続く

  (2)クランクシャフト

a.技術開発の状況

 クランクシャフトは、最近、非調質鋼を熱間鍛造によって成形し、機械加工した後にピン部、ジャーナル部、フィレット部などに表面硬化のための熱処理を施す場合が多い。ピン部とはピストンに連接される摺動面であり、ジャーナル部とは回転主軸であり、フィレット部とはそれらの立上がり部である。

 図1.2.2-2にクランクシャフトの熱処理に関する出願件数の推移を示す。

 この図に示されるように、クランクシャフトの熱処理の技術開発は1986年をピークとし、1982〜92年の11年間に活発に進んだ。これは、自動車に対するコストダウンや性能向上などの要求から、クランクシャフトの生産性向上や軽量化などを狙い、製造熱処理方法がいろいろ開発されたためと考えられる。

図1.2.2-2クランクシャフトの熱処理全体の出願件数推移

 

 図1.2.2-3にクランクシャフトの熱処理の内容を示す。

 この図に示されるように、クランクシャフトの熱処理は焼入れが中心で、1982〜92年にかけて開発が活発であったことが分かる。これは、鍛造クランクシャフトに対するさまざまな焼入れ技術に関する開発である。最近では省エネルギーの観点から、熱間鍛造時の熱を活用してそのまま焼入れをする直接焼入れの技術や、非調質鋼等を使用して焼入れを省く技術、さらには、鍛造成形後、主要表面部分の熱処理のみをするなどの開発が活発である。

 

図1.2.2-3 クランクシャフトの熱処理内容の出願件数推移

 図1.2.2-4は、クランクシャフトの熱処理における加熱方法についてみたものである。

 この図に示されるように、クランクシャフトの熱処理は高周波加熱によるものが中心であり、現在もこの開発は続いている。レーザー、アーク放電、電子ビーム、加熱炉などを使用した加熱方法の開発は終了したもようである。

 高周波加熱とは、電磁誘導によって金属表層部に高周波電流を流し、高周波電流によって表層部が加熱される現象を利用したものである。クランクシャフトの場合、コンロッドとの摺動面であるピン部、軸の主要部であるジャーナル部などに行う表面硬化に応用される。

 図1.2.2-3と図1.2.2-4を見比べると、クランクシャフトの熱処理の中心は、高周波加熱による焼入れであることが分かる。

 

図1.2.2-4 クランクシャフト熱処理の加熱方法に関する出願件数推移

 図1.2.2-5にクランクシャフトの熱処理における冷却方法を示す。

 この図に示されるように、クランクシャフトの熱処理は液体スプレー冷却によるものが中心であり、現在もこの開発は続いている。液体浸漬、気体、液体による冷却方法の開発は終了したもようである。

 液体スプレー冷却とは、一般的には水を噴霧して冷却する方法であり、通常の浸漬冷却より複雑形状部品においては全体を均一に冷却できる。

 

図1.2.2-5 クランクシャフト熱処理の冷却方法に関する出願件数推移

 


続く