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1.1.3 繊維素材別の状況
機能性繊維加工における天然繊維および合成繊維の出願件数の推移を図1.3.1-1に示す。
図1.1.3-1 機能性繊維加工における天然繊維(再生繊維含む)の出願件数の推移


天然繊維の出願件数の伸びは、合成繊維の伸びに比べわずかのように見えるが、この間の全体に対する天然繊維の出願件数の比率は表1.3.1-1に示すように、1984年を境に若干下がったものの、その後は現在まで21%前後の水準が続いており、合成繊維並みの伸びといえる。
次に、天然繊維の特許出願傾向を機能性項目、機能性付与工程、用途などについて、代表的合成繊維であるポリエステル繊維との比較で見ることにする。はじめに各機能ごとの総出願件数を図1.1.3-2に示す。まず目につくのは両繊維とも吸水性関連と形態安定性関連の出願件数が突出して多いことである。両繊維にとって、この2つの機能は全く対照的な機能である。すなわち、吸水性は、天然繊維が持って生まれた機能特性、長所であるが、合成繊維にとっては短所である。一方、形態安定性は、合成繊維にとって長所であるが、シワになりやすく、縮みやすい天然繊維にとっては最大の弱点であり、この欠点の改善を続けてきた結果が出願件数にあらわれている。2番目は、出願件数が比較的多くて両繊維の特徴が出ている機能性として、易染性、清涼性、制電性、導電性、の4つがあげられる。天然繊維は比較的染まりやすく、吸水性もよいため、出願件数はそれほど多くはないが、合成繊維は染まりにくく、また疎水性で静電気が発生しやすいことから、これらの欠点の改善に最大の努力を払ってきており、これが出願件数において2番目に多いグループという形で現れている。
図1.1.3-2 機能性繊維加工における天然繊維とポリエステル繊維の機能別出願件数

(1977〜99年8月までに公開の出願)
次に、機能性付与工程別の出願件数の比率を見ると図1.1.3-3に示すようになる。天然繊維は、素材が主として天然からのものであるため、新たな機能の付与は布帛工程・仕上げ工程の比重が高く69%と出願件数全体の3分の2強を占めている。ポリエステル繊維で1番比率の高い紡糸工程関連についての天然繊維の出願は16%であり、ポリエステル繊維の2分の1以下である。
図1.1.3-3 機能性繊維加工における天然繊維とポリエステル繊維の工程別出願件数比率

(1977〜99年8月までに公開の出願)
さらに、用途について出願件数の比率を見ると図1.1.3-4に示すようになる。天然繊維は、インテリア・寝具などを含む生活用品関連の出願件数比率が全体の55%とポリエステル繊維に比べ約10%高く、その代わりに自動車用タイヤコードを中心とした交通運輸関連、および工業用資材関連の出願件数比率が各5%低くなっている。
図1.1.3-4 機能性繊維加工における天然繊維とポリエステル繊維の用途別出願件数比率

(1977〜99年8月までに公開の出願)
合成繊維の20年間出願件数の推移を図1.1.3-5に示す。ここで、1977年と78年の出願件数を基準に1990〜96年の出願件数を比較すると、ポリエステル繊維では約325件→約740件/年レベルへ2.3倍に増加し出願件数が最も多い。この増加傾向はその他の繊維でも同じであるが、出願件数はポリエステル繊維、ポリアミド繊維、オレフィン繊維、アクリル繊維の順に多く、その順位は最近では変わっていない。一方、伸び率からみるとオレフィン繊維が約125件/年(1977〜78年)から約350件/年(1990〜96年)へと約2.8倍の伸び率を示し最も増えている。ポリアミド繊維は約245件/年(1977〜78年)から約485件/年(1990〜96年)へと約2.0倍の伸び率を示し、アクリル繊維は約125件(1977〜78年)から約250件/年(1990〜96年)へと約2.0倍の伸び率を示している。
図1.1.3-5 機能性繊維加工における合成繊維の出願件数推移

次に、素材別における各種機能ごとの総出願件数を図1.1.3-6に示す。まず目に付くのは、形態安定性関連および吸水・透湿性関連のポリエステル繊維およびポリアミド繊維の出願件数が突出して多いことである。しかも、この両方の機能においてポリエステル繊維の方がポリアミド繊維よりかなり多く出願されている。その次に目に付くのは静電気の発生を抑制する制電および導電性関連の機能に関する出願が多いことである。この2つの機能においてもポリエステル繊維とポリアミド繊維の出願がオレフィン繊維とアクリル繊維の出願に比べて2倍以上と多い。
ここで、アクリル繊維とポリアミド繊維の出願件数の中間に位置するオレフィン繊維に注目して25機能を注意深く見ると、清涼・快適性の機能においてオレフィン繊維の出願件数が、ポリアミド繊維の出願件数に迫っている。衣服の裏側(肌側)に疎水性のオレフィン繊維織編み物を設け、内層に親水性機能を有する繊維を設けた清涼感に優れた織物(例えば特開平3-27148など)の出願は、清涼・快適性の機能のオレフィン繊維に含まれている。
次に、機能的に出願が多いのは、耐炎・耐熱性および撥水性と防水性である。これらの機能においても、ポリエステル繊維の出願がポリアミド繊維の出願より多い。これらの機能においては、ポリエステル繊維およびポリアミド繊維の出願はオレフィン繊維とアクリル繊維の出願件数に比べると2倍以上である。
図1.1.3-6 機能性繊維加工における合成繊維の機能別出願件数

(1977〜99年8月までに公開の出願)
