平成20年2月28日
特許庁 |
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日時 |
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平成20年2月28日(木)13:30〜15:30 |
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| 2. |
場所 |
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特許庁 |
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| 3. |
出席者 |
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青木 玲子 |
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一橋大学経済研究所教授 |
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伊藤 耕三 |
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東京大学新領域創成科学研究科教授 |
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江崎 正啓 |
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トヨタ自動車株式会社理事、知的財産部主査 |
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大津山 秀樹 |
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SBIインテクストラ株式会社代表取締役社長 |
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岡部 讓 |
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岡部国際特許事務所副所長、弁理士 |
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五神 真 |
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東京大学大学院工学系研究科教授 |
| (座長) |
長岡 貞男 |
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一橋大学イノベーション研究センター長・教授 |
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松沢 隆嗣 |
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根本特殊化学株式会社常務取締役 |
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山田 敦 |
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一橋大学国際・公共政策大学院教授 |
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和田 哲夫 |
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学習院大学経済学部経営学科教授 |
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渡辺 裕二 |
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アステラス製薬株式会社知的財産部長 |
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| 4. |
欠席者 |
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| 加藤 幹之 |
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富士通株式会社経営執行役、法務・知的財産権本部長 |
| 長谷川 卓也 |
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長谷川綜合法律事務所弁護士・弁理士 |
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| 5. |
議題 |
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| (1) |
開会 |
| (2) |
イノベーションと知財政策について |
| (3) |
スケジュールについて 等 |
| (4) |
閉会 |
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| 6. |
議事の概要 |
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事務局から配布資料に沿って説明した後、自由討議を行った。
自由討議における委員からの意見の概要は以下のとおり。 |
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| <グローバル化に対応した世界特許システムについて> |
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○ |
「仮想的な世界特許庁」という構想は大変素晴らしい。 |
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○ |
「持続可能な世界の特許システムの実現」の「持続可能な」は良い言葉。この言葉を打ち出していくなら、環境問題もそうだが、発展途上国に十分な配慮している点をアピールできる。それならば、提言のなかにその一つとして、国際的な議論になっている、医薬品へのアクセスについての日本特許庁のスタンスや、具体的な提言を盛り込んではどうか。米国は積極的でない、むしろ無関心を装っているため、日本がアピールする上では良い材料となるのではないか。 |
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○ |
医薬品アクセスと知財の問題はセンシティブな問題。医薬品アクセスの問題では、知財と関係のない問題が結びつけられ、特許が問題視されている部分もあるが、特許制度は医薬品の研究・開発に役立つものである。また、WHOの必須医薬品の95%の医薬品に特許は含まれていないことからも、別の問題が含まれているのではないかと感じる。特許により価格が高いという問題は、権利者と国が交渉すべきことではないか。知財制度により、イノベーションが活性化し、新しい医薬品が作られ、それが人類の健康の促進に貢献する。また、合わせて疾病を予防するインフラの整備をすることで対応可能と考えられる。 |
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○ |
世界中でビジネスは拡大し、途上国にも広がっている。将来におけるビジネスを見越して、途上国での知財制度の整備も重要。 |
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| <ユーザーニーズに応じた審査について> |
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○ |
早期審査を活用しているが、中には事業化のメドがなく出願しているものもある。出願人のニーズで審査時期が選択可能な制度、審査が遅くていいものには審査請求料を割り引く等のシステムも期待される。 |
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○ |
知財の「活用」を考えると、少なくとも三極の間で、「質」と権利取得の「タイミング」が合うことが極めて重要。一部で未審査の領域があると活用に制限が出る。日本だけが一方的に早い、遅いとなるのは困る。 |
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| <権利の安定性について> |
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○ |
審判で有効と判断されても訴訟の場で無効となることが多い印象。進歩性の判断について、イ号製品※が実際にみえる場と文献だけで判断する場での差であろうか。これが、企業が積極的な権利行使を控える原因になっていると考えられる。安定性のある特許権の設定をしなければ、権利者が無効をおそれて権利行使できなくなる。侵害訴訟件数の減少はこのことを反映しているのではないか。 ※イ号製品とは、権利侵害の有無が問題となる係争対象物をいう。 |
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○ |
