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2.6 植物の二次代謝産物
2.6.1 技術開発の内容
植物は二次代謝産物としてアルカロイド、テルペノイド、フラボノイドなどのさまざまな有用物質を生産している。これらの物質は広く医学分野、農学分野、食品分野などで利用されている。従来の技術では、植物そのものや、その抽出物を有用物質として開発してきた。しかしながら、植物体内の含有量は非常に少なく植物の成長が遅いため植物採取による環境破壊をおこすことなく十分な量を安価に取得することが開発課題となっていた。
1930年代末にR.J.ゴートレ(フランス)、P.R.ホワイト(米国)によって植物細胞培養の継代培養法が確立されて以来、植物細胞培養を行うことにより、有用物質を生産させることが試みられている。
植物組織培養による二次代謝物質の生産方法は、細胞懸濁培養、器官培養、固定細胞による物質変換の3種類に分けることができる。
細胞を懸濁培養する方法は大型培養槽へのスケールアップが容易であるので工業的に有効な方法である。しかし、植物は二次代謝産物を特定の組織で生産、蓄積しているため、未分化細胞を用いた培養法では生産が見られないことも多い。
一方、器官培養は分化した細胞を用いるため、二次代謝産物生産能を維持したまま培養することができる。アグロバクテリア(Agrobacterium tumefaciens)の感染により生じるクラウンゴール細胞は、一種の腫瘍細胞であり、通常のカルスと異なり植物ホルモン無添加で増殖し続けることができる。この特性は細胞培養を行う上で有効である。1985年にアグロバクテリア(Agrobacterium rhizogenes)の感染によって誘発された毛状根が植物ホルモン無添加で著しく速く増殖しこのことが植物の二次代謝産物生産に利用できることが明らかになって以来、この分野の研究は著しく進展してきた。
植物細胞は微生物に比して培養速度が遅く、一般的には二次代謝産物の生産量は少ない。そこで生産の効率向上を図るためにさまざまな検討が進められている。代表的な例は培養条件を至適化することで、これにより生産性の向上が認められている。さらに、培地中に各種化学物質を添加したり、培養時にストレスを加えることで生産効率を上げている。またエリシターで刺激することで、二次代謝産物の生産が誘起される。
植物細胞の持つ酵素を触媒として利用することにより、物質交換を行ない、有用物質を生産することも行われている。植物細胞を培養すると同時に前駆物質を加え物質交換を行わせたり、細胞を固定化することにより連続的に物質交換をさせることも可能である。
