1.5 欧米の免疫工学開発状況

1.5.1 米国の免疫工学開発状況

(1) 全体の開発状況

 データベースUS PATFULL(DIALOG)を用いて米国特許商標庁の免疫工学関連技術の特許動向を解析した。米国特許制度には公開制度がないため、登録された特許を登録年によって整理した。また、特許分類に関しても米国では、IPCの他に米国特許分類が独自に付与されているので、この米国特許分類も解析に用いた。

 1997年から99年9月までに米国で登録された免疫工学関連技術の特許総件数は、19,740件である。図1.5.1-1に登録件数の推移を示す。米国においては、免疫工学に関する特許登録件数は77年から85年頃までは年間200件から300件程度で大きな変化は見られなかったが、85年頃から登録件数が増加し始め、95年以降に急激な増加をしていることが分かる。これは、米国では90年代に入ってヘルスケアに多くの関心が寄せられるようになってきたことと、分子生物学や遺伝子工学の実用化が90年代に一気に進んだこと、さらには、半導体製造技術によって培われた微細加工技術の進歩、コンピュータによる情報処理の高度化といった技術基盤の拡充を受けて、免疫工学に関連した技術が一気に進展したことを受けている。

図1.5.1-1 米国における免疫工学関連特許登録件数の推移

US PATFULL(DIALOG)

 特許出願人を国別に見ると、図1.5.1-2に示すように、米国人による登録件数が11,870件と圧倒的に多く、次いで日本人とドイツ人による登録が約1,000件あるが、いずれも米国人による登録件数の1割程度である。

図1.5.1-2 米国における免疫工学関連特許の出願人の国籍別登録件数

 次に、特許登録件数の多い出願人を表1.5.1-1に示す。表より、米国の免疫工学に関しては、米国政府の登録件数が563件と2位のアボット社(米国)の2倍であることが分かる。アボット社(米国)は、免疫工学を応用した診断薬分野の最大手の一つであり、米国政府の当該分野での強いリーダーシップがうかがえる。さらに、カリフォルニア大学(米国)やテキサス大学(米国)などの大学による特許登録件数が多いことも特徴的である。

表1.5.1-1 米国における免疫工学関連特許の主要出願人

名   称

登録件数

アメリカ合衆国

563

アボット(米国)

250

カリフォルニア大学(米国)

230

メルク(米国)

180

ジェネンテック(米国)

174

ベーリンガー マンハイム(ドイツ)

172

スクリプス(米国)

145

ベクトン ディッキンソン(米国)

135

カイロン(米国)

127

ベーリングベルケ(ドイツ)

126

パスツール研究所(フランス)

123

イーライ リリー(米国)

119

ロッシュ(スイス)

114

デュポン(米国)

107

イーストマン コダック(米国)

102

テキサス大学(米国)

100

マイコジェン(米国)

97

シンテックス(米国)

97

ジェネラル ホスピタル コーポレーション(米国)

96

マイルス ラボラトリー(米国)

88

アメリカン サイアナミッド(米国)

79

ハーバード大学(米国)

75

サイバ(米国)

73

武田薬品工業

65

ルードウィッヒ研究所(ドイツ)

64

マサチューセッツ工科大学(米国)

64

リサーチ コーポレーション(米国)

63

ロックフェラー大学(米国)

61

ジョンズ ホプキンス大学(米国)

60

ソーク研究所(米国)

60

US PATFULL(DIALOG)
1977年〜99年9月