明細書の文言に対する判断の厳しさは裁判の方が厳しい。審査では曖昧な文言であっても、実施例に記載があると特許を付与するかもしれないが、裁判では厳格に文言を解釈する。特許庁も裁判所のように文言に厳しく審査を行って特許する必要がある。弁理士も適切な(記載要件を満たすような)クレームを書くように努めるべき。 |
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○ |
侵害訴訟で無効となるから審査の質が低いというが、裁判所で争われるということは原告と被告の双方にとって判断(予見)が難しく、事前の交渉で決着できなかった微妙なケースということ。訴訟となったものだけの統計で、審査の質が低いと判断するのは早計ではないか。 |
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○ |
裁判所は法律に従っても、行政の作成した審査基準(ガイドライン)に従う道理はないと思っているだろう。そこで、審査基準を策定するにあたっては、司法の関係者も参加してもらう等、裁判所のコンセンサスを得られる仕組を考えて頂きたい。 |
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○ |
企業はビジネスリスクの予測性が低いことに困っている。米国では、パテントトロールの賠償額が非常に高額である点と、サーチをした結果抵触しないだろうと思われるクレームについて、地方の裁判所で侵害と認定されるケースがある。審査の質の話と共に考える必要がある。 |
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| <知財と経営、金融について> |
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○ |
知財ビジネスも重要だが、それに限らず産業構造の改革をしないとイノベーション創出に繋がっていかない。知財ビジネスが事業化まで見据えた技術ロードマップを共有するためのインフラにもなるというのはその通りだが、それから先のビジネスに繋げていくためには、具体的にそれがどのような製品・サービスになって、どのような市場に出て行くか、どのようなビジネスモデルで事業を行うかを見据えないと資金もつかない。 |
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○ |
金融と産業の溝が大きい。銀行を主流とする現在の市場では、担保とキャッシュフローを元にした融資を行っている。一方、キャッシュフローの要求は、イノベーションの創出の観点には馴染まない。本質的にイノベーションや事業や技術をしっかりと評価し資金を付けられるようにする必要がある。 |
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| <パテントトロール問題について> |
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○ |
米国では有効性に問題のある特許で攻撃してくる場合もあるときく。日本ではそのような問題のある特許ではなく、理にかなった特許で攻撃される経験も増え、日本でも米国のように特許で攻撃するようになってきたか、と感じることがある。 |
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○ |
不実施者の権利を制限する場合、実施していないから権利行使してはいけないとすると、実施しないことが一般的である大学の先生も権利行使できなくなるので、その点を整理する必要がある。 |
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○ |
パテントトロールの明確な定義がないとのことだが、その経済効果を分析するためにも、定義付けを行ってはどうか。 |
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| <イノベーションを促進するためのインフラについて> |
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○ |
ヨーロッパ特許庁の文献検索システムは引用文献や審査履歴などが見られるため便利でよく使うが、このような機能が広まり、世界中の情報が検索できるようになれば便利であるし、権利の安定性や予見性が高まることにも繋がり、歓迎できる。 |
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○ |
研究成果を活用するためには、これを事業化に繋げる者が必要。これは中小企業の知財をどのように活用するか、と同じ問題であって、日本の場合は技術的知見をもった商社が中小企業のノウハウ・権利を活用するためのつなぎをしている。彼らのような役割をする者が大学に目を配れば活用・知財の掘り起こしにつながるかもしれない。しかしビジネスとしては成立しにくいため難しいだろう。これをどう補うかは、制度改革として考える点かと思う。 |
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○ |
コミュニティパテントレビューの試行は賛成だが、懸念事項もある。研究者・技術者などが参加するインセンティブをどう上げるかがわからない。研究者が参加しようとするインセンティブとしては、ある種の評価(名声)を得たいということはあるのかもしれないが、ビジネスに直結しないことに参加しようとするだろうか。また、質の悪い特許出願は誰も読みたくなく、良いものを読みたいのが技術者の傾向であることから、良い技術に関する出願のみに関心がいくのではないか。
可能であるか分からないが、審査官協議においてレビュー・情報提供している案件についても、一般のコミュニティからの意見を提出することができれば良いのではないか。 |
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○ |
質の悪い特許は勉強にならないが、それが特許として成立したら困る人ならみるのではないか。どのように試行を設計していくかは重要。 |
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○ |
標準化された技術のライセンスに関して、パテントプールだけが、RAND条件によりライセンス条件を公表している。標準団体では、無料かどうかは公表しているがRAND条件の中身まで公表していない。事前(ex ante)にライセンス料を決めるときに、協議を行いライセンス料を公表することは、独占禁止法上直ちに違反となるものではないとされていることから、そういうことが明確化されると、ライセンス料の公表が促進され、ライセンスポリシーの明確化に資するかもしれない。 |
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| <知財政策と研究開発政策の連携について> |
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○ |
「知財の目」というものは大変重要。基礎研究を事業化するにあたって、知財に詳しい方から、将来の事業化を見据えた知財戦略を構築してもらい、最初は基本特許だけであったところ、早い段階から事業化に必要な周辺の特許を取得してもらった経験がある。最初から事業化を見据えた特許取得などの配慮をしておいたことが、非常に早く事業化できた要因と考えている。応用研究に繋がる基礎的な研究成果については、早い段階から事業化に向けた知財戦略を構築することが必要。 |
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○ |
研究者のなかで、知財という観点での戦略をもつ人や、知財の仕組みを理解している人はまれである。ごく一部の大きな機関であれば、知財の視点をもった者を置く等の体制整備をすることが予算的にも可能であると思うが、それ以外の多くの大学では整備は現実的に難しい。また、研究者に対して知財のスキルアップのための教育を行う必要があるが、研究者は知財と距離があるので、多数の人に効率よく教育するために、最大公約数的な内容を整理して、普及啓発することが重要である。普及啓発を行う機関を構築することも一案。 |
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○ |
新たな小さな発明が、真のイノベーションにつながることがある。大きな企業であれば知財の専門家もいるのでこれを掘り起こすことも可能であるが、中小企業だと難しいため、教育によるスキルアップが必要。情報リテラシーを高めるように早期に教育した方が実効的。 |
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○ |
産学連携から出てきた発明は産業化に結びついて初めて役に立つと思うが、一つだけのシーズで産業化に結びつくものは多くない。そこで、色々な研究を1つの出口へ集約していくプロデューサーが必要。イノベーション創出のためには、プロデュース機能が必要であり、その結果いい知財が生まれてくるのではないか。 |
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| ※ |
本議事録は事務局の文責にて作成したものであり、出席者各位の了承を得たものではない。 |
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