平成20年1月23日
特許庁 |
| 1. |
日時 |
| |
|
平成20年1月23日(水)9:30〜11:30 |
| |
|
|
| 2. |
場所 |
| |
|
特許庁 |
| |
|
|
| 3. |
出席者 |
| |
|
| |
青木 玲子 |
|
一橋大学経済研究所教授 |
| |
江崎 正啓 |
|
トヨタ自動車株式会社理事、知的財産部主査 |
| |
大津山 秀樹 |
|
SBIインテクストラ株式会社代表取締役社長 |
| |
加藤 幹之 |
|
富士通株式会社経営執行役、法務・知的財産権本部長 |
| |
五神 真 |
|
東京大学大学院工学系研究科教授 |
| (座長) |
長岡 貞男 |
|
一橋大学イノベーション研究センター長・教授 |
| |
長谷川 卓也 |
|
臼井総合法律事務所弁護士・弁理士 |
| |
松沢 隆嗣 |
|
根本特殊化学株式会社常務取締役 |
| |
山田 敦 |
|
一橋大学国際・公共政策大学院教授 |
| |
和田 哲夫 |
|
学習院大学経済学部経営学科教授 |
| |
渡辺 裕二 |
|
アステラス製薬株式会社知的財産部長 |
|
| |
|
|
| 4. |
欠席者 |
| |
|
| 伊藤 耕三 |
|
東京大学新領域創成科学研究科教授 |
| 岡部 讓 |
|
岡部国際特許事務所副所長、弁理士 |
|
| |
|
|
| 5. |
議題 |
| |
|
| (1) |
開会 |
| (2) |
委員御紹介等 |
| (3) |
イノベーションと知財政策について |
| (4) |
今後のスケジュール(案)等 |
| (5) |
閉会 |
|
| |
|
|
| 6. |
議事の概要 |
| |
|
事務局から配布資料に沿って説明した後、自由討議を行った。
自由討議における委員からの意見の概要は以下のとおり。 |
| |
|
|
| <総論、イノベーション促進のためのプロパテント政策について> |
| |
○ |
知的創造立国を目指し、また国際的な競争力を強化することが必要。 技術は世の中に提供されて初めて役立つもの。権利を保護しすぎる結果、商品を生産する企業のリスクが高まるようになれば、イノベーションが阻害される可能性がある。 |
| |
○ |
重要なのは、これまでのプロパテント政策の基本的な方向性には大きな変更はない、ということ。「イノベーション促進のためのプロパテント政策」という考え方で、引き続き、プロパテントは重要なものであると主張していく必要がある。 |
| |
○ |
オープンイノベーションの切り口からは、技術を公共財と考え、これを使い易くすることも重要。どうやってお互いで利用できるようにするかという観点は重要であり、共有にしないと製品が作れないような技術もある。この場合、権利範囲の問題に踏み込んでいくべきかどうか。インターオペラビリティ(相互運用性)を高めるために、権利の例外の議論も必要ではないか。 |
| |
○ |
ライセンスポリシーの透明化を検討する際に重要なのは、ライセンス契約が結びやすいか、という点。技術の適正な評価という点に加えて、国際間で契約が結びやすいような環境整備が必要ではないか。 |
| |
○ |
パテントコモンズは大きな動きであり、産業界からみると、ある部分をコモンズにすることも重要ではないか。また、コモンズを実現するための制度はどうあるべきかについても議論として取り上げていただきたい。 |
| |
○ |
中小企業の多くは、現在、特許を取得することはコストパフォーマンスが悪く、利益が期待できないと感じている。しかし、より大きな不利益を被らないためにも特許を取得せざるを得ないという状況である。また、グローバル化の対応も、中小企業には難しい。日本だけでも大変なのに、海外出願は言語や制度の違いもあり対応が難しい。このため、今後は海外出願への支援策などを検討して欲しい。 |
| |
○ |
新しい医薬の開発にあたっては、研究開発の成果が過度に独占されずに、円滑に利用できるような仕組みも重要。 |
| |
○ |
