4.2.20 紫外線遮蔽(UVカット)性加工

 紫外線カット(UVケア)商品は、化粧品が先行した。紫外線遮蔽の機能の付与は、一般的に次の2つの方法がとられる。

(1) 遮蔽剤を原糸へ練り込むブレンド紡糸法

(2) 含浸吸着、コーティングなどの剤を付与する後加工法

 これらの技術は、前者が艶消糸(セミダル、ダル)の通常の生産技術、後者は耐光堅牢度向上の技術の範疇に入ると考えられる。

 紫外線遮蔽剤は、

(1) ベンゾトリアゾール系化合物などの有機化合物系

(2) 二酸化チタン、タルクなどのセラミックス系

(3) 両者の併用

 などがとられている。

 地球環境や健康への意識の高まりから、社会の関心は高いが、繊維自体の紫外線遮蔽性は充分と言われ、技術的には、ほぼ完成されているとみられる。

 

4.2.21 光干渉・反射性加工

 繊維での光干渉性、反射性の機能は発色性(色の深み、鮮明性を含む)という形で現れ、玉虫色(玉虫効果)という表現もよく使われる。

 発色特性は、光線の繊維に入ってくるときの屈折率、繊維の形態、繊維や布帛の表面形態などが関連している。発色性繊維の製法には、次のようなものがある。

(1) 繊維生地表面に、超薄膜の光の反射層と透過層とを積層して、光の干渉色を現す。

(2) 偏光フィルムと分子配向異方性フィルムとを貼り合せたときに現れる光干渉発色性フィルムの箔糸(スプリットヤーン)による。(金銀糸)

(3) 干渉色を発色する顔料(例えば雲母チタン箔)で捺染する。

(4) 繊維の表面に可視光の波長領域(400〜700nm)オーダーの超微細な凹凸構造を形成する。

(5)  最近では屈折率の異なるポリマーによる交互多層構造の形態をもたせ、光の反射、干渉あるいは回析、散乱などにより発色する繊維も提案されている。

 

4.2.22 電磁波シールド性加工

 各種の電気機器から電磁波が放出され、それによる電磁波障害が起こっている。飛行機などでは場合によっては重大な事故につながってしまう。微弱な電磁波を扱う機会の多い病院などでは大きな障害となる。

 最近は有機繊維の表面に無電解メッキにより導電層を形成した電磁波シールド材が多く、これら有機繊維がメッキ可能であり、アクリル繊維などもメッキしやすい繊維の1つである。有機繊維の金属繊維と比較しての最大の特徴は、風合いのソフトなこと、軽いこと、構成繊維の種類が多いこと(太さ、断面形状、マルチフィラメントなど)があげられる。

 電磁波シールド性能は表面の膜厚にも関係するが、一般的には使用する金属の種類と編織物の密度でほぼ決まってしまう。銀は銅よりわずかにシールド性が良いが、ニッケルはかなり劣る。日本ではコスト面から銅とニッケルが多く銀はほとんど使用されない。要求される電磁波シールド性能によって銅とニッケルを使い分けている。ただし、銅メッキの場合はプラスチックの場合と比較して、繊維の表面積が大きいので錆びやすく、銅の上にニッケルメッキまたはその他の防錆処理が必要である。

 今後ますます一般家庭内、あるいは一般オフィスなどでの電子機器の使用頻度が増し、電子機器の普及が盛んになって行くことは避けられないことである。電磁波防御対策は、個々の電子機器が不要な電磁波を外部に放出しない、障害発生源とならない対策と各機器が外部からの電磁波ノイズによって誤動作しない受信障害対策が必要である。

 

4.2.23 磁気シールド性加工

 電磁シールド材の場合には、電磁波を発生する物があり、近くにある他の電子機器に電磁波の影響によってその電子機器に誤動作を生じさせることを避けるために使用される場合が多い。

 一方、本磁気シールド材の場合は、最近のようにオフィス内はもちろん、家庭の中にも磁気記録媒体が多く保存されている。これらは磁気記録媒体の表面に形成された、いずれかのタイプの記録保持するための磁性層が形成され、そこに信号が記録保存されている。この記録層に保存されている信号が、外部からのより強力な電界や磁界によって破壊されることから守るための部材を提供するものである。

