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2.4.2 技術開発の内容
まず、ウレタン樹脂に関する技術開発の状況を、これらの登録された特許から概観してみよう。次いで事例的に、焦点をしぼった対象について、詳細に考察を進めることにする。
これらの技術開発が目標としている対象は、極めて具体的で多岐にわたっていることは事実であるが、次に示す約10項目にまとめることができる。
ウレタン樹脂の一液化の問題に関するもの
ウレタン樹脂は、よく知られている通り、本来二液型(二成分)の架橋反応による硬化性重合体であって、原則的に主剤として、ポリウレタン構造をもつもので、しかも、官能基としてイソシアネートを有するプレポリマー(P-UR-NCO-プレポリマー)とイソシアネート基と付加反応をする別の官能基を有する硬化剤(架橋剤)とから成り立っている。この二液型の樹脂系を、あらかじめ二者を混合して安定な一液型として、実際に使えるように改良する技術は、大きな経済効果につながっている。この大きな、しかし技術的には難かしい問題に関して、長い間多くの技術開発が実施されてきた。この問題に関して、約50件の登録された特許が検索集録された。詳細は、項を改めて後で説明する。
ウレタン樹脂の水性化の問題に関するもの
この問題に関連する登録された特許は、約120件ほどある。
その過半数は電着(ED)、特にカチオン電着塗料にかかわるものである。そもそも、この材料の主体は、エポキシ樹脂であるが、その主たる対象である自動車防錆(自動車および電気機械を含む工業用品分野)からのきびしい要請によって開発が進められて、ウレタン樹脂が拡大されてきたと考えられる。
水素でのP-UR-NCO-プレポリマーの安定化の問題、硬化温度の低温化の問題など、つまりイソシアネートブロック体にかかわるものが多い。
新しい改良ウレタン系重合体、異種重合体とのブレンド系やフィラー混合系の分散安定化の問題にかかわるものなど、いずれも、極めて特定化された、詳細な改良研究の結果を見ることができる。
また汎用的な家庭用を含む建築・土木分野で応用を目標とした水系ウレタン樹脂についても、その初期的段階と位置づけることができるものから、比較的最近になって成功したと思われる水分散系ウレタン樹脂も見逃せない。塗料の水系化への進行を支えてゆく1つの力となっていくことが予想される。
ウレタン樹脂の粉体塗料
この関係では、約30件が占めている。古いところでは基本的な粉体塗料用P-UR-NCO-プレポリマーのブロック体の特許が見られるが、それらの多くは、ウレタン鎖そのものの改良に関するものや、特定の添加剤組成物に関するものである。フッ素含有重合体を主成分とするウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂を含有するウレタン樹脂や、特定の添加剤とフッ化グラファイト、ポリ4-フッ化エチレンの粉末を配合した組成物も見られる。
ウレタン樹脂の光重合(紫外線・電子線)
この関係では、約75件が占めている。省エネルギー化の流れを伺い知ることができる。主鎖がウレタンまたはポリウレタン結合を有する種々の改良合成重合体のアクリレートの占める割合が大きい。ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリオールや、フッ素を含有する重合体のポリオールからのウレタン化反応をへて、末端が光重合活性アクリロイル基をもっているものおよびそれらのブレンド系に関するものである。
またフッ素を含有するものやイソシアヌレート構造を含有するもの、さらに水系の組成物に関するものも見られる。
本件は、用途の明示されているものが多く、接着性プライマー、光通信用グラスファイバーの表面保護塗料などがある。これらの登録された特許の出願人は多く、国際的に広がっており、原料メーカーはもとより、電気・電子、情報・通信分野の企業が多い。従来の塗料メーカーからの出願の少さが目立っている。
ウレタン樹脂のマイクロゲル(分散体)
この関係では、約10件が占めている。マイクロゲルに関するもので、これらは塗料の流動性の制御を可能にし、塗膜のウレタン構造をもち、架橋重合体の微粒子の溶媒または水分散系の強度(補強)および外観の質的向上の効果をもたらすものである。
ウレタン樹脂の防食技術への応用
ポリイソシアネートの機能でみれば、図1.4.2-5および図1.4.2-8に示されているように、まず防食が目につく。この関係では、30件以上が占めている。この用途分野は、従来、補修も含めて、最先端の技術が適用されて現在のシステムが出来上がっている。家庭用を含む建築・土木分野にかかわっている。
まずフッ素含有重合体で述べた新しく開発された硬化性フルオロ重合体の特に多フッ素置換オレフィンの多元共重合体をベースとする組成物が見られる。実用性の大きい特許と考えられる。
またウレタン樹脂系をバインダーとするジンクリッチ塗料、水中硬化型、補修用の組成物に関するものもある。
実際にはこの防食の機能を前提とした特許が多いので、関連特許としてみれば、件数はずっと多くなると考えられる。
ウレタン樹脂のプレコートメタルシートへの応用
ポリイソシアネートの機能でみれば、図1.4.2-5および図1.4.2-8で2番目に出願件数が多い「美観・外観」が注目されるが、これは、船舶・自動車および電気機械を含む工業用品分野にかかわるものの1つである。プレコートメタルシートへの応用では、すでに述べた、防食効果を最も基本的な前提とし、さらに加工性、耐久性、外観にかかわっている。
ウレタン樹脂の光通信用ガラスファイバーの表面加工(保護膜)への応用
従来の塗料の用途分野にはない新しい分野に入るものである。
これらは、すでにウレタン樹脂の光重合で述べた硬化手段としての光硬化の部分のものが入り重複している。
出願人は、原料メーカーが主流となっている。
ウレタン樹脂の磁気記録媒体(磁性粉バインダー)への応用
ポリイソシアネートの機能で3番目に出願件数が多いのが「磁性」に関するものであり、新しい用途分野にかかわっている。件数としては、100件を超えており、出願人も多く、原料メーカーおよび磁気テープメーカーに広がっている。
大規模に成長した情報産業の1つの現実的側面を伺うことができる。
その他、特記すべきこと
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無毒・無刺激性新ポリイソシアネート |
| ・ | 形状記憶部材への応用として、ガラス転移点の上下領域での物性変化を利用した一種のセンサー部材の登録された特許は特記されてよいと考えられる。 |
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水系塗料のシックナーの合成に関わるのが3件ほど見られる。 |