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答申・報告書・講演録
 
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第3回 イノベーションと知財政策に関する研究会 議事要旨





平成20年6月30日
特許庁
1. 日時
    平成20年6月30日(月)8:00〜9:30
     
2. 場所
    ホテル ルポール 麹町 3階「マーブル」
     
3. 出席者
   
  青木 初夫   アステラス製薬株式会社相談役
  伊藤 元重   東京大学大学院経済学研究科長・教授
  齋藤 明彦   株式会社デンソー取締役会長
   (代理)小川 王幸  株式会社デンソー取締役副社長株式会社デンソー取締役副社長
  後藤 卓也   花王株式会社顧問
  長岡 貞男   一橋大学イノベーション研究センター教授
  中山 信弘   弁護士(西村あさひ法律事務所顧問)
(座長) 野間口 有   三菱電機株式会社取締役会長
  藤田 隆史   東京大学生産技術研究所教授・産学連携本部長
     
4. 議題
   
(1) 開会
(2) 資料説明
(3) 自由討議
(4) その他
(5) 閉会
     
5. 議事の概要
     当該研究会及びワーキンググループのこれまでの検討結果としてとりまとめた政策提言・報告書(原案)についての説明を行った後、自由討議を行った。
  自由討議における委員からの意見の概要は以下のとおり。
     
<総論>
  提言については大賛成。最近の霞が関で元気がある官庁は金融庁と特許庁だと、ある新聞記者が言っていたが、引き続き外部に対してポリシーを発信していくことは重要である。本研究会では、肥塚長官の下で特許の「質」を重視してきたが、今後も「質の重視」ということを特許庁の不動のポリシーにして欲しい。
  本研究会の議論は社会をリードしていくものであり有意義である。特許庁のポリシーにおいて特許の「質」を不動のものとするためにも研究会委員の方々のサポートをお願いしたい。
  産業界としては、実務面での取組の進展を期待。
  特許審査における効率化とともに、提言の実施に向けた効率化も必要である。
  提言として具体的に設定され、プロジェクトが具体的に動きだすための要因ができたのは良いこと。
  産業界では問題の「見える化」を行うが、本研究会自体は政策面における高いレベルでの「見える化」の取り組みと評価できる。
     
<スーパー早期審査>
  スーパー早期審査を10月から試行するということだが、早期審査故に他の人が対抗できない間に登録されてしまうようでは困る。無効審判や情報提供制度が整備されている状況も理解しているが、問題点がないかどうかを試行において十分に見極めて欲しい。無効審判は利用しづらいこともあり、やはり異議申立て制度が必要になるのではないかと考えている。早期審査に対する「質」確保のためにも、対抗策を別途検討する必要があるのではないか。
     
<パテントトロール問題のガイドライン策定>    
  ガイドラインの策定について、慎重な立場の意見もあるが、パテントトロールに対しては権利濫用の適用しか対策はないと考えている。何が権利の濫用にあたるかについては明確でないため、関係者の多くはその明確化を望んでいる。しかし、何が権利濫用かを定める権限については、特許庁は有しておらず、裁判所がその権限を有していることから、官庁がこのようなガイドラインを策定するのは非常に難しい。電子商取引等の準則にも関わったが非常に苦労した。官庁の解釈の通りにしたら、裁判所においてひっくり返されたということもある。著作権の延長の解釈において、文化庁の解釈を裁判所が覆した例は有名であろう。そのため、当該ガイドラインは謙抑的にせざるを得ないのではないか。法律的には権利濫用法理の一つの学説のような位置づけとならざるを得ないだろうが、官庁が策定したこの種のガイドラインに対して、社会は学説として見ずに一つの規範として見ることが多いため、その策定に当たっては慎重に行うべきと考える。
   

 

<シームレスな検索環境の実現>    
  シームレスな検索環境の実現は大賛成であり、重要であると認識している。実際に大学でどの程度の協力が可能かについては、仕組み自体を大学において構築することは可能かもしれないが、それ以上に、個々の研究者が収集したコンテンツをデータベースにどれだけ入れてもらえるかが重要となる。そのためには研究者がデータベースにコンテンツを入れるようにするインセンティブが必要。
  例えば、東京大学は、既に各研究室の論文などのコンテンツをインプットするデータベースを保有している。しかし、それがなかなか機能していない。データベースの存在や機能自体知られていない面もある。そのため、マイルストーンを描いていかないと、絵に描いた餅になる。
  英語だけでなく中国語等の辞書の開発も期待している。
     
