1.4.1 穀類

 穀類の品種改良に関する技術開発は、植物の種類を特定している特許が156件出願されている。内訳は複数の穀物を指定しているものを含めて、イネに関するもの105件、ムギ53件、トウモロコシ75件、ダイズ50件で他の穀物はほとんどない。また、重複が非常に多い。イネ、ムギ、トウモロコシはともにイネ科で、品種改良技術の共通の対象となるため、同一特許に含まれることが多いが、生産国や加工など利用形態が大きく異なるため、個別に扱った。


(1) イネ

 イネの品種改良技術の特許出願件数推移を図1.4.1-1に示す。1978〜79年に数件出願されているが、内容は主として雄性不稔化剤に関するものである。1985年から著しい出願の増加がみられ、これは、プロトプラストの利用による細胞融合や変異技術、雄性不稔によるF1種子の開発等がこの時期から活発化したことによる。

図1.4.1-1 イネの特許出願件数推移

 イネの主要な出願人を表1.4.1-1に示す。現三井化学の三井石油化学工業、三井東圧化学、および三井業際植物バイオ研究所の三井グループが多い。農水省を始めとして、国、都道府県が多いこともイネの特徴である。また、イネの海外出願人の占める割合を図1.4.1-2に示す。海外企業の占める割合は13%で、他の穀物に比べて低い。

表1.4.1-1 イネの特許主要出願人

出願人

開始年

最近年

出願件数

三井石油化学工業

1990

1996

12

三菱化成

1986

1994

12

三井業際植物バイオ研究所

1990

1996

10

三井東圧化学

1985

1990

9

住友化学工業

1986

1994

8

農水省

1985

1994

7

北興化学工業

1986

1996

4

図 1.4.1-2海外出願人の占める割合



(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)

 また、イネの技術/改良特性マトリックスを表1.4.1-2に示す。表中の番号は本項末尾の表1.4.1-3に示す特許の整理番号を示す。

表1.4.1-2 イネの技術/改良特性マトリックス

収量
向上
品質向上 ストレス
耐性
操作性
向上
その他 共通 合計
件数

選抜技術

 

16,37,40,101

3,16,18,29,
47,67,81

45,48

2,14,26,
34,38,79

4,5,20

22

細胞・組織培養技術

17

35,36,46

47

45

22

7,8,23,
24

11

細胞融合技術

1,9

     

39,41

7,8,10,
11,23,25

10

交配技術

6,28

31,37,40,44

18

48

12,13,15,
19,22,27,
30,38,39,
102

20,89

20

変異技術

21

43,44

29,42,67,
81,104

58

 

73

10

倍数体形成技術

         

66

1

遺伝子操作技術

75,88,
94

32,33,50,55,
57,59,60,63,
69,74,75,78,
83,96,99,
100,103

56,62,68,
72,76,77,
82,84,85,
86,87,92,
95,97

54

27,41,98,
102

24,64,65,
80,93,
105

45

合計件数

9

30

28

6

23

23

119

(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)
(番号は表1.4.1-3の番号を表す)

 イネにおける主要な課題を抽出し、それらに関する特許の育種技術との関連を解析した結果を図1.4.1-3に示す。図中の番号は特許をリスト化した表1.4.1-3中の番号を示す。遺伝子操作技術以外の技術では、食味性の改良が選抜技術によって、ストレス耐性が主として変異技術によって達成されている。前述の無毛性は変異等の在来技術で行われている。遺伝子操作技術では、品質向上に関しデンプンの構造改変やアレルゲン低減等のイネに特徴的な課題への取り組みがなされている。また、耐冷性も古くからの課題である。

図1.4.1-3 イネの品種改良の課題(1)-遺伝子操作技術以外

(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)
(番号は表1.4.1-3の番号を表す)

 

図1.4.1-3 イネの品種改良の課題(2)-遺伝子操作技術

(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)
(番号は表1.4.1-3の番号を表す)

 

 イネの育種技術別の特許出願件数推移を図1.4.1-4に示す。1990年以降、細胞・組織培養技術と細胞融合技術は表れていない。交配技術は1988〜90年がピークで以後は少ないが、依然として出願は続いている。遺伝子操作技術が急増しているのは各作物に共通である。変異技術も少数ではあるが継続しており、有力な改良技術とみなすことができる。