人材の問題もある。少子高齢化と理科離れは深刻。国の莫大な債務があるなかで、国立大学の法人化以降、大学は国からの援助を見込めない。人材をどのようにエンカレッジするか。学生などは、世界の最先端のイノベーションに参加することが、技術の複雑化により、徐々に難しくなっている。こうした観点から、特許制度をグローバルに整備する中で人類の知をどう共有していくかという観点が重要である。学術と特許は両輪であり、学術においても特許と同様に藪のような状況にある。そのため、知識の構造化(体系的な学術の整理・連携)を図っていく必要がある。 |
| |
○ |
リスクの要因は、イノベーションのように将来どういう結果が出るかわからないリスクと情報の非対称性のリスクとがある。特許制度は前者でリスクを生み出すと共に解決する手段も含まれている。解決手段の一つは「標準化」で、グローバル化、オープン化が進む中では標準化がキーワードとなるだろう。制度を一度に最適化するのは困難。特許制度を何のために使っているのか、また例えば情報の均一化のためにはコモンズを用いる等の視点も大事。 |
| |
○ |
実際の企業活動において、特許権の意味(影響)をビジネスから切り離して考えるべきではない。特許権はビジネス上の独占権であるが、不動産のように単独で価値を有するものではなく、一種の「ポジション」的な価値・性質を有する。ビジネスにおいて、その特許がどういう力を発揮するか、というところにも視点を広げる必要がある。制度改革の議論をするなら、誰の、どのような利益になるかを検証していく必要がある。特許は相対的なものであり、例えば、大企業対大企業のケースと大企業対中小企業のケースでは特許を利用した利益状況は違ってくる。そのような全て異なった利益状況にある中で、何を調和させて、どのような利益を得るかという観点から議論すべき。 |
| |
○ |
特許庁の審査を充実して権利の安定性を高めていくことは重要。 |
| |
|
|
| <グローバル化と特許について> |
| |
○ |
医薬品は特許が一番機能しやすい分野ではないか。権利取得もグローバルにしなければならない。グローバルな権利行使の予測可能性を高めるために、世界の基準を日本がリードして欲しい。 |
| |
○ |
途上国では、公衆衛生の問題などがあり、特許制度に対してネガティブなスタンスをとっているかも知れないが、特許制度はイノベーションにつながる重要な制度であることを世界に発信して欲しい。 |
| |
○ |
特許のフィロソフィーを明確化し、特許制度は人類が知識をシェアするための公的な仕組みであることを明確にし、世界的なスタンダードとして発信していく必要があるのではないか。 |
| |
○ |
日本市場は成熟し、人口も減少してきているため、海外市場へ目を向ける必要がある。そのためのグローバル化に対応したプロパテント政策が重要。 |
| |
○ |
知財の問題は、グローバル化とその進展を考えると、それが外交課題として益々重要になってくる。マルチフォーラ化していく中で、どのフォーラムの場を重視するか、また、どの二国間交渉を重視するかというプライオリティ付けが重要。 |
| |
○ |
知財の分野についてもグローバルガバナンスの視点が必要となるだろう。日本がリードしていくためには、理念を提示する必要があるが、プロパテントに対する途上国の反発を考えると、「持続可能(サステイナブル)な世界の特許システムの実現」は良い表現である。途上国と共有できる理念が必要である。 |
| |
○ |
途上国も急速に物作りの力が増してきたが、不明確な制度のため、権利行使できないという状況もあり、先進国の裁判所で争うこともある。 |
| |
|
|
| <知財と経営、金融について> |
| |
○ |
大企業になればなるほど、知財と経営とを一体として考えており、1)知財となる技術、2)知財・技術をビジネス(経営)に如何に繋げるか、3)市場環境の変化が著しい中、如何に将来を見据えるか(予見洞察力)の三つの軸が重要。これには、技術のロードマップの作成、ビジネスモデルの構築、知財の保護の三位一体が重要。 |
| |
○ |
