|
|
![]() |
|
1.2 機能性ごとの開発状況
防汚性とは、繊維製品に汚れを付きにくくする、または付着したとしても洗濯あるいはメンテナンスをする際に汚れを落としやすくするという機能である。
図1.2.1-1に示すように、過去20年間の出願の流れを見ると、83年ごろに最も大きなピークがあり、次に90〜92年ごろのピークがあり95年から96年ごろに最新技術のピークがある。83年ごろはふっ素樹脂加工により汚れを撥いて汚れにくくするSG(Soil Guard)加工技術に関する出願(例えば特公平4-44011など)が多い。
また、90年ごろには付着した汚れが洗濯時に落ちやすくしようというSR (Soil Release)加工技術に関する親水化を狙った出願(例えば特公平4-214466など)がある。
最近では、これらの二律背反的な両方の機能を組み合わせたSG/SR加工(例えば特開平H8-74171など)なるものが出現している。

防汚性機能の付与工程としては、図1.2.1-2に示すように、布帛、仕上げ、製品などの後工程で機能付与する出願が全体の約70%を占めている。カーペットとか足敷マットなどの最終製品を製造する工程での機能付与も全出願の14%と多い。

(1977〜99年8月までに公開の出願)
用途としては、図1.2.1-3に示すように、工業用資材の出願が極めて多い。具体的には下記の用途に関する出願がある。
| ・製紙用フェルト・キャンバス | ・テント基材用シート |
| ・ホース・ベルト基材用シート | ・OA機器用包装材 |
| ・不織布 | ・外装・内装用シート など |

(1977〜99年8月までに公開の出願)
アウトドアスポーツウエアを中心に大きな市場を形成しつつある。一方、最近多方面に使用されるようになった人工皮革について見ると、これらの改良への動向はもっとはっきりとした傾向がある。天然の皮革には独特の風合いがある反面、機能的に見た場合、人工皮革に比べて耐水性の点で劣り、従来のなめし方法で作られた皮革は、優れた透湿性や吸湿性を備えているが耐水性が低いという欠点があった。しかしこの欠点を補うために、油剤や塗膜などを過度に施すと、本来の吸透湿性が失われる。これらの相反する特性を両立させるためには、従来からふっ素加工により撥水、撥油加工が広く行われてきた。
透湿はするが激しい雨に打たれても水は衣服内には浸透しないという一見相反するような機能が、超疎水性の微多孔膜技術で可能になり、最近の健康指向にも乗って、レジャー産業とも相まって繊維への加工(例えば特公昭57-11324、撥水、撥油剤などでは特公平4-64634など)が行われ、当初人工皮革では高温熱処理の関係で難しかったが現在では達成できるようになった(例えば特開平4-218600など)。
さらに一方では、防水性はそれほど高くなくても撥水性が優れていれば良いという用途も多い。極細繊維を高密度に織り、これに耐久性の優れた撥水性を付与したものや、蓮の葉の表面構造からヒントを得て布帛表面に空気層を設けるように表面構成を設計したものなどがある(特公昭63-42031極細繊維布帛使いの撥水、撥油性傘地など)。
図1.2.1-4が示すように、透湿抑制・防水性の状況と極めて類似の傾向であって、継続的に比較的多数の出願がなされている。80年代前半に出願件数の急増する時期があり、東レ、鐘紡、ユニチカ、帝人などが出願件数を上げている。(特開昭57-193582、特開昭61-55266、特開昭63-50550など)

これらの傾向は、極細繊維の開発によってその用途展開にまた別の道を開き、例えば傘などへの応用も行われている。処理工程では図1.2.1-5に示すように、布帛、仕上げ工程においての塗布処理などが多い。比較的新しい処理は紡糸・糸工程で多く、例えば特開平4-343770、特開平6-2214などに見られる。
図1.2.1-5 撥水・撥油性繊維加工技術の機能性付与工程別構成

(1977〜99年8月までに公開の出願)
用途としては図1.2.1-6に示すように、耐水性、撥水性などを要する外着や雨滴付着防止用シート(特開昭52-31167など)、車の座席基布(特開昭58-138639など)、透湿・撥水性を要する生活衣料や一般工業用、一般輸送機関関連の用途が多い。

(1977〜99年8月までに公開の出願)