図1.4.1-4 イネの育種技術別特許出願件数推移

 イネの改良特性別特許出願件数推移を図1.4.1-5に示す。収量向上は、最近も継続して出願されており、依然として課題であることを示している。内容は遺伝子操作技術を使用する代謝調節による方法である。品質向上とストレス耐性は一定して多く出願されている。その他(雄性不稔)は一時途絶えていたが、最近再び出願されている。操作性向上は、全般的に少ないが、1989〜92年に4件出願されている。無毛性等に関するものでイネ独特の課題と考えられる。

図1.4.1-5 イネの改良特性別特許出願件数推移

 なお、イネの種苗法品種登録は、全件数が271件(内、権利存続中のものが205件)で、作物中で最も多い。F1種子や、プロトプラスト突然変異による新品種は既に販売されている。イネの生産量は漸減傾向にあるが、品質向上やストレス耐性の課題は多い。遺伝子操作技術以外でも交配、変異等による新品種の作出が十分に可能であると考えられる。

 イネの品種改良に関する出願特許を表1.4.1-3に示す。登録特許には登録欄に○を付けた。

 

表1.4.1-3 イネの品種改良出願特許(1/4)

番号

公報番号

登録

発明の名称

出願人

生物種

改良特性

1

特開昭54- 15809

 

細胞改良による3Cより4C植物化のイネ

武川 晋

イネ等

光合成効率

2

特開昭53-133633
特公昭62- 44547

4−ピリダゾン化合物およびそれを用いる雄性不稔誘発法

ロ−ム アンド ハ−ス(米国) 

穀類植物

稔性

3

特開昭55-  7026

 

一列は種法によつてイネを育種する方法

武村 敏彦

イネ

耐病性、耐寒性

4

特開昭55- 92627

 

稲科植物

陸海動植物研究所

イネ科

 

5

特開昭60-172245

 

イネの栄養系品種

橋本農場

イネ

 

6

特開昭61-162121
特公平02- 51572

作物の栽倍方法

全国農業協同組合連合会

イネ等

受粉率

7

特開昭61-265022
特公平04- 59855

イネプロトプラストからの植物体の再生方法

三井東圧化学 

イネ

 

8

特開昭62- 65680

 

プロトプラスト培養によるイネ科穀物の育種方法

農林水産省農業生物資源研究所長

イネ科

 

9

特開昭62-232382
特公平05- 56944

イネプロトプラストの培養方法

三菱化成 

イネ

 

10

特開昭62-239994

 

大腸菌のスフエロプラストを利用したイネ科植物細胞の形質転換法

王子製紙 

イネ科

 

11

特開昭63-173530

 

イネ科雑種植物およびその製造方法

三菱化成 

イネ科

 

12

特開昭63- 83005

 

水稲雄性不稔化剤

北興化学工業 

イネ

稔性

13

特開昭63-156704

 

イネ用雄性不稔剤

住友化学工業 

イネ

稔性

14

特開昭63-313527
特公平04- 36649

貫生現象を利用したイネ優良遺伝子型のクロ−ニング法

北陸農業試験場長

イネ

維持

15

特開平01-  5435
特許2565347

高気温除雄交雑法

若松 大朔

ムギ等

稔性

16

特開昭63-152922

 

イエンセン2

ソルト ウイ−ズ(米国)

ジスチチリス(イネ科)

耐損傷、受精率

17

特開平01- 67130
特公平06- 36698

イネ半数体を効率良く得る方法

三井東圧化学 

イネ

半数体

18

特開平01- 71424
特公平03- 51376

イネの一代雑種種子の生産法

農林水産省農業研究センタ−所長 

イネ

19

特開平01-121202

 

水稲の雄性不稔化剤

北興化学工業 

イネ

稔性

20

特開平01-132320

 

イネ雑種種子の効率的な生産方法

三井東圧化学 

イネ

選抜方法

21

特表昭63-501924

 

新規微生物

ニエルセン スベン エリク(デンマーク)

イネ

根粒菌

22

特開平01- 10933

 

改良雑種イネの製造法

リング アラウンド プロダクツ(米国)

