続く

  (3)カムシャフト

a.技術開発の状況

 カムシャフトは、通常鋳造により素材成形され、機械加工された後、鋳鉄の熱処理によりカム表面が硬化される。これは、耐摩耗性を高めるためである。

 図1.2.2-8にカムシャフトの熱処理に関する出願件数推移を示す。

 この図に示されるように、1984年と1989年に大きなピークがある。

 1984年のピークは、本田技研工業の集中出願によるものであり、その出願例として『カムの再溶融硬化処理方法』、『再溶融硬化処理カムの製造方法』がある。またトヨタ自動車からの『再溶融チルカムシャフト及びその製造方法』もある。

 1989年のピークは、マツダの集中出願によるものであり、その出願例として『鋳鉄製カムシャフトの製造方法』、『高合金再溶融カムの製造方法』がある。

図1.2.2-8 カムシャフトの熱処理全体の出願件数推移

 図1.2.2-9にカムシャフトにおける熱処理の種類を示す。一般的な機械部品と異なり、その他の熱処理が大半を占めている。

 これは、通常カムシャフトの素材が鋳鉄であるため、鋳鉄の熱処理が施されるためである。その中でも再溶融硬化法に関する技術開発が中心となっている。

図1.2.2-9 カムシャフトの熱処理の内容別出願推移

 図1.2.2-10にカムシャフトの熱処理における加熱方法の内容を示す。これによれば、アーク放電が主流であるが、電子ビーム、高周波、レーザなどの加熱技術も開発されている。

 アーク放電は、通常の溶接などに使われる技術であり、手軽に得られる高密度エネルギー源のため主流になっている。

図1.2.2-10 カムシャフトの熱処理における加熱方法

 図1.2.2-11にカムシャフトの熱処理における冷却方法の内容を示す。この図に示されるように、カムシャフトの冷却方法は、気体による冷却が大半を占める。一般的な機械部品が液体スプレーであることと対象的である。これはカムシャフトの材質が鋳鉄であり、表面硬化の方法が再融解硬化法によるものであり、この場合自己冷却が一般的である。

図1.2.2-11 カムシャフトの熱処理における冷却方法

 


続く