 近年注目を集めているものとして、非晶質材料(アモルファス)があり、Fe・B、Fe・Co・Si・B、Fe・Ni・P、Fe・Ni・P・Bなどの高透磁率材料を繊維材料と加工して、高透磁率機能性材料とされたものがある。高透磁率材料の用途としては、電力用トランス鉄心、磁気ヘッド、磁気シールドなどがある。これらは使用目的によって要求される特性が異なるので、種々の高透磁率材料が開発されている。

 

4.2.24 耐薬品性加工

 繊維製品に対する耐薬品性については、素材が天然繊維、合成繊維によって大きく異なる。また薬品についても、耐有機溶剤、耐酸、アルカリ性に対する性質も全く異なるものである。

 耐薬品性の繊維で日常的なものとしては、水着がある。最近、室内プールの普及に伴い、水泳はオールシーズン化してきて水着の着用頻度も飛躍的に上がってきた。一方、これらの傾向に対しプールの滅菌に使用される塩素にかかわる品質問題が増してきた。一般水泳水着の分野でも関心事になりつつある。

 一般遊泳水着はカラーの多様性(色の種類、色の鮮明性)が必須条件であり、それを損なわずに耐塩素性を向上しなければならない。これらの要求に答えるものとして、最近優れた耐塩素性を有するスパンデックスと特殊な耐塩素堅牢度向上染色技術を組み合わせることにより標記機能性をクリヤーしたものが開発されている。

 セルロース系の繊維に対しては、酸化チタンや酸化ジルコニウム粒子との金属アルコキシド複合ゲルファイバーとし、紡糸技術に特殊の方法を付加することによって、耐有機溶剤性を改善し、一般の有機溶剤には安定である技術が開発されている。

 また、ふっ素系樹脂は高い耐熱性、耐化学薬品性、優れた電気特性(高周波特性)、低摩耗性、耐候性、非吸水性などの特性を兼備しており、他の材料には見られない機能を有している。しかし、特にPTFE樹脂では、結晶の溶融温度が327℃と高く溶剤がないため、加工性に難があり繊維が作りにくかった。また繊維同志の結合がないため、不織布や紙状のものも作りにくかったがこれらの優れた特性を繊維に付与するために、種々の事が試みられてきた。最近、ふっ素系繊維が開発され、抄紙、シート化の技術も開発されてきている。

 繊維製品にとっては、大気中に排出されるSOx、NOx、やゴミの焼却により発生する、塩素ガスなどの原因で発生する酸性雨対策である。繊維製品の多くは生活用品として使用されるが、一方では、工業用品あるいは産業資材として莫大な量の繊維製品が使用されている。屋外展張用のシート、外壁材、などの素材に使用される繊維製品は、従来の耐侯性に加え、大気中に放出された有害排出ガスによる酸性雨に侵されないような、耐薬品機能性加工による対応策も必要になってきている。

 

4.2.25 吸音・防音・遮音性加工

 防音材は、騒音発生源からの騒音を低減させるために使用される繊維製品であるが、この騒音を低減させるための材料であり、防音効果を発揮する際のメカニズムによって、吸音材、遮音材、防振材、制振材などがある。この中で繊維資材は主に吸音材、遮音材とその補強材に使用されているものが多い。

(1) 吸音材としての繊維資材

 繊維同志が交絡してそのお互いの繊維合資の間に連続した空間が生じる。ここに空気伝播音が入射するとこれら微少の空間で空気の粘性抵抗や繊維の微少振動などによって音の伝播エネルギーが消耗され(他のエネルギーに変換され)、見かけ上の音のエネルギーが吸収されたような現象となる。

 最近では、断熱性、耐熱性などを同時に付与されているものとして金属繊維やフェルト状にしたものなども紹介されている。

(2) 遮音材としての繊維資材

 空気伝播音を反射することにより伝播音を遮断し透過音を少なくする資材のことで、この資材は前出の吸音性と異なり物体として空洞がなく、遮音材自体が振動して音の伝播を助けることのない物体でなければならない。重い材料がより効果的である。

(3) 防振材としての繊維素材

 機械などの振動が構造体などの固体中を伝播し、それが再び音となって空気中に放射される固体伝播音がある。防振材としてはこれらの中間に存在し振動の絶縁を図るものである。一般的にはバネや防振ゴムが知られている。

 このような目的に用いられる繊維資材としてはフェルト状物やモノフィラメントように極太の立体交絡体などのクッション性のある材料が用いられる。

 木質床材などと複合化され、マンションなどの床音を階下に伝えにくくする床衝撃音緩衝材などに使用される。