イネ

稔性

23

特開平01-179635

 

イネの体細胞雑種植物の作出方法

三井東圧化学

イネ

 

表1.4.1-3 イネの品種改良出願特許(2/4)

番号

公報番号

登録

発明の名称

出願人

生物種

改良特性

24

特開平01-181791

  形質転換されたイネ科植物の製造方法

三菱化成

イネ科

 

25

特開平01-196239

 

イネのサイブリツド植物の作出方法

三井東圧化学 

イネ

 

26

特開平01-163103

 

植物の雄性不稔剤

住友化学工業

イネ等

稔性

27

特開平01-225427

 

イネ雑種種子の効率的な生産方法

三井東圧化学

イネ

稔性

28

特開平01-256330
特公平03- 27170

ハイブリツド稲の種子生産方法

全国農業協同組合連合会

イネ

 

29

特開平01- 85024

 

除草剤に抵抗性を示す品種のイネの作出方法及びそのような品種のイネ植物又はその種子

北興化学工業

イネ

耐除草剤性

30

特開平02- 56405
特許2656311

雄性不稔誘発剤及びそれを用いた雄性不稔誘発方法ならびにF↓1採種法

渡辺採種場

ブロッコリー、稲

不稔性

31

特開平02- 72810

 

ハイブリツド種子の生産方法

住友化学工業

イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ

高純度ハイブリド

32

特開平02-156889

 

グリシニン生産細胞及びグリシニン生産植物の育種方法並びに育種増殖方法

農林水産省食品総合研究所長

タバコ、イネ、バレイシヨ

栄養価、香

33

特開平02-156889

 

グリシニン生産細胞及びグリシニン生産植物の育種方法並びに育種増殖方法

農林水産省食品総合研究所長

タバコ、イネ、バレイシヨ

栄養価、香

34

特表平02-503564

 

葯を不稔性化する方法

フセソ. ナウチノ イススレド. INST(ロシア)

イネ、ヒマワリ

不稔性

35

特表平02-503985

 

改良された生物学的価値の植物の製造及び使用

ボグダ−ニユネ− フオルガ−チユ オルガ (ハンガリー)

マメ、エンドウ、麦、イネ、トウモロコシ

成分

36

特表平02-503985

 

改良された生物学的価値の植物の製造及び使用

ボグダ−ニユネ− フオルガ−チユ オルガ(ハンガリー)

マメ、エンドウ、麦、イネ、トウモロコシ

成分

37

特開平02-200130

 

冷水潅漑稲栽培法

石田 元二

イネ

 

38

特開平02-207722
特公平06- 77490

温度感応性核遺伝子雄性不稔の利用によるイネの一代雑種種子の生産法

農業研究センタ−所長

イネ

稔性

39

特開平03- 22927

 

新規細胞質を持つイネ及びその作出方法

三井東圧化学

イネ

雄性不稔

40

特開平03- 56468
特許2771627

花粉抑制剤及びその農地制御学上許容される塩、イネ科植物の雄性不稔性を引き起す方法、並びに自家授粉イネ科植物から交配種子を製造する方法

イブリノバ(フランス)

イネ科

雄性不稔

41

特開平03-143400

 

細胞質雄性不稔イネの検出方法

三井東圧化学

イネ

稔性

42

特開平03-155720

 

イネ科植物の新品種製造方法及びその方法で製造されるイネ科雑種植物

久保田鉄工

イネ

高環境耐性

43

特開平03-155721

 

イネ科植物の新品種製造方法

久保田鉄工

イネ

味、高栄養価

44

特開平03-155722

 

イネ科雑種植物の人工種子及びその製造方法

久保田鉄工

イネ

高アミノ酸含量

45

特開平03-183423

 

イネの組織培養による無毛性品種の育成方法

住友化学工業

イネ

無毛性

46

特開平03-262482

 

インデイカ型イネプロトプラスト用培地

三井石油化学工業

イネ

 

47

特開平03-280818

 

いもち病抵抗性イネ植物体の作出方法

三菱化成

イネ

いもち抵抗性


表1.4.1-3 イネの品種改良出願特許(3/4)

