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第4章 技術の概要
ゲノムとは、ある生物が持つ遺伝情報の全体であり、mRNAなどに転写される部分(遺伝子)と、まだ詳しく機能の分かっていないその他の部分からなる。高等生物になるほど、後者の占める割合は大きくなる。例えばヒトの場合、全ゲノムは30億塩基からなるとされ、その中に10万個の遺伝子がコードされていると推定されているが、この10万個の遺伝子部分は全ゲノムのわずか5%に過ぎない。
ゲノムはその生物の設計図そのものであるから、バイオテクノロジーにとって、宝の山であることは疑いようが無い。それなら、先にゲノムの全塩基配列を明らかにして(ゲノム構造解析)、それから個々の塩基配列の意味や機能を考えていけばよい(ゲノム機能解析)。このような考え方から、さまざまなゲノム(構造解析)計画が実施されている。ヒトゲノム計画は、1988年に設立された国際機関「ヒトゲノム解析機構(HUGO)」により開始されたが、2003年には終了の見通しである。当初100年かかるといわれたヒトゲノム計画が、実質この数年間の解析で達成が見込まれる背景には、ゲノム構造解析技術の進歩がある。
ゲノム構造解析技術とは、ゲノム規模の遺伝情報を系統的・戦略的に解析する技術である。現在一度に解読できる塩基配列は数百塩基程度である。このため単純計算でも、数回の重ね読みを考えると、ヒトゲノムを数百万個の断片的な塩基配列として解読することになる。ゲノム配列には繰り返し構造がしばしば認められ、しかもヒトは実験動物とは異なり個々人がそれぞれ遺伝子の組合せの異なったゲノムを持っている。このため、塩基配列を手がかりに断片をつなぎ合わせるという遺伝子解析の方法に加えて、ゲノムを解析するための技術が必要になるのである。ゲノム技術は、大きくゲノム構造解析技術とゲノム機能解析技術に分けられる。
