|
|
![]() |
|
1.6 太陽電池の将来展望
人類が誕生して約400万年、その間人類は火を使い、道具を発明し、鉄を手に入れ、近代科学に基づく産業革命を経て、各種エレクトロニクス技術を発明した。特に、最近の200年間の人類は近代科学を武器に文明を発達させ、1950年から90年のたった40年間でその人口を25億人から53億人へと倍増してきた。このまま人口増大が続けば、2040年頃には100億人に達すると推測されている。
この間に人類が消費するエネルギーは、等比級数的に増大し、最近は石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料がその主な担い手となっている。
これら化石燃料には大きな二つの問題がある。一つは資源の枯渇と、もう一つは燃焼排ガスによる地球環境問題である。これらの問題を同時に解決する有力な手段として、太陽エネルギーの活用があり、太陽電池を用いた太陽光発電システムが期待されている。
日本では、1994年閣議決定した「新エネルギー大綱」などによる強力な施策や、「住宅用太陽光発電システムモニター事業」などの太陽電池普及環境整備施策が導入された。これらが支えになって、太陽電池の生産量の拡大とコストダウンが進展した結果、1985年度には9,520kWであった生産量が1995年度には19,505kWと10年間でほぼ倍増している。
1980年代はアモルファスシリコンが主役であったが、多結晶シリコンが1993年に追い抜き主役に躍り出た。単結晶シリコンも1994年以来生産量を急増させており、1995年度には多結晶シリコンと同じ水準に達している。また、化合物半導体太陽電池であるCdTe系は低位ながら着実に生産されている。
これらの生産実績を支える研究開発は依然として活発である。特に、この分野は第2章でも明らかなように、産業界・官庁・大学との共同開発体制が実現し、いくつかの世界的成果をものにしていることは特筆に値する。
太陽電池の最大の弱点である、夜間や雨天での出力低下に対し、地球上の各地に太陽光発電所を分散配置し、この発電所を高温超伝導ケーブルで結び、昼間の地域から夜の地域へエネルギーを輸送するシステムを地球規模で構築する計画(「ジェネシス計画」)が検討されている。また、太陽電池から得た電力によって水を電気分解し、生成した水素をエネルギーとして利用とする水素利用計画や太陽電池を宇宙に持ち込んで大規模発電を行うという宇宙発電計画なるものなど壮大な計画もある。
従って、太陽電池は今後も研究開発が活発に行われる分野であるといえる。