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2.2 インターフェロン(IFN)
2.2.1 技術開発の内容
インターフェロン(以下IFNと省略)はウイルスに感染した脊椎動物細胞から生産、分泌される抗ウイルス作用を持ったタンパク質の総称である。ウイルスに感染した人が別種ウイルスに抵抗性になるという観察に基づいて発見された。IFNの生産誘発はウイルスだけでなく二本鎖RNA、レクチンなどでも起こる。以下断らない限りヒトIFNについて述べる。
IFNはα、β、γの3種に分類される。IFNαは165〜172アミノ酸からなり、糖の付加したものと付加しないものとあるが、主に白血球によって生産される。αには約20の亜種があり、それぞれの遺伝子はヒト第9染色体にクラスターをなして存在する。IFNβは166アミノ酸よりなり、糖が付加している。第9染色体のαクラスターの近くに1コピー存在する。外に第7染色体にも相同の遺伝子があり、β2と呼ばれる。(区別する場合前者をβ1と呼ぶ)。αとβは類似した性質を持つ。アミノ酸配列は約30%相同であり、受容体も共通である。ともに熱(56℃、30分)、酸(pH 2)に安定である。α、βともウイルスや二重鎖RNAによって生産が誘導され、抗ウイルス作用が強く、抗癌作用は比較的弱い。αとβをI型IFNと呼ぶことがある。
IFNγはII型IFNとも呼ばれ、146アミノ酸よりなる熱、酸に不安定な、糖の付加したタンパク質で、遺伝子は第12染色体に1コピー存在する。主にTリンパ球からマイトジェン(レクチンなど)あるいは特異抗原の刺激で生産が誘発される。抗ウイルス作用よりも抗癌作用が強く、マクロファージ活性化など免疫調節作用が認められる。受容体はα、βとは異なる。
IFNの作用メカニズムの詳細は未解明の点が残されているが、大筋は次のように考えられる。IFNが細胞の受容体に結合すると、
| (1) | 二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼの生産が誘導される。この酵素によってタンパク質合成因子の1つがリン酸化され、リボゾーム上でのタンパク質合成が阻害される。 |
| (2) | 2'-5'オリゴアデニル酸シンセターゼの合成を誘導する。生じた2'-5'オリゴアデニル酸がリボヌクレアーゼの1つを活性化し、それによってmRNAが分解され、ウイルスタンパク質の合成が阻害される。 |
このほか細胞増殖抑制作用、ナチュラルキラー細胞活性化作用、マクロファージ活性化作用など免疫応答調節作用が認められ、抗癌作用にあずかっていると考えられる。
IFNは極めて微量で有効なタンパク質であり、生物体内で生産される量もごくわずかである。そのため遺伝子操作によるIFNの大量生産が試みられてきた。遺伝子改変による、より安定、より有効なIFNの作製の試みも行われてきた。今日までの特許の大部分はこのラインに沿ったものである。