<コミニュティパテントレビュー>
  特許の質は重要。そのための一つの施策としてコミニュティパテントレビューを試行することは賛成。試行においては、他の人の論文を読むためのインセンティブをどのように確保するか、また、企業においては競業他社の出願動向をウォッチングしていることから、ある程度の匿名性を確保した制度とすることも重要ではないか。
  (事務局よりコメント)米国の研究者は、米国の研究者は特許と論文の両方を見ているが、日本の研究者は論文のみ見ていることが多いと聞く。コミニュティパテントレビューのレビュワーに対するインセンティブは本質的な問題かも知れないが、研究者が特許文献を読むきっかけづくりになるのではとも考えている。
     
<研究開発政策と知財政策との連携>
  iPS細胞の研究において、日本は現在、世界の研究をリードしているが、欧米の研究チームから追い上げられている状況にある。このような状況の中、iPS細胞の研究の中心である京都大学における知財に関する実務能力不足が指摘されており、産業界としても積極的に支援していくが、このような国家的プロジェクトに対して、産業界だけでなく、国としても知財に関する実務を支援するような制度が必要である。また、知財を保護して活用することも大事だが、守るに値する、活用するに値する、世界をリードするような知財を生み出すことが重要である。欧米では、そのための公的な支援が多く行われているが、日本では遅れている。日本においても重要な研究開発プロジェクトに対して、研究開発費を始めとした欧米並みの支援が必要である。
  提言12に関してだが、大学の研究者の中で知財に関する重要性の認識についての差は大きい。大学側も研究者に対する啓蒙活動をしているが、充分とは言えない状況である。そのため、国等の研究開発費においても、知財の関係費を含むなど、研究者に対して知財を意識させるような支援をしていく必要がある。
     
<職務発明制度>
  職務発明について、特許庁は既に明確なスタンスを打ち出しており、後は裁判所の判断になるのだろうが、特許法35条の規定は外国と比較してどうか。
  (事務局よりコメント)国際的なマネジメントがどうなっているかを整理して、国際的な場においてレビューしていくことで日本の制度自体に客観性を持たせていくことは必要かもしれない。
  職務発明の問題は、国によっては、労働法や契約の問題になっていたり、労働法と特許法との中間の問題になっていたりするなど、純粋な特許法の問題ではないこともある。労働条件や契約制度については、各国独自であり、国際的な制度調和は難しい。また、個人的な見解であるが、日本は裁判所の判断が出過ぎており、これは国際的にも突出した制度である。世界の状況を知ることは大事かもしれないが、もし何か手当を行うのであれば、職務発明の問題は日本としてどうしてゆくかを考えるべきである。特許法35条を改正したばかりで難しいかもしれないが。
  職務発明は、本来のイノベーションをどのように評価するかであり、落ち着いて議論するべきと考える。現時点では、海外の職務発明制度への情報不足になっている可能性があり、海外の状況を知るだけでも良い影響はあるのではないか。
     
<その他>    
  標準技術に関するポータルサイトの構築について異論はなく、良いサイトができれば良いと考えている。
  本研究会では、経済のグローバル化の進展や技術の高度化・複雑化、オープンイノベーションの進展など、近年の知的財産権制度を取り巻く環境の変化に対応した、今後の我が国知財政策の在り方について、各委員の御協力を得て、基本的な方向を提言として取りまとめることができた。提言の中には、特許庁が実行すべきもの、国際的な協力が必要なもの、産業界を含めた関係者の協力が必要なものと様々であるが、今後、提言をどう実行するかが重要である。特許庁には、今後はプロ・イノベーションのための新たな知財システムの実現に向けて、全力を挙げて取り組んで欲しい。各委員には、今後の提言の実行に向けた取組を見守っていただきたい。
     
本議事録は事務局の文責にて作成したものであり、出席者各位の了承を得たものではない。

  
<この記事に関する問い合わせ先>
  
 
特許庁総務部総務課
  担当 若月、鹿児島
  電話 03-6810-7456
  FAX :03-3591-9624
  E-mail PA0A00@jpo.go.jp
 
 
特許庁総務部企画調査課
  担当 嶋田、千葉、三井
  電話 03-3592-2910
  FAX :03-3580-5741
  E-mail PA0920@jpo.go.jp
 
[更新日 2008.7.4]
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