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2.1.3 ダンパ技術
ダンパ技術は、免震、制振、耐震技術全般について地震等の振動エネルギー吸収装置として広く使用されている。ダンパ技術にはさまざまな機構があるが、それぞれの機構が用途に応じてどう使用されているかを分析した。
ダンパの減衰機構としては、複数の機構を組合せたものも多いが、ここでは主に使われている減衰機構で分類する。特に制振機構では、質量ダンパを中心にばねやオイルダンパが複合的に使用されている場合が多く留意する必要がある。図2.1.3-1にダンパを機構別に分類した状況を示す。
図2.1.3-1 ダンパの減衰機構別分類

註)
| 1. 履歴ダンパ: | 鋼材や鉛の弾塑性材の変形に伴うヒステリシスを活用しエネルギーを消費 |
| 2. 粘弾性ダンパ: | 高減衰性のゴムや合成樹脂の粘弾性を利用してエネルギーを消費 |
| 3. 粘性ダンパ: | 流体の粘性抵抗を利用してエネルギーを消費。代表的なものにオイルダンパがあるが、磁性流体や電気粘性流体等もある。 |
| 4. 摩擦ダンパ: | 摩擦抵抗を利用してエネルギーを消費 |
| 5. マスダンパ: | 質量体の振動を逆利用して、建物の振動を消去する(TMD)。 質量体として水等の液体を使用することもある(LMD)。 |
| 6. 電磁力ダンパ: | 磁石の作用や発電を利用してエネルギーを吸収する。 |
| 7. 慣性力ダンパ: | コマ等の回転体の回転エネルギーや復元力を利用する。 |
先に示した各種のダンパ機構は、それぞれさまざまな免震、制振、耐震構造の中で最適の組合せして使用されている。従って、それぞれのダンパ機構が持っている技術課題はその組合せに特有の課題であり、一概に共通課題としてまとめ難い。ここでは、技術課題に対する目的等を用途等としてとらえて整理をした。
表2.1.3-1に減衰機構別に対する目的等を、免震、制振、耐震と分けさらに単独で構成されるものと分けて分布を示した。
表2.1.3-1 ダンパ技術における技術課題と関連特許の出願分布
数字は出願年または優先権主張年
●は公告または登録特許、△は公開特許(係属中)で1件を表す

ここで、免震複合等とは、免震体等とダンパがほぼ一体となって装置を形成するものであり、ダンパ自体は通常は組合されて使用されるものの、免震体等と離れた位置に設置されて構成されているものを単独ダンパとして扱った。従って、単独ダンパは、実際には免震構造、制振構造とは不即不離の関係にある。免震複合に関しては、マスダンパと慣性力ダンパを除いて関係が深いことが分かる。また制振複合に関しては、マスダンパとの関係が示されている。逆にいうと、重錘、液体スロッシング等を利用したマスダンパは制振装置のみに利用される。さらに、電磁力ダンパ、慣性力ダンパ等新規なダンパにも関連性が深い。耐震複合は、柱、梁等の構造に密接に関係あることから履歴、粘弾性ダンパ等に関係していることが分かる。
表2.1.3-2は、表2.1.3-1に基づき、対応する特許の公報番号、出願年月、出願人を整理したものである。
表2.1.3-2 ダンパ技術における技術課題と関連特許公報番号・出願年月・出願人(1/3)
| 単独ダンパ |
免震複合 |
制振複合 |
耐震複合 |
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| 履歴 ダンパ |
・特公昭62-16336 81.02 日本鋼管 ・特公平2-59261 83.05 多田 英之 新日本製鉄 ・特公平2-59262 83.05 多田 英之 新日本製鉄 ・特公平4-80184 84.11 多田 英之 新日本製鉄 ・実公平3-3723 85.02 大林組 ・特公平6-63379 86.10 熊谷組 オイレス工業 ・特公平6-89800 85.06 藤田 隆史 東芝 ・特公平7-13418 89.01 大林組 ・特許2711712 89.04 オイレス工業 ・特開平5-239952 92.02 清水建設 ・特開平8-277652 95.04 鹿島建設 オイレス工業 ・特開平11-241435 98.02 住友金属工業 |
・特公平5-20808 87.08 オイレス工業 ・特許2636950 90.06 フジタ |
・特許2516576 89.05 三井建設 ・特開平11-153194 97.11 新日本製鉄 |
表2.1.3-2 ダンパ技術における技術課題と関連特許公報番号・出願年月・出願人(2/3)
| 単独ダンパ |
免震複合 |
制振複合 |
耐震複合 |
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| 粘弾性 ダンパ |
・特公昭58-48785 79.12 日本発条 |
・特許2615626 87.06 ブリヂストン ・特許2589727 88.01 ブリヂストン 鹿島建設 ・特許2509318 89.01 東京電力 奥村組 ・実登2554883 91.09 昭和電線電纜 ・特許2766154 93.03 住友ゴム工業 ・特開平9-317822 96.05 ブリヂストン ・特開平10-259852 97.03 清水建設 ・特開平10-252823 97.03 東洋ゴム工業 |
・特開平6-264963 93.03 清水建設 |
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| 粘性 ダンパ |
・特公昭62-32310 82.12 日本鋼管 日本鋳造 ・実公平7-5308 83.12 ト−キン ・特公平3-35472 85.11 清水建設 |
・特開平5-332047 92.06 三井建設 ・特開平6-300082 93.04 新日本製鉄 昭和電線電纜 |
・特開平10-299283 97.04 戸田建設 |
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| 摩擦 ダンパ |
・特公平6-43856 85.02 東芝 |
・特公平3-28197 86.10 鹿島建設 ・特公平3-58009 81.09 ブリヂストン 藤田 隆史 ・実公平4-39968 86.12 横浜ゴム エーエス |
表2.1.3-2 ダンパ技術における技術課題と関連特許公報番号・出願年月・出願人(3/3)
| 単独ダンパ |
免震複合 |
制振複合 |
耐震複合 |
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| マス ダンパ |
・特公平3-37058 85.08 日本鋼管 ・特公平5-20544 85.09 日立造船 ・特公平3-70075 86.12 鹿島建設 ・特開平9-144378 95.11 三菱重工業 ・特開平9-280309 96.04 日立造船 ・特開平11-2048 97.06 大林組 |
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| 電磁力 ダンパ |
・特公昭63-58300 83.04 千代田化工建設 ・実公平3-35808 87.03 鹿島建設 ・特開平6-94074 92.09 東陶機器 |
・特公平5-14128 85.01 鹿島建設 ・特公平7-113394 93.04 荏原製作所 鹿島建設 |
・特許2516404 88.06 竹中工務店 |
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| 慣性力 ダンパ |
・特開平9-177875 95.12 奥村 敦史 |
・特許2881728 96.10 倉持 道夫 |
