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2.6 遺伝子治療
2.6.1 技術開発の内容
遺伝子治療は21世紀の先端医療として、先天性疾患や癌、エイズなどの難病に対する切り札的存在として期待されている。米国を中心に海外で3,000例以上の臨床治験例があるが、我が国では現在進行中の1例を入れても2例しか実績がない。このように遺伝子治療はまだ臨床研究の段階であり国際的に見ても商品化されたものはない。ところで遺伝子治療の手法には大きく分けて以下の3つの方法がある。
| (1) | 異常遺伝子と同一の正常遺伝子を細胞に導入する。患者に欠損している正常タンパク質を生産させることにより疾患を治療する方法で、欠陥遺伝子による先天的遺伝病の治療などに適用する。 |
| (2) | 有用なタンパク質を作り出す遺伝子を細胞に導入する。これにより例えば免疫力などを向上させて癌などを攻撃するものである。 |
| (3) | 異常遺伝子の働きを止める。これには特定の遺伝子配列に結合する人工的な遺伝子配列を異常遺伝子に結合させるアンチセンスDNA法や遺伝子を切断して遺伝子の発現を抑制するリボザイム法などがある。 |
遺伝子治療臨床研究の難しさは、特に遺伝子を問題の細胞に的確に送り込むためのベクターにあるといえる。
まず使用するベクターの事前の安全性の確保、すなわち純度は十分か、複製可能なウイルスを含んでいないか、製造の過程で病原体が混入しなかったか、などを調べ十分に安全性を確認する必要がある。現在これらの安全性の確認は全て外国、特に米国の検査機関でなされている。中長期的観点から日本でのビジネスの展開を考えると新規なベクターの開発とともに検査機関に名乗りをあげることも考えられる。
遺伝子治療は1990年の米国でのアデノシンデアミナーゼ欠損症患者の治療から始まったが、現在の国内外での関心は有効な治療法のない癌やエイズに集約されつつあるといえる。
権利化された特許の内、実に13件(36%)が米国のアイシス社から出願されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの、いわゆるアンチセンス法の特許である。公開特許も含めて概観すると、ここで取り上げた分野の特許に加えて新規なポリペプチドやレセプターなどのタンパク質の取得方法およびそれらを使った治療、治療用遺伝子の取得方法などの特許が多い。ベクターの開発ではベクターごとに整理したがレトロウイルスでの基本特許は米国のプリンストン大学のUSP 5,753,500と思われるが、対応日本特許は出願されていない。ベクターの改良特許は1995年以降に出願され始めている。アンチセンス法、リボザイム法ともエイズ、癌に焦点が当たり長期間にわたり出願されている。
