1.2.9 環境関連加工技術

(1)耐薬品性繊維加工技術

 繊維製品に対する耐薬品性については、その素材が天然繊維か合成繊維かによって大きく変わる。また薬品の種類によっても、耐溶剤性、耐酸、耐アルカリ性に対する性質もまったく異なるものである。

 繊維製品としてわれわれに密接な関係にある例としては、水着がある。最近多くの場所に室内プールが完備され、しかも水泳人口が増え、さらに水泳がオールシーズン化されることによって、水着の使用頻度が上がってきている。一方、環境としてはプールの滅菌に使用される塩素に関わる品質問題が増え、一般水泳水着の分野でも関心事になりつつある。

 ここでの問題は、一般水泳用の水着では、カラーの多様性(色の種類、色の鮮明度、色の堅牢度)が重要な要因になる。耐塩素性を上げた繊維製品の開発が望まれることになる。

 地球は有史以来最も厳しい環境に変化しつつあるといって良い状況にある。酸性雨、オゾン層破壊、地球の温暖化、熱帯雨林の減少、砂漠化の急激な進行、海洋汚染、人間の出す廃棄物の投棄等以前にも増して環境変化が問題化しており、今や地球環境の保全に危機的な状況が発生しつつあると言って過言ではない。

 産業用資材として用いられている合成繊維の多くは、一般のプラスチックと同様、上記環境条件に対して、より強くて、耐久性、耐侯性、耐腐食性、耐酸性、耐アルカリ性などより優れていることが何よりの条件である。

 耐薬品性に関わる特許出願状況を図1.2.9-1に示す。先に示した耐塩素性の繊維による水着に関しては、早い時期では1978年の出願になるが、ポリウレタン系弾性糸を含んだ編物または織物に撥水加工を施した、プールの水に含まれる塩素によりポリウレタン系の弾性糸が脆化しない、着用時の水切れの良い水着(特開昭55-26243など)がある。人工芝生(特開昭57-169105など)、コンクリート用筋材(特開昭57-142695など)各種の方面にわたる特許が出願されている。

 

図1.2.9-1 環境・耐薬品性繊維加工技術の出願件数推移

 

 加工工程では素材そのものに関わり、紡糸工程で変化するものでいかに素材そのものを処理するかということである。シルキー風合と光沢性を有する改質ポリエステル繊維、その製造法として紡糸口の工夫に合わせて紡糸延伸に工夫をした(特開昭60-146011など)もの、特定の経糸と緯糸の交点が熱融着している織布を基板とし、片面または両面を強化した屋外用強化布帛(特開昭57-150571など)がある。(図1.2.9-2)

 

図1.2.9-2 耐薬品性繊維加工技術の機能性付与工程別構成

(1977〜99年8月までに公開の出願)

 

 適用分野としては、繊維製品を製造する領域と、製品の処理段階での耐薬品性である。一般工業用として工程での問題対策に関するものと生活用品、土木関連での資材に関するものがある。産業廃棄物用敷設シート(特開平6-182936など)、その他一般工業用として、耐酸化性が改良された中空糸限外濾過膜(特開平2-9426など)などがある。(図1.2.9-3)

 

図1.2.9-3 耐薬品性繊維加工技術の用途別件数

(1977〜99年8月までに公開の出願)