-171418   ダイズ属に属する新植物及びその育種法 味の素 ダイズ属 脂肪酸
8 特開平01-163103   植物の雄性不稔剤 住友化学工業  イネ等 稔性
9 特開平02- 20225   リポキシゲナ−ゼ欠損大豆の生産法 不二製油 ダイズ 臭い
10 特開平01- 80296   大豆およびその系列の粒子媒介形質転換 アグラシ−タス(米国) ダイズ  
11 特開平02-156889   グリシニン生産細胞及びグリシニン生産植物の育種方法並びに育種増殖方法 農林水産省食品総合研究所長 タバコ、イネ、バレイシヨ 栄養価、香
12 特開平03-123425   ダイズ属に属する植物及びその育種法 味の素 ダイズ 脂肪酸組成
13 特開平03-198781   トランスジエニツク植物のプロモ−タ− モンサント(米国) ダイズ等  
14 特開平03-187381   グルタミンシンテタ−ゼインヒビタ−耐性に関するダイズ植物の遺伝子操作方法 アグラシ−タス(米国) ダイズ  
16 特開平04-320631   病害耐性タバコ植物及びその作製方法 大塚化学 タバコ 耐病性
17 特開平06-261768   胚芽系列形質転換事象の早期同定を伴う植物形質転換法 アグラシ−タス(米国) ダイズ  
18 特開平05-192051   トランスジエニツク植物不定胚細胞株の製造方法 住友化学工業     
19 特表平05-508776   グリホセ−ト耐性植物 モンサント(米国)  

耐除草剤



表1.4.1-12ダイズの品種改良特許(2/3)
番号 公報番号 登録 発明の名称 出願人 生物種 改良特性
20 特表平06-500472   グリホセ−ト耐性5−エノ−ルピルビルシキミ酸−3−ホスフエ−トシンタ−ゼ モンサント(米国)

トウモロコシ等

耐除草剤
21 特開平05-268965   植物プロモ−タ−配列 パイオニア ハイブレツド(米国)    
22 特開平06- 62864   大豆リポキシゲナ−ゼL−4遺伝子 三井業際植物バイオ研究所 ダイズ 臭い
23 特開平06- 62870   大豆ホスホエノ−ルピルビン酸カルボキシラ−ゼ遺伝子のプロモ−タ−領域及び5’非翻訳領域 三井業際植物バイオ研究所    
24 特開平06- 98648   種子植物の雌配偶子から半数体植物を作出する方法 高砂香料工業  共通  
25 特開平06- 98777   トランスジエニツク植物組織における、△9デサチユラ−ゼによる脂肪酸の改変 ユニバ−シテイ(米国)  ダイズ 脂肪酸組成
26 特表平07-503122   植物中で炭水化物組成の点で変化を引き起こすDNA配列を含有するプラスミド並びに植物細胞および該プラスミドを含有する植物 ヘキスト シエ−リング(ドイツ)  共通 デンプン
27 特表平06-510422   植物におけるポリヒドロキシアルカノコ−トの生産 ゼネカ(イギリス) アブラナ PHA生産
28 特表平06-509939   ヘリアンチニンの上流側調節要素に基づくキメラ植物遺伝子 ロ−ヌ プ−ラン アグロシミ(フランス)   油脂
29 特開平06- 14667   デサチユラ−ゼを使用しての植物油の改変 アグリジエネテイクス(米国)  アブラナ、ダイズ 脂肪酸組成
30 特開平06-189777   種子用発現プラスミド 住友化学工業  ダイズ  
31 特開平06-292480   光障害耐性植物およびその製造方法 三菱化成 共通 光障害耐性
32 特表平07-502163   植物の栄養価改良用のプログラム可能水準の必須アミノ酸類を含有する規定された構造を有する合成貯蔵蛋白質 イ− アイ デユポン(米国)  共通 必須アミノ酸量
33 特表平06-511152   病原体耐性トランスジエニツク植物 ノ−スカロライナ ステ−ト UNIV(米国)

共通

耐病性
34 特表平07-503605   △6−デサチユラ−ゼによるガンマリノレン酸の製造 ロ−ヌ プ−ラン アグロシミ(フランス) 共通 脂肪酸組成
35 特表平07-500966   修飾遺伝子及びそれらの植物細胞における発現 プラント ジエネテイツク システムズ(ベルギー) 共通 耐虫性
36 特表平07-501446   植物からのβ−ケトアシル−ACPシンテタ−ゼ†1†1遺伝子 イ− アイ デユポン(米国) 共通 脂肪酸組成
37 特表平07-501701   植物由来の脂肪酸不飽和化酵素遺伝子 イ− アイ デユポン(米国) 共通 脂肪酸組成
38 特表平07-504820   複数ウイルス耐性を示すトランスジエニツク植物およびその生産方法 ケミラ バイオ オルデイング(オランダ) 共通 耐病性
39 特開平07- 75567   ヒ−トシヨツクプロモ−タ−を用いる遺伝子発現方法およびその使用 マイコジエン プラント サイエンス(米国) 共通 耐高温性
40 特開平07-143887   植物のアセチルCoAカルボキシラ−ゼ遺伝子 三井業際植物バイオ研究所 共通 脂肪合成、蛋白質合成
41 特表平07-509138   培養ダイズ細胞のAGROBACTERIUM媒介形質転換の改良法 パイオニア ハイブレツド(米国) ダイズ  
42 特表平08-502891   植物脂肪酸シンタ−ゼ カルジ−ン(米国) 共通 脂肪酸組成
43 特表平08-509598   除草剤抵抗性植物 日本チバガイギ−

共通

耐除草剤性


表1.4.1-12ダイズの品種改良特許(3/3)
番号 公報番号 登録 発明の名称 出願人 生物種 改良特性
44 特表平08-507219   硫黄含有アミノ酸が豊富な改良された飼料作物および改良法 イ− アイ デユポン(米国)  共通 アミノ酸組成
45 特開平08-298886   蛍光反応を利用した融合雑種植物の選抜方法 飼料作物改良増殖技術研究所 ライグラス、ダイズ  
46 特開平08- 51986   ウイルス耐性の植物の生産方法 モンサント(米国) 共通 耐病性
47 特表平09-511124   キメラ遺伝子ならびにトウモロコシ、ダイズおよびナタネ植物 イ− アイ デユポン(米国)  共通  
48 特開平09-224672   新規なDNA結合タンパク質をコ−ドするDNA 三井業際植物バイオ研究所 共通 耐病性
49 特開平10-117781   イネのジヒドロジピコリネ−トシンタ−ゼ遺伝子 北興化学工業  イネ アミノ酸含量
50 特表平10-505237   カノラ及びダイズのパルミトイル−ACPチオエステラ−ゼ遺伝子のヌクレオチド配列、並びにダイズ及びカノラ植物の油の脂肪酸量の調節におけるこれらの使用 イ− アイ デユポン(米国) ダイズ、カノラ 脂肪酸組成
51 特開平10- 14425   培養ダイズ細胞のAGROBACTERIUM媒介形質転換の改良法 パイオニア ハイブレツド(米国) ダイズ  

(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)