4.4 免震・制振を構成する材料・部品

4.4.1 低降伏点鋼

 制振部材や履歴ダンパに使用される鋼材は剛性が高く、設定された荷重で確実に降伏し、かつ塑性変形性能および繰り返し変形性能に優れたものが要求される。降伏点を下限だけでなく上限でも管理した鋼材としては建築構造用鋼材SN材があるが、その上下限幅は120MPaと広く、降伏強度も235MPa以上となっている。これに対し、剛性を向上させ早期に降伏させる目的で、降伏点が100MPa級程度と低く抑え変形能力に優れたダンパ用鋼材を低降伏点鋼と呼ぶ。現在100MPa級のものと235MPaのものが多く用いられている。共に降伏点の上下限は40MPa程度と狭く設定されているため、設計された荷重で確実にダンパを降伏させることができる。ただし100MPa級の鋼材は歪レベルが高い場合繰り返し塑性変形後の応力向上(歪硬化)が顕著となるため設計上の考慮が必要となる。

 

4.4.2 粘性体

 免震・制振ダンパに用いられる粘弾性体としてはシリコン系のものが多く使用されている。耐候性・安定性に優れ、長期間特性が変化すること無く粘性を発揮する。半液体状のため皿状や壁状の槽内に封入し、上部より別の鋼板などを挿入して使用する場合が多い。主に速度に比例した反力を発揮するが、温度・振動数依存性を有しているため、設計上の配慮が必用である。

 

4.4.3 粘弾性体

 粘弾性体としてはアクリル系のものや高減衰ゴム系のものが実用化されている。共に半固体のシート状であるため、鋼板間などに挟み込んで固着し、鋼板同志のずれにより粘弾性体をせん断変形させて減衰を発揮させることが多い。固着方法としてはシートを積層後鋼板を圧着する方法と、鋼板間に溶かし込む方法があり、材料により異なる。粘性体と同様に速度比例型の減衰を発揮するとともに、変形に比例した反力を発揮する剛性を有する。やはり温度・振動数依存性を有しているため、設計上の配慮が必用となる。

 

4.4.4 オイルダンパ

 オイルダンパはシリンダー内に封入されたオイル等の液体中でピストンを移動させ、ピストンに設けられたオリフィスを通してオイルを流動させる事によって速度比例型の流体減衰を発揮させるものである。速度・変形が大きくなるとともに急激に反力が増大するため、反力が一定以上になるとピストン内に設けられたリリーフ弁が開き、圧力を限定して機器の破壊を回避する機能が設けられているケースが多い。