4.2 用語解説

 品種改良に関する用語は4.1項で既に説明したが、特に頻繁に使用される用語のみを表4.2-1に示す。

表4.2-1 品種改良に関する用語

用語 説明
品種 その生物の実用的性質において他の集団と区別可能な遺伝的性質をもつ集団
ハイブリッド(F1)種子 雑種第一代種子。雑種のほうが純系より優れる雑種強勢を利用した種子。二代目ではメンデルの法則によって分離するので品種として使用できない。
プロトプラスト 細胞壁を除去した、原形質膜で囲まれた細胞内容物。細胞融合や突然変異に有利。
プロトプラスト突然変異 プロトプラスト培養とその植物体への再生における突然変異を利用する方法。
異質倍数体 異種のゲノムによって形成された倍数体。魚類における異質3倍体による育種法がある。
菌類 カビ、キノコ、酵母が含まれるが、品種改良ではキノコ(担子菌)を指す。
交配(交雑)育種法 2つの個体間で受粉、受精等を行うこと。交雑は遺伝子型が異なる個体間の場合を指す。
細胞育種法 交配のような個体レベルではなく、細胞レベルで細胞培養、細胞融合を利用する育種法。
細胞融合 プロトプラスト等を利用して異なる細胞を融合させ、雑種を作製する方法。種間雑種の作出が可能。
種苗法 植物の新品種を保護するための法律。それに基づく品種登録制度に従って新品種が登録される。
脊椎動物 哺乳類、は虫類、両生類、魚類等からなる。
藻類 水中で生育し、炭酸同化作用をもつ植物。緑藻類、紅藻類、褐藻類等がある。
同質倍数体 同種のゲノムが倍化した倍数体。通常、植物の育種法として利用されるのはこのタイプ。
突然変異育種 人工的な変異誘発による育種法。突然変異原としては、化学物質や放射線がある。
倍数体育種 染色体を通常の2倍体より多くもつ倍数体を人工的に作製する育種法。倍数体は多くの場合、個体全体または器官の大きさが増大する。半数体を倍加する倍加半数体を利用する育種法もある(半数体育種法)。
半数体育種 葯あるいは花粉から得た半数体(減数分裂によって染色体が親の半分になった個体)から倍加半数体を得ることを利用する育種法。交配による新品種の固定期間を短縮できる。
被子植物 種子植物の内、胚珠(種子植物に見られる雌性生殖器官)が心皮に被われているもの。単子葉植物と双子葉植物に分かれる。
品種改良 育種ともいう。生物の遺伝的性質を人間の望む性質に改良すること。
分子育種 遺伝子操作技術によって遺伝形質を意図するように改変する育種法。この方法により生物種の壁を乗り越えることが可能となる。
分離育種(個体選抜)法 自然界から望ましい性質をもつ生物を分離する方法
無脊椎動物 脊椎動物以外の動物。品種改良の対象とされるのはエビ、貝、昆虫等。
雄性不稔 花粉が成熟せずに生殖能力を失うこと。雑種の親の一方を雄性不稔にするとその自家受精を防止できるので、雑種の形成に有利。稔性回復によりF1種子作製にも利用される。
裸子植物 種子植物の内、胚珠が心皮に被われていないもの。針葉樹、ソテツ、イチョウなど。
胚培養 動植物の胚を取り出して培養し、成長させる方法。種間雑種を作製する場合に有効な手段となる。
葯培養 葯を培養することによって半数体を得る方法で、半数体育種法の1つ。