1.2.10 音響特性加工技術

(1)吸音・防音・遮音性繊維加工技術

 最近の生活環境の変化から防音・吸音・遮音材料に対する要求が高まっている。図1.2.10-3の用途別特許の出願件数分布を見ても、生活用品、交通運輸関連、工業用品、土木工業関連と各方面への用途展開がなされている。騒音はわれわれの生活、職場環境の中で最も身近に感じられる問題である。防音材はこの騒音を軽減させるための材料であり、その対応の仕方で吸音材、遮音材、防振材、制振材等がある。この中で特に繊維製品が関連するのは主に吸音材、遮音材とその補強材および防振材である。

 吸音材としての繊維資材は内部の微少空間で音のエネルギーが吸収、減衰されることを狙った部材である。より耐熱性や耐火性を上げたものになりつつある。遮音材としての繊維資材は本来繊維製品のように空間が多く、軽い材料では遮音効果は上がらない、音波による振動に対抗するためには、重い材料の方が有利である。遮音材としては各種パネル類やフレキシブルなシート類があり、工事現場、建築資材、工場(機械)の防音(遮音)に用いられている。ポリエステルシートにコーティングしたものや、重量を増すために金属繊維や無機材料などを混入させたものもある。

 防振材としての繊維資材は、防振のためには振動原と構造体との間に挿入し、振動の絶縁を計るものであり、繊維資材としては、フェルト状物やモノフィラメントのように極太の立体交絡体などのクッション性のある材料が用いられている。

 図1.2.10-1に示すように、過去20年間の出願件数推移を見ると87年に小さいピークがあるものの50〜60件の出願件数でかなり均一化している。出願範囲は広く、自動車、電気、製鋼、特殊塗料、建設関連などである。特許的には、難燃性や保温性などといくつかの機能を同時に有するものも多い。(防音・遮音関連特許として例えば、特開昭57-47647、特開昭58-3854、特開昭59-120119、特開平1-166946、特開平8-234763、特開平8-187805、特開平10-77562、特開平10-110370など)

 

図1.2.10-1吸音・防音・遮音性繊維加工技術の出願件数推移

 

 図1.2.10-2に示すように、処理される工程的には、布帛および仕上げ工程での処理が圧倒的で約80%を占めている。この工程で処理される物は、積層物であったり、繊維集束体などである。(例えば、特開昭57-47647、特開平10-77562、特開平10-110370など)

 

図1.2.10-2吸音・防音・遮音性繊維加工技術の機能性付与工程別構成

(1977〜99年8月までに公開の出願)

 

 用途の面では、冒頭に記した通り、生活様式、職場環境などの変化に連れ使用範囲が多様化してきている。(例えば、特開昭59-120119、特開平1-241422、特開平4-194078など)

図1.2.10-3 吸音・防音・遮音性繊維加工技術の用途別件数

(1977〜99年8月までに公開の出願)