番号

公報番号

登録

発明の名称

出願人

生物種

改良特性

48

特開平03-210132
特公平05- 16809

イネの一代雑種種子の生産法

農林水産省農業研究センタ−所長

イネ

 

49

特開平04-104791

 

イネワキシイ配列およびそれを利用したイネ種子の胚乳成分の改良法

三井業際植物バイオ研究所

イネ、オオムギ

 

50

特開平04-117287
特許2557733

イネアレルゲンタンパクをコ−ドする遺伝子

三井東圧化学 

イネ

低アレルゲン

51

特表平04-504054

 

遺伝子の発現の外部の調節

イ− アイ デユポン デ ニモアス(米国)

トウモロコシ、キビ、コムギ、イネ、オオムギ

 

52

特表平04-504054

 

遺伝子の発現の外部の調節

イ− アイ デユポン デ ニモアス(米国)

トウモロコシ、キビ、コムギ、イネ、オオムギ

 

53

特開平04-229117

 

多年生雄不稔性イネ植物を使用した雑種イネの製造

リング アラウンド プロダクツ(米国)

イネ

 

54

特開平05-207827

 

形質転換植物の製造方法

サツポロビ−ル

イネ

 

55

特開平05-153981

 

アミロ−ス含量の改変されたイネ科植物およびその製造法

三菱化成

イネ

 

56

特開平07-313173

 

形質転換されたイネ縞葉枯ウイルス抵抗性イネおよびその製造法

三菱化成

イネ

 

57

特開平05-168482

 

イネアレルゲンタンパク質の遺伝子のプロモ−タ−およびその利用法

三井石油化学工業

イネ

 

58

特開平05-192052

 

無毛性イネの効率的な育成方法

住友化学工業

イネ

 

59

特開平05-317057

 

イネ澱粉枝つけ酵素遺伝子

三井業際植物バイオ研究所

イネ

 

60

特開平06- 98656

 

遺伝子処理したイネ

三井業際植物バイオ研究所

イネ

 

61

特開平06- 70779

 

可溶性のイネ澱粉合成酵素遺伝子及びその使用法

三井業際植物バイオ研究所

イネ

 

62

特開平06-225774

 

植物の病害抵抗性特異的リポキシゲナ−ゼ遺伝子

三井業際植物バイオ研究所

イネ

 

63

特開平06-153963

 

イネ種子特異的プロテインキナ−ゼ遺伝子

三井業際植物バイオ研究所

イネ

 

64

特開平05-199877

 

バレイシヨおよびイネの誘導型植物防御遺伝子の制御領域、その用途およびアツセイ法

住友化学工業

ジャガイモ、イネ

 

65

特開平05-199877

 

バレイシヨおよびイネの誘導型植物防御遺伝子の制御領域、その用途およびアツセイ法

住友化学工業

ジャガイモ、イネ

 

66

特開平06- 98648

 

種子植物の雌配偶子から半数体植物を作出する方法

高砂香料工業

共通

 

67

特開平06-141718

 

低温耐性イネ植物体の作出方法

三菱化成

イネ

耐冷性

68

特開平06-    84

 

殺虫性タンパク質の遺伝子、該遺伝子で形質転換されたイネ科植物及びその製造方法

三菱化成

イネ

耐虫性

69

特再平05-818643

 

種子貯蔵タンパク質の低減方法および植物の形質転換方法

加工米育種研究所

イネ

低蛋白質

70

特表平06-500474

 

形質転換された稲植物の製法

アグラシ−タス(米国)

イネ

 

71

特開平06-269286

 

植物の篩管タンパク遺伝子及びそれを用いて有用タンパクを篩管に移行させる方法

三井業際植物バイオ研究所

イネ

 

72

特開平06-292480

 

光障害耐性植物およびその製造方法

竹葉 剛

共通

光障害耐性

73

特開平06-276872

 

マ−カ−遺伝子の除去方法

三菱化成

共通

マーカー遺伝子除去

74

特開平07- 59575

 

発現調節DNA

三菱化成

イネ

成分


表1.4.1-3 イネの品種改良出願特許(4/4)

番号

公報番号

登録

発明の名称

出願人

生物種

改良特性

75

特開平06-261767

 

