2.3.3 化合物半導体太陽電池の開発動向

 太陽電池用化合物半導体にはIII-V族(主にGaAs系、他にInP,GaAlAsなど)、II-VI族(CdS/CdTe系が主でCu2S,ZnS,ZnSeなど)とI-III-VI族(主にCuInSe2系、他にAgInSe2,CuInS2,CuGaSe2など)とに大別される。

 

 太陽電池用化合物半導体に関する出願件数の年次推移をみたのが図2-3-14である。

図2-3-14 太陽電池用化合物半導体出願件数年次推移

 太陽電池用化合物半導体の出願件数は、1984年にピークがなく、93年にピークを形成しているのが特徴的である。1980年以降根強く研究開発が継続していることが分かる。

 

 次に、太陽電池用化合物半導体として3種類の材料別に出願件数の比率をまとめたものが図2-3-15である。

図 2-3-15 化合物半導体材料の種類別構成比率

 III-V族化合物半導体とII-VI族半導体がおよそ同率(40数%)でI-III-VI族半導体は14%と少ない。

 

 この3種類の材料別出願の年次推移を図2-3-16に示す。

図 2-3-16 化合物半導体3種類別出願件数の年次推移

 図2-3-16で明らかなように、1985年以降にI-III-VI族化合物半導体(1)に関する研究・開発が急速に盛んになってきたことが注目される。用途としては建材用が近年増加しているが、低コストの製造法(スクリーン印刷法(2))が開発されたことに関係していることであろう。


(1) 例えば、特開平8-330614
(2) 例えば、特公昭56-33870(炭素電極スクリーン印刷法の基本特許)

 

 また、II-VI族化合物半導体も最近になり出願件数が少し増加傾向である。この2種類の化合物半導体に反して、III-V族化合物半導体に関する出願は、古くから検討されてきてはいるが最近は減少傾向にある。

 

 太陽電池用化合物半導体として代表的なIII-V族の用途別年次推移を図2-3-17に示す。

図 2-3-17  III-V族太陽電池の用途別年次推移

 図2-3-17に示したように、GaAs系に代表されるIII-V族化合物半導体太陽電池の主な用途は、初期には時計・電卓用が一時的に多かったが、1981年以降衛星用が主流となっている。これは、この化合物半導体が高価ではあるが宇宙放射線に対する劣化が少ないためである。