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2.4.2 代表的な特許からみた技術の展開
1977〜99年8月公開の間に出願された、抗菌・防ダニ性に関する特許(実用新案含む。以下同じ)は2,845件である。まず解析の対象を1985年1月以降出願の公告・登録特許315件と1998年1月以降出願の係属中の特許243件の抗菌・防ダニ性関連特許、合計558件の中から103件を抽出した。この抽出基準は、明細書を読んで重要と思われるもの、および同一出願人から同時期に類似の特許が複数ある場合にはより重要と思われる方を、または判断が難しい場合には出願時期の早い方を抽出した。
抗菌・防ダニ性繊維加工技術に関する代表的な特許の展開を図2.4.2-1〜図2.4.2-4に示す。

次に技術発展の簡単な説明をする。抗菌・防ダニ性繊維加工技術の課題には、繊維層の中に抗菌成分をいかに介在させて耐洗濯性を上げるかと、対象菌と遭遇する頻度を上げ抗菌活性を向上させるために繊維表面層にどのように固着させるのかというものがある。前者の観点に重点を置くものに、繊維製品の素材自身の高分子樹脂にその機能を持たせようというものがある。それらの1つが共重合成分の一部分にこの抗菌活性を埋め込むという技術であり、もう1つが高分子樹脂の中に均一にまたはミクロ的にブレンド・練り込みをするという技術である。対象菌は生き物であり素材高分子樹脂の奥深くまでは侵入して行かないため、洗濯処理する際に抗菌成分が素材の外に抜け出したり脱落したりすることがない程度に高分子樹脂の中に埋め込まれれば十分である。この観点から例えば芯鞘の複合繊維構造にしてその一部にブレンド・練り込みをするという技術に移り変わってきている。繊維素材中にブレンド・練り込まれる抗菌剤は溶融紡糸または乾式紡糸または湿式紡糸などの紡糸処理工程を通るためにその処理過程でこうむる熱には耐える必要がある。以上の理由からブレンド・練り込みに応用される抗菌剤は無機系のものが好まれ、さらに繊維素材の色調変化に影響を及ぼさないものに変わりつつある。
抗菌・防ダニ性繊維加工技術の課題には、耐洗濯性を維持しながら対象菌と遭遇する頻度を上げ抗菌活性を向上させるために繊維表面層にどのように固着させるのかというもう1つの観点に重点を置いたものがある。言いかえると、布帛処理工程にて抗菌性成分を付与する技術である。技術展開的には、抗菌成分を繊維表面に固着させるバインダーに特徴をもたせた技術、菌・カビ類が発散する悪臭を相殺的に消すために香料を繊維表面に付与する技術、菌・カビ類が発散する悪臭を吸着または中和により消臭する消臭・脱臭剤の技術、さらに、菌・カビ類または病院内でのMRSA菌(メチシリン耐性黄色ブドウ状球菌)または食中毒のO-157菌などを対象とした抗菌剤とそれらを布帛に付与する処理技術などに分類される。
最近では、通院入院を繰り返す高齢者が増えるに従い健康への関心が高まり、この高齢化社会のニーズがそのまま特許の技術課題となってきている。その結果、布帛処理工程において天然系抗菌剤であるキトサン類を活用する抗菌処理技術と、銀系または光触媒機能を有する無機系抗菌剤を活用する抗菌処理技術が注目されている。
用途分野の技術においては、人工腎臓に用いられる中空糸、手術糸、ガーゼ・包帯などの専門医が使用する分野から、入院患者が利用する衣類、寝装具などに応用する技術へ重要観点が変わりつつある。
他の機能との組合せ技術においても、豊かな社会の高齢入院患者が多くなった社会的背景を反映して、快適な入院生活がおくれるように抗菌性機能を持ちながら同時に吸水・透湿・防水または帯電防止などの技術を組合せた生活用品(衣類・寝装具)の出願がされている。
図2.4.2-2 抗菌・防ダニ性加工の素材の改質に関する技術発展図(1)(1/6)

図2.4.2-2 抗菌・防ダニ性加工の素材の改質に関する技術発展図(1)(2/6)

図2.4.2-2 抗菌・防ダニ性加工の素材の改質に関する技術発展図(1)(3/6)

図2.4.2-2 抗菌・防ダニ性加工の素材の改質に関する技術発展図(1)(4/6)

図2.4.2-2 抗菌・防ダニ性加工の素材の改質に関する技術発展図(1)(5/6)

図2.4.2-2 抗菌・防ダニ性加工の素材の改質に関する技術発展図(1)(6/6)

続く