新規なイネ澱粉枝つけ酵素遺伝子

三井業際植物バイオ研究所

イネ

 

76

特表平06-508033

 

植物を保護するための殺昆虫蛋白質および方法

ダウ アグロサイエンス エル エル シ−(米国)

共通

耐虫性

77

特表平06-508040

 

植物内での増強発現

モンサント(米国)

共通

耐虫性

78

特開平07-213185

 

含硫アミノ酸含量の改良植物および改良方法

住友化学工業

共通

アミノ酸組成

79

特開平07-222588

 

イネ細胞質雄性不稔回復系統の遺伝子診断法

三井石油化学工業

イネ

稔性

80

特開平07-213285

 

植物細胞への遺伝子導入法

農林水産省農業研究センタ−所長

イネ

 

81

特開平07-    69

 

除草剤に抵抗性のイネおよびその育種方法

三共

イネ

耐除草剤性

82

特開平07-274752

 

病害抵抗性イネ科植物およびその作出方法

三菱化成

イネ

耐病性

83

特開平08- 89240

 

植物の脂肪酸不飽和度の改変方法

三井石油化学工業

共通

脂肪酸組成

84

特開平08-173167

 

耐冷性イネおよびその作製方法

三井石油化学工業

イネ

耐冷性

85

特表平08-509116

 

アセチルCoAカルボキシラ−ゼ遺伝子

マツクス プランク(ドイツ)

共通

耐除草剤性

86

特開平08-266179

 

環境ストレス耐性植物及びその作出方法

トヨタ自動車

タバコ、イネ

耐環境ストレス

87

特開平08-266179

 

環境ストレス耐性植物及びその作出方法

トヨタ自動車

タバコ、イネ

耐環境ストレス

88

特開平08-289789

 

ADP−グルコ−スピロフオスフオリラ−ゼによるデンプン合成能力の強化

三井石油化学工業

イネ

収量

89

特開平08-289686

 

イネの一代雑種種子の生産方法

三井石油化学工業

イネ

 

90

特開平09-    99

 

イネ科植物およびイネ科植物への共生菌の導入方法

前川製作所

イネ科

 

91

特開平09- 75091

 

イネの一核期葯特異的発現遺伝子

岩手県

イネ

耐冷性、稔性

92

特開平09-107975

 

単子葉CAM植物のPEPCase遺伝子

三井石油化学工業

共通

耐乾燥性

93

特再平07-806722

 

未熟胚の胚盤を用いた単子葉植物の形質転換方法

日本たばこ産業

イネ科

 

94

特開平09-248084

 

シヨ糖合成能力を増強したイネおよびその作製法

三井石油化学工業

イネ

収量

95

特開平09-  270

 

病害抵抗性誘導物質により誘導される遺伝子のプロモ−タ−

明治製菓

イネ

耐病性

96

特開平09-252781

 

蛋白質およびその遺伝子並びにそれらの用途

三井製薬工業

共通

高品質

97

特開平09-313186

 

S−アデノシルメチオニン合成酵素遺伝子

日本石油

共通

アルカリ土壌耐性植物の生産

98

特開平09-313187

 

イネの細胞質雄性不稔回復遺伝子の近傍に位置するDNAマ−カ−およびDNA診断法

三井石油化学工業 

イネ

稔性

99

特開平10-  4970

 

新規なイネ澱粉枝つけ酵素遺伝子

三井業際植物バイオ研究所

イネ

デンプン

100

特開平10- 14575

 

イネ澱粉枝つけ酵素遺伝子の転写調節因子

三井業際植物バイオ研究所

イネ

デンプン

101

特開平10- 42865

 

コシヒカリ近縁系統の選抜方法

青森県

イネ

食味性

102

特開平10-108677

 

ミトコンドリア遺伝子、オルガネラ及び植物細胞

ニチレイ

イネ

稔性

103

特開平10-117781

 

イネのジヒドロジピコリネ−トシンタ−ゼ遺伝子

北興化学工業 

イネ

アミノ酸含量

104

特開平10-127195

 

イネ科植物における耐病性品種の作出方法及びその耐病性品種

日本原子力研究所

イネ

耐病性

105

特開平10-117776

 

