続く

2.2 太陽電池製造技術全体の開発動向

 太陽電池製造に関する全特許情報データ(出願日ベースで1971年から1995年出願の特許および実用新案)20,670件を用いて解析し、太陽電池製造技術の全体的な開発動向を把握した。

 太陽電池に関する出願特許件数の年次推移を、特許と実用新案とに分けて示したのが図2-2-1である。

図 2-2-1 太陽電池特許(実用新案含む)出願の年次推移

 

 図2-2-1において明らかなように、1985年が出願総数1,435件でピークを形成し、その後は1995年に至るまでは出願総数が800〜900件で平準化している。これは、1973年の第一次オイルショックおよび1978年の第二次オイルショックを受けてエネルギー問題がクローズアップされ、石油代替エネルギー源に関する研究開発が活発になり(1974年に「サンシャイン計画」がスタートした)、その成果が1985年を中心とする数年にまたがって特許出願の形で現れたと考えられる。その後も、地球環境の観点から太陽電池に関する研究開発(1993年「ニューサンシャイン計画」スタート)はあまり減速することなく今日に至っている。この傾向は今後も大きく変わらないであろう。

 

 図2-2-2は出願件数と審査請求件数の年次推移を示す。

図 2-2-2 太陽電池の出願件数と審査請求件数の年次推移

 

 図2-2-2において審査請求数は1984年にピークを示している。

 審査請求期間には最大7年間のタイムラグがあるため、最近の状況は比較できないが、<1980<年代後半における出願件数の減少傾向にもかかわらず審査請求件数自体は減少しておらず、引き続き活発な開発が行われているとみることができる。

 

 最も多く出願された1984年の特許について審査請求までに要した年数を調べたのが表2-2-1である。

表 2-2-1 1984年太陽電池出願特許の審査請求までの年数

  1984年出願の太陽電池特許 1984年出願の特許全体
(出典:特許庁年報)

件数

比率(%)

件数

比率(%)

出願件数

1,304

 

284,767

 
1984年審査請求(同年)

121

9.3

28,510

10.0

1985年審査請求(1年後)

39

3.0

8,251

2.9

1986年審査請求(2年後)

48

3.7

12,315

4.3

1987年審査請求(3年後)

83

6.4

24,568

8.6

1988年審査請求(4年後)

101

7.7

13,120

4.6

1989年審査請求(5年後)

20

1.5

9,216

3.2

1990年審査請求(6年後)

61

4.7

19,599

6.9

1991年審査請求(7年後)

192

14.7

48,899

17.2

審査請求率(%)

665

51.0

164,478

57.8

審査請求なし(%)

639

49.0

120,289

42.2

 

 この年の出願で最終的に審査請求された特許は全出願の51.0%に達している。同時に、同表では1984年に出願された特許全体(284,767件)についてみると、審査請求率が57.8%であり、太陽電池の場合は低率になっている。太陽電池の場合はこの年に急激に出願件数が増加したため、審査請求時点で厳しく選別されたと推定される。

 

 図2-2-3は請求項数と平均請求項数の年次推移を見たものである。

図 2-2-3 太陽電池特許の請求項数と平均請求項数の年次推移

 

 図2-2-3に示したように、1986年以降は複数の請求項をもった出願が増加した。いわゆる多項特許である。請求項数がそのまま発明数を示すものではないが、請求項の総数でみると、依然として増加傾向を示す。

 

 図2-2-4は異議申立て数と平均異議数の年次推移である。

図 2-2-4 太陽電池特許の異議申立て数と平均異議数の年次推移

 

 1979年と1981年が特異的に多く、いずれも80件を越えている。出願件数のピークが1984年であることと考え合わせると、この時期競合する技術開発が行われていること、あるいは、技術開発または市場活動に影響のある技術が多く開発されていることが伺える。

 なお、90年代の出願については、審査請求が行われていないものも少なくないことから一律に比較することはできない。


続く