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耐炎性・耐熱性繊維は常温状態の空気中では小さい炎を繊維製品に接しても炎をあげて燃えなく黒く焦げるだけであり、LOI値が27から100の間の性能を持ち、融点・分解点が約290度以上の繊維を一般には指す。具体的には、アラミド繊維、ザプロ加工ウール、ノボロイド繊維、炭素繊維、フッ素繊維などがある。
耐炎・耐熱評価方法は日本防炎協会の防炎性能試験基準により、炎を遠ざけても炎を出して燃えつづける時間(残炎時間)がないものをいう。耐炎性機能を付与する技術としては、大きく分けて次の4技術がある。
(1) 素材の繊維自らがLOI値32以上で融点が約320℃以上のものだけにする技術。
例えば、アラミド繊維、ノボロイド繊維、炭素繊維、フッ素繊維など
(2) 耐炎性能が不十分な繊維に、難燃剤・防炎剤・耐炎剤を練込・ブレンド・コーティング・含浸などの処理をする技術。
(3) 耐炎繊維と非耐炎繊維を混紡したり混織したりする技術。
(4) 上記の3種類の技術を選択して組み合わせする技術。
上記の(2)に関する技術の中で、天然繊維の綿と化学的に反応して固着した窒素―リン化合物が熱分解により窒素とリンに分解され、リンは空気中の酸素と反応して五酸化リンに変わり脱水炭化が起こり、同時にポリリン酸に変わり耐炎性綿になるというプロバン加工技術が有名である。この技術は繊維製品の収縮や溶融ドリップがなく、また、ハロゲンなどの有毒ガスを発生しないなどの特徴がある上に、さらに綿本来の風合・染色性を損なわないという特徴も持ち合わせているため広く利用されている。
感温・蓄熱・発熱性繊維の技術には、1本のファイバーでも目標機能を発現させる技術と、単に1本のファイバーでは目標機能を発現できなく繊維構造体全体で目標機能を発現させる技術などがある。概略的にいうと下記の3つが主要な技術である。
(1) 感温性繊維技術
感温性繊維とは、温度を感じて物性が変化する繊維製品のことを指す。現在市販されているものには、例えば繊維基布に温度により変化する色彩成分と発色剤と消色剤を有するマイクロカプセルを樹脂コーティングした温感変色繊維素材があり、その他の例としては、記憶形状性繊維を利用してガラス転移温度以上になればゴム弾性を示す形状記憶樹脂からなる校倉形式積層体の感温性透湿性繊維などがある。
(2) 蓄熱性繊維技術
蓄熱性繊維とは、何らかの外部エネルギーを吸収して保温熱に変えることができる繊維素材をいう。実用化されているものには、炭化ジルコニウム系化合物のミクロ粒子を繊維内に練り込むことにより、太陽の光エネルギーを吸収して熱エネルギーに変換する蓄熱性繊維製品がある。また、体温の熱エネルギーを遠赤外線に変えて放射するセラミックスや海藻炭の微粒子を繊維に練り込んだものもある。この遠赤外線は人体の水分子の分子運動を活発化し生体機能を活性化する波動効果により血液循環が良くなるともいわれている。これは選択的波長変換技術が応用されたハイテク繊維の技術である。一方、人体から放出される発汗水分を吸収して水分吸着熱を保温に利用する技術もある。
(3) 発熱性繊維技術
例えば電気エネルギーなどにより熱に変換する繊維状物を意味する。具体的な技術の内容は、ステンレススチールの極細繊維と有機繊維(ポリエステル、アラミドなど)を均一に混繊する技術である。この技術によりニクロム線と同じ電気抵抗レベルを示す柔軟性面状発熱繊維ができる。
静電気が発生すると、帯電した物質の近くにできる電界によって静電引力または反発力などの力学的現象や、放電現象が起きる。これらの現象により、例えば衣料品ではまつわりついたり、ほこりなどの付着による汚れが生じたりする。また、放電による電撃ショックなどの障害や爆発火災などの災害の要因にもなっている。
特に合成繊維にとって、制電性は不可欠の機能といってよいほどで合成繊維の開発当初から検討されている。
制電性機能の付与技術は、制電性物質による後加工と制電性物質の混合紡糸法の2つに大きく分類される。
(1) 制電性物質による後加工法
制電剤の含浸、コーティングなどで繊維の糸・綿または布帛の表面を改質したり、被膜を後加工によって形成する方法である。
さらに、強固な結合を得るために繊維にグラフト重合したり、低温プラズマ処理する手法も提案されている。
(2) 制電性物質の混合紡糸法
繊維基質中に親水性成分を筋状に分散させて制電性を付与する方法で、ポリアルキレングリコールまたは、特定構造の第4級アンモニウム塩化合物などの親水性制電剤の練り込み・ブレンド紡糸や複合紡糸口金を使用した複合紡糸などの方法がとられる。
帯電防止には、物質に帯電性を持たせ、その物質に電荷が蓄積しないようにする、あるいは物質の近くに自由イオンを供給して、物質の電荷を中和するなどの方法がとられる。
導電化の技術は、導電性物質による後加工、導電性物質の混合紡糸法の2つに大きく分類される。
(1) 導電性物質による後加工
a. 導電性物質の含浸、化学的固着処理
b. 導電性物質を含む樹脂のコーティング
c. メッキ、スパッタリングなどの金属被膜の形成
d. ポリピロールなどのπ-電子共役系有機ポリマーの被膜の形成
(2) 導電性物質の混合紡糸法
金属、金属化合物、カーボンブラックなどの導電性物質の微粒子(フィラー)を繊維基質中にブレンドさせて導電性を付与する方法で、制電性と同様にブレンド紡糸や複合紡糸などの方法がとられる。
近年、白色化へのニーズの高まりとともに白色フィラーを用いた白色系の導電性繊維や低融点金属化合物のブレンド技術などの研究に力が入ってきている。
超電導(超伝導とも書く)とは、材料の温度を下げていくと、ある温度(転移温度)以下で電気抵抗が突然0になる現象で、現在、超電導特性を示す素材としてNbTi、Nb3Snなどの合金系、Nb3SnやV3Gaなどの金属間化合物系、Yba2Cu3Oxなどの酸化物セラミックス系の超電導体などが知られている。
繊維の製造方法の代表的のものは次の3つである。
| (1) 伸線法 | :筒、例えば銅筒に原料粉末を充填し、加熱とともに銅筒を引き伸ばし、線材化するもの。 |
| (2) 合浸性(形骸法) | :有機繊維(束)に所定の元素の塩の溶液を合浸させ、溶剤除去後、焼成するもの。 |
| (3) 先駆体紡糸法 | :乾式、湿式、乾湿式などの紡糸法により先駆体繊維を得、これを焼成するもの。スラリー法、ゾルーゲル法、溶液法などがあげられる。 |
最近では、合成繊維の複合紡糸技術の応用で、合成繊維並の細径の繊維や直径数μmから十数μmの極細繊維の例も見られる。
主な用途は、電磁流体発電機、磁気浮上車などのマグネットコイル用材料、送電線、変圧器などの線材などである。
