1.3 利用技術ごとの状況

1.3.1 医 薬 品

(1) 疾患別の技術開発状況

 免疫工学を応用した医薬品の開発には、抗体の特異性を利用した抗体医薬と、主に抗原を利用したワクチンの2つがある。それぞれに関する特許出願件数の推移を図1.3.1-1に示す。抗体医薬に関しては、厳密には、抗体を治療薬として使用するものであるが、ここでは、抗体の特性を利用した医薬品開発に関する技術として広義にとらえている。この抗体医薬の出願件数の推移を見ると、1980年代に特許出願件数が急速に増加し、90年代に入って出願件数が減少している。

 これは、1980年代に折からの遺伝子工学の発展を受けて抗体医薬の開発が積極的に行われ、感染症など比較的容易な技術開発は達成されたが、その後に残された癌などへの応用が予想以上に難しかったこと、さらに免疫工学以外の遺伝子治療などの技術も開発されてきていることが影響している。

 ワクチンに関しては80年代後半から特許出願件数の増加が止まり、90年代には出願件数が減少している。これも、遺伝子工学を応用して、まず主要な感染症に対するワクチン製造技術が行われ、90年頃に技術開発がほぼ初期の目標を達成し、その後には、難しい課題が残っている状況を表している。

図1.3.1-1 免疫工学応用医薬品に関する特許出願件数の推移