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4.2.4 バイオ医薬品の未来
遺伝子組換え食品に比べて、バイオ医薬品に対する一般人の受け止め方は、リスクと利益との兼ね合いが明確に見える対象であり、バイオテクノロジーが多くの利便をもたらした製品として肯定的に受け止められている。
バイオ医薬品の開発は、新たな活性タンパク質を捜し出しそれを医薬品とする発展方向だけでなく、既に承認されているバイオ医薬品の投与経路と製剤技術の開発にも重点が置かれると思われる。タンパク質は分子量が大きく不安定なため、静脈内に投与する方法を中心にして開発されてきたが、患者の立場から見れば注射以外の苦痛を伴わない投与形態は望ましいものである。今後は皮膚、鼻粘膜、口腔粘膜、直腸などから痛みを伴わずに吸収させようとする研究開発が活発化すると思われる。
タンパク質改変技術は、アミノ酸配列の改変により薬物活性を高めたり体内で代謝される時間を調整したりする技術であるが、従来はアミノ酸配列を変えてしまうと、目的とする性能は向上するものの、激しい免疫反応を招きかねない懸念が強かった。
しかしながら、特に米国ではタンパク質改変技術により作られた改変タンパク質は、積極的に臨床応用されており、安全性を確かめながら臨床試験を進める技術が蓄積している。
バイオ医薬品の新たな製造技術に「動物工場」が付け加えられるであろう。
動物の受精卵などの生殖細胞の染色体に遺伝子(例えばバイオ医薬品の生産用の遺伝子)を挿入し、動物個体にまで発生させることができる。こうして作出された動物をトランスジェニック動物という。トランスジェニック動物の作出技術をバイオ医薬品の生産に応用しようとする動きがすでに始められており、このような生産方法に対し「動物工場」という言葉が使われている。このトランスジェニック動物技術と1997年に「クローンヒツジ誕生」として話題となった核移植によるクローン動物の作出技術を組み合わせると、「動物工場」の規模拡大が行える。
また遺伝子治療製剤の研究開発もこれからの技術開発の焦点になるとみられる。
この領域の技術は開発途上であるが、ペプチド蛋白医薬品では実現できない長期に薬の効き目を発揮できる医薬品として実用化される可能性がある。