金融の世界では特許は扱いづらい。特にリスクとリターンが見えづらい。日本においても知財を扱うファンドはあるが、なかなか上手くいっていない現状を聞く。これはそもそも日本の金融市場が未熟であり、ベンチャーキャピタルに、リスクマネーが充分に行っていないのも一因。また、人材の流動性の低さにより、技術と金融の人材交流が少ないというコンパートメンタライゼーション(区画化)もその要因である。 |
| |
|
|
| <情報インフラ、特許情報と技術情報の検索について> |
| |
○ |
グローバル化が加速して、情報を持っているだけでは優位性が無くなってきている。学術文献については、オープンにして共有化することが重要だが、そのためのコストをだれが負担するか問題。 |
| |
○ |
日本は、良い技術情報をもっているのに、その技術情報をどう活用するか、というリテラシーの部分が弱いと言われている。情報を得るのは誰でもできるが、それを活用できる人材、組織での対応力が求められる。特許情報インフラについては、日本は整備されていると実感しており、これを活用しない手はない。情報の利用可能性は、まだまだ高い。特許だけみても企業各社の技術動向や開発戦略など、分かることは多い。 |
| |
○ |
検索エンジン・アルゴリズムは重要。グーグルの検索技術は優れているが、技術についての先行技術を検索する際に有効なより優れた検索能力を有するアルゴリズムを開発できる余地があるのではないか。もちろん全てを特許庁で開発することは困難であり、民間のシステムの活用を図っていく必要があると考えている。特許庁が開発したものはオープンソースとし、民間のそれを利用したサービスもオープン化させるというのも一案。現状においても、先行技術調査において、人の目でみないとわからない部分は多く、官全体でのシステムの機能向上は必要である。(独)経済産業研究所が行っている「発明者サーベイ」においては、審査官や発明者等、色々な人が先行技術を判断するが、人によって判断が異なるという結果が出ている。先行技術か否かの評価について、審査官のノウハウをうまく関数にしていく、というアイディアはどうか。 |
| |
○ |
企業では特許情報DBは使いこなしているが、非特許文献についても、どのように使いこなしていくか、どのように経営の意思決定に活かしていくかに重点を置いている動きもある。自社内外の情報を結合するため、エンタープライズ・サーチ・プラットフォーム(企業内統合検索基盤)と呼ばれる技術を活用し構築するという動きもある。 |
| |
○ |
学内の情報のオープン化については、学術情報として公開されているもの以外、例えば卒業論文や修士論文などは、公開許諾がとれていても著作権上の問題があり公開できないものが多い。また、小規模な研究会も頻繁にあり、そうした場で使用されるアブストラクトが公開されたことで、特許をとれなくなったこともある。東京大学では、文献・特許・HP・ブログ等、複数あるものを可視化し、リンク関係をみることによって、パラレルに構造化する予定。他の情報化の動きとも協調していきたい。 |
| |
|
|
| <権利行使に関して(いわゆるパテントトロール問題について)> |
| |
○ |
トロールと知財への投資の話は似ている。例えば知財訴訟の費用を集めるためだけに、ファンドを作成するということがあるが、このようなファンドがトロールと呼ばれることもある。 |
| |
○ |
トロールは知的な創造活動に何ら貢献していないのに、特許的なテクニックと訴訟手続の特異性を利用して攻めてきて、これがイノベーションの阻害要因になっている。 |
| |
○ |
何がトロールかという定義の問題がある。トロールの出現はまさに「特許の軍拡競争」の側面がでているともいえる。自ら製造は行わずに技術開発だけを行うもの、他から取得してくるもの、以前は事業を行っていたが現在は行っていないものなど様々な場合がある。また、完成品の中に含まれる一部品が特許を侵害しているとして、完成品に対して訴訟を起こすケースもある。 |
| |
| ※ |
本議事録は事務局の文責にて作成したものであり、出席者各位の了承を得たものではない。 |
| |
|
|