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1.4.12 家畜
家畜の品種改良技術は、人間にとって都合のよい形質を有する動物を交配し選抜・淘汰することの繰り返しであったが、近年の遺伝子操作技術の発展は任意の形質を導入することにより、望みの新しい系統を確立するための簡便で確実な方法を提供するに至った。
1997年のクローンヒツジ誕生によって家畜クローン化の方法が示されて以来、研究の進歩はめざましく、98年7月に石川県畜産総合センターと近畿大学農学部によって世界初のクローンウシが誕生した。以来、各地の試験場でクローンウシの誕生が相次ぎ、森永乳業・明治乳業などの民間企業も開発に乗り出してきた。一方で、流産や誕生後すぐ死亡する例が多く、その原因解明や安全性などの課題も多い。
今後は、これらの胚移植技術・クローン化技術の進歩と、それらを応用した動物工場や異種間臓器移植などの技術発展が期待される。
ウシの品種改良技術の特許出願件数推移を図1.4.12-1に示す。1980年代後半より増加し、ほぼ継続的に出願され増加傾向にある。

ウシの品種改良技術の特許主要出願人を表1.4.12-1に示す。これらの多くは体外受精・胚移植に関連した内容であり、成長が遅く繁殖に時間のかかるウシをいかに速く効率よく増産するかが主な課題となっている。
海外出願人の占める割合を図1.4.12-2に示す。44%と比較的高く、国別では米国の企業が11件と目立って多い。
表1.4.12-1 ウシの特許主要出願人
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図 1.4.12-2 海外出願人の占める割合
(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願) |
ウシの技術/改良マトリックスを表1.4.12-2に示す。
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収量向上 | 品質 向上 |
ストレス耐性 |
操作性 向上 |
その他 | 共通 | 合計 件数 |
| 選抜技術 |
4,9,11 |
12 |
4 |
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細胞・組織培養技術 |
10,18,19 |
7,26,27, 29 |
7 |
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細胞融合技術 |
5,6 |
2 |
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交配技術 |
1,2,8,13, 14 |
28,35 |
21,31 |
9 |
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変異技術 |
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|
倍数体形成技術 |
|||||||
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遺伝子操作技術 |
3,15,17, 36 |
16,20,23, 24,30 |
12,22,25, 32,33,34 |
15 |
|||
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合計件数 |
15 |
0 |
0 |
2 |
5 |
15 |
37 |
(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)
(番号は表1.4.12-3の番号を表す)
牛乳・牛肉の収量向上を目指したものと、胚移植―遺伝子操作技術の二極に分かれている。後者の遺伝子操作関連特許も最終的には収量の向上を目指したものと考えられ、医療用蛋白質の生産など遺伝子工学に関連したものはこれまでのところあまり多くはない。しかしクローン技術の進歩によって、今後発展する可能性もある。
ウシにおける主要な課題を抽出し、育種技術との関連を解析した結果を図1.4.12-3に示す。これまで述べてきたように、具体的にはウシの技術的課題は増産を目的とした体外受精・胚移植に集約されており、具体的には親ウシの発情法、精子・卵子の採取法、貯蔵法、受精法、培養法、遺伝子標識による確認法が見られる。

ウシの育種技術別特許出願件数推移を図1.4.12-4、改良特性別特許出願件数推移を図1.4.12-5に示す。

育種技術としては近年の遺伝子操作技術の急増が顕著であり、一方、選抜技術と細胞融合技術は1980年代後半に一過性の上昇があるものの、90年代になって消失した。交配技術の関連出願は安定している。

