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1.2.3 生体関連・エコロジ−加工技術
1980年代からの全世界的な地球環境保全意識の高まりから、石油化学品の地球環境への影響が大きく取り上げられることとなった。プラスチックスがその主な対象であるが、合成繊維も石油製品としての合成物であり、その産業廃棄物の処理処分について、生分解性、微生物分解性の技術開発が行われている。生分解性、微生物分解性などに関連する出願は、図1.2.3-1に示すように、80年代後半より特に増加してきている。
傾向としては、ポリマー素材を含めた紡糸、糸の形成に関する特許が大半である。素材においては、企業間にそれぞれ得意分野があり、いくつかの原料系での特徴が見られる。脂肪族ポリエステル系、あるいは天然物を利用した原料系である。また糸の構成では、多層構造、異物質多層、異物性多層など、それらの組み合わせによって生分解の速度を調整できることを提案しているものもある(特開平10-46462など)。
また、繊維の構造だけでなく、布帛状態での形態的、積層構造の構成の違いによるその効果発現を狙っているもの(特開平9-279464など)があり、今後環境問題、衛生問題、医療関連など、その要求される分野はますます広くなって行くものと推察される。
繊維への生物学的機能性付与については、紡糸方法および装置と積層体について生体適合性に関するものと生分解性に関するものをまとめた。
図1.2.3-1 生分解・微生物分解性繊維加工技術の出願件数推移

機能性を付与する工程を工程別に分けてみると図1.2.3-2に示すように、ポリマーそのものを含めた紡糸段階での機能性付与が圧倒的である。複合繊維としての芯鞘構造(特開平5-163616、特開平8-246243、特開平8-325848など)に関する特許が多く、それに次いで布帛状態では、不織布形態(特開平8-246316、特開平9-78427など)のものが多く、紡糸工程、織、編み、不織布化の工程での処理が多い。
図1.2.3-2 生分解・微生物分解性繊維加工技術の機能性付与工程別構成

(1977〜99年8月までに公開の出願)
技術的な変遷を見てみると、生分解・微生物分解性に関する主要な技術課題は生分解あるいは微生物分解するための条件であり、使用に供している間は、使用条件に適合する強度なり、耐久性なりの必要条件を満たすことが必要であり、そして使用後には、速やかに生分解なり、微生物分解してくれることが理想である。これらの両者の条件を満たすために、繊維そのものの素材のみならず、糸自身の加工技術が重要になる。
いったん素材が決まれば、いかに通常使用時の物性を糸自身に与え、さらには使用後に速やかに分解するための生分解・微生物分解の速度をコントロールすることが必要になってくる。
図1.2.3-3に示すように、最近、特に活発に展開されているものに、紡糸口金、特に芯鞘型口金および中空紡糸口金、非円形紡糸口金など、紡糸口金に関する開発が活発である。
図1.2.3-3 生分解・微生物分解性繊維加工技術に関する方法または装置の出願件数推移

生分解・微生物分解性繊維の、1つの重要な因子は素材原料である。図1.2.3-4あるいは図1.2.3-5に示されているように、合成繊維が主流であるが特に脂肪族ジカルボン酸からのエステル単位を含むものあるいは脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジヒドロキシ化合物を含むものが活発である。図1.2.3-5には、これらの素材によるモノフィラメントの単成分原料による出願状況を示す。ラクトン、ラクチド系の原料は依然として多く研究されている。
図1.2.3-4 生分解・微生物分解性繊維加工技術に関する素材別出願件数推移

図1.2.3-5 生分解・微生物分解性繊維加工技術に関する繊維構成(単成分)
の出願件数推移

図1.2.3-6 生分解・微生物分解性繊維加工技術に関する繊維構成(複合成分)
の出願件数推移

図1.2.3-7に示すように用途に関しては、今後ますます拡大が予想されるが、糸、フィラメント、さらにはロープの状態では漁業関係、漁網、釣り糸など生体関連の布帛、不織布においては、衛生製品、介護用材料など農業、一般産業用など幅広い用途展開が進行しつつある。さらに社会環境からのニーズとしても不可避的要件でもある。
図1.2.3-7 生分解・微生物分解性繊維加工技術の用途別出願件数

(1977〜99年8月までに公開の出願)
図1.2.3-8に、出願人別特許出願状況を示した。繊維製品の生分解・微生物分解性と生体適合性との間には、生物学的性質・機能それに医学衛生機能という点で共通部分がある。生分解・微生物分解関連のみについてみた。
図1.2.3-8 生分解・微生物分解性繊維加工技術の出願人別出願件数

(1997〜99年8月までに公開の出願)
図1.2.3-9に、国内に出願されている特許のうち、外国から出願された特許と国内出願人による特許の出願状況を見たものを示す。約90%が国内各社からの出願であり、7%が米国、残りが欧州、その他各国となっている。
図1.2.3-9 生分解性・微生物分解性繊維加工技術の出願人の国籍別出願構成

(1997〜99年8月までに公開出願)