インデイカイネの形質転換方法

日本たばこ産業

イネ

 


(2) ムギ

 ムギの品種改良技術の特許出願件数の推移を図1.4.1-6に示す。総数は少ないものの、1991〜93年に出願が増えている。

図1.4.1-6 ムギの特許出願件数推移

 ムギの主要出願人を表1.4.1-4に示す。ビールの原料としてサッポロビールが多い。住友化学工業とモンサント(米国)は他の作物と共通で出願されているものが多い。

 ムギの海外出願人の占める割合を図1.4.1-7に示す。海外出願人の占める割合は45%と極めて高い。

表1.4.1-4 ムギの特許主要出願人

出願人

開始年

最近年

出願件数

住友化学工業

1984

1990

4

モンサント(米国)

1991

1993

4

サツポロビ−ル

1991

1996

4

マツクス プランク(ドイツ)

1991

1994

3

イブリノバ
(フランス)

1985

1989

2

ロ-ム アンド ハ-ス
(米国)

1978

1987

2

日清製粉

1986

1987

2

図1.4.1-7 海外出願人の占める割合



(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)

 ムギの技術/改良特性マトリックスを表1.4.1-5に示す。遺伝子操作技術を用いるものが半数を占め、次いで交配技術を用いるものが3割を占めている。細胞・組織培養技術を用いるものはない。

表1.4.1-5ムギの技術/改良特性マトリックス

収量向上 品質向上 ストレス耐性 操作性
向上
その他 共通 合計
件数

選抜技術

 

18

30

 

18

6

4

細胞・組織培養技術

           

0

細胞融合技術

2

       

1

2

交配技術

2,20

16,24,32

   

4,7,8,10,
12,13,15,
16

9

14

変異技術

3,5

14

30

     

4

倍数体形成技術

 

32

   

31

 

2

遺伝子操作技術

 

34,44,48,
49,51,52,
54

21,23,25,26,
35,36,37,39,
41,42,43,45,
46,47,50,53

 

19

22,40

26

合計件数

5

13

18

0

11

5

52

(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)
(番号は表1.4.1-6の番号を表す)

 改良特性では、ストレス耐性と品質改良が多い。操作性に関する特許はない。交配技術によるストレス耐性向上は、イネと同じくゼロである。遺伝子操作技術は全体としては多く、特にストレス耐性と品質向上のために使用されているが、収量向上に関するものはない。ストレス耐性を高めるには遺伝子操作技術を用いるものが多い。品質向上については、遺伝子操作技術と交配技術が用いられている。交配技術のその他特性は、雄性不稔に関する技術である。

 ムギの品種改良の課題について図1.4.1-8に示す。遺伝子操作技術以外の従来技術では、交配技術により、品質向上が、変異技術によるストレス耐性の向上に関する技術が出願されており、少なくとも以前は有力な改良技術であったと考えられる。品質に関してはデンプンやアミラーゼに関するものが目立つ。

図1.4.1-8 ムギの品種改良の課題

(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)
(番号は表1.4.1-6の番号を表す)

 ムギの育種技術別の特許出願件数推移を図1.4.1-9に示す。交配技術は総数は多いが、1993年以降は出願がない。それに入れ替わるように遺伝子操作技術が急増した。1993年以後は交配技術のみならず、他の従来技術も皆無で、遺伝子操作技術のみとなっている。

図1.4.1-9 ムギの育種技術別特許出願件数推移

 ムギの改良特性別特許出願件数推移を図1.4.1-10に示す。品質向上は、近年コンスタントに出願されている。ストレス耐性は、遺伝子操作技術の発展と共に1991年以降、急に拡大したものである。

図1.4.1-10 ムギの改良特性別特許出願件数推移

 種苗法品種登録件数は、全件数がオオムギ32件、コムギ25件(権利存続中のものがオオムギ22件、コムギ23件)である。

 ムギの品種改良に関する出願特許を表1.4.1-6に示す。登録特許には登録欄に○を付けた。

表1.4.1-6ムギの品種改良出願特許(1/2)

番号

公報番号

登録

発明の名称

出願人

生物種

改良特性

1

特開昭46-  1344

 

単離された植物原形質体の融合を実施する方法

ナシヨナル リサ−チ(イギリス)

カラスムギ

 

2

特開昭54- 15809

 

細胞改良による3Cより4C植物化のイネ

武川 晋

イネ等

光合成効率

3

特開昭54- 40109

 

小麦、諸農作物の生産量を増収させ、亦、永いかんばつの時でも、ある程度の生産量を収穫せしめることのできる、種に対する良い突然変異法

木越 保光

コムギ

収量、耐乾燥

4

特開昭53-133633
特公昭62- 44547

 

4−ピリダゾン化合物およびそれを用いる雄性不稔誘発法

ロ−ム アンド ハ−ス(米国)

穀類植物

稔性

5

特開昭55- 77837

 

小麦、諸農作物の生産量を増収させ、亦永いかんばつの時でも、ある程度の生産量を収穫せしめることのできる、種に対する良い突然変異法

木越 保光

コムギ等

収量、耐乾燥

6

特開昭55- 92627

 

稲科植物

陸海動植物研究所:

イネ科

 

7

特開昭56- 92864

 

アザビシクロヘキサン誘導体、それらの製造法、花粉抑制組成物、F1雑種種子をつくる方法、及びこのようにしてつくられた種子

シエル INTERN リサ−チ(オランダ)

被子植物

稔性

8

特開昭61- 74526
特公平04- 80651

 

条件的細胞質雄性不稔による一代雑種小麦品種の育種法

住友化学工業 

コムギ

稔性

9

特開昭61-249972
特公平08- 11750

 

ハイブリツド剤

イブリノバ(フランス)

穀類植物

 

10

特開昭61- 87668

 

花粉形成を抑制するピラゾ−ル類

イ−ライ リリ−(米国) 

コムギ等

稔性

11

特開昭63- 79568
特公平07-102054

 

アミラ−ゼ活性の低い小麦の選別方法

日清製粉 

コムギ

アミラーゼ活性

12

特開昭62-265204
特公平02- 25886

雑種穀類種子の製造方法

ロ−ム アンド ハ−ス(米国) 

コムギ等

稔性

13

特開平01-  5435
特許2565347

高気温除雄交雑法

若松 大朔

ムギ等

稔性

14

特開平01- 98426
特許2654589

コムギ属に属する植物の育種方法

日清製粉 

コムギ

15

特開平01-163103

 

植物の雄性不稔剤

住友化学工業 

イネ等

稔性

16

特開平02- 72810

 

ハイブリツド種子の生産方法

住友化学工業 

イネ等

 

18

特開平03- 56468
特許2771627

花粉抑制剤及びその農地制御学上許容される塩、イネ科植物の雄性不稔性を引き起す方法、並びに自家授粉イネ科植物から交配種子を製造する方法

イブリノバ(フランス)

共通

雄性不稔

19

特表平03-504318

 

コムギからのDNAプロモ−タ−断片

イ− アイ デユポン(米国) 

コムギ

発現抑制

20

特開平04- 91728

 

高収量一代雑種小麦品種の育成方法

住友化学工業 

コムギ

 

21

特開平05-184373

 

抗菌ペプチドおよびそれに基づく植物耐病性

パイオニア ハイブレツド(米国)

共通

耐病性

22

特開平05-207827

 

形質転換植物の製造方法

サツポロビ−ル 

イネ

 

23

特開平06-113856

 

耐病原性植物の生産方法

マツクス プランク(ドイツ) 

オオムギ

耐病性

24

特表平05-506775

 

植物

ユニリ−バ−(オランダ)

コムギ

 

25

特表平06-502299

 

殺虫性タンパク質

ペスタツクス(イギリス) 

共通

耐虫性

26

特表平05-508776

 

グリホセ−ト耐性植物

モンサント(米国) 

共通

耐除草剤性

27

特表平06-501155

 

植物細胞の遺伝子操作方法、ならびに組換えプラスミド、組換え菌及び植物

クロフイス マツトン(ベルギー) 

トウモロコシ等

 

28

特表平06-500472

 

グリホセ−ト耐性5−エノ−ルピルビルシキミ酸−3−ホスフエ−トシンタ−ゼ

モンサント(米国)