改良特性としては1990年代に収量向上は減少し、遺伝子操作技術の進歩を反映した「共通」と「その他」が増加している。
ウシの品種改良に関する出願特許を表1.4.12-3に示す。
| 番号 | 公報番号 | 登録 | 発明の名称 | 出願人 | 生物種 | 改良特性 |
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1 |
特開昭50- 75865 | 人工的性支配法 | 黒木 常春 | ウシ | 性決定 | |
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2 |
特開昭58- 43725 | 人工的性支配法 | 黒木 常春 | ウシ | 性決定 | |
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3 |
特開昭60-246317 | 鳥レトロウイルス−牛生長ホルモンDNAで形質転換されたカプセルに包含されたマウス細胞およびインビボにおけるBGHの投与法 | メルク エンド CO INC(米国) | ウシ | GH産生 | |
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4 |
特開昭63-240751 特公平07-2067 |
○ |
人工的性選択法 | 黒木 常春 | ウシ | 性決定 |
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5 |
特開昭63-291523 | ウシ胚増殖法 | エイ ビ− エス グロ−バル(米国) | ウシ | クローン | |
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6 |
特表平02-504223 | ウシの核移植 | エイ ビ− エス グロ−バル(米国) | ウシ | クローン | |
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7 |
特開平02-138929 | ウシ胚の生体外培養 | エイ ビ− エス グロ−バル(米国) | ウシ | 培養技術 | |
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8 |
特開平03-35743 特公平07-38768 |
○ |
人工的性選択法 | 黒木 常春 | ウシ | 性決定 |
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9 |
特開平03-117446 特公平05-6982 |
○ |
FSHによる牛の双子生産方法 | 農林水産省家畜改良センタ−所長 | ウシ | 卵胞刺激ホルモン |
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10 |
特開平02-227016 | ウシ体外受精卵の体外発生方法 | 家畜受精卵移植技術研究組合 | ウシ | 培養技術 | |
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11 |
特開平03-167118 | 牛の人工授精可能な発情を誘起する方法及び製剤 | 日本曹達 | ウシ | 発情促進 | |
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12 |
特表平03-504805 | 乳牛における優れた乳生産のための遺伝標識形質 | ウイスコンシン アラムニ リサ−チ フアウンデ−シヨン(米国) | ウシ | 遺伝子標識 | |
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13 |
特開平03-272631 特公平06-83622 |
○ |
受精卵移植方法 | 山形県くみあい畜産研修センタ− | ウシ | 受胎率向上 |
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14 |
特表平05-500453 | オスに特定のオリゴヌクレオチドを用いた出生前のウシの性決定法 | シビア ニユ−ロサイエンシズ INC(米国) | ウシ | 性決定 | |
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15 |
特開平04-330239 | 修正β−アドレナリンレセプタ− | メルク エンド CO INC(米国) | 共通 | β受容体導入 | |
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16 |
特開平05-123083 | ヒト成長ホルモンを乳中に分泌するトランスジエニツクアニマル | 雪印乳業 | 共通 | GH産生 | |
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17 |
特表平06-507309 | ウシ科動物における多形性DNAマ−カ− | ジエンマ−ク(米国) | ウシ | DNAマーカー | |
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18 |
特開平06-197666 特公平07-34698 |
○ |
牛胚の体外発生方法 | 機能性ペプチド研究所 | ウシ | 培養技術 |
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19 |
特開平06-217765 | 裸化ウシ卵母細胞の試験管内成熟 | タンジヤ ドミンコ(スロベニア) | ウシ | 培養技術 | |
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20 |
特表平06-509474 | 蛋白質のトランスジエニツク生産 | ロ−ヌ プ−ラン ロ−ラ−(米国) | 共通 | ヒト血清アルブミン | |
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21 |
特開平06-197665 | 体外受精用培地および体外受精方法 | 農林水産省畜産試験場長、明治製菓 | 共通 | 体外受精 | |
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22 |
特表平08-504562 | ウシ種による組み換えポリペプチドの製造及びトランスジエニツク法 | ジエン フア−ミング ヨ−ロツパ BV(オランダ) | ウシ | 遺伝子導入法 | |
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23 |
特開平06-339331 | 遺伝子導入動物の乳汁中での成長ホルモンの生産 | テイ− エス アイ CORP(米国) | 共通 | GH産生 | |
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24 |
特開平08- 19352 | トランスジエニツク動物 | セントロ デ インベステイガイシオネス エネルゲテイカスメデイオアムビエンタレス イ テクノロヒカス (スペイン) | 共通 | 表皮の異常増殖 | |
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25 |
特表平08-511688 | EC−SODの形質転換生産 | ハンソン レナ−ト(スウェーデン) | 共通 | 遺伝子導入法 |
表1.4.12-3 ウシの品種改良出願特許(2/2)
| 番号 | 公報番号 | 登録 | 発明の名称 | 出願人 | 生物種 | 改良特性 |
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26 |
特開平08-116966 | ウシ胚性幹細胞およびその作製方法 | 雪印乳業 | ウシ | 培養技術 | |
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27 |
特開平08-289779 | 無血清培地及び体外受精卵の生産方法 | 機能性ペプチド研究所 | ウシ | 培養技術 | |
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28 |
特開平08-308865 | 牛の卵胞卵子採取方法 | 全国農業協同組合連合会 | ウシ | 卵胞卵子採集 | |
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29 |
特再平07-834636 | 有蹄類のEG細胞 | 明治乳業 | 共通 | EG細胞 | |
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30 |
特表平10-502816 | α−ラクトアルブミン遺伝子構造物 | ピ− ピ− エル セラピユ−テイクス スコツトランド LTD(イギリス) | 共通 | α−ラクトアルブミン | |
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31 |
特開平09- 28721 | ウシ精子の体外受精効率促進方法 | 機能性ペプチド研究所 | ウシ | 体外受精 | |
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32 |
特開平08-322599 | トランスジエニツク動物における導入遺伝子発現の検出方法 | ワイエスニユ−テクノロジ−研究所 | 共通 | 遺伝子標識 | |
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33 |
特開平09-220039 | 精子又は卵子への外来遺伝子の導入方法及びトランスジエニツク動物の作製方法 | 小池 千裕 | 共通 | 遺伝子導入法 | |
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34 |
特開平09-224528 | トランスジエニツク動物の作製方法及びトランスジエニツク動物 | 小池 千裕 | 共通 | 遺伝子導入法 | |
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35 |
特開平10- 7501 | 家畜の精液凍結保存用液 | 淵上 祐一 | 共通 | 精子保存法 | |
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36 |
特開平10-117785 | 動物における筋肉組織の増大 | アメリカ合衆国(米国) | 共通 | 筋肉増大 |
(1971.7-98.6月迄に公開の特許出願)