(3)防塵性繊維加工技術

 最近のハイテク産業の進歩、特にエレクトロニクス、バイオケミカル、メディカル産業などを中心に、クリーンルームの大幅な増加により、それらの条件下で着用する防塵性衣服、高性能な無塵服の需要が高まってきた。

 最大の塵の発生源は職場にいる人間である。塵を発生させない、付着しない、通過させないという防塵性と、塵付着防止、放電によるIC誤動作・破壊防止という制電性の両面からの要求がある。これらの対策として、導電性繊維の交織による導電布帛を使用することによって静電誘導を起こし、空中イオンの発生により布帛の電気的中和によって、帯電を防止し、空気中の塵埃の付着を防止するとされている。現在では、カーボン繊維や表面金属化繊維等の利用によって帯電を防止しているものもある。

 作業衣自身が発塵源にならず、人体から発生する塵を衣服外に出さないようにするために細デニールのポリエステル長繊維(短繊維ではない)の高密度織物に導電性繊維を交織する方法が多く見られる。

 図1.2.1-7に示すように、81年までの出願件数は数件ずつであったが82年からの出願件数が急激に増加している。これらは、帝人や旭化成工業、清水建設などが防塵服、防塵衣、防塵手袋、建設、電気会社のクリーンルーム内での防塵服に関し出願した特許である。まさに工場建設でのクリーン化、ハイテク産業関連と考える。(例えば、81年頃に急増したもの、特開昭55-30436、特開昭57-35004、特開昭60-34605、特開昭61-266653、特開昭62-69805、特開昭63-108140、特開平1-266205、あるいは最近の特許は、特開平7-331514、特開平11-152611など)

 

図1.2.1-7 防塵性繊維加工技術の出願件数推移

 

 工程別の出願では図1.2.1-8に示すように、布帛工程が12%、製品で81%とあるように、布帛工程で特定の布帛を作り、その後製品化の段階で、デザイン、縫製などによって各種の作業衣、職業用、工業用、スポーツ用、医療用などに区分けされてから機能付与される。(各種の衣服があるが例えば、特開昭60-9902、特開昭61-113803、特開昭63-120104、特開平1-183505、特開平3-26535、特開平10-8347など)

 

図1.2.1-8 防塵性繊維加工技術の機能性付与工程別構成

(1977〜99年8月までに公開の出願)

 

 用途別出願状況では図1.2.1-9に示すように、生活用品の衣類に一番多く出願されているが、この中には作業服のようなものも混在している。(古い特許では例えば、特開昭53-134544、特開昭55-30436、特開昭60-34605、新しい特許としては、特開平11-152611など)

 

図1.2.1-9 防塵性繊維加工技術の用途別出願件数

(1977〜99年8月までに公開の出願)

 

(4)易染性繊維加工技術

 易染性とは、最終的に染色しやすいということである。過去20年間の出願の流れを見ると、図1.2.1-10に示すように84〜86年ごろの出願件数は77年の出願件数に比べて倍増している。その技術内容を見ると紡糸段階で特定のものを共重合させたりブレンドし、紡糸製糸後に化学的処理または物理的処理により繊維表面に微細凹部を形成し、鮮明染色をおこなう技術の出願(例えば特開昭60-162811など)が多い。また、紡糸技術を利用して非晶領域を形成し常圧にて染色する出願(例えば特開昭60-194114など)がある。これらはいずれも紡糸段階でなんらかの楔になるものをあらかじめつくり、後工程の染色が容易になるものである。

 

図1.2.1-10易染性繊維加工技術の出願件数推移

 90〜92年ごろの出願ピークの時には、分割型複合繊維などの極細繊維を濃く染める技術に関する出願(例えば特開平6-2221など)が多く見られる。最近の特許からうかがえる新技術としては、染色時の環境問題を考慮して染色排水を染色工場から全く出さないことを狙い、染色液が極めて微小なインクジェットにより染色するという出願(例えば特開平8-3883など)があり注目に値する。

 機能性の付与については後工程で染色しやすくするために前工程(紡糸と糸綿工程)において何らかの楔をあらかじめ処理しておくという考え方が主流である。図1.2.1-11はまさに上記のことを示唆しており、前工程において易染性機能を付与している出願件数が約3分の2も占めている。

 

図1.2.1-11 易染性繊維加工技術の機能性付与工程別構成

(1977〜99年8月までに公開の出願)

 

 用途としては、図1.2.1-12に示すように、生活用品の衣類用途の出願が多い。

 

図1.2.1-12 易染性繊維加工技術の用途別出願件数

(1977〜99年8月までに公開の出願)