トウモロコシ等

耐除草剤性

表1.4.1-6ムギの品種改良出願特許(2/2)

番号

公報番号

登録

発明の名称

出願人

生物種

改良特性

29

特表平06-500472

 

グリホセ−ト耐性5−エノ−ルピルビルシキミ酸−3−ホスフエ−トシンタ−ゼ

モンサント(米国)

トウモロコシ等

耐除草剤性

30

特開平05-219848

 

アセトヒドロキシ酸シンタ−ゼ禁止除草剤耐性の小麦及びそれらの選択法

アメリカン サイアナミツド(米国) 

コムギ

耐除草剤性

31

特開平06- 98648

 

種子植物の雌配偶子から半数体植物を作出する方法

高砂香料工業 

共通

 

32

特開平06-125669

 

Wx遺伝子発現の確認方法およびモチコムギの作出方法

東北農業試験場長

コムギ

 

33

特表平06-504430

 

植物細胞の増殖および成長

オ−ストラリアン ナシヨナル UNIV(オーストラリア)

ムギ

 

34

特表平07-503122

 

植物中で炭水化物組成の点で変化を引き起こすDNA配列を含有するプラスミド並びに植物細胞および該プラスミドを含有する植物

ヘキスト シエ−リング(ドイツ)

共通

デンプン

35

特表平06-507070

 

植物キチナ−ゼ遺伝子およびその使用

サンド(スイス) 

共通

耐虫性

36

特開平06-292480

 

光障害耐性植物およびその製造方法

三菱化成 

共通

光障害耐性

37

特開平06-276871

 

縞萎縮病抵抗性オオムギの作出法

農林水産省

オオムギ

耐病性

38

特開平07-184492

 

形質転換オオムギ植物並びに該植物の作出方法

サツポロビ−ル 

オオムギ

 

39

特表平07-500966

 

修飾遺伝子及びそれらの植物細胞における発現

プラント ジエネテイツク システムズ(ベルギー) 

共通

耐虫性

40

特表平07-507445

 

形質転換小麦

マツクス プランク(ドイツ) 

コムギ

 

41

特表平07-504820

 

複数ウイルス耐性を示すトランスジエニツク植物およびその生産方法

ケミラ バイオ オルデイング BV(オランダ)

共通

耐病性

42

特表平06-508040

 

植物内での増強発現

モンサント(米国) 

共通

耐虫性

43

特表平08-501923

 

根特異的又は根に高率の遺伝子発現のためのアブラナ属調節配列

パイオニア ハイ−ブレツド(米国)

共通

耐虫性

44

特開平08- 89240

 

植物の脂肪酸不飽和度の改変方法

三井石油化学工業 

共通

脂肪酸組成

45

特表平08-509116

 

アセチルCoAカルボキシラ−ゼ遺伝子

マツクス プランク(ドイツ) 

共通

耐除草剤性

46

特表平08-509598

 

除草剤抵抗性植物

日本チバガイギ− 

共通

耐除草剤性

47

特開平08-266279
特許2775405

新規チオニン

農林水産省

共通

耐病性

48

特表平09-500270

 

増強された安定性の(1→3,1→4)−β−グルカナ−ゼ

バイオモレキユラ− リサ−チ(オーストラリア) 

オオムギ

安定化β-グルカナーゼ

49

特表平09-509565

 

植物におけるタンパク質産生のプロセス

ユニバ−シテイ オブ カリフオルニア(米国)

共通

蛋白質

50

特開平09-313186

 

S−アデノシルメチオニン合成酵素遺伝子

日本石油 

共通

アルカリ土壌耐性植物の生産

51

特開平10-117781

 

イネのジヒドロジピコリネ−トシンタ−ゼ遺伝子

北興化学工業 

イネ

アミノ酸含量

52

特表平10-501967

 

澱粉含有量変性植物

アドバンスト テクノロジ−ズ ケンブリツジ(イギリス)

コムギ

デンプン

53

特開平10- 52186

 

形質転換されたホモノ科植物

ユニバ−シテイ オブ トレド(米国)

ホモノ科植物

耐除草剤性

54

特再平09-802353

 

組織特異的なプロモ−タ−

サツポロビ−ル 

オオムギ

アミラーゼ

(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)