太陽電池の技術分野のうち、フレキシブル基板、時計・電子式卓上計算機用途、タンデム構造、II−VI族化合物太陽電池の4つの分野について代表的特許、実用新案を 抽出し、各分野ごとに解析、整理した。
この4分野を選んだ理由は以下の通りである。
- フレキシブル基板:特に非晶質太陽電池用の基板として、非晶質太陽電池を実用化する上で重要な技術である。基板を樹脂化してフレキシブルにすることによって軽量化、加工性の向上が達成され、またロール・ツー・ロール方式によって大量生産が可能となった。
- 時計と電子式卓上計算機用途:太陽電池の代表的用途の一つが時計であり、電子式卓上計算機である。
電子式卓上計算機では非晶質太陽電池を使った電子式卓上計算機実用化の基本特許が日本の会社から出願されており、その開発動向を見ることは有益である。
- タンデム構造:太陽電池の素子構造の一種であるタンデム構造は、太陽電池の分野において日本が世界に誇れる技術の一つである。複数の太陽電池素子を順次積層することによってトータルの出力電圧と変換効率が格段と上昇した。
- II−VI族化合物太陽電池:この種類の太陽電池は多結晶でもかなり高性能の太陽電池が得られ、また大面積の素子が容易に製作でき、接合の形成が容易であるなどの特徴を有している。「劣化」の問題が実用化へのネックとなっていたがCdTe系の化合物を使うことでこれが解決され、またスクリーン印刷法という特異な製作方法で大量生産が可能となった。これらの技術は国家プロジェクトである「サンシャイン計画」の中で開発されており、官民研究の代表的成功例の一つと思われる。
代表的特許、実用新案の選定は、登録査定が行われた案件の中から、従前技術に比べて特に新しい技術、あるいは利用者から見て強いニーズに対応しているような発明を基準として抽出した。
すなわちこの章に挙げられている特許、実用新案は選択された分野において代表的なものであり、全体をカバーするものではない。
なお、本章に掲載した特許、実用新案は、上記技術分野について技術的に特徴のあるものを抽出したものであり、権利関係を分析したものではない。
権利調査を行う場合は別途調査が必要である。