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2.1.4 チェーン以外の伝動・変速装置
チェーン式の伝動装置を用いた自転車は1879年イギリス人ローソンにより発明され、その基本的な構成(回転ギアクランク→チェーン→リアスプロケット)は現在も引き継がれている。市場においてもチェーン式の伝達装置を用いた自転車が最もポピュラーで販売台数のほとんどを占めている。
しかしながらチェーン式の伝動装置にも以下のような弱点がある。
・注油、張り調整などのメンテナンスが必要である。
・伝達ロスがある。
・衣服の巻き込み、チェーン外れなどのトラブルが起きる可能性がある。
以上のような課題に対しては、チェーン式伝動装置においても、技術的な解決策が施されていることは確かであるが、伝達ロス、チェーンの伸びなどチェーンが持つ特徴により基本的には解決されない問題も残されている。
そこで、通常のチェーン駆動方式以外の伝達方式で、かつ、実際に市場に投入され実績のある技術(シャフトドライブ、ベルトドライブ)について権利化された特許・実用新案を基に、これらの技術の発展を紹介する。
(1)シャフトドライブ
クランクの回転運動をかさ歯車などを介してドライブシャフトで車輪へ伝達するもので、チェーンに比べ伝達効率が良いとされる。
また、伸び調整や、注油(オイル封入の場合)などのメンテナンスが不要である。
シャフトドライブの特許・実用新案で権利化された代表的なものを表2.1.4-1 に示す。
表2.1.4-1 シャフトドライブ装置の代表的な特許・実用新案
| 公告・登録番号 | 出願日 (優先日) |
出願人 | 名称 | 権利 |
| 実公昭55- 54625 | 昭47. 5.12 | 山口 正夫 | 自転車の変速駆動装置 | 抹消 |
| 実公昭52- 37086 | 昭47. 5.15 | 宮田工業 | シャフトドライブ自転車 | 抹消 |
| 実公昭52- 37551 | 昭47.12.30 | 宮田工業 | 自転車の伝動装置 | 抹消 |
| 実公昭52- 48533 | 昭48. 6. 7 | 宮田工業 | シャフトドライブ自転車のクランク軸軸受装置 | 抹消 |
| 実公昭52- 34769 | 昭48.10.11 | 宮田工業 | シャフトドライブ自転車における後車軸の補助支持装置 | 抹消 |
| 特許2544741 | 昭62. 8.10 | 創輝 | シャフトドライブ式自転車 | |
| 特許2726853 | 昭62. 9.10 | 創輝 | シャフトドライブ式自転車 | |
| 特公平06- 53513 | 昭63.11.28 | 佑福交通器材 (台湾) |
自転車用の封入単軸駆動機構 | 出願 無効 |
図2.1.4-1は、前記の代表的な特許・実用新案とこれらの出願以前の基本特許に近いと考えられる技術を、時系列的に体系化した技術発展図である。
また、技術発展図の次に、これらの図に示した特許・実用新案の概要も合わせて紹介する。
技術発展図と概要をみると、以下のことが分かる。
わが国でのシャフトドライブ装置の自転車への適用の試みは1930年代もしくは それ以前から行われていた。
基本的な構造はそれ以降ほとんど変化していないが、組み付けの精度向上や駆動力伝達の円滑化、変速装置との構造などについて開発が行われてきた。
シャフトドライブ式の自転車を商業規模で最初に市場に投入したのはサンワード(現在の創輝、ヤマハ発動機の子会社)で、1985年5月のことであった。
その後、1988年1月には丸石自転車もシャフトドライブ式の自転車を発売した。丸石自転車のシャフトドライブ式自転車は発売当初は年間5万台ほどが売れたが、その後は、チェーン式の自転車の対向勢力といった大きな存在にはならず、これ以降商業的に成功したシャフトドライブ式自転車は存在しない。
シャフトドライブの場合、乗り心地、耐久性などの性能向上のために、ギアの噛み合いなどに高い精度が求められる。
この部分をコストの問題とバランスさせ、いかに克服するかが技術開発の焦点になると思われる。
図2.1.4-1 シャフトドライブの技術発展図 1/3
年月は出願月または優先権主張月

図2.1.4-1 シャフトドライブの技術発展図 2/3
図2.1.4-1 シャフトドライブの技術発展図 